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プロテインで糖尿病になるは嘘!ホエイは血糖値を下げる?研究論文を元に解説!

2021年02月15日

高齢者に多い糖尿病は、インスリンの機能低下で高血糖になり腎臓から糖が排出される病気です。最近ではザバスなどのブランドからホエイや空腹感を抑制するプロテインが販売されていますが、プロテインで糖尿病になることはあるのでしょうか?2つの関係性を詳しく解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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プロテインによって糖尿病になるという噂は嘘!

筋トレやダイエット、健康維持など様々な目的に役立つプロテイン。プロテインで糖尿病になるという噂がありますが、プロテインそのものが糖尿病の原因になることはありません。糖尿病とは、偏った食生活や運動不足、加齢などが原因で、インスリンというホルモンが上手く作用せず慢性的に血糖値が高くなる病気です。血糖値の上昇には糖質が影響します。

プロテインはタンパク質です。タンパク質は、筋肉・内臓・皮膚・毛髪・爪など私たちの身体の約20%を形成する必要不可欠な栄養素です。主に、魚・肉・大豆製品・卵・乳製品に多く含まれています。

タンパク質の摂取で血糖値が上昇することはなく、むしろ乳清タンパク質には血糖値の上昇を抑制する効果があるとさえ言われています。プロテインと血糖値の関係について、研究論文を元に詳しく確認していきましょう。

(プロテインが引き起こす体調不良については以下の記事も参考にしてみてください)

ホエイプロテインは血糖値上昇を抑制して糖尿病予防に?

プロテインに3つの種類があるということを知っていますか?そのうちの1つ、ホエイプロテインと呼ばれるプロテインには血糖値上昇を抑える効果があると言われています。プロテインは原材料の違いによって大きく3つの種類に分けられます。

①ホエイプロテイン
②ガゼインプロテイン
③ソイプロテイン

それでは①ホエイプロテインから確認していきましょう。

①ホエイプロテイン

ホエイプロテインとは、牛乳由来のタンパク質です。ヨーグルトで言うと、透明な液体部分「ホエイ(乳清)」に含まれていることから、乳清タンパク質と呼ばれます。水に溶けやすく消化吸収が早いことが特徴で、筋トレやスポーツでダメージを受けた身体の栄養補給に適しています。ザバスやDNS、マイプロテインなど多くのブランドの商品があります。

②ガゼインプロテイン

ガゼインプロテインとは、ホエイプロテインと同じく牛乳由来のタンパク質です。ヨーグルトで言うと、個体部分に含まれています。水に溶けにくく消化吸収がゆっくりなことが特徴で、成長ホルモンが分泌される就寝前の摂取に適しています。

③ソイプロテイン

ソイプロテインとは、大豆由来の植物性タンパク質です。ガゼインプロテインと同じく消化吸収がゆっくりなことが特徴で、腹持ちが良くダイエットに適しています。他のプロテインと比較すると安価なことでも知られています。

次にホエイプロテインの効果について解説していきます。

ホエイプロテインは血糖スパイクを抑制し肥満を解消

3種類のプロテインのうち、ホエイプロテインには血糖値の上昇を抑える効果があることが分かっています。2016年に開催された米国内分泌学会で、以下のような研究結果が発表されました。

平均年齢59歳の2型糖尿病患者48人を3グループに割り振り、23か月間におよぶ実験を実施。3グループは朝食の内容で分けられており、ホエイプロテインを含む食事、その他プロテインを含む食事、炭水化物やデンプンを含む食事を毎日摂取しました。

この結果、ホエイプロテインには血糖スパイク(食後1~2時間で血糖値が上昇し、その後元の状態に戻ること)を抑制する効果があることが分かりました。さらに空腹感を抑える効果があり、肥満解消の効果も期待できます。

ホエイプロテインはインスリンの効果を高めて高血糖を改善

また、東北大学未来科学技術共同研究センターの発表によると、ホエイプロテインには2型糖尿病の発症を抑制する効果があります。実験でマウスにホエイプロテインを投与したところ、肥満・2型糖尿病の傾向にあると血中濃度が増加するホルモン「FGF21」の分泌が抑制されました。

高脂肪食をマウスに与えると、肥満・糖尿病を来たす前に、早期から血中FGF21濃度が増加することを明らかにしました。このことから、FGF21は肥満・2型糖尿病の発症を促す食習慣を反映するバイオマーカーとしての役割が期待されます。nまた、末梢由来セロトニン(注2)分泌を遺伝子工学的に抑制させたマウスでは肝FGF21の発現と血中FGF21濃度が低下することが判明しました。n更に高脂肪食とともに乳清タンパク質のホエイプロテインをマウスに投与すると、高脂肪食による末梢由来のセロトニンと肝臓由来のFGF21の分泌増加が抑制され、インスリン抵抗性と高血糖が改善されました。

