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ランニングのタイム×体重の関係性!速くなる?遅くなる?論文を元に解説!

2020年10月27日

体重を減らすと、ランニングのタイムは早くなるのでしょうか。それとも、体重が減少すると体力が減少して、ランニングのタイムが遅くなる?ランニングを持続して行っている人であれば、一度は疑問に思ったことがある問題でしょう。そんな疑問点を、論文をもとに解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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ランニングのタイムに体重は関係ある?

「体重を減らせばランニングのタイムは早くなるの?」「体重を減らしたら、体力がなくなるのでは?」 こういった疑問を抱く人も少なくないでしょう。習慣として、ランニングを継続しているランナーの方であれば、一度はご自身の体重について気にされたことがあるのでは?ランニングと体重にはどういった関係性があるのでしょうか。

実際、体重とランニングのタイムは深い関係があるのです。体重を減らすとランニングのタイムは縮まるのか、それとも体重を減らせば体力がなくなり、ランニングのタイムは伸びてしまうのか。これからご紹介します。

(また体重を減らす、ダイエットを目的としているランナーの方は、以下の記事も参考にしてみて下さい。)

体重を減らすとランニングのタイムが縮まる?

実際、体重を減らすことによってランニングのタイムを縮めることは可能なのでしょうか。権威のある米国スポーツ医学会誌「American collage of Sports Medicine」で紹介されている論文では、ランナーの体重を3%減らすことで、3kmのランニングタイムが3.1%、体重を10%減らすことで、10%ほど速くなるという研究結果が出ています。

物理的に考えれば、体重が軽いほうが速く走れるというのは当たり前である気がしますよね。ですが、体重が単に軽ければよいということではないと紹介している論文も、多数存在するのです。

特に有名なものでは、「ランニングエコノミーを決定する要素には体重に加え、体重の配分(どこに筋肉がついているか)、体脂肪率、3つの要素について考える必要がある。」とサンフランシスコ州立大学准教授ジェイムズ・バグレー博士はおっしゃっています。このように、体重、体重配分、体脂肪率の3要素について考えることが大事なのです。

(マラソンに必要なランナー筋については以下の記事も参考にしてみてください)

ランニングのタイムを縮めるには『体重配分』が重要?

では、マラソンのランニングタイムを縮めるために考えるべき「体重配分」についてご説明します。体重配分とは、言葉の通り、体のどこにどれだけの比率で体重が分散しているかを指す言葉です。言い換えると、身体への脂肪、筋肉の付き方のことですね。体重配分について以下のことが分かっています。

ランニングシューズが重くなると…

コロラド大学ボルダー校の研究では、以下のことが分かっています。「ランニングシューズが100g重くなるたびにマラソンランナーの走るペースは、0.78%遅くなる」「しかし、前ももが肥大化しても大きな悪影響は現れなかった。」 

プロのマラソンランナーがシューズの重さに気を使っているのは、こういった事実からでしょう。足の末端部に体重が多く配分されると、ランニングのタイムを縮めるのは難しいのです。

(ジョギングシューズのおすすめについては以下の記事も参考にしてみてください)

プロのマラソンランナーの体型

また、テレビ番組やスポーツ会場で目にする、速いマラソンのランナーは、みんな似ている体型をしていませんか? やはり、速さを追求している選手は、同じように筋肉が付きやすく、同じような体型になりやすいのです。

それでは、速いマラソンランナーはどのような体型をしているのでしょうか。手足が長く胴が短い、そしてふくらはぎが細く背はそれほど高くはない。こういった特徴の体型をしているのが見てわかります。

身長などどうしようもないことは別として、このような体型を目指すことでランニングのタイムを縮めることにつながるのです。また、ここでも分かるように足の末端方向が軽いことで、ランニングタイムを縮めることにつながることがわかります。

ランニングのタイムに体脂肪率も影響する?

では、体脂肪率はどのようにランニングのタイムに影響するのでしょうか。体脂肪率のほかにBMIでの基準もありますのでご紹介します。

ランナーの理想的な体脂肪率は?

実際に米国運動競技会という組織でアスリートの理想とする体脂肪率の基準が設けられています。その米国運動競技会で定められている体脂肪率ガイドラインはどれくらいなのでしょうか。

男性アスリートで、6~13%
女性アスリートで、14~20%であると言われています。

先ほどのバグリー博士は、「もともとヘルシーでスポーツマンらしい体型をしている人は、身体組織を改善してもそれほどタイムが縮みません」とおっしゃっています。反対に、体脂肪率が基準よりも高い人は、体脂肪率を減らすことでランニングのタイムを縮めることは大いに期待できるということです。

(体脂肪を10%に落とすコツについては以下の記事も参考にしてみてください)

ランナーに理想とするBMIは?

