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お酒を飲んだ後の筋肉痛は急性アルコール筋症?
急性アルコール筋症は、飲酒後、体中が運動し過ぎた後のようなひどい筋肉痛が起こります。運動後の筋肉痛では、運動によって損傷した筋肉を修復する際に炎症が起こって痛みが発生します。一方、飲酒で筋肉が痛くなるのは、アルコールによって筋肉が破壊されたことによるものです。
急性アルコール筋症の痛みは、体質的にお酒に弱いかどうかに関係なく、急激に飲み過ぎることで誰にでも起こり得るので注意が必要と言えます。
急性アルコール筋症の症状&原因
急性アルコール筋症という病名を耳にしたことがない人は多いのではないでしょうか。急性アルコール筋症について知ることで、予防対策も立てやすくなります。ここでは、急性アルコール筋症の症状や痛みを引き起こす仕組みについて解説していきます。
急性アルコール筋症の症状
急性アルコール筋症は飲酒後すぐに症状が出る人もいれば、翌日以降に出る人など体質や体調によって様々です。具体的な症状は下記の通りです。
・全身の痛みや倦怠感
・手足の痛み
・顎や首筋の痛み
・肩こり
・関節痛
・筋力の衰え
これらの症状が見られる場合は、急性アルコール筋症を引き起こしている可能性が高いと言えます。また、筋トレをしている場合はトレーニングに悪影響を与えることもあります。
(アルコールと筋トレの関係については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレにアルコールがNGな理由5つ。筋肉に影響のないお酒の飲み方テクも解説!
出典:Slope[スロープ]
急性アルコール筋症の原因
アルコールを摂取すると、肝臓でアセトアルデヒドという物質から酢酸へ分解されます。アルコールが分解される過程で、ビタミンB1をはじめ大量の栄養素が使われるのです。さらにアルコールは栄養の吸収を妨げ、排泄を促すためますます体内の栄養が不足します。
こうして筋肉を維持するために重要な栄養素が不足した結果、筋肉が破壊されて痛みの原因となります。急性アルコール筋症で傷ついた筋肉は、回復することはありません。筋力が低下し、壊死してしまう可能性もあると報告されています。
(アルコール摂取とビタミン消費の関係については以下の記事も参考にしてください)
出典:日本臨床栄養協会
慢性アルコール筋症に注意
毎日のように大量に飲酒していた場合は、慢性のアルコール筋症になる可能性があります。
筑波大学の研究室のまとめによると、継続的な大量のアルコールの摂取により筋肉の成長を促進するテストステロンというホルモンの合成量が低下し、筋力の低下をもたらすと考えられています。これが慢性的に起こると、筋肉の萎縮が起きてしまいます。
慢性のアルコール筋症はアルコール依存症に多く見られ、また筋力の低下により呼吸器に障害がでることも報告されています。筋肉痛の痛みは治まりますが、それ以外の症状がある場合は病院を受診することをおすすめします。
(飲酒による筋肉の破壊について以下の記事も参考にしてください)
出典:筑波大学 陸上競技研究室