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ベンチプレスの世界記録は何キロ?
ベンチプレスの界記録は2013年にタイニー・ミーカー(Tiny Meeker)氏が500kgの大台を突破してから破られていませんでしたが、今年になって7年ぶりに更新されて話題となりました。
現在の世界記録は、2020年6月に更新されたアメリカのウィル・バロッティ(Will Barotti)氏の501kgです。人間の持ち上げられる限界が500kgまでといわれているため、すでに身体的強度の限界を超えた重量を持ち上げていることになります。
本来、ベンチプレスは自分自身の体重と同じ重量を持ち上げられればよいとされているので、これがいかに恐るべき記録なのかがわかるでしょう。フルギアと呼ばれる肩の動きをサポートするベンチプレスシャツを着用して行った記録ですが、現在も破られていない大記録であることに変わりはありません。
(ベンチプレスの世界記録については以下の記事も参考にしてみてください)
ベンチプレスの『世界記録』特集!男性・女性別!フルギア・ノーギアの違いも!
出典:Slope[スロープ]
ベンチプレスの世界記録は『ノーギア』『フルギア』の種類が?
ベンチプレスには「ノーギア」と「フルギア」の2種類があり、前者が専用のベンチプレスシャツ(ベンチシャツ)を着用せずに行うもので、後者が専用のシャツを着用して行うものです。501kgという現在の世界記録はフルギアで、後述のようにノーギアの世界記録もあります。
ベンチシャツはフルギアの大会レギュレーションによって決められた競技用のシャツで、180kgぐらいまでの重量をアシストできるといわれています。事実、フルギアとノーギアの世界記録には160kg程度の差があるため、かなりの重量をサポートしてくれることがわかるでしょう。
だからといって、ノーギアに比べてフルギアが楽なわけではありません。ノーギアはテクニックによって相応の重量でも上げられる一方、フルギアは十分な筋肉がないとまったく持ち上がらないと言っているパワーリフターは多いです。
ノーギアでのベンチプレスの世界記録
専用のベンチシャツを着用せずに行うノーギアのベンチプレスの世界記録はロシア人のパワーリフターであるリル・サリチェフ(Kirill Sarychev)氏が2015年に記録した335kgが世界記録となっています。
同記録もいまだ破られていない大記録で、さらにリル氏は2016年に3リフト(ベンチプレス、デッドリフト、スクワット)のパワーリフティングの合計重量1,082.5 kgの世界記録も達成しています。
(ベンチプレスの世界王者である児玉大紀については以下の記事も参考にしてみてください)
ベンチプレス世界王者『児玉大紀』特集!300kgを挙げる練習〜フォームまで網羅解説!
出典:Slope[スロープ]
女性のベンチプレスの世界記録
次に、女性のベンチプレスの世界記録を紹介しましょう。女性のフルギアの世界記録は235kgで、スウェーデン人のパワーリフターであるサンドラ・ロン(Sandra Lonn)氏が2015年に打ち立てたものです。
プロアスリートの記録ではありますが、一般人がベンチプレスで持ち上げられる重量の平均は男性で40kg、女性で20kgぐらいなので、いかに驚くべき記録か理解できるでしょう。パワーリフティングはもともと男性の競技として発達してきましたが、現在では女性選手も続々と登場しており、男女ともに競技人口はどんどん増え続けています。
(ベンチプレスの男女別の平均重量については以下の記事も参考にしてみてください)
ベンチプレスの平均重量は?男女別に体重・レベルを元に解説!MAX値を測る方法も!
