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マッスルメモリーとは?休んでも筋力は落ちない?有効な期間〜体験談も!

2020年08月20日

マッスルメモリーという言葉を聞いたことはありますか?今回は、休養しても筋肉や扱っていた重量は落ちないというマッスルメモリーの真偽を論文をもとに解説していきます。さらに、メカニズムや「いつから起こる?」「いつまで残る?」といった期間についての疑問まで解説しているので必見です。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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マッスルメモリーとは?

出典:https://ameblo.jp/igu-chi/entry-12597768682.html

マッスルメモリーとは文字通り『筋肉の記憶』という意味です。このマッスルメモリーがあれば筋トレを休んだとしても、休む前までの筋肉量や持ち上げていた重量を体は覚えているのですぐに元通りに戻ります。

以前は高重量を扱って毎日のように筋トレに没頭していたが、怪我や仕事などの関係で長期間休んでしまっている方も少なくないのではないでしょうか?そんな方達は休む前が成長真っ盛りだったこともあり、現状の筋肉の落ち具合からやる気をなくしてしまいがちです。しかし、マッスルメモリーのおかげで全盛期の筋力がすぐに戻るので焦る必要はありません。

しかし、こんな魔法のような話信じられないし、現に久しぶりに筋トレをしてみたらかなり筋力は落ちてるし信じられないという方もいるでしょう。そんな方達の為に以降の見出しでマッスルメモリーは嘘なのか本当なのかを論文をもとに解説していきます。

マッスルメモリーは嘘?根拠はある?

結論から言うとマッスルメモリーは嘘ではありません。なぜなら、2018年にイギリス大学が実験した結果が論文に記載されており、効果が証明されています。

それでは、実験や論文の内容を確認していきましょう。

まずは筋トレを継続させる

まずは筋トレ歴のない男性8名を集めて、しっかりとプログラムを組んで週3回のトレーニングを7週間継続して行ってもらいます。トレーニングを7週間継続した結果は初心者だったということもあり、当然ながらトレーニングを始める前よりもかなり筋肉が大きくなっていました。さらに、ウエイトトレーニングで扱える重量も比例して伸びています。

その後、せっかく筋肉が付いたところですが意図的に7週間休ませます。

筋トレを7週間休ませる

筋トレを7週間休んだ結果、全ての方がほとんど実験前の筋力と変わらないくらいに落ちてしまっていました。ここまでは筋トレを行えば筋肉がつくし、筋トレをサボれば筋肉は落ちるという簡単な話なので当たり前のことですね。

次からがマッスルメモリーがあるかどうか確かめる実験の本題となります。

筋トレを再開

7週間筋トレを行い7週間の休養を挟んだら再度同じメニュー量で筋トレを再開します。こちらも当然のことですが、休養後よりも遥かに筋肉が大きくなりました。

しかし、休養後の筋トレ後は最初の7週間の筋トレ後と比べてもかなり体が大きく成長していたのです。このことから、確実に休養後の7週間のどこかのタイミングで筋力が元に戻っていることがわかります。

したがって、筋トレやスポーツを行っていた人が休養を挟んでもすぐに元の筋力に戻るという『マッスルメモリー』は嘘ではないということが証明できます。

(英文ですが下記サイトの論文を参照しています。)

マッスルメモリーのメカニズム

出典:https://ai-scholar.tech/articles/treatise/deep-3d-ai-118

マッスルメモリーはどんなものなのか理解できたところで、さらに深ぼってマッスルメモリーのメカニズムについて解説していきます。様々な研究結果が出ており「これが正解」と断定することは難しいですが、数々の論文を元にマッスルメモリーが起こる仕組みを確認していきましょう。

筋肉の成長が遺伝子に刻まれている

出典:https://www.greelane.com/ja/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%8A%80%E8%A1%93%E6%95%B0%E5%AD%A6/%E7%A7%91%E5%AD%A6/dna-373454/

筋肉の遺伝子にはDNAのメチル化という働きをする特徴があります。DNAのメチル化の役割は複雑ですが、簡単にいうと生物の複雑な体を正確に形づけることです。

これには既にDNAのメチル化がされてある『高メチル化』とされていない『低メチル化』があります。今回の実験で言うと筋トレを全くやったことない人を使用したので、最初の7週間の筋トレをする前は高メチル化の状態でした。しかし、筋トレを始めると、この方達の筋肉も低メチル化の箇所が増えていきます。

そして、ここで増やされた低メチル化は消えることなく遺伝子に刻まれていきます。そうすることにより、低メチル化を促したタイミングの筋力までは簡単に落ちません。こういった体の仕組みにより休養してもそれ以前の筋肉まではすぐに戻るという『マッスルメモリー』という言葉が生まれました。

筋肉の細胞内の核が増える

出典:https://cocoraku.jp/blog/detail/20190726180358/

筋肉は様々な筋束で構成されているのです。筋束は『筋繊維(筋細胞)』から構成されており、その『筋繊維(筋細胞)』は様々な『筋原繊維』、『筋原繊維』はアクチンタンパク質とミオシンタンパク質で構成されています。筋トレをして大きくなるのは筋繊維であり、その筋繊維は体の中で最も大きな細胞です。

人間の体は『1細胞1核』の仕組みで作られていますが、筋肉の細胞には複数の核があり多核細胞と呼ばれています。筋トレで筋肉を刺激すると核が分裂し、さらに増えて筋肉が肥大していくという仕組みです。

