イタリア式スーツの人気ブランド22選！特徴の違い〜着こなし方まで徹底解説！

メンズスーツは、イギリス・アメリカ・イタリアの三大国が有名ですよね。その中でもイタリア式スーツは、国民性を表すかの様な華やさと軽快感が特徴です。イタリアの南北に長い土地柄から、スーツにも地域ごとに違った個性があります。

ミラノをはじめとするイタリア北部のスーツスタイルを「ミラネーゼ」と呼びます。イタリア式スーツの中では重厚感と迫力があり、イギリススーツに似た特徴があります。気温の低い北部ということから、スーツの生地も比較的厚め。首から肩にかけてくぼんだ湾曲のラインで、肩先が高く反り上がったコンケープショルダーもミラネーゼスーツの特徴です。

イタリアの中部、花の都フィレンツェ発祥のスタイルが「フロレンティーン」です。通常、スーツの前身頃には胸ポケットの内側あたりから下に伸びた、フロントダーツという縫い目があります。フロレンティーンにはフロントダーツがなく、脇から斜め後ろ向きにダーツが施されています。肩からナチュラルに落ちるラインのスーツです。

1950年代に流行したローマのスーツスタイルは、短めの丈と細身のシルエットが特徴です。肩は広めに、襟は細いデザインになっています。イタリアンコンチネンタルと呼ばれる、ベルトをしないパンツを合わせるコーデがポイント。浅めのサイドベンツ、モーニングのような裾のカットにも個性溢れるデザイン性を感じます。

温暖な気候の南イタリアには、クラシコイタリアとも呼ばれるナポリのスーツスタイルがあります。4つの地域の中で、一番軽く柔らかい生地を使用しています。ナポリは高い技術を持ったサルト（仕立て職人）が多くいる地域で、着心地の良さと華やかなデザインが特徴。日本でも人気の高いイタリア式スーツです。

ラグジュアリーブランドとして世界中に広く知れ渡っているGUCCIは、イタリア・フィレンツェの発祥です。メンズファッションでも人気が高く、ヨーロッパらしい華やかな色使いでコレクションの常連になっています。モードで大胆、セクシーな印象のGUCCIは、スーツも隅々まで美にこだわり、フィット感のある着心地に定評があります。

GUCCIのスーツジャケットとストールを使ったメンズコーデです。細身のシルエットとウエストのくびれラインが美しく、腕や胸のフィット感は高いデザイン力を感じます。やはりセクシーな雰囲気があり、生地の滑らかさからも上質さが伝わるスーツです。

▼着用アイテム

・ジャケット：GUCCI
・シャツ：LANVIN
・パンツ：LANVIN
・シューズ：Church's（71,901円）
・ストール：GUCCI

「スーツといえばアルマーニ」という時代もあったほど、スーツには定評のあるブランド。シンプルかつスマートなデザインで、時代とライフスタイルに合わせたファッションを作り出しています。ミラノを拠点とし、過剰なデザインを削ぎ落したクールさが特徴です。GIORGIO ARMANIのスーツは80年代から映画の衣装としても使われ、著名人に愛されています。

GIORGIO ARMANIのセットアップスーツ、ベストを使ったコーデです。メンズらしさもありつつ美しいシルエットは、洗練された重厚感があります。デザインとしてはとてもシンプルで、ARMANIのブランドコンセプトを強く感じる作り。着る人が持つ肉体美を生かすスーツです。

▼着用アイテム

・スーツ：GIORGIO ARMANI
・ベスト：GIORGIO ARMANI
・シューズ：STEFANO ROSSI（14,080円）

世界最高峰ともいわれるKitonは、ナポリ発祥のクラシコイタリアを代表するスーツブランド。生地・縫製技術ともに最高級の質を誇り、「世界で1番美しい服」をブランドテーマとしています。上質な生地を得るため各国各地から生地を取り寄せ、300人以上のテーラーが着心地の良いリラックスできるスーツを作り上げています。

Kitonのダブルジャケット・パンツを使用したコーデです。このカプリブルーは南イタリアのカプリ島から名付けられた色で、これぞイタリア・ナポリ式スーツといった風格があります。Kitonの特徴であるリラックス感も感じられる着こなしですね。

