目次
ラダートレーニングとは
様々なアスリートが実践しているラダートレーニングは、ランのステップ、ひねりやシャッフルした動き、およびラダーの面を使用した様々な動作の組み合わせによって様々なバリエーションが存在します。これらのエクササイズは、脳からの指令をいかに素早く動作として実行させるかという、神経系のトレーニングとして効果的であると言われています。
ラダートレーニングの効果
ラダートレーニングは脳からの指令を筋肉に伝える速度を上げると言われており、 巧みな体の使い方、スピード、加減速のメリハリ、バランス能力、瞬発力など運動神経と呼ばれる能力を向上させる効果が期待できます。
(瞬発力トレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
【瞬発力トレーニング】爆発的なスピードをGETする筋トレ&鍛え方のコツを解説
出典:Slope[スロープ]
巧緻性の向上
巧緻性とは手先の器用さ、巧みに指先を使う能力を指す言葉です。巧緻性について高い能力を得るためには意識的なトレーニングが必要です。イメージ通りに体を動かす能力は、子供はもちろん高齢者にも効果的で、トレーニング次第で改善と向上が期待出来ます。
敏捷性・瞬発力が高まる
様々な切り返しを行うラダートレーニングの種目は、加速、減速、方向転換といった能力の向上、瞬発力をの向上が期待出来ます。足をクロスしたり、前後の複雑な動きを取り入れつつスピードを意識すると、脳と身体の神経的なつながりが向上。敏捷性・瞬発力の向上は高齢者の転倒防止などにも効果的です。
バランス能力の向上
不安定な姿勢で動作を繰り返すラダートレーニングの種目は、バランス能力の向上へと繋がります。これはサッカーやバスケ、格闘技などの対人スポーツだけではなく軸の安定が不可欠な競技、また普段生活している中でも役に立つ能力です。そして、ほとんど高さのないラダーは子供や高齢者にとって安全なバランストレーニングとなります。
スピードアップに役立つ
速度は、体を一方向にできるだけ速く動かす能力として定義されます。素早いステップを意識したラダートレーニングの練習は、スピードの向上に大きな影響を与えます。普段の歩行や走行時のストライドと異なる幅で行う細かい動作は、スピードに必要な筋肉に刺激を与えることが可能です。
協応力が高まる
協応は、体のそれぞれの部位が協力して一つの動きを作り出すことを言います。右手と左手、手と足など、ふたつの動作を同時に使う協応動作の繰り返し練習は、複雑で高度な技術を必要とするアスリートにとって重要なトレーニングです。また、子供や高齢者のパフォーマンス向上にも効果が認められます。
効果抜群のラダートレーニングメニュー
ラダートレーニングから得られる効果を理解したところで、次に具体的な取り組み方を紹介します。初歩的なトレーニングからアスリートなど上級者向けまで揃えたので、あなたにぴったりなメニューを探してみて下さい。
1ステップクイックラン
まずはラダートレーニングの基本的な縦のランニング、1ステップクイックランを覚えましょう。ラダーの1マスに対して、片足1歩ずつのステップで、速いテンポとスピードを意識しながら前に進んでいきます。
▼1ステップクイックランのポイント
①出来るだけ速く走る
②足先ではなく膝を素早く動かす
③一回ずつ地面を蹴る
④腕をしっかり振って行う
⑤スタートはどちらの足からでも良い
直線距離のスピードを求められる短距離・中距離、マラソンのシーンで役立つスピードアップだけでなく、サッカーや野球、テニスなど、短いダッシュが必要となるシーンで必要な瞬発力を身に付ける種目です。慣れてきたら1マスの中に両足を入れる2ステップクイックラン、1マスの中に3歩入れる3ステップクイックラン、後ろ向きに走るバックランにも挑戦してみましょう。
ストレートジャンプ
ジャンプ種目のラダートレーニングを紹介します。ジャンプの繰り返しは下半身の強化だけでなく、脂肪燃焼、心肺機能向上といった効果が期待できます。
▼ストレートジャンプのポイント
①両足を揃えて行う
②1マスずつジャンプしながら前に進む
③一回ずつ地面を蹴る
④両腕をしっかり振って行う
⑤出来るだけ素早く行う
ジャンプ動作の繰り返しは強いフィジカル作りや、アジリティ(切り返し)能力の向上に効果的です。最初はゆっくりからで良いので、前方に向かって均等の間隔で移動出来るように意識して行っていきましょう。慣れてきたら、片足ジャンプ、開閉ジャンプ、バックジャンプなどにチャレンジしてみてください。
シャッフルステップ
