カタボリックとアナボリックのバランス、筋肉増量の仕組みについて下記の論文をもとに説明します。
一般成人において、筋量は異化作用(空腹時、疾患、ストレスなど)と同化作用(栄養摂取、筋収縮など)の微細なバランスによって一定に保たれている。筋たんぱく質合成と分解の差(出納バランス)がプラスの状態、つまり筋たんぱく質の合成速度が分解速度を上回った場合のみ筋量の増加が可能となり、逆にたんぱく質分解速度が合成速度を上回る時間帯が長くなると異化作用が亢進し筋量が減少する。空腹時において筋たんぱく質の出納バランスはマイナスであり、通常食事摂取によってのみ出納バランスがプラスに移行する。その結果、空腹時に失われた筋たんぱく質が食事で補われることで、24 時間の出納バランスがプラスマイナスゼロとなり、筋量が維持される
運動生理学の博士、藤田聡氏の論文によると一般的には、カタボリックとアナボリックは一定のバランスに保たれます。筋肉を増やしたいのであれば、筋肉の分解速度を合成速度が上回れば可能となります。つまり、アナボリック>カタボリックの状態にすることが重要というわけです。
筋肉をつけるのであれば、エネルギー補給をして筋肉が分解されるのを防ぐことがポイントです。また、筋トレ後も、失われたタンパク質を補うことで筋肉が維持されます。空腹でエネルギーが不足している状態でのトレーニングは避けましょう。
タンパク質不足がカタボリックの原因に
ここからは、十分にタンパク質が摂取できていない場合の筋肉の状態と、効率的にタンパク質を摂取する方法について解説します。
近年の研究で、1 日の総摂取量が充足していても、3 食それぞれの食事において、十分なたんぱく質が摂取できていない場合、筋量の低下やトレーニングによる筋肥大の抑制に繋がる可能性が報告されている。
筋肉を維持するのにタンパク質は非常に重要な栄養分です。1回で必要量を摂取するのではなく、こまめに摂取することがポイントになります。筋肉を維持、増量を目指すのであれば、1日3回の食事でバランスよくタンパク質の摂取を心がけるとよいでしょう。
運動生理学の博士、藤田聡氏の論文によれば、アナボリック>カタボリックになれば筋肉が増量、カタボリック<アナボリックになると筋肉は減ることがわかりました。カタボリックの概念は嘘ではないということになります。
カタボリックを防ぐには、栄養不足にならないようこまめにチャージし、筋肉を分解させないようにすることです。栄養不足になりがちなのはトレーニング時だけではありません。眠っている間はエネルギー補給ができないので、朝は栄養不足になりがちです。就寝前に翌朝分のエネルギーを補給しておくとカタボリックだけでなく、疲労回復にも効果があります。
カタボリックいう概念が嘘と言われる理由を理解しておこう
以上、カタボリックという概念は『嘘』ではなく、筋肉が減少してしまうことがわかりました。体の仕組みがわかるとトレーニングの目標が立てやすくなります。有酸素運動で脂肪燃焼を目指し、筋肉を大きくしたい人は、エネルギーを入れながらカタボリックを防ぎ筋肉増量を目指しましょう。