筋トレ後に眠くなるのなんで?
筋トレは、筋肉や骨をつくったり、脂肪燃焼や免疫力向上など多くのメリットがありますが、そんな筋トレを行ったあとや、次の日が無性に眠くなるという人はいませんか?最近寝不足だったから?単純にトレーニングのし過ぎで疲れてしまったから?そういった理由もあるかもしれませんが、筋トレと眠さには密接な関係があるのです。
実は、筋トレ中やその後は、私たちの体にいろいろな変化が起こっています。その変化が原因で眠気を引き起こしています。
では、その変化とは何なのかについて細かく解説していきます。
筋トレ後や途中に眠くなる原因&メカニズム
眠くなる原因①:筋トレによる疲れ
筋トレを行うと筋繊維という筋肉などを構成する細胞が傷付いたり、筋肉エネルギーが減少します。その傷をなおすために脳が睡眠をとろうと指令を出します。
トレーニング後、自分自身が疲労を感じていなくても、筋肉は傷つき、疲弊しきっています。なので無理にでも寝ずにいようとすると、筋トレで痛めた筋繊維の疲労回復が遅れたり、その後のトレーニングのパフォーマンスに影響したりしてしまうので、睡眠がとれるならとる必要があります。
眠くなる原因②:体温の急速低下
筋トレをしていると代謝が上がり、同時に体温も上昇します。
しかし、筋トレが終わると上がりきった体温が急速に低下していきます。就寝時、人間は深部体温が下がることでうまく眠りについています。深部体温の低下は筋トレ後の状況と似ていることから、脳が勘違いして寝ようとオフ状態になることで眠気がくるというメカニズムです。
眠くなる原因③:成長ホルモンの分泌量の増加
成長ホルモンとは、脳の下垂直体の前部から分泌されており、普段は就寝時に活発になることで眠りを誘うホルモンですが、それ以外にも筋トレを行うことで分泌・促進されます。
その効果としては、脂肪の燃焼効果や精神バランス向上、ケガの治癒の促進、アンチエイジングなどです。このように成長ホルモン分泌は心身ともに良い影響を与えてくれます。
しかし、加圧トレーニングなどの高負荷のトレーニングを行うことで多量に分泌されると、“体が疲れている状態=夜間モード”だと勘違いし、脳が眠りに陥ろうとします。
眠くなる原因④:血糖値の低下
筋トレ中は体を動かすために糖をエネルギーに変換するために、インスリンという分泌液が多量に分泌されます。
インスリンが多量に分泌されることで糖が減少し、血糖値がどんどん下がっていきます。
頭が正常に働くには糖が欠かせません。なので、筋トレに伴い糖が不足すると、頭が休息しなければいけないと思い、眠ろうと働きかけます。
眠くなる原因⑤:副交感神経にチェンジする
自律神経には、交感神経と副交感神経の二種類に分けられます。交感神経は人が起きて何かしているときに活発に働いている神経で、副交感神経は夜間など眠っているときに活発になる神経のことです。
筋トレをしているときは、交感神経が優位になっており、心拍数・血圧が上がっている状態です。
ですが、筋トレ後は交感神経から副交感神経へとチェンジすることで、心拍数・血圧が下がり、寝ようと脳が働きかけることで眠ろうするのです。
筋トレ後の眠くなる場合の対処法
筋トレ後にストレッチをする
眠さを引き起こす要因の一つとして急な体温低下でしたが、筋トレ後はどうしても体温が下がりやすい状態です。なので、ストレッチをすることで急な体温低下を回避することができます。
それだけでなく、筋肉の疲労物質を体外に排出・筋肉の回復に必要な栄養を早急に届ける役目もあります。
筋トレ後、一回あたり10分を目安にストレッチを行うようにしてください。
(筋トレ後のストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレ後にストレッチは必要?逆効果?メリット〜部位別のメニューまで紹介!
出典:Slope[スロープ]
筋トレ後は短めのシャワーで済ます
運動後の汗をかいた状態でシャワーやお風呂に入ると気持ちいいですよね。
しかし、お風呂の入り方も気を付ける必要があります。
まず、長風呂はしないことです。下がりつつある体温をまた急上昇させてしまうので、冷たいシャワーは浴びないようにしましょう。汗をかいた後はどうしても冷水で体を一気に冷ましがちですが、体温が下がれば下がるほど就寝時の状態に近いということになります。つまり、眠りに拍車をかけているということなので、サッとシャワーを浴びて出るようにしてください。
(筋トレ後のお風呂の効果については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレ後のお風呂で筋肉が成長!疲労回復は別?何分後に何分が効果的など入り方まで解説!