▼着用アイテム

・スーツ：Kiton

ローマで設立されたBrioniのスーツは、映画「007」でジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグが着用したことでも有名です。高度な技術にこだわり、ハンドメイド仕立てでエレガンスがスーツを作っています。男らしさを強調しながら身体に柔らかくフィットし、非常に軽い着心地が特徴です。

Brioniのジャケット・パンツを着用したコーデです。メンズ感溢れるゆったりとしたシルエットで、センタープレスの美しさが引き立ちます。細いストライプ柄はスタイリッシュな印象がありますね。

・スーツ：Brioni
・トップス：UNIQLO
・シューズ：CROCKETT&JONES

100年以上もの歴史を持つErmenegildo Zegnaは、北イタリア・トリヴェーロで生地のメーカーとして創業。現在でも有名高級ブランドに生地を提供し、高い評価を受けるブランドです。世界中の政治家やセレブに愛され、各国から買い付けた素材で作る生地は糸の性質までこだわっています。生地にこだわったブランドならではの滑らかな質感と艶に特徴があります。

Ermenegildo Zegnaのジャケット・パンツを着用したコーデです。襟や胸元から裾にかけて、生地の滑らかさを存分に感じますね。細身シルエットながら、メンズらしい風格と重厚感があります。

▼着用アイテム

・スーツ：Ermenegildo Zegna
・シャツ：麻布テーラー
・シューズ：DRIES VAN NOTEN
・バッグ：Alexander McQueen

フィレンツェ発祥のLIVERANO＆LIVERANOは、フロレンティーンスーツを代表するブランドです。通常のスーツにある脇部分の身頃を作らず、前身頃と後ろ身頃の2パーツで作られています。生地の柄や風合いを壊さず、独自の曲線を多用したパターンが特徴です。伝統的なシルエットとバランスを守りながら、裾のカーブが美しく設計されています。

LARDINIはイタリア中部のアンコーナという海辺の町で生まれました。製造における全ての工程をイタリア国内で行い、襟部分についた花形のブートニエールが特徴です。有名ブランドの製造を請け負っていた過去もあるほど縫製の技術が高く、イタリア国内の最高級の生地を使用して一着ずつハンドメイドで仕立てています。

LARDINIのジャケット・パンツを着用したコーデです。肩や腕のライン、パンツからも生地の柔らかさが感じ取れます。上品な艶があり、洗練されたメンズの色気がある正統派スーツですね。

マシンメイドの最高峰と言われるBelvestは、北イタリア・パドヴァを拠点としたラグジュアリースーツブランドです。創業者が生地を扱う商人だったことから、生地の選定が高く評価されています。高級ブランドスーツの製造も請け負い、マシンを基本にしながら要所には手作業を施しています。ストレスフリーな着心地と丸みのあるシルエットが特徴です。

Belvestのジャケット・パンツを着用したコーデです。幅広い襟がメンズらしい力強さを与え、ウエストラインは美しく絞られています。伝統的かつスタイリッシュさもあるデザインです。

▼着用アイテム

・スーツ：Belvest
・ネクタイ：arnys
・シューズ：GAZIANO&GIRLING

「裁断士」を意味するTAGLIATOREは、南イタリア・プーリア州発祥のブランドです。パターン作りから縫製まで、デザイナーである社長の管理下のもと、会社敷地内の工場で行っています。細身なシルエットで立体感があり、シャープなウエストラインが特徴です。南イタリアらしい斬新な色や柔らかさのある生地にも人気があります。

TAGLIATOREのジャケット・パンツを使用したコーデです。ネイビーとブラウンの組み合わせが南イタリアらしい色使いで、ストライプ柄のシャツが爽やかさもプラスしています。ポインテッドトゥシューズがいやらしく感じないのもイタリア式スーツの魅力ですね。

▼着用アイテム

・スーツ：TAGLIATORE
・シャツ：TRAIANO（29,700円）
・シューズ：DESIGNWORKS
・バッグ：Daniel & Bob

南イタリア・ナポリ近郊の町で創業したAlfonso Siricaは、体の一部になったようなフィット感が特徴。ナポリのサルトでは珍しくパターン作成にコンピューターを使用し、細部まで正確さと完璧さを徹底しています。ジャケット・パンツともに自社工房で作成することで、細かい柄合わせを実現しているのも愛される理由です。