出典:Slope[スロープ]
ベンチプレスの世界記録の遍歴
続いて、世界記録の遍歴をベンチプレスの発展の歴史とともに、詳しく紹介します。
最古のノーギアによるベンチプレス記録
ベンチプレスは第二次世界大戦の頃、イギリスの病院で怪我人のリハビリとして始まったのが発祥とされていますが、正式に記録に残されるようになったのは19世紀の後半からです。
もっとも古いベンチプレスの世界記録は1898年にロシアのジョージ・ハッケンシュミット(Georg Hackenschmidt)氏が打ち立てた164kgといわれています。
当時は専用のサポーターが存在していないためノーギアでの記録ですが、ここからパワーリフティングの一種としてベンチプレスが世界的に注目されるようになるのです。
重量200kgを超える記録が登場
20世紀に入り、しばらくは164kgの世界記録が破られませんでしたが、1916年にジョー・ノードクエスト(Joe Nordquest)氏が165kgのベンチプレスに成功し、世界記録を1kgほど更新しています。
そして1953年、カナダ出身のダグ・ヘップバーン(Doug Hepburn)氏が227kgという大記録を打ち立てるに至りました。
なお、1938年にタンパク質(プロテイン)が物質として発見され、筋肉のもとになるという研究結果が出たことを受けて、多くのアスリートが良質なタンパク質を摂取する機会を増やしました。これによってベンチプレスの記録も大きく向上したと考えられます。
(ベンチプレスMAX100kgの体つきについては以下の記事も参考にしてみてください)
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出典:Slope[スロープ]
筋肉自慢の有名プロレスラーが記録を更新
さらに1959年には、アメリカで長く活躍したイタリア出身の有名プロレスラーであるブルーノ・サンマルチノ(Bruno Sammartino)氏が256kgのベンチプレスに成功し、世界記録を更新しています。日本でジャイアント馬場やアントニオ猪木などの有名プロレスラーとも対戦したことがあるため、知っている人も多いでしょう。
また、1964年には東京オリンピックに次いでパラリンピックも開催され、ベンチプレスを含むパワーリフティングが競技種目として採用されるに至りました。ベンチプレスが世界的競技として正式に認められたわけです。
国際パワーリフティング連盟(IPF)の設立
1967年のパット・ケイシー(Pat Casey)氏の279kgに続いて、1971年にはプロ・パワーリフターのジム・ウィリアムズ(Jim Williams)氏が288 kgのベンチプレスに成功、さらに翌年には306kgに成功しています。
ただし、1971年に国際パワーリフティング連盟(International Powerlifting Federation)が設立され、公式の大会において成功した重量が正式な記録として残されることになったため、これらの記録は非公式なものとして扱われることが多いようです。
IPFによる公式大会の記録では1973年にアメリカのドナルド・ラインハルト(Donald C. Reinhoudt)氏の263kgがはじめての公式記録となります。同氏は1974年に267.5kg、1975年には275.5kgと公式記録を更新し続けました。
300kgの公式記録が樹立
そして1981年のUSPFの大会(West Georgia Open Powerlifting Championships)において、アメリカのビル・カズマイアー(Bill Kazmaier)氏が初の公式記録として300kgの重量を持ち上げ、世界記録を達成しました。ベンチプレスの初の世界記録である164kgのおよそ倍の重量が持ち上げられる時代になったのです。
その後、プロレスラーのテッド・アーチディ(Ted Arcidi)氏が1984年に302kg、1990年には326kgの記録をつくり、アンソニー・クラーク(Anthony Clark)氏やジェイミー・ハリス(Jamie Harris)氏といった有名パワーリフターが世界記録を次々更新していく時代に入ります。
400kg・500kg台の更新
そして2003年、ジーン・リュクラク(Gene Rychlak)氏が408kgのベンチプレスに成功したことをきっかけに、2000年代は400kg台の記録更新が相次ぎます。
特にアメリカのプロ・パワーリフターであるライアン・ケネリー(Ryan Kennelly)氏は2006年に458kgの世界記録を更新した後、2007年に476kg、2008年には487kgと立て続けに記録を打ち立て、一躍有名になりました。
さらに2013年に入り、タイニー・ミーカー(Tiny Meeker)氏が500kgの大台を突破し、大きな話題となりました。ウェイトリフティング愛好家の人のなかには、記憶に残っている人も多いはずです。
現在の世界記録へ
その後、しばらく記録の更新が途絶えていたものの、2020年に上述のウィル・バロッティ(Will Barotti)氏が501kgの世界記録を樹立しました。公式大会はフルギアでのベンチプレスが基本ですが、公式大会が開催されはじめてから、約200kg程度記録が伸びていることになります。
今後もパワーリフターの技術向上や、タンパク質(プロテイン)の摂取方法や栄養学の発展により、さらに記録が伸びていくでしょう。日ごろベンチプレスで腕や胸まわりの筋肉を鍛えている人は、世界記録の更新についても定期的にチェックするとモチベーションの維持に役立つはずです。
ベンチプレスの世界記録の更新を楽しみに期待
ベンチプレスの現在の世界記録とフルギア、ノーギアの違い、そしてベンチプレスの記録遍歴を紹介しました。現在は500kgを超える世界記録が樹立されており、今後さらに記録が伸びることが予想されます。更新を楽しみに期待しましょう。
ベンチプレスをはじめ、スクワットやデッドリフトといったウェイトリフティングは男女の差なく楽しめるスポーツとして確立されてきています。日ごろ筋肉を鍛えている人は、この機会にベンチプレスの記録に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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