シャッフルステップというラダートレーニング種目を紹介します。サイドシャッフル、シャッフルサイド、シャッフルなどと様々な呼び方がありますが、アジリティ(切り返し)能力を強化していく種目です。
▼シャッフルステップのポイント
①ラダーの横に立つ
②1マスの中に片足ずつ入れたら反対側に一歩つく
③反対側に向かって同じように行い前進して行く
④体の軸を意識して行う
⑤出来るだけ素早く行う
出来るだけハッキリと大きく、素早く行うことがアジリティ能力向上のポイントです。怪我をしないように、しっかりと安全なところに着地しましょう。また、上半身の軸がフラフラしないように注意してください。切り返しの時に素早い減速と加速が繰り返されることで、瞬発力も同時に強化されます。
スタートは左右どちらから始めても構いません。ステップが難しい場合は前進せずその場で練習をしてみてください。慣れてきたら後方に移動するアレンジなどにも挑戦してみましょう。
クロスオーバーステップ
クロスオーバーステップは移動速度が速いため、パフォーマンス中、最もスピードを求められるシーンで登場します。他のステップと区別してトレーニングする事で、メリハリの効いたパフォーマンスを生み出す事が出来ます。
▼クロスオーバーステップのポイント
①ラダーの横に立つ
②ラダーから遠い方の足を近い方の足にクロスしてマスの中に入れる
③進行方向に対しやや前傾姿勢になるが上体は軸を保つようにする
④踏み込む時、つま先は進行方向に向ける
⑤出来るだけ素早く行う
足先だけの動きにならないように行うことがポイントです。股関節や体幹のひねりも使って行っていきます。競技によっては踏み込みの足が決まっているという場合もありますが、左右行う事が総合的な強化に繋がります。左右どちらも同じように行えるように練習して行きましょう。慣れてきたらラダーから少し遠いところから始め、大きな動きに挑戦して行きましょう。
ラテラルラン
ラダーを横向きにして行うラテラル系の種目を紹介します。素早く正確な横への移動は、サイドステップの速度向上や下半身強化、重心移動やバランス力の強化へと繋がります。全身を使って行いましょう。
▼ラテラルランのポイント
①横向きでラダーの横に立つ
②進行方向側足から1マスに2歩ずつ入れる
③つま先だけの動きにならないように膝を素早く動かす
④姿勢が崩れないよう軸を意識して行う
⑤出来るだけ素早く行う
やや膝と股関節を曲げた状態で行いましょう。下半身の怪我のリハビリ中や、高齢者の歩行トレーニングにも効果的な強化トレーニングです。反対方向も同じように行い、慣れてきたらスピードをあげていきましょう。
スキップインローテーション
動画の1分32秒からのスキップインローテーションにチャレンジしてみましょう。ヒップローテーションスキップと呼ばれることもあるこちらの種目は、股関節を大きく回しながら動かすことで下半身の強化、全身連動性、可動域向上が見込めます。
▼スキップインローテーションのやり方
①ラダーの横に立つ
②ラダーに近い方を軸足として体を捻りながらスキップを行う
③股関節を大きく動かしながら前進する
④膝の高さを意識する
⑤上半身は軸を保って行う
体の捻りを意識して行ないます。膝を腰の高さまで上げ股関節を大きく動かす事がポイントですが、難しい人は自身が上げられる出来るだけ高い所から練習してください。膝ではなく、股関節や体幹の捻りを使います。スタートは左右どちらからでも構いません。慣れてきたらスピードを上げること、出来るだけ大きな動きで行うことを意識して練習してください。
ニーアップステップ
腿上げを高くしっかり上げることで、上げる足、軸足の股関節、下半身全体の強化、可動域の向上をすることが出来ます。素早い動きの繰り返しで瞬発力向上も見込めます。ここぞというときのスタートダッシュに効果的なトレーニングです。
▼腿上げシングルステップ
①ラダーに対して正面に立つ
②ラダー側の足を高くあげマスの中に着地させる
③反対側の足を前に移動させ細かく腿上げをしながら前進して行く
④膝を高く上げて行う
⑤軸を保った状態で行う
大きな動きを意識して行うと、上げている足だけでなく軸足も力強く働きます。また、軸足の膝を崩さず地面を蹴るようにして、高くあげながら前に進んでいきます。腕の振りが必要ですが、上半身がぶれないように意識してください。
終わったら反対側も同じように行い、出来るだけスピードを上げていきましょう。動作に慣れたら前述したステップクイックランやラテラルステップに腿上げを加え、アレンジをしてみてください。
シザースステップ
格闘技やサッカー、バスケなど様々な競技で登場するシザーズステップは、同じ呼び名でも競技によって少しずつ動作が異なります。今回は1マスずつ使用したシザーズステップを紹介します。細かいシザーズステップを覚えて緩急のメリハリある動作を作っていきましょう。