北イタリア・ミラノで創業したBOGLIOLIは、裏地・芯地・肩パッドなど構築的な素材を使わないアンコンジャケットの流行を生んだと言われるブランドです。お下がりのジャケットに魅力を感じたことからデザインされ、100年以上もの歴史を持っています。柔らかなシルエットと「羽織る」という言葉がぴったりのソフトな着心地が特徴です。

BOGLIOLIのツイードセットアップスーツを使ったコーデです。ツイードは英国風の生地ですが、スリムなシルエットとパンツのアンクル丈がイタリアらしさを感じさせます。堅苦しさがなく、トレンドも抑えたこなれ感のあるデザインですね。

▼着用アイテム

・スーツ：BOGLIOLI
・コート：順理庵

L.B.M.1911は、北イタリア拠点の老舗ファクトリー「ルビアム社」が展開する完全イタリア生産のブランドです。目玉のようなデザインのラペルピンが付いており、このラペルピンがファンの人々から親しまれています。伝統的な風格とモダンな新しさを融合させたスタイリッシュなデザインと軽い着心地が特徴です。

L.B.M.1911のセットアップスーツに、Tシャツをインナーとして合わせたコーデです。細身のシルエットでスタイルアップされ、Tシャツとスニーカーを合わせてもおしゃれにきまる適度な抜け感がありますね。

▼着用アイテム
・スーツ：L.B.M.1911
・Tシャツ：ANATOMICA （7,700円）
・シューズ：NEW BALANCE

北イタリア・マントヴァを本拠地とするCORNELIANIは、マシンと手作業を効率的に使い分け、自社で製造・管理を行うオリジナルブランドです。原料の選定から物流に至るまで徹底管理しているため、他のイタリア式スーツブランドよりもコストを抑えることを実現しています。しかしクオリティの高さには定評があり、上質で肌触りの良い生地が特徴です。

CORNELIANIのジャケット・パンツを使ったコーデです。ゆったりめサイズのジャケットで、渋いメンズの雰囲気がありますね。帽子やサングラス、シューズといった小物類も、一貫してダンディなアイテムを合わせていておしゃれです。

▼着用アイテム

・スーツ：CORNELIANI
・帽子：CA4LA（9,240円）
・シューズ：Jalan Sriwijaya（35,200円）

テーラードブランドISAIAは、住民の半分以上がサルトという南イタリア・ナポリ近郊のカサルヌオヴォという町で創業しました。ハンドメイドの技術が高く、無駄のないフォルムと着ていることを忘れるような動きやすさが特徴です。珊瑚を模したラペルピンやハンガーに使われている通り、赤をブランドカラーとしています。

ISAIAのチェック柄セットアップを着用したコーデです。細身ながらかっちりしたディティールで、生地や縫製に技術の高さを感じます。ネクタイの黄色とチーフの白がアクセントになり、全体をしっかり締めています。

▼着用アイテム

・スーツ：ISAIA
・シャツ：麻布テーラー
・ネクタイ：Stefano Ricci

GIANFRANCO BOMMEZZADRIは北イタリア・パルマのブランドです。高級な素材を使用し、ハンドメイドにこだわって生産。確かな伝統技術とトレンドデザインの組み合わせが特徴です。最高クラスの生地を創業者一族が代々受け継いで管理しています。日本への流通はまだ数が少ないですが、ジャケットのみでオーダーメイドできるのも魅力のひとつです。

雑誌LEONでも特集された「モデナの怪人」の異名を持つガブリエレ・パジーニ氏が、LARDINI社とタッグを組んで展開している新ブランドがGabriele Pasiniです。2013年に発表され、伝統的なナポリスタイルと英国風のデザインが特徴。斬新な色や柄を使用し、イタリアのスーツ界に新しい風を吹き込んでいます。

Gabriele Pasiniのスリーピーススーツを着用したコーデです。白いスニーカーと合わせてもおしゃれに着こなせるのは、トレンドのデザインを取り入れているからこそ。テーパードパンツとアンクル丈でこなれた印象になりますね。

