ファティーグパンツとは？人気ブランド〜メンズコーデ例まで紹介

ファティーグパンツは、元々はアメリカ軍人が作業用として履くパンツとして作られ、正式名称は『OG-107ユーティリティーパンツ』と呼ばれるものです。OG-107とは色を示しており、オリーブグリーンの頭文字OG、そして107はアメリカ軍のカラーコードが由来となっています。

OG-107カラーは、1989年にウッドランドカモフラージュ(迷彩柄)が採用されたことにより、アメリカ軍で完全廃止となりました。また、ユーティリティーパンツのユーティリティとは、英語で実用という意味になります。そのため、このパンツは戦場以外の一般作業を行う場面で履かれるパンツとして使われました。

ファティーグパンツは、アメリカ軍が動きやすいように作られていますが、この動きやすさから作業に携わる多くの人が履くようになりました。中でも、パン職人が多く使用するようになったことから、別名『ベイカーパンツ』と呼ばれるようになったと言われています。ベイカーパンツの由来はここから来ています。

ファティーグパンツ(ベイカーパンツ)のデザイン、シルエットはカーゴパンツに似ています。もともとアメリカ軍の作業用に作られていたということもあり、足を自由に動かせるようにシルエットは太めでゆったりしていますが、それがかえって足をスリムに見せるという特徴があります。全体的にすっきりした見た目で、色はカーキ系の色が多いのも特徴です。

また、生地はバックサテン生地(つやのある面が裏側になっている)を採用しているものも多く、動きやすく履き心地がいいのも魅力的なポイント。見た目だけでなく、機能性も抜群にいいのがファティーグパンツ(ベイカーパンツ)です。季節を問わずに着こなせるアイテムなので、ファッションアイテムとして重宝します。

カラーバリエーションも非常に豊富で、定番色のカーキからベージュ、迷彩柄とさまざまなファティーグパンツ(ベイカーパンツ)が存在します。組み合わせの幅が広いので、1本あるだけでさまざまなシーンで使えるアイテムです。

ファティーグパンツ(ベイカーパンツ)とカーゴパンツの違いはポケットの見え方にあります。カーゴパンツには太もも脇にマチ付きポケットが付いており、ワイルドな印象です。対してファティーグパンツ(ベイカーパンツ)は、スッキリしたポケットが印象的。このポケットの違い、シルエットの違いが、カーゴパンツとファティーグパンツ(ベイカーパンツ)の違いです。

カーゴパンツは、もともと貨物船で働く人が履いていたパンツでした。そのため、作業用具を入れるために、太もも脇にゴツいマチ付きポケットが付いています。ファティーグパンツ(ベイカーパンツ)はアメリカ軍の作業用パンツなので、動きやすさ重視ですっきりしたポケットです。そのため、全体的にすっきりとしたシルエットになります。

ファティーグパンツ(ベイカーパンツ)は、見た目がシンプルにすっきりしていることもあり、街着コーデに取り入れやすいアイテムです。

(カーゴパンツについては以下の記事も参考にしてみてください）

ファティーグパンツの選び方＆コーデの秘訣について紹介します。カーゴパンツとはひと味違った楽しみ方ができるファティーグパンツ。そんなファティーグパンツの選び方、着こなしの秘訣には、いくつかポイントがありますのでぜひ参考にしてください。

現在のメンズファッションの流行は、細身のパンツ、ワイドのパンツですっきりしたシルエットを見せること。そのため、中途半端にダボダボしたパンツは時代遅れ感が出てしまい、かっこ悪いという印象を与えてしまいます。必ずしもトレンドに乗っかる必要はありませんが、おしゃれな着こなしを意識しないと、周囲の目からはダサいという烙印を押されてしまうでしょう。

サイズも自分のサイズより大きすぎるパンツを選んでしまうと、全体的にダサい印象に仕上がってしまいます。自分の体に合ったサイズのパンツを見つけ、おしゃれな着こなしを目指しましょう。

色選びで断トツおすすめな色はカーキです。カーキはカーゴパンツでも人気の流行色であり、現在では定番色でもあります。他の色との組み合わせもしやすく、季節を問わないのでとても扱いやすいです。カーキのパンツはスタイリングのおしゃれ感を底上げできるため、一着持っているだけでさまざまなおしゃれコーデを楽しめます。はじめての1本としておすすめです。

カーキに次いで人気の色は、ブラウンやベージュ、ネイビー等です。男性ファッションの基本色とも言えるこれらの色も、他の色と組み合わせしやすいのが特徴です。あまり主張し過ぎない落ち着いた色が良いという方には、ベージュのファティーグパンツがおすすめです。パンツが主張しすぎないため、トップスを引き立たせたいときにも使えます。

