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筋トレ・運動の知識

筋トレのオールアウトの仕組みを解説!限界まで追い込む必要はない?

2020年08月29日

【パーソナルトレーナー監修】オールアウトとは何かご存知ですか?オールアウトとは筋トレなどの運動で極限まで追い込み動けなくなる状態を言います。そこで今回は、どれくらい追い込めばオールアウト状態になるのか、論文の研究結果に基づく筋トレでのオールアウトと筋肉の成長の関係性を詳しく解説していきます。

【監修】パーソナルトレーナー 野上鉄夫

健康運動指導士/NSCA-CPT/JATI-ATI/トレーニング指導歴34年/指導人数1万人以上/Twitterフォロワー数15万人/YouTubeチャンネル登録者数1.5万人/ブログPV300万PV以上

そもそも筋トレの『オールアウト』とは?

オールアウトとは、筋トレなど運動の追い込みにより体のエネルギーが枯渇して筋肉が極限まで疲労し、運動が継続できなくなる状態を言います。

オールアウトの判断基準は筋トレなどの運動後に10秒間のレストを取り、再度動作を行った時に1回ほどしかできなくなった状態と言われています。

次に、筋トレでオールアウトを起こすメリットとオールアウトを起こす方法について詳しく解説していきます。

筋トレでオールアウトするほど追い込む必要はない?

オールアウトは極限まで追い込むことなので当然メリットしかないと思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、極限まで追い込むことはデメリットにつながるという研究結果が出ているのです。

2019年にアメリカの大学から出された論文の研究結果をもとに筋トレでオールアウトするまで追い込む必要がないと言われる理由について解説していきます。

(筋トレを限界まで追い込むべきかどうかについては以下の記事も参考にしてみてください)

オールアウトと筋肉の成長についての実験結果

筋トレの経験が豊富である15名を『毎度アールアウトするまで追い込む』『余力を残す』2グループに分け、週3回の筋トレを10週間継続させます。

そうして10週間経過後にグループ別の筋肉の成長を比較したところ、筋肉の厚みは2倍、筋肉の面積は4倍ほど余力を残して筋トレを行ったグループの方が成長しているという結果が出たのです。

オールアウトと筋トレの関係性の結論

上記の実験により、筋トレはオールアウトするまで毎度追い込めばいいものではないということが理解できます。

毎度オールアウトするほど筋トレを追い込んだ場合は、体が回復せず免疫力が下がり風邪などの体調不良を起こしてしまいます。そうすることにより、筋トレをして枯渇したエネルギーを筋肉から得ようとするカタボリックという現象が起き、逆に筋肉が小さくなってしまうのです。

したがって、筋トレでオールアウトを行う場合は最高でも週1回にし、その他の日は余力を残した筋トレを行うスケジュールを組むことが重要です。

筋トレでオールアウトするメリットは?起こす方法は?

オールアウトは極限まで追い込むことなので、当然メリットしかないと思っていた方も多いのではないでしょうか?これまでの解説からすると逆にデメリットしかないように感じますがメリットもあります。そこで、ここの見出しでは筋トレでオールアウトを起こすメリット〜オールアウトを起こす方法について詳しく解説していきます。

それでは、筋トレでワークアウトを起こすメリットから確認していきましょう。

筋トレでオールアウトを起こすメリット

筋トレでオールアウトを起こすということは体を限界まで追い込むということなので、筋肉の成長や扱える重量の停滞期を脱却できるというメリットがあります。筋トレでの慣れは筋肉や重量の成長に効果的ではなく、より強い刺激を定期的に与えることが重要です。

しかし、前途した通り毎度の筋トレでオールアウトさせてしまっては逆効果になります。日々の筋トレの中で最高でも週1程度オールアウトさせる日を作って継続すると、成長スピードが上がるでしょう。

それでは次に実際に筋トレでオールアウトを起こす方法について確認していきましょう。

筋トレでオールアウトを起こす方法①ドロップセット

ドロップセットとはセットをこなせなくなるまで極限の負荷で行い、数回も動作ができなくなったら徐々に負荷を下げてセットをこなし続けて限界まで追い込む方法です。

この方法では必然的にセット数が多くなってしまいますが、次があるからといって妥協してすぐに負荷を落としてしまっては意味がなくなるので注意しましょう。筋トレでオールアウトさせるには1〜3回も動作できないという極限まで追い込むことが重要です。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

ドロップセットを行う場合、オールアウトしたセットの後のセット数は2〜3セット程度で充分です。よく重量をどんどん下げて延々とセットをやる方がいますが、その場合種目を変える事をお勧めします。

(ドロップセット法については以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレでオールアウトを起こす方法②コンパウンドセット

コンパウンドセットとは、レストを取らずに種目を入れ替えながら極限まで追い込む方法です。

具体例を出すと、まずはベンチプレスでオールアウト状態まで追い込み、その後レストを取るのではなく同じ部位だが異なる動作のケーブルクロスオーバーで再度オールアウトする状態まで持っていくといったことを繰り返す方法です。