▼着用アイテム

・スーツ：Gabriele Pasini
・ネクタイ：TOM FORD
・シューズ：Rivieras

イタリア中部アドリア海側にあるマルケ州発祥のPAOLONIは、技術力が高く評価されています。細めの襟が高い位置に設定され、モードなデザインが特徴です。ボタンやチーフは、生地の色・柄に合わせてそれぞれ違うものが付いています。着丈・袖丈がやや短めに作られ、ウエストのくびれも緩やかなことから、日本人の体形に合わせやすいと言われています。

南イタリア・ナポリ創業のCARUSOは、元は北イタリア・パルマの仕立て工場でした。当時から技術力に定評があり、数々の有名ブランドから依頼を受けていた歴史を持ちます。現在もオーダーメイドスーツの生産を多く行っており、高級生地メーカー側から指定されるほどの実力ブランド。エレガントでありながら、機能性とデザインのユニークさが特徴です。

南イタリア・ナポリで2006年に創業した比較的新しいブランドです。老舗のサルトで働いた経歴を持つ職人が、理想のスーツを作り上げるために設立。肩幅とアームホールの細さに特徴があり、フィット感と動きやすさを追求した細身のデザインになっています。胸元の開きやポケットにナポリらしさを感じるスーツです。

2005年に南イタリア・ナポリで創業されたStile Latinoは、柔らかさと軽さのある優雅なデザインが特徴です。上質な素材を職人の手作業で縫製し、ブランド名の通りラテンスタイルのスーツを作り出しています。また、英国風の生地も使用し、ナポリ仕立てとの新しい融合も。襟を高めの位置に設定することで、圧力を分散した軽い着心地も魅力です。

高級生地ブランドとして他のスーツブランドからも支持されているLoro Pianaは、北イタリア・クアローナ創業。80年代からは自社のファッションブランドを立ち上げ、原料からこだわった上質な生地を使用したスーツを生産しています。生地の生産は原料から自社工場で行い、その上質な生地を使った優雅で柔らかなデザインが特徴です。

グレーのピンストライプ柄スーツを使用したコーデです。上品な艶と滑らかさがあり、Loro Pianaの生地がハイクオリティなことがわかります。バッグとネクタイにもイタリアブランドを合わせ、まさに正統派の着こなしですね。

▼着用アイテム

・スーツ：Loro Piana
・ネクタイ：GUCCI
・バッグ：Ermenegildo Zegna
・シューズ：LOUIS VUITTON
・時計：ROLEX

イタリア流の着こなしに「アズーロ・エ・マローネ」という言葉があり、イタリア語でアズーロは青、マローネは栗色という意味です。この色使いはイタリアファッションの基本で、コントラストを重視した自由な組み合わせになります。細かい規定はないので柄物でも良く、青系なら薄い水色から濃いネイビー、茶色は淡いベージュから濃いこげ茶でもOKです。

重厚感のある英国式と異なり、イタリア式スーツは軽さや柔らかさが特徴です。もちろんかっちりしたスーツもありますが、生地が持つ艶や滑らかさを生かしたものが多い傾向にあります。全体的に華やかでセクシーなデザインなので、スーツ以外のアイテムも柔らかな質感を壊さないようにコーデしましょう。

細身のシルエットが多いイタリア式スーツは、くるぶしが見え隠れするアンクル丈がトレンド。通常のメンズファッションでもトレンドになっていますよね。アンクル丈は肌の露出が増えるので、セクシーで抜け感のあるイタリア式スーツにぴったりなんです。カジュアルシーンにはローファーやモカシンを合わせると、グッとイタリア風コーデに近付きます。

イタリア式スーツには今回紹介しきれなかったブランドもまだまだ沢山あります。ぜひこちらからチェックしてみてくださいね。

今回はイタリア式スーツの魅力を盛り沢山でお伝えしてきました。ブランドごとにそれぞれ違った特徴や魅力がありましたが、やはり最大の魅力は柔らかさでメンズの色気を引き出してくれるところ。サイズ感や色、柄にも選択肢が多いので、ぜひぴったりのイタリア式スーツを見つけて、おしゃれを楽しんでくださいね。