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ゴリラは筋肉が発達しているのはどうして?
ゴリラも人間と同様に、筋肉を作るためにはタンパク質の元となるアミノ酸を補給する必要があります。
アミノ酸にはいくつか種類がありますが、「筋肉を作るアミノ酸」はお肉や魚介類など動物性の食物に多く含まれています。一方でゴリラの主食である木の葉や皮、草などの植物性の食物には、筋肉を作るアミノ酸はあまり含まれていません。そのため、植物性の食物の成分だけでは筋肉を作るアミノ酸が不足し、筋肉はあまり作れず、発達しません。
しかし、ゴリラは筋肉を作るアミノ酸が少ない植物性の食物を主食としながらも、筋肉が発達しています。ゴリラはどのようにして植物性の食物から筋肉を作るアミノ酸を補給しているか、詳しく解説していきます。
ゴリラの筋肉が草食なのに発達している理由
ゴリラが植物性の食物を主食としながらも、筋肉が発達している理由として「アミノ酸を合成する微生物と消化器官」と「膨大な食事量」、「遺伝子的要因」の3つの理由があります。
アミノ酸を合成する微生物と消化器官
ゴリラの腸内には特殊な微生物がおり、植物性の食物(セルロース)を分解して、筋肉を作るアミノ酸を合成します。そして、ゴリラの腸は特殊な微生物が作ったアミノ酸を分解・吸収し、筋肉を作っています。
なおインターネット上では、ゴリラは呼吸をするだけで筋肉が作られるという話も出ています。しかし、呼吸だけで筋肉を作るには「空気中の窒素からたんぱく質を作る窒素固定菌」が体内に存在する必要があります。現時点ではゴリラの体内から窒素固定菌は見つかっていないため、ゴリラは呼吸をしただけでは筋肉は作れないというのが通説です。
膨大な食事量
ゴリラのオスは食事量として1日にだいたい30kgの草や葉の植物性の食物を食べています。30kgの植物性の食物を分解するために腸内では多くの微生物が活動し、アミノ酸をはじめとする体を維持するために必要な栄養を大量に分解・吸収しています。
野生のゴリラは30kgと食事の量が膨大なため、1日の大半の活動時間を食糧探しに費やしています。
遺伝子的要因
ゴリラという種は遺伝子的に筋肉量が多く、一度ついた筋肉が落ちにくいためです。動物園のゴリラの数値ですが、ゴリラのオスは身長170~180cm、平均体脂肪率14~23%と身長や体脂肪率は人間の成人男性の近い数値です。しかし、体重は150~180kgと人間に比べると非常に重く、身長に対して筋肉量が多いことがわかります。
また、人間は運動をしないと筋肉が落ちてしまいますが、ゴリラは運動をしていなくても筋肉が落ちることはありません。そのため、ゴリラは人間のようなに筋トレをする必要はなく、生まれ持った多くの筋肉を日常生活を送っているだけで維持できるのです。
ゴリラの筋肉から生まれる筋力
ゴリラは現存する最大の霊長類とされています。最大の霊長類であるゴリラの筋肉から生まれる筋力について、具体的な数値を含め握力などの観点で紹介していきます。
※野生動物のため、精緻な測定結果ではなく、彼らの生活から算出された推定値になります。
握力は日本人男性の10倍以上
ゴリラの握力は推定平均500kgあるとされており、現在地球上に存在する動物で握力が一番高い動物といわれています。日本人男性の握力のピーク(35~39歳)の平均握力が47.14kgですので、ゴリラの握力は日本人男性の10倍以上の握力があります。
パンチ力はプロボクサーの2倍以上
ゴリラのパンチ力は推定2~5tあるといわれています。ヘビー級のプロボクサーのパンチ力が1t前後といわれていますので、ゴリラのパンチ力はプロボクサーの2倍以上のパンチ力があります。ゴリラの強靭な腕力から繰り出されるパンチを人間が受けたらひとたまりもありません。