「BMI」という言葉を、耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。小学校や中学校の健康診断で測られる身体に対しての脂肪量を表す指数です。体脂肪率と違うのが、身長を基準としているか否かです。BMIは、身長に対しての脂肪量を指す指数なのです。

ではランナーに理想とするBMIはどのくらいなのでしょうか。セントメアリーズ大学応用スポーツ科学教授ジョンブルワー博士の研究結果では、「マラソンランナーに対して適正なBMIは、400mを走るランナーであれば20~25、800mでは18.5~24である。距離が短ければ短いほどBMIは高くなる。」ということが分かっています。

長距離を走るランナーでは、もっとBMIが低いということですね。マラソンランナーでしたら理想とするBMIは概ね18~22.5程度だと言われています。

結論、ランナーに最適な体重・体脂肪率はどれくらい?

難しい話をたくさんご紹介しましたが、実際マラソンを行うランナーが、タイムを縮めるために理想とする体重、体脂肪率、体型はどのくらいなのでしょうか。わかりやすくまとめてご紹介します。

▼適正な体重、体型は?
・ランニングエコノミーを決定する、体重、体重配分、体脂肪率が適度なバランスである。
・体型は、速いランナーの体型に近い体型を目指す。(足の末端部にかけて細くなる)
・体脂肪率は、男性で6~13%、女性で14~20%ほどである。
・体重をBMIで表すと、18~22.5ほどである。

なお、BMIは、
体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で計算することが出来ます。単位に注意してください。

ランニングタイムと体重に関する体験談

ここで、体重や筋肉量などの変化でタイムに変化があったランナーの体験談を見ていきましょう。

体重を減らして良い結果が出たランナー

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男性ランナー30代

10年ほど前にマラソンの市民ランナーをしていました。意識的に体重を減らすことでタイムが速くなった経験があります。ですが、減らしすぎないように食事には気を付けていましたね。

無理に減らすのではなく、どのように減らすのか意識しながら体重を減らすことでタイムが速くなったようです。食事を気遣うことはとても大事な要素です。

体脂肪率、BMIを意識したランナー

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女性ランナー20代

以前、トレーナーの方から、私に適正な体脂肪率を教えていただき維持しています。走っているときの体への負担が、BMIを意識していなかったときよりかなり軽減されました!

プロのトレーナーに自分の適性な体脂肪率、BMIを教えてもらって参考にするのは、手軽に自分の体重をタイムにつなげることが出来るとても良い方法です。

大幅な減量をしてしまったランナー

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女性ランナー30代

体重を軽くすればいいと思って、大幅なダイエットを行いました。体力も一緒にそがれてしまい、以前より長い距離を走るのがつらくなってしまいました。

適正体重よりも大幅に減量を行うと、この方のようにランニングに必要な体力も削ってしまう恐ろしい行為です。ランナーがダイエットを行うときは、細心の注意をしてください。

大学生の長距離選手

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大学生ランナー10代

大学の部活で長距離専門で走っています。顧問に体型などのケアをしてもらっています。筋肉のつける配分を意識的に考えて行うとかなりタイムを縮めることにつながりました。

大学の部活でここまで本格的に行うところがあるのですね。やはり、筋肉のつけ方、体重配分を意識することは、長距離を走るランナーにとってもとても大切です。

40代で走っているランナー

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40代ランナー40代

20年ほど走っています。とりあえず筋肉だとおもい、体重をかなり増やしていました。今思えば安直すぎますね。体への負担が半端でなく、長い距離走り切るのがかなりつらかったです

20年間も走っているランナーの方です。筋肉を増やすことによって体重がかなり増えてしまったみたいです。筋肉による体重増加も、ランニングへ悪影響を及ぼす可能性は大いにあります。大事なのは筋肉のつけ方です。

様々な体験談がありますが、体重を減らしすぎた方、体重を増やしすぎた方、両者ともあまり良い結果が得られなかったみたいですね。やはり、自分の体形に合った適正体重を目指すことでタイムを縮めることを期待できるでしょう。

ランニングタイムと体重の関係を理解しておこう

体重を減らせば、ランニングのタイムが速くなると考えている人も少なくないでしょう。ですが、体重はランナーの体型から適正な体脂肪率、BMI、体重配分を気にすることでランニングエコノミーが向上しタイムを縮めるために大事なのです。定期的に体重を量ってみることから始めてみましょう。