すでにカーキやブラウン、ベージュ、ネイビー等の定番カラーに飽きてしまった方、ワイルドな着こなしを楽しみたいという方は、迷彩柄のファティーグパンツを選ぶのも良いでしょう。迷彩柄のファティーグパンツを選ぶときは、細めのシルエットを選ぶのがポイント。すっきりおしゃれに着こなしやすくなります。

ファティーグパンツを上手に着こなし、かっこよく魅せるにはシルエットがとても重要です。そして、シルエットで大事なのはサイズ感です。大きすぎるサイズのファティーグパンツを選んでしまうと、ダボダボ感が出てしまい、NG例のようにダサく見えてしまいます。ゆったりとラフで太すぎず、細すぎずの絶妙なシルエットを出すと、とても綺麗な着こなしとなります。

いかにリラックスして履けるかがポイントです。

ファティーグパンツのようなミリタリー、ワークパンツは重い印象になりがちなので、裾＆袖のロールアップをして履くと軽快さが出てかっこいいです。革靴やワークブーツを履いているときにロールアップすると、大人らしさと今っぽさを両立できるのも魅力的なポイントです。

（ロールアップについては以下の記事も参考にしてみてください）

ファティーグパンツのおすすめブランドを紹介します。ブランドによってシルエットや色、素材、作り込みの違いがありますし、どのブランドも非常にこだわった商品を展開しています。ぜひ比較してお好みのブランドを見つけてください。

アメリカ・テキサス州にある『アールズアパレル』というアパレルブランドの中で、ワークウェアのラインとして誕生したのが『ガンホー』です。40年以上に渡りUSメイドを貫いてきたワークウェアの品質は本格派であり、アメリカ軍から正式に注文を受けて生産していたという歴史と実力があります。

様々なメーカー、ショップから別注を受けていくにつれデザイン力を磨き上げ、手頃な価格で手に入れられるファティーグパンツ、チノパン等の代表作を世に送り出しました。アメリカらしい無骨さもありながら、洗練されたデザイン力もある魅力的なブランドです。

エフオービーファクトリーは、MAID IN JAPANに誇りを持ち、生地の縫製から加工までのほとんどの工程を独自で行い、1つ1つ丁寧にこだわり抜いているブランドです。『旧きを知り新しきを提案する』という理念の基、ヴィンテージ感を大切にしながらも、現代的なシルエットを取り入れ昇華させた作品を作り出しています。

アメカジへの情熱は凄まじく、納得がいくヴィンテージ感が出る様、当時アメリカで実際に行われていた染め方を頑なに守り、縫製はアメリカ製の古いミシンで行い、改善を繰り返しながら長年の知識と経験を積み上げています。そうして積み上げられた技術の結晶と言える作品達は、多くの人々から信頼を得ています。

そんなエフオービーファクトリーの生み出すファティーグパンツは、M-65(アメリカ軍ミリタリージャケット)の原型である M1943(アメリカ軍フィールドジャケット)で使用される生地のバックサテン素材を、糸の太さから色使いまで徹底的に研究し、当時と同じVATDYE(1960年代末ごろ～1970年代半ばごろの染色方法)で染め復刻しています。

アヴィレックスは、1975年に創業者ジェフ・クレイマンによって設立されたアメリカの企業です。アメリカ空軍のパイロット達が使用するフライトジャケットを数多く開発し、納品してきた技術力があります。また、機能的で特有の美しさを放つデザインジャケット達は、『インディー・ジョーンズ』『トップガン』『メンフィスベル』などの映画でも活躍してきました。

アヴィレックスから出されているスリムフィットファティーグパンツは、デザインに無駄がなくすっきりとしたデザインです。フロントポケット、カーゴポケット、バックにはフラップポケットの計6つのポケットがありますが、カーゴパンツの様なワイルドさが抑えられているのが特徴です。

アメリカのロッククライミングをリードしてきたマイク・グラハム氏が、カリフォルニア州の小さな倉庫から誕生させたブランドがグラミチです。独自の手法で機能性に優れたクライミングウェアの作成から始まったグラミチアイテムの魅力、それは圧倒的に快適で使いやすく、動きやすいことです。

ロッククライミングという過酷な環境を経験したマイク・グラハム氏だからこそ生み出せたアイテム達は、山関係に限らず今日ではタウンウェアとしてもファンを増やし続けています。そして、グラミチは別注(ファッションブランドやセレクトショップが「仕様変更」で注文をすること)でファティーグパンツを手がける事もあります。