出典:Slope[スロープ]
カフェインをとる
カフェインをとることで、アデノシンという眠りを誘う物質を抑制してくれます。また、筋トレ後に低下した集中力を高めてくれる効果や、トレーニング後の疲労の回復を早めてくれます。
ですが、一時的な興奮作用で睡眠を阻止しているだけですので、カフェインに頼りきって飲みすぎるのは体によくありません。1日コップ2~3杯くらいにしておきましょう。
(筋トレとカフェインとの関係については以下の記事も参考にしてみてください)
カフェインで筋トレ効率UP!筋肥大効果は嘘!メリット〜量・タイミングなど解説!
出典:Slope[スロープ]
甘いものを食べる
脳の働きに貢献するために貯蓄されていた糖が筋トレのエネルギーによって失われることで、脳がこれ以上機能できないと判断して眠りに落ちようとします。
ですから、脳に必要な糖を正常値に戻すためのエネルギー補給としてチョコレートやクッキー、キャンディーなどの糖分を常に持っておくと良いでしょう。
だからといって、反対に糖分摂取しすぎるとインスリンが多量に分泌されて余計に眠さが増すので注意しましょう。
仮眠をとる
無理に睡魔を我慢することはよくありません。筋細胞の回復が遅くなり、次の筋トレの質が悪くなるだけでなく、精神的にもイライラしやすくなります。
そうならないためにも、30分以内の仮眠をとる必要があります。30分程度の仮眠は次のトレーニングの効率を上げるベストな時間です。逆に、30分以上の仮眠はトレーニングの効率を下げてしまいますので仮眠時間には気を付けてください。
短時間睡眠が苦手だという人は、仮眠前にカフェインを摂取しておくと目覚めよく起きることができます。ですが、一つ注意したいのが、トレーニング直後に寝るのは逆効果とされているので、少し時間を空けてから仮眠をとるようにしてください。
筋トレ後の眠気を事前に防ぐ方法
軽めの筋トレにする
高負荷のトレーニングや長時間のトレーニングは筋肉へのダメージが大きいだけでなく、筋トレ前後の体温差が大きいです。このことが筋トレ後の眠気に誘いやすい要因です。
筋肉や持久力を上げるには軽めの筋トレでも十分効果的です。一回でがっつりせずに、軽いトレーニングを継続することで、体に負担をかけづらく、眠気を起こしにくくなるので軽めのトレーニングを心がけましょう。
筋トレ前にカフェインをとる
コーヒー・紅茶・エナジードリンクなどのカフェインは、筋トレ後やその最中の眠気覚ましにも使えますが、筋トレ前に飲んでおくと眠気を抑えてくれるだけでなく、トレーニング後の老廃物を流してくれる働きもあります。
カフェインは飲んだあとは血中を通って、次第に全身にまわることで効いてくるので、トレーニング前の一時間前くらいから飲むようにしましょう。
また、カフェインの持続時間はおよそ四時間程度なので、それより早くに摂取してしまうと効果が切れてしまうので注意してください。
(筋トレ×コーヒーのメリットについては以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレ×コーヒーで効果倍増!カフェインのメリット〜量・タイミングなど徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
筋トレ前に糖分・たんぱく質をとる
十分な栄養が脳に行き届いていないために休む必要があると判断し、眠ろうとします。ですので、トレーニング前に失われやすい糖分やたんぱく質をしっかり摂取するようにしましょう。
しかし、トレーニング直前の食事は胃に負担をかけるので、負担がかかりにくいものが良いです。例えば、糖分ならチョコレート、たんぱく質ならプロテインなどがおすすめです。他には、バナナがおすすめです。筋トレの40分前に食べることで、たんぱく質の吸収率を高めてくれたり、筋トレ後のエネルギー補給や筋肉の回復を早めてくれる効果が最大になります。
筋トレ前に歯磨きをする
一見、眠気と関係ないように思えますが、歯ブラシで歯茎を刺激することで、メラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの分泌を抑制する効果があります。
また、歯磨き粉はミントのようなスーッとするタイプがおすすめです。
筋トレ後の眠気は筋トレ前の対策が必須
筋トレをしたあとに眠くなる原因から、眠たくなってしまったときの対処や前もって行える対策についてをお話ししてきました。眠たくなってしまってからでも回避する手段はありますが、眠くなってしまってから対処するよりも、そうならないために予防することに越したことはありません。
それに、筋トレのあとに仕事や予定があるといった方にとっては、仮眠をとる時間を確保するのがなかなか難しかったり、毎回ストレッチに時間をかけるのは面倒くさいということもあるかもしれないので、そういったことを考慮しても事前に対策できるもののほうが良いかもしれません。
また、今回紹介した対策は眠けを覚ます以外にも疲労した筋肉の回復を促進し、筋トレの質を向上できるものでもあるので、日頃から筋トレに励んでいる人やこれから筋トレを始めようとしている人はぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。