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ランニングは着地方法の理解もすべき!
どのようなスポーツでも正しいフォームで運動することはとても大切なことです。正しいフォームを理解して実行することは、パフォーマンスの向上にも繋がり、怪我の予防にもなります。これはランニングも同じで足の着地方法を理解することで、長距離のランニングが可能になったり、ランニングタイムが向上していきます。
今回はランニングの着地方法について、つま先・足裏全体・かかとといった足裏のどの部分から着地すればいいか、着地面の違いについて解説していきます。
ランニングの着地の種類
ここからランニングの着地の種類について解説していきます。普段は足裏のどこから着地しているか、つま先・足裏全体・かかとの3つの着地について確認していきましょう。
つま先着地の『フォアフット』
つま先で着地する方法はフォアフットと呼ばれます。最近の日本人ランナーではマラソンランナーの大迫傑がこの着地法を取り入れていると注目されています。
この着地方法は本来短距離走のようなスピードが求められる競技に有効なランニングフォームです。つま先の小指側から着地するため着地面の面積が狭まり、着地時間が短縮されることから、筋肉へのダメージが少なくなるので、長距離走でも筋肉に疲労が溜まることなく走り抜くことが可能になるというメリットがあります。
しかしランニング初心者がいきなりフォアフットで走ることには注意が必要です。これは骨盤が落ち重心がかかと側にあるという日本人の体形にも関係があります。十分な下肢筋力がない状態でフォアフットで走ると、ふくらはぎ・太もも・アキレス腱といった筋肉に大きな負担がかかり怪我をしやすくなるというデメリットがあります。
全体着地の『ミッドフット』
ミッドフットはべた足のように足裏全体を使用して着地するランニングフォームです。この方法は足にかかる負担を和らげることができ、怪我の予防に繋がります。
通常地面から受けるは衝撃は足裏の一部に集中します。しかしミッドフットでは足裏の全体で着地を行うので、足が受けるインパクトを足裏の大部分で受け止めが可能です。またこの着地方法は体幹が鍛えられる効果があり、運動時の着地方法でも注目が集まっています。
効果的な点は多くありますが、短所ももちろんあります。大多数の日本人は普段の生活では足裏の大部分を一度に接面する歩き方をしないので、この走法ができるようになるまで時間がかかってしまうのが難点と言えるでしょう。
かかと着地の『ヒールストライク』
ヒールストライクは日本人走者が最も多く行っている着地の仕方です。大多数の日本人はかかと側に体の重心があり、この日本人の特性にマッチした地面への足の付け方という利点があります。
またヒールストライクには、インパクトを走る力に変えるという効果があります。かかとが受けるインパクトを、つま先に伝えて踏み込む力に変えることができるのです。インパクト時には足首の関節が上手く機能して、前進力への転換が可能になります。さらにかかとにあった重心が前方に移動し、足の筋肉が受ける負荷が減少します。
この走法はスピードが出にくいので、本来はゆっくりと走る場合に向いています。また負荷が少ないので、足の筋肉が強化されにくいという点も理解しておきましょう。
ランニングの着地方法は体の特徴で選ぶべき
ここからは着地方法を選ぶ時の体の特徴を紹介します。自分にあった着地方法を確認しましょう。
フォアフットが向いている人の特徴
フォアフットはランニングスピードを向上させたい人に向いているでしょう。つま先から着地することによって衝撃が分散されるので、足への負担が軽減され長距離走向きの着地方法です。また膝痛や足の痛みの原因はオーバーユースであることが多いです。フォアフットは負担が軽減することが特徴ですので、ランニング中の筋肉疲労を感じている人にも向いているでしょう。
ミッドフットが向いている人の特徴
ミッドフットは膝の痛みを抱える人に向いています。足裏全体を使って着地することで、足裏から伝わる衝撃を足裏全体や、筋肉を使って吸収することができるのです。またランナー膝とも呼ばれる腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)に悩む人にも向いています
ランナー膝は膝の外側に痛みを感じるのが特徴で、正しいランニングフォームで走れていないことにより膝に負担がかかり、腸脛靭帯が大腿骨外顆と擦れて、靭帯が炎症を起こしてしまいます。このようなランニング中の膝への負担を軽減したいという人にはミッドフットが向いているでしょう。
ヒールストライクが向いている人の特徴
ヒールストライクはランニング初心者に向いているでしょう。かかとから着地して、つま先で地面を蹴り上げるのが特徴のフォームですが、日本人が慣れた重心の移動の仕方をします。まだアキレス腱やふくらはぎの筋肉が鍛えられていない場合でも、スムーズに走ることができます。
ランニングの着地方法を変えるならトレーニングが必要
着地法それぞれのメリットが分かりましたが、着地法を変えるためにはトレーニングが必要です。ここからはそれぞれの着地法を習得するにはどのようなトレーニング方法があるのか紹介します。
フォアフットのトレーニング方法