グラミチのクライミングパンツでお馴染みの片手で調節出来るウェビングベルトや、機動性を高めるガゼットクロッチなどが採用されたファティーグパンツは、他のメーカーのファティーグパンツにはない独自の魅力があります。

フェローズは1991年に「ザ リアルマッコイズ(日本のアメカジブランド)」の設立メンバーの一人、志村昌洋氏が独立して立ち上げたアメカジブランドです。ジーンズを始め、ワークウェア、ミリタリーウェアといった商品を展開し、「10年、20年後にヴィンテージと呼ばれるモノ創り」を目指しています。

そんなフェローズから出されている『PUPT1』は1番人気の定番ファティーグパンツです。1940年代のファティーグパンツをベースに、現代に合わせて細身のシルエットにアレンジされています。カラーも全6種類と豊富で、好みのコーデに合わせた1本を探しやすいのは魅力的です。

ヴィンテージマニアの中津一朗氏により、2005年に立ち上げられたオアスロウは、自社のアトリエ内で全ての製品企画を行い、生産はジャパンメイドを貫いています。19世紀～20世紀に生み出されたワーク＆ミリタリーウェアから派生する衣類のベースは大切に残しつつ、今っぽいスタイルにもマッチするデザインを作り上げるブランドです。

その徹底したものづくりの精神は海外からも高い評価を得ており、ワーク＆ミリタリーウェアの市場で人気のブランドです。ヴィンテージ好きが魅了する本格的なデザインでもありながら、あまりヴィンテージに興味の無い一般ユーザーに至るまで魅了する数々のアイテムは芸術とも呼べます。

そんなオアスロウが作り出すファティーグパンツは『US ARMY』と『US SLIM FIT』という2つのシルエットパターンがあります。US ARMYは1940年代のファティーグパンツ初期型のオリジナルを強く意識したシルエット、もう一方のUS SLIM FITはUS ARMYより細めで、今風のシルエットです。

ファティーグパンツはミリタリーパンツですが、カーゴパンツに比べてシンプルなため、比較的さまざまなアイテムと合わせやすいです。ここでは、ファティーグパンツのおしゃれなコーデを紹介しますので、参考にしてぜひ真似してみてください。

ファティーグパンツは、普段ベーシックな格好をしている方でも手軽にファッションコーデに取り込めるのが魅力。ベーシックなファッションアイテムとして定番のボーダーシャツとは相性が抜群に良いです。ボーダーシャツを選ぶポイントとして、ボーダー間隔は幅が狭いものほど大人っぽく魅せることができます。

写真の組み合わせはボーダーの長袖Tシャツとファティーグパンツで着こなしていますが、夏場はボーダーの半袖Tシャツで合わせることもできます。

▼着用アイテム

・Tシャツ：オーシバル B211 バスクボーダーシャツ(¥9,680）
・パンツ： オアスロウ　ファティーグパンツ MEN(¥16,280）
・シューズ： ニューバランス CM996(¥15,180）
・腕時計：カシオ　ジーショック
・ウエストポーチ：モンベル　アタッチャブルポーチ

このコーデは、ファティーグパンツが男の無骨さ、白シャツで爽やかさの両方を表現したコーデになります。ミリタリー系のファティーグパンツに爽やか系のトップスを組み合わせることで、おしゃれ感を出すことができます。

▼着用アイテム

・Tシャツ：アーバンリサーチ ヨーロピアンリネンシャツ(¥9,350）
・パンツ： ガンホー×アーバンリサーチ　別注ベイカーパンツ(¥13,200）

無骨さのあるファティーグパンツとブラックのトップスを合わせることで、トップスが全体を引き締めたメリハリのある印象を与えてくれるコーデです。また、トップスのモールスキンのカバーオールが、独特の風合いでワークテイストな着こなしを楽しませてくれます。

▼着用アイテム

・ジャケット/アウター：ルサンパレイユ　 コットン モールスキン トライディッショナル カバーオール 　ADS(¥24,750）
・パンツ： ガンホー　別注 バックサテン　ファティーグパンツ(¥12,100）
・シューズ： ニューバランス ML574(¥10,890）

秋シーズンにおすすめの、ダウンベストとファティーグパンツを組み合わせたコーデです。ダウンベストを着ることで、トップスをコンパクトに魅せることができ、全体的にシンプルですっきりした着こなしができます。

▼着用アイテム

・ジャケット/アウター：カナダグース　別注ウィンザー ベスト(¥41,800）
・パンツ： オアスロウ　スリムファティーグパンツ(¥16,280）
・シューズ： ダンスコのサンダル
・トップス： フリークスストア　予約商品 ピグメントビッグワッフルパーカー(¥8,140)