▼シザーズステップのやり方
①前後のマスに片足ずつ入れて行う
②ジャンプで前後を入れ替えて前に進む
③素早く入れ替えていく
④同じ間隔で移動する
⑤足先だけではなく股関節から動かす
細かいシザーズステップで緩急の動作を鍛えていくと、対人競技や表現競技でメリハリのあるパフォーマンスを行えるようになります。慣れてきたら後方へのバックステップや、ラダーを横に跨ぐようなシザーズステップにも挑戦してみてください。
ハンドウォーク
ラダートレーニングの上半身種目を紹介します。上半身を使ったラダートレーニングは肩や腕、体幹の強化に繋がります。サッカーやバスケ、格闘技などのコンタクト種目の上達にも効果的です。
▼ハンドウォークのやり方
①腕立て伏せの状態を作り、隣り合ったマスの中に手を入れる
②進行方向の腕から隣のマスに動かし横移動する
③体幹をしっかり保持する
④腕立て伏せのフォームが崩れないように行う
⑤終わったら反対方向も同じように行う
上半身の筋力と全身連動性を強化していきます。動画では対象がサッカーになっていますが、マラソンなど長距離走を行う人や、他の競技、フィットネス愛好家にも身体能力向上を期待出来る種目です。動画では横移動のみになっていますが、ラダーを縦にして前に進んだり、また後ろ向きに進むアレンジなどもおすすめします。
ハンドウォークショルダータッチ
ラダーを使った上半身の種目、ハンドウォークショルダータッチです。上半身を強化しながら全身連動性を高めていきます。片手で体を支えながら行う動作が加わることで、バランス能力も向上させられます。
▼ハンドウォークショルダータッチのやり方
①手をついて進みながら1歩毎に肩にタッチする
②進行方向側の手から少しずつ移動する
③体幹部が崩れないように行う
④腕立て伏せのフォームを保った状態で行う
⑤終わったら反対方向も同じように行う
動画では対象がバスケになっていますが、それ以外の競技やフィットネス愛好家にも効果的な種目です。肩にタッチする時は手と支える体の位置を調整し、バランスを取りましょう。最初はゆっくりからで構いませんが、少しずつスピードを上げて挑戦してください。横方向だけでなく、縦方向(前後)への移動の動きなどのアレンジもおすすめです。
ラダートレーニングで効果を得た体験談
プロアスリートやプロの指導者によるラダートレーニングのアドバイスや体験談を紹介します。ぜひ参考にしてラダートレーニングにチャレンジしてみましょう。
ルイス・バディージョ・ジュニア
ルイス・バディージョ・ジュニア
腕の振りと足のステップ、これが同じスピードを保てることが一番重要なポイントだ。これは僕が教えているプロのアスリート、そしてアマチュアの人、全員に共通して伝えているポイントでもある。だから僕のパフォーマンスを見て、これからトレーニングを始めようと思った人は、まずそこを意識してほしい。つま先を軽く速く使うこと、そして腕の振り。最初のうちはうまくいかないけど、まずはシンプルなラダーだけのメニューで、ゆっくりのスピードで取り組むのがいい。そこから徐々にスピードを上げていき、その後、コーンやハードルを組み合わせた複雑なメニューに展開していくべきだ。
世界最速の敏捷性を持つ男と呼ばれるトレーニングコーチ、ルイス・バディージョ・ジュニア氏。彼のトップスピードで行われるラダートレーニングは驚愕のパフォーマンスで世界の注目を集めています。
ディーン元気
ディーン元気
本練習に入る前に必ず行っていたものです。まずはジョギングから始まり体操、ラダートレーニング、そして100mを3〜5本走ります。準備運動することによって筋肉や関節を柔軟にして専門的な練習に臨みます。またラダートレーニングとは、梯子のようなものを広げて、刻んで走ることによって足腰とボディバランスの強化、俊敏性の強化に友好的なトレーニングです。
ロンドンオリンピックにやり投げ種目で出場した陸上競技場のディーン元気選手です。ラダートレーニングを通常練習に導入し、パフォーマンスアップに役立てていたようです。
ファンク・ロバーツ
ファンク・ロバーツ
ラダートレーニングは、足のコーディネーションスピードとフットワークを開発するのに最適です。ラダートレーニングの多くの種目は、アスリートたちのパフォーマンスを向上させます。
ボディビル、ビーチバレー、格闘技と様々な分野のスポーツでプロフェッショナルであるファンク・ロバーツ。スポーツやフィットネスに情熱を傾ける彼は、ラダートレーニングがあらゆるパフォーマンスに有効であると語ります。
ラダートレーニングに学べる有益な本も多数!