同じ部位でも動作が変われば微妙に負荷のかかる筋肉部位が変わり、動作が可能になります。コンパウンドセットは種目間の移動をスムーズに行うことが重要なので、はじめにメニューを決めておき使用する器具をすぐにできる環境に持ってくるようにしましょう。

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コンパウンドセットでは、フライ系エクササイズのような単関節運動を先に行うと、ベンチプレスのような多関節運動を後に行う際、主働筋(この場合は胸の筋肉)に強く効きを感じる事が出来ます。これは目的に合わせて使い分ける事が大切です。

(コンパウンドセットについては以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレでオールアウトを起こす方法③フォーストレップス

フォーストレップスとは、まずは極限まで自分の力で追い込み限界を迎えたら、さらに他の人の補助によって追い込む方法です。

具体的にはベンチプレスを自分の力でオールアウト状態に持って行った後、バーを上げる際に補助に入って貰い3回ほど動作をプラスしていきます。この3回が余裕でできてしまっているという場合は補助の力が強すぎるということなので、ベンチプレスで言うとバーを指で支える程度にしましょう。

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ファーストレップを行う際、補助をする方は出来るだけ「ギリギリ」で挙げられるように最低限の補助にとどめましょう。よく目一杯の力で挙げてしまう方がいますが、それでは効率的にオールアウトまで追い込めなくなってしまいます。補助の回数も1から2回で充分です。

筋トレでオールアウトする際の注意点

筋トレを本気で行っている方はオールアウトが気持ちよく楽しく感じるものでしょう。しかし、動けなくなるまで体を追い込むと当然リスクも伴うので、正しい方法を理解して行う必要があります。

そこで最後に、筋トレでオールアウトを起こす際の注意点を詳しく解説していきます。

①初心者は筋トレでのオールアウトは避ける

正しいフォームの習得ができていない、自分の限界に耐えることのできる基礎筋力を備えていない初心者の方は筋トレでオールアウトをするのは避けましょう。前途した通り筋トレでオールアウトするメリットは停滞期の脱却なので、真っ只中の初心者の段階だと体が疲労しすぎるというデメリットしかないからです。

筋トレでオールアウトを行う目安は、筋トレを定期的に継続して2年間たったレベルと考えていいでしょう。そもそも初心者は極限まで追い込む力がなくオールアウトできないので、挑戦するのは無謀です。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

ただし余力を残しすぎるのも良くありません。初心者の方はむしろ余力をあまりにも残しすぎるトレーニングをしがちです。目安として「後2〜3回やったら上げられなくなるかも」というくらいまでは筋肉を追い込むと良いでしょう。

②正しいフォームで筋トレを行う

筋トレでオールアウトさせる場合は、必ず正しいフォームで行うことが重要です。オールアウトは言い方を変えれば無理やり動作を行い追い込むことなので、誤ったフォームで変に負荷がかかれば怪我をするリスクが高まります。

したがって、筋トレでのオールアウトは限界を迎えてもフォームがブレず正しい動作を行えるようになってから挑戦しましょう。

③満腹状態では絶対に行わない

筋トレでオールアウトをすると吐き気の症状が出る可能性があります。そのような中で、満腹状態で行ってしまうと高確率で嘔吐してしまうので要注意です。

さらに、適度な空腹状態で行うと成長ホルモンの分泌が活発化されて、より効果を期待できます。

(満腹状態でのランニングがどうかについては以下の記事も参考にしてみてください)

④一人では絶対に行わない

筋トレでオールアウトを起こす場合は、一人で行わないようにしましょう。ドロップセットやコンパウンドセットで、無理しすぎずうまく負荷調整できれば問題ありませんが、追い込むラインがわからなくなり結果的に妥協してしまうか、潰れて大怪我をしてしまうリスクが高まります。

したがって、筋トレでオールアウトを起こす場合はフォーストレップスを行わない場合でも近くに補助係を置いて行いましょう。どうしても一人で行わなければいけない環境であれば、自重で行えるように工夫するのもおすすめです。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

もし仮に一人でトレーニングする場合は、パワーラックやベンチプレス台に設置してあるセーフティーバーは必ず適正な位置にセットする様にして下さい。ダンベルはあまりお勧め出来ません。また最初にオールアウトトレーニングをする場合はマシンで行うと安全に実施する事が出来るのでお勧めです。

筋トレのオールアウトは正しい知識をつけて行おう

オールアウトと筋トレに関する研究結果〜オールアウトを行うメリットや実際に起こす方法まで詳しく解説してきました。前途した通り、毎回の筋トレでオールアウトを起こすほど追い込む必要はありません。

しかし、本気で筋トレを行っている方にとっては極限まで追い込む達成感に楽しさを覚えたり、停滞期を脱却できるメリットもあるのでオールアウトは必須でしょう。筋トレでオールアウトを起こすには様々なリスクも伴うので、しっかりとした知識を身につけてから行ってください。