大人で綺麗な統一感あるコーデです。青・黒・緑の3色のカラーを綺麗に使い分けることで全体のバランスにまとまりがあります。ファティーグパンツとテーラージャケットの組み合わせもおしゃれのポイント。シルエットが綺麗に引き締められます。また、ベレー帽を使うことにより、上品さを演出することができます。

▼着用アイテム

・ジャケット：エンジニアド ガーメンツのテーラードジャケット
・パンツ： オアスロウ　ファティーグパンツ(¥17,380）
・靴： ジェイエムウエストン　641 Leather Derby Shoes
・ベルト： ホワイトハウスコックス　ブライドルレザーベルト B-8665(¥18,700)
・帽子： カシラ　ハンチング/ベレー帽

日曜日をラフに過ごす休日コーデ。ファティーグパンツにパーカー×フィッシャーマンセーターの組み合わせで適度なラフ感を出し、ファティーグパンツのミリタリー感を和らげています。足下にはブラウンのスニーカーと組み合わせ、自然なクリーンさをプラス。休日にふらっと街着するのに便利なカジュアルコーデです。

▼着用アイテム

・パーカー：70's　コットンパーカー
・セーター：ブラーニー ウーレン ミルズ　フィッシャーマンセーター
・パンツ： 60's　US ARMY ファティーグパンツ
・靴： ムーンスター　オールウェザー　(￥15,400)

チェック柄がおしゃれなネルシャツとファティーグパンツを組み合わせたコーデです。適度なヴィンテージ感とゆったりリラックスして着ている感じが大人っぽさを演出。全体的に落ち着いたカラーで、シルエットも綺麗です。帽子や時計、眼鏡などの小物でアレンジしてた楽しみ方もできます。

▼着用アイテム

・シャツ：オアスロウ　ネルシャツ
・パンツ： オアスロウ　ファティーグパンツ(¥16,280）
・靴： アンダーソンビーン

フェローズブランドのワークシャツとファティーグパンツ、靴で固めたザ・アメカジコーデです。スッキリとしたシルエットで非常に綺麗にまとまったアメカジコーデは、大人の余裕を感じます。デニム色のファティーグパンツと革靴の組み合わせにより、ミリタリーテイストを薄めることができます。

▼着用アイテム

・シャツ：フェローズ　ワークシャツ
・パンツ： フェローズ ファティーグパンツ PUPT1(¥15,400）
・シューズ： フェローズ　 ''ダークブラウン'' スチールキャップ キャップド ダービーシューズ レザーシューズ(￥38,500)

タイガーカモ（迷彩)柄のファティーグパンツとブルーのワークシャツを合わせたアメカジコーデです。タイガーカモのパンツだと目立って合わせるのが難しく思われるかも知れませんが、鮮やかな青のワークシャツと上手くバランスが取れていて、シルエットがとても綺麗です。また、黒の革靴を使う事で迷彩柄を馴染ませ、クリーンで洗練された印象になります。

▼着用アイテム

・シャツ：クッシュマン　ウォバッシュワークシャツ(￥17,600)
・パンツ： フェローズ ファティーグパンツ PUPT1 タイガーカモ(¥15,400）
・シューズ： ホワイツ ブーツ　セミドレス　【カスタムオーダー】(￥90,750)

イギリス軍で実際に使用されていた古着ファティーグパンツのコーデです。1980年～1990年代に生産され、実際に軍服として使用されたファティーグパンツのヴィンテージ感がとっても魅力的です。オリーブ色のファティーグパンツと相性抜群のデニムをトップに組み合わせることで、おしゃれな着こなしコーデとなります。

イギリス軍古着ファティーグの魅力はなんといっても、実際に軍が使用していたということにあります。一つ一つに個性がある色落ち、ダメージが入っているのが特徴。価格も安い物で5,000円程で手に入れられるのも魅力的です。

▼着用アイテム

パンツ：古着　イギリス軍 ファティーグワークパンツ 　オリーブ

上で紹介したファティーグパンツ以外にも、さまざまなシルエットや色、素材のファティーグパンツが豊富に展開されています。ご自身に合った最適なファティーグパンツを見つけて、ぜひコーデに取り入れてみてください。

ファティーグパンツは、ミリタリーパンツでありながらシンプルですっきりしたデザインが多いので、上品なコーデからカジュアルなコーデまで幅広く使えるアイテムです。1枚持っているだけでコーデの幅が大幅に広がります。今回紹介したコーデ集を参考に、おしゃれで大人な着こなしをぜひ試してみてください。