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ボディビルダーは糖尿病が多い?
糖尿病は、血液中の血糖値の割合が上昇し、慢性的にその状態が続いてしまう疾患です。糖尿病のタイプは、大きく分けると2種類。インスリンの分泌する膵臓のβ細胞が破壊されインスリンがほとんど分泌されない1型と、飲み過ぎ、食べ過ぎ、ストレス、運動不足などが引き金でインスリンの分泌が阻害されることで起こる2型があります。
糖尿病は、症状だけではどちらなのか判断がつきにくいのが特徴で、一度罹ると完治させることは難しい病気です。気をつけないと誰でもなる可能性がある病気ですが、なぜボディビルダーに糖尿病が多いと言われているのでしょうか?その原因について詳しく見ていきましょう。
ボディビルダーが糖尿病になりやすい原因
以下の京都府立医科大学の研究結果によると、一般に1型糖尿病になる原因は定かではないという報告もありますが、2型糖尿病に関しては、遺伝的要因や生活習慣などの後天的要因が関係していることが多いことがわかりました。
ではなぜ、ボディビルダーは血糖値が高めで糖尿病になりやすいと言われているのでしょうか?原因について論文をもとに詳しく解説していきます。
出典:京都府立医科大学
過度なトレーニングによるストレス
国立国際医療研究センターの糖尿病情報センターによると、有酸素運動や軽い筋トレなどの筋肉の血流が増える運動は、細胞内にブドウ糖が取り込まれやすくインスリンの効果が高まるので、血糖値が下がるメリットがあるということです。しかし、過度なトレーニングは、精神的ストレスの他に肉体的ストレスも加わるためインスリンの作用が不足してしまいます。
有酸素運動により筋肉への血流が増えると、ブドウ糖がどんどん細胞の中に取り込まれ、インスリンの効果が高まり、血糖値は低下します。また、筋力トレーニングによって筋肉が増えることでも、インスリンの効果が高まり、血糖値は下がりやすくなります(これを、インスリン抵抗性の改善といいます)。ただし、運動をやめてしまうとその効果は3日程度で失われていきます。nn『継続は力なり』です。nn一方、強度の高い激しい運動は、からだが動くためにエネルギーを補充しようとして、アドレナリンなどのカテコラミンやグルカゴンという血糖値を上げるホルモンの分泌を増やし、一時的に血糖値が高くなることがあります。nまた、血圧を上げてしまうような高い強度の筋力トレーニングは、心臓や腎臓に負担がかかり、かえって害になります。やみくもにたくさん運動をすればよいというわけではありませんので注意が必要です。
引用元:http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/040/03.html#04
中でも、重量挙げのような呼吸を一時的に止めて行うウエイトトレーニングのやり過ぎで、血糖値が上昇する傾向にあることがわかりました。瞬発力を出すときに使う「速筋(白筋)」の細胞が解糖系と言われており、それがブドウ糖をエネルギー源とするところにあります。速筋を支えるためには、糖質をずっと送り続けなければならず、高血糖の状態が続きます。
さらには、過度なトレーニングによるストレスなどが原因で、血糖値を上昇させるホルモンのグルカゴンやカテコラミンの分泌が増え、血糖値が上昇。この状態が慢性的に続く過度なトレーニングを行うボディビルダーは、糖尿病になるリスクが高いと言われているのです。
(速筋・遅筋の違いなどについては以下の記事も参考にしてみてください)
速筋・遅筋の違いは?鍛え方は?鍛えるメリット〜部位別の割合など徹底解説
出典:Slope[スロープ]
糖質が多い食事の過剰摂取
糖尿病を簡単に言うと、血管内が砂糖で充満している状態です。そうならないようにするためには、ウエイトトレーニングなどの過度な筋トレだけでなく、食事面でも気をつけなければなりません。筋トレに欠かせないプロテインの中には糖質が含まれていますが、プロテインはタンパク質が豊富なので、それだけでは糖尿病のリスクはあまりありません。
以下の東北大学未来科学技術共同研究センターによると、乳清タンパク質(ホエイプロテイン)にはインスリンの働きを高めて血糖値の上昇を抑える効果があることがわかっています。しかし、そのプロテインを糖質の多いスポーツドリンクなどで割ると、血糖値が上昇するリスクがさらに高くなってしまうので注意が必要です。
また、糖質が多く含まれているプロテインを摂取した場合や、含有量が少量でもたくさん摂っている場合は高リスクとなります。その他、食事でも知らず知らずのうちに糖質をたくさん摂っている場合もあるでしょう。事前に、糖質の含有量を確認し、過剰摂取にならないように気を付けるようにしてください。
出典:東北大学未来科学技術共同研究センター