複雑な解説をしてきましたが、簡潔に言うと筋トレをすればするほど細胞内の核が増えていき筋繊維に残るので、成長した筋肉は落ちないというのがマッスルメモリーの仕組みです。

筋膜が伸びたままのため為

出典:https://core-fit.jp/column/column-1613/

筋膜とは筋肉を包んでいる膜のことです。筋トレで筋肉が大きく肥大すれば、もちろん筋膜も比例して伸びていきます。

しかし、筋トレを休養して筋肉が小さくなったとしても、一度伸びた状態である筋膜がすぐに元に戻るとは限りません。このようなことから筋膜が成長した時のまま残っている為、筋トレ再開時に筋膜の大きさに合わせて筋肉の肥大スピードが早くなるのではとも言われています。

脳による記憶

出典:https://studyhacker.net/brain-charge

脳と筋肉は神経によって結ばれており、人間の体は脳からの指示を筋肉が受け取ることにより動かすことでるのです。このような仕組みは『マインドマッスルコネクション』と呼ばれています。

マインドマッスルコネクションは何度も同じ動きをしたり刺激が与えられると上達することができます。例えば、小さい頃から何度も行った自転車や習っていたスポーツの動きは大人になっても覚えていますよね。これは体に染み込んでいると言うわけでなく、筋肉に伝達される前の脳が覚えているからと言われています。

このことにより筋トレも同様で高重量で毎日のように没頭していた場合は、脳が高重量を扱う筋肉の動きを記憶しているので休暇を挟んでもすぐに元に戻ると言われています。この仕組みをマッスルメモリーと名付けられているのです。

経験値の蓄積

出典:https://1happy.jp/blog/yumeganbou/doryoku

最後は精神論のような話になってしまいますが、以前までハードな筋トレやストイックな食生活を行って一度でも筋肉の肥大に成功したことがある方は、それまでの努力の仕方を覚えています。

したがって、初めて筋トレを行った期間より休養を挟んだ後の期間の方が成長スピードが早まるからなのではとも言われています。しかし、この理論だとマッスルメモリー=筋肉の記憶という名称の意味から少し外れてしまいますね。ただ、筋トレは正しい方法での継続が大切ということが改めてわかります。

(筋トレと休息日との関係については以下の記事も参考にしてみてください)

マッスルメモリーが残る為に必要な筋トレの期間は?

これまでの解説を読んできて「マッスルメモリーはどのタイミングで起こる?」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。しかし、この理論に関しては正確な研究結果が出ていません。

筋トレを行ってきた方の体験談などから平均的に1年ほどではないかとも言われていますが、冒頭の研究では7週間でマッスルメモリーの効果が出ているので一概には言えません。

ただ、前の見出しの精神論の部分と被りますが筋トレは正しい方法で『継続』することが重要で、その努力が筋肉の成長に活かされるということなので、筋トレ歴が浅い方はマッスルメモリーに期待する必要もありません。マッスルメモリーがあったとしても休養前の成長度合いが微々たるものなので効果を感じにくいでしょう。

マッスルメモリーはいつまで?一定期間経つと無くなる?

マッスルメモリーがあるといってもいつまでも休んで大丈夫?有効期限はあるの?と気になっている方もいるでしょう。結論から言うとマッスルメモリー自体は生涯ずっと残ると考えてもいいでしょう。

しかし、「元に戻る」と言う観点から考えると年齢を重ねるごとに難しくなるのが現実でしょう。ただ、年齢を重ねても若いうちにハードなトレーニングをこなしていた方は、他の方と比べてもマッスルメモリーのおかげで筋肉の成長スピードは桁違いになります。

したがって、体を十分に動かせる年齢の方は、長期間休んでいてもマッスルメモリーの効果があるので元の筋力にすぐ戻すことができるでしょう。

マッスルメモリーについての体験談

マッスルメモリーは遺伝子レベルの話でもあるので、どうしても複雑な解説になってしまいます。少し読むのが大変だったと言う方も少なくないでしょう。

そんな方は、実際の体験談を元にマッスルメモリーの存在の真偽について確認していきましょう。

ボディビルダー『ケビンレブローニ』が自らの体で証明

出典:https://ameblo.jp/waterkojo/entry-12453442340.html

ケビンレブローには1964年に誕生し、1991年〜2003年までボディビルダーとして数々の成績を残してきた名選手です。輝かしい成績を残し39歳で引退をしましたが、なんと2016年の52歳で現役復帰をします。もちろんのことながら引退後10年何もしていなかった彼は一般人と同じような体になっていました。

しかし、半年間ハードなトレーニングを重ねてミスターオリンピアに出場した結果、数いる若者ボディビルダーを押しのけて17位という成績を残しました。50代で地方のコンテストに出られるだけでも驚かれますが、彼は若い頃から蓄えていたマッスルメモリーにより半年間の筋トレだけで最高峰の大会に出られるまで成長できたのです。

この伝説的な結果により「マッスルメモリーはやっぱり実在するんだ!」という声も多数あがりました。

(ケビンレブローニについて詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてみてください。)

一般人の体験談











マッスルメモリーがあるから筋トレができなくて焦らずに

マッスルメモリーの存在の真偽や、メカニズムなど詳しく解説してきました。以上の解説からマッスルメモリーは嘘ではなく存在すると言うことがわかりましたね。しかし、筋トレを行う際に最も重要なのは継続することです。怪我や仕事などどうしようもできない理由以外で「マッスルメモリーがあるから」とトレーニングを休むことは本末転倒となります。

マッスルメモリーは努力の結晶なので、日頃のトレーニングを大切に本気で取り組むことが重要です。