フォアフットの脚の正しい着地位置は体のほぼ真下です。この着地位置で走るためには腰や骨盤の位置も意識する必要があります。腰高にし骨盤が真っ直ぐになるような姿勢にすることで、体が前方に倒れることが防ぎ、脚の位置が体の真下に保つことができます。
実際にフォアフットで走る際にはピョンピョンと跳ねるようなイメージで足を動かしていきますが、足首の力だけに頼りすぎると足首の関節を痛めてしまう原因になります。着地はつま先を、踏み出す際は脚全体を意識してトレーニングしましょう。
ミッドフットのトレーニング方法
ミッドフットで走るトレーニングをする時には、骨盤を少し前傾させながら足の蹴り出すタイミングを少し遅らせることを意識しましょう。体の後に足が付いてくるイメージで行うと、骨盤や重心の真下に足がくることで、足裏全体で着地しやすくなります。また足首を曲げることなく真っ直ぐに地面に下ろすことも意識してください。
また体がブレることなく真っ直ぐに平行移動するイメージを持ちましょう。ミッドフットでは腹筋やお尻の筋肉を使って足裏から伝わる衝撃を吸収するので、バランスよく衝撃できるようにランニングフォームを崩さないことをトレーニングの時は意識しましょう。
ヒールストライクのトレーニング方法
ヒールストライクのトレーニングをする時には、前傾姿勢になり過ぎないように骨盤や腰の位置を注意してください。平仮名のくの字のような前傾姿勢になると足の動きが悪くなってしまいます。かかとから着地してつま先で地面を蹴り上げる際に、地面からの反発力を前進力に変えて走行していきます。
日本人は骨盤が落ち重心がかかと側にあるという体形である分、ヒールストライクでの走行がスムーズに行えます。あまり難しく考えないでトレーニングした方が、自然できるのではないでしょうか。
みんなはランニングの着地はどうしている?
実際にランナーたちはランニングの際に着地はどの方法をとっているのでしょうか。実践者の声を紹介していきますので、ランニングフォーム改善に役立てましょう。
フォアフット①
ランニングするときも踵付けないように走るだけで、いい感じに足も鍛えられる。
— KenMed @剣道が楽しくなるブログ (@KenMed11) October 25, 2020
かかとを付けないフォアフットで走るようにしてから、足が鍛えられていることを実感したという実践者がいます。フォアフットで走ることで長距離のランニングでも疲労が軽減されるので、足の筋肉が鍛えられ脚力も向上していることが分かります。
フォアフット②
ランニングで踵から接地していたら、毎回右の腓腹筋が張っていたが、つま先接地にしたところ、その張りが出なくなった。
— SHO-TA (@SHOTA33046207) October 22, 2020
つま先接地にすることで、衝撃吸収を足部でも出来るようになったことで、腓腹筋への負担が減少したのか(仮説)。
フォアフットで走るとことで足裏への衝撃を上手く吸収させれていることが分かります。慣れないうちは足首を痛めたりすることもありますが、習得できると負担軽減を実感できます。
ミッドフット①
YouTubeで勉強したランニングフォームを意識して走ったら膝の痛みが少し減った感。
— 春日井⊿ (@mrnobrake244) July 18, 2020
多分フォアフットは一生無理だからミッドフット意識!
ミッドフットにしたことで膝の痛みが軽減したという実践者がいました。足裏全体で着地するので、着地する時の衝撃が軽減されることがミッドフットの魅力です。足首・膝・足の痛みに悩んでいる場合は、ミッドフットに変更すると良いでしょう。
ミッドフット②
3/30
— さかもとさん。 (@nano02222) March 30, 2020
自主練
R 12.3km(4:07/km,167bpm)
上Eペースで10キロ。
今までフォアフット気味に走ってきたが、これからマラソンに専念していくならダメージの少ないミッドフットに変更。
スプリント種目はどうせ自然にフォアフットになるから普段の練習はミッドフットでやっていく。
ランニングだけでなくマラソンのような長距離走でもミッドフットは効果を発揮します。足首・膝の関節を痛めることなく長距離を走り抜くことができるという感想から、ミッドフットで走っているというランナーの声が多く見られました。
ヒールストライクは少数派
毎大会、ツライしかないマラソン大会を「楽しく楽に走りたいです」って、実業団陸上部にも所属してたスタッフさんと取り組んだやつです!!
— にゃんこ:bouquet:アーミーにゃんこ:cat: (@mkonsn1979) April 2, 2020
歩く時から『踵着地でつま先で蹴る』という意識を身体に根付かせて、その意識のままジョギング、ランと…
実践者の声を見ていると、ヒールストライクの実践者はどちらかというと少数派のようです。ヒールストライクからフォアフットやミッドフットに変更したという声が多い一方で、逆パターンの声はあまりありませんでした。
日本人は重心がかかとにあることが多いので走りやすいフォームですが、足の負担や痛みの軽減には他のフォームが選ばれているようです。
自分に合ったランニングの着地方法を見直してみよう
今回はランニング時の着用方法について解説しました。フォアフット・ミッドフット・ヒールストライクと3種類の着地方法にそれぞれメリットがありますが、自分にあった着地方法を選択することが大切です。ランニングの着地方法を見直すことで、明日からのランニングが変化していくでしょう。