SAQトレーニング [最新版]子どもからトップアスリートまであらゆるスポーツ競技者の能力を伸ばす (日本語)
2007年発行の「SAQトレーニング」から8年を経て、さらに進化した最新版です。あらゆるトレーニングやパフォーマンスに生かせるトレーニング方法をDVDで分かりやすく説明しています。小学生でも参考に出来る内容です。
Amazonレビュー★★★★★
日本SAQ協会監修でDVD映像による解説付きなので、初めてでも上級レベルでもSAQトレーニングの目指すものが分かります。ラダートレーニングは、そのバリエーションで一層興味が湧きました。講習会への参加が難しい方や初心者には、素晴らしい参考書となります。
サッカーが劇的にうまくなるタニラダーメソッド
ヴァンフォーレ甲府フィットネス・ダイレクター谷真一郎氏によるラダーメソッドです。指導者や動きに更に理解度を深めたい人にはおすすめの一冊。ラダーについての考え方、解説が載っており、これから更に上達していきたい人にぴったりです。
Amazonレビュー★★★★★
この本を購入前にラダーを入手し動画等を見ながら数カ月練習していたのですが、ラダーについての体系的な解説がネットにあまり見つからず、いまいち動きがしっくりこない状態でした。その段階で読むと非常に参考になりました。
ただし初心者はこの解説ではよく分からないと思います。
動画から読み取れないような力の入れ方や動きの意義の解説に力を入れているように思われますので、基本的な動きがイメージできる人、特に指導者が理解度を高めるために読むべき本と感じました。その点を理解した上で購入判断をすべきです。
新開発!国立長寿研の4色あしぶみラダー 認知症予防のための脳活性化運動コグニサイズ入門
国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防運動であるコグニサイズが導入されており、軽い運動で簡単に取り組めるラダートレーニングが紹介されています。高齢者の認知症予防や脳トレとしてもおすすめです。
楽天レビュー★★★★☆
私には簡単に感じますが、高齢者のみなさんには難しいと感じる方も多かったです。
普段運動能力の低めの方が、いざこれをやったら、思った以上にうまくいったり、またその逆もあり。
今までと違う印象になり、教室の雰囲気もよくなりました。
もう少し、しっかりした素材だったらよかったです。
迷ったらコレ!ラダーのおすすめアイテム
ラダーの購入をするときには、より高い効果を得るためにいくつかの要点を押さえて選びましょう。機能性、素材、長さ、プレートの厚さなど様々なものがあります。チェックして用途に合わせたものを見つけてください。
ces-storeトレーニングラダー 7m プレート13枚
初めて使用するのにあたり迷っている人にはお手頃価格のトレーニングラダーです。この値段でトレーニングに十分な7mという長さを持ち、ラダーの幅はスライドで調整出来るという簡単さも魅力です。
楽天レビュー★★★★★
7mプレート13枚を4つ購入しました。複数でのトレーニングやアップに大活躍です。しかもこの安さ。大満足です。
リクライ トレーニングラダー
7m13枚、ボタン式でワンタッチでバーの幅、そして長さまで調節出来るラダーです。設置の簡単さにも関わらずトレーニング中のバーのズレがほとんどなく、子供のトレーニングにも向いています。収納袋が付いており、片付けの邪魔にもなりません。洗濯可能な所も嬉しい点です。
楽天レビュー★★★★☆
子どもたちがサッカーをしていてもう少し身体の動かし方を…と考えていたので、購入。このお値段で購入できたのは本当にありがたいです。7m13枚、バーの幅を調節出来て子どもたちにはちょうど良かったです。2週間くらい毎日ではないですが使用し、先日の試合の時には周りの親御さんから「足早くなったんじゃない?」と言われました。
SPEED MARK 瞬速ラダー7m・ミニハードル6個・マーカーコーン24枚セット【動画マニュアル付】
ラダー、ハードル、ミニコーンがセットになったお得なセットです。動画マニュアルでは、スロー動画やレベルに合わせた内容など、これからラダートレーニングでレベルを上げていこうという人にはぴったりの商品です。ハードルは高さを変えられ、マーカーは柔らかく安全で安心して使用できます。この商品1つでトレーニングの幅がぐんと広がります。
楽天レビュー★★★★★
コロナウイルスの臨時休校で運動不足の息子たちに家の庭でさせるために買いました。
ハードルは高学年の息子は◎。低学年の息子には高いようですが、コンパクトに収納できてよいと思います。
また、ラダーとコーンは保育園の息子も上二人のまねをしてやってました。よくひっかかったりしましたが
丈夫で良い買い物だと思いました。
少しおまけも入っていてありがとうございます。
妻は手書きの購入への感謝の手紙に感激しておりました。また、必要なものがあれば貴店で購入したいです。
効果的なラダートレーニングでスポーツの成績をUP
ラダートレーニングは、どのスポーツにも共通した能力の向上が期待出来る優秀なメカニズムを備えたトレーニングです。種目やアイデア次第で競技特性に合わせた内容を強化することができます。また、今回紹介したトレーニング以外にも様々な種目がありますので、ぜひ挑戦してみてください。