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白髪は抜くと増えるのは迷信!でもNG!ダメな理由〜原因&対策まで解説!

2020年09月11日

「白髪は抜くと増える」という話は実は迷信です。しかし、白髪を抜くのはいいことではありません。この記事では白髪を抜くのがダメな理由や白髪が生える原因、白髪対策やケアなどについて解説します。白髪のことを正しく理解し、少しでも増やさないようにしていきましょう。

【監修】美容師 横井拓徹

Amoute(アムティ)恵比寿店に勤務。21歳で専門学校卒業と同時にスタイリストデビュー。美容業界最速。学内ウィッグコンテストでは優勝。24歳で店長に就任。インスタグラムでは100人以上の芸能人ものまねセットを投稿し、話題性を呼んでいる。Instagram(本垢) / Instagram(芸能人ものまねヘアセット垢)

髪色が付くメカニズムと白髪が生えてくる仕組み

白髪が生える仕組みを知るにあたって、まずどのようにして髪の毛が黒くなるのかについて知っておきましょう。実は、毛根で作られてすぐの新しい髪の毛には色が入っていません。驚く方もいるでしょうが、生まれたての髪の毛は白髪なのです。そして、作られたばかりの髪の毛に色が付くメカニズムは研究論文で以下のように説明されています。

我々の髪の毛は,黒髪や金髪のような色調を持ち,個体の識別に役立っている。これは毛の根元に位置する毛母と呼ばれる場所に局在する色素細胞が産生するメラニン色素が,髪に供給されるためである。n神経堤細胞から色素細胞系譜へと運命決定した未熟な色素細胞を特にメラノプラストと呼んでおり,発生中に毛包や表皮に局在したのち分化し,メラニン色素を産生し周囲の角化細胞に受け渡すことで毛髪や皮膚に色素を供給している。

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/46/12/46_KJ00009581807/_pdf/-char/ja

少し難しいように感じますが、簡単に言うと「毛根の組織内にある色素細胞がメラニン色素を作り出し、髪の毛に受け渡すことで色が付く」ということになります。このことを踏まえて白髪が生える仕組みを説明すると、白髪は「髪色の素であるメラニン色素が生産されない」「生産されたメラニン色素が髪に届かない」といった状態になると生えてくるということです。

髪に色が付かないため新しく生えた毛が白髪のままになってしまう、という仕組みのことを考えると「白髪が生える」というよりは「生えた髪が黒くならない」というかたちで捉えるとわかりやすいでしょう。では、メラニン色素が生産されなくなる、またはメラニン色素が上手く髪へ届かなくなる状況を作り出す原因にはいったいどのようなことがあるのでしょうか?

続いて、白髪が生える状況を生み出してしまう原因について解説していきます。白髪が生えている方は、自分に思い当たるところがないか意識しながら目を通してみてくださいね。

加齢によるメラニン生産量の低下

白髪が生える原因としてメジャーなものが、加齢によるメラニン色素の生産量の低下です。年齢を重ねるにつれてメラニン色素を生産する色素細胞の働きは弱まってきます。色素細胞の働きが弱まるのは「血行不良による栄養の不足」「女性ホルモンの減少」などによるものだと考えられていますが、まだ明らかにされていない面も多いのが現状です。

1本のなかに黒と灰色が混ざったような髪の毛を見かけたことがある方もいるでしょう。このような髪の毛は「白輪毛(はくりんもう)」と呼ばれ、その色素細胞ではうまくメラニン色素が生産されていない状態です。この段階であれば、適切な対処ができれば再度メラニン色素が髪の毛に供給されるようになる可能性もあります。

遺伝

親からの遺伝も白髪が生える原因のひとつです。特に10代からの若白髪の場合は、遺伝の可能性が高いと考えられています。また、近年の研究では白髪に遺伝が大きく影響することを裏付ける結果が発表されました。白髪が生える要因となる遺伝子が特定されたのです。

ロンドンの大学の研究チームは、6000人以上ものヨーロッパ系・アフリカ系・ネイティブアメリカンなどさまざまな人種の遺伝情報を分析しました。そして、白髪の遺伝子をはじめ髪の色や形状など、毛髪の特徴に影響を及ぼす遺伝子をそれぞれ特定することに成功しています。研究結果の概要は以下の通りです。

今回の研究で分かったのは、白髪への変化において役割を担っているのが遺伝子IRF4だということ。同遺伝子については、これまでの研究で、髪の色に影響を及ぼすことが知られていた。n研究チームによると、遺伝子IRF4の正確な機能に関する研究を重ねることで、白髪化を遅らせたり、さらには食い止めたりする技術や治療法の開発につながる可能性があるという。n研究を率いた英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)遺伝学研究所のアンドレ・ルイス・リナレス(Andres Ruiz-Linares)教授は「白髪化の初期段階では、色素を作り出す細胞の生存と維持において、IRF4が担っているであろう役割が関連している」と話す。

引用元:https://www.afpbb.com/articles/-/3078941

ルイス・リナレス教授は取材に対して「IRF4遺伝子がその他の遺伝子とどう相互作用しているかを理解することによって、髪の毛が成長していく過程において白髪になるのを防ぐ化粧品開発の応用につながる可能性がある」とも語りました。この研究を活かした新たな白髪ケア商品の開発に、期待が高まっています。

病気

病気が白髪の原因となっていることもあるため注意が必要です。極度の貧血であったり、甲状腺疾患を患ったりしていると白髪が増えるケースもみられます。甲状腺疾患は女性に多いとされていますが、男性でも発症する可能性はゼロではありません。

白髪の原因とされる甲状腺疾患には「橋本病」というものがあり、発症すると毛髪の成長を促す甲状腺ホルモンの分泌量が低下します。また、甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで新陳代謝も悪くなり、白髪だけでなく脱毛・筋力低下など老化現象に似た症状が現れるのもこの病気の特徴です。

ストレス

ストレスも、白髪が生える原因として挙げることができます。ストレスが白髪に及ぼす影響については長年研究が続けられていますが、ハーバード大学の最新の研究において、ストレスによって白髪が発生するメカニズムが解明されました。研究の概要は以下の通りです。

研究チームはマウスにストレスを与え、白い毛が生えてくる過程を観察。ストレスを感じると放出される神経伝達物質のノルアドレナリンが、毛根付近の細胞を過剰に活性化させることが原因だと突き止めた。n毛根付近にある幹細胞は通常、髪が生える過程で徐々に色素細胞に変化し、髪の色素を生成している。ところが、ノルアドレナリンによって過度に活性化すると、急速に色素細胞へと変わり、枯渇してしまうという。n研究チームは、今回解明されたメカニズムが「ストレスが体の他の部位に与える影響を理解することにもつながる」と期待している。

引用元:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012300785&g=int

ストレスがかかると放出される「ノルアドレナリン」という物質の影響により、メラニン色素を生産する色素細胞の素である「色素幹細胞」が失われていることがわかりました。色素幹細胞が失われるとメラニン色素の生産が不可能になるため、生えてくる髪が白髪のみになってしまいます。

(ストレスで白髪が増えるメカニズムについては以下の記事も参考にしてみてください)

生活習慣の乱れ