引用元:https://www.niche.tohoku.ac.jp/?p=4173

プロテインで血糖値が上昇し糖尿病になると言われる理由

プロテインそのもので血糖値が上がることはないと分かりました。それでは、なぜ「プロテインで糖尿病になる」と言われるのでしょうか。プロテイン摂取後に血糖値が上昇する事例を確認しましょう。

理由①プロテインに糖質が含まれている

「筋トレ後に身体を大きくするため摂取する」というイメージが強かったプロテイン。最近ではダイエットや健康のために利用する人も多く、粉末タイプのプロテインやプロテインドリンク、プロテインバーなどが販売されています。どのプロテインでもタンパク質だけでなく、糖質が含まれているものがほとんどです。この糖質が血糖値を上昇させます。

理由②プロテインを割る飲み物に糖質が含まれている

粉末タイプのプロテインは牛乳や水で粉を溶いて飲むことが一般的です。他にも飲みやすさや栄養補給のために、スポーツドリンクやジュース等で割るという人もいます。牛乳やスポーツドリンク、ジュース等には糖質が含まれており、血糖値を上昇させます。

理由③食事に糖質が含まれている

筋トレ後だけでなく、カロリーコントロールやタンパク質を補給するために、食事の前後にプロテインを摂取する場合があります。プロテインが糖質ゼロであったとしても、同時に摂取する食事が糖質を含む場合には血糖値を上昇させます。

(プロテインの割り方については以下の記事も参考にしてみてください)

場合によってはプロテインによって血糖値が上昇し糖尿病の原因にも?

糖質は身体のエネルギー源になる大切な栄養素の一つで、糖質を摂取した後で血糖値が上がることは極自然なことです。しかし、血糖値の極端な上昇や糖質の過剰摂取で慢性的に高血糖の状態が続くと、糖尿病になる可能性があります。ここでは、プロテインを摂取する際に注意すべきポイントをいくつか紹介していきます。

血糖値を極端に上昇させるNG例

プロテインを摂取する際に、血糖値を極端に上昇させてしまうNG例を紹介します。

NG例①糖質を多く含むプロテインを摂取

プロテインは目的別にさまざまな栄養素を含有していますが、中には糖質を多く含むものがあります。注意しないと糖質の過剰摂取に繋がる可能性があり、健康のためにプロテインを摂取しているのに高血糖になってしまうなんてことになりかねません。

また、糖質の含有量が少ないものでも、大量に摂取してしまえば糖質過多となります。例えば、プロテインバー1本あたりの糖質が少なかったとしても、2本、3本とたくさん食べてしまった場合には多くの糖質を摂取することになるでしょう。

NG例②糖質を多く含む食事や間食と一緒にプロテインを摂取

どれだけプロテインの糖質含有量に気を付けていても、炭水化物や砂糖など糖質が多い食事を摂っていれば、血糖値は上昇し糖尿病リスクが高まる可能性があります。

(プロテインの正しい飲み方については以下の記事も参考にしてみてください)

血糖値上昇を防ぐポイント

では、プロテインを摂取する上で血糖値の上昇を抑制するために、何に気を付けるべきでしょうか。

ポイント①プロテインに含まれる糖質をチェック

運動量や体重から糖質摂取量の目安を把握した上で、自分に合ったプロテインを選ぶことが大切です。プロテインの包装に記載されている成分表で、糖質の含有量を確認することができます。また、プロテインを割る飲み物や普段の食事の糖質も考慮しましょう。

特に高齢者の方は、加齢でインスリンの機能が低下している可能性が高く、高血糖状態が続きやすくなります。糖質摂取量には、十分注意しましょう。

ポイント②食べる順番に注意

プロテインを食前に摂取することで、血糖値上昇を抑制する効果が期待できます。2018年の徳島文理大学の研究論文では、健康な学生78人を対象に行った食事実験で糖質よりも先に野菜とタンパク質を摂取すると食後の血糖値上昇が抑制されたという結果を発表しています。

食べる順番は,食後の血糖値に影響を与えることが本研究でも確認された。食べる順番のみを変えた場合,同量のエネルギー,栄養素でも血糖変動に差があり,野菜やタンパク質を先に摂取することが食後高血糖予防に有用であることが示された。野菜とタンパク質の個々の効果を検証すべく行った試験Ⅱでは,野菜よりタンパク質食品の方で血糖上昇の抑制が強いことが示された。

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokusimabunriu/96/0/96_45/_pdf/-char/ja

糖尿病の人がプロテインを飲んでもいいの?

糖尿病の人は血糖値をコントロールすることが重要です。プロテインに含まれる糖質量を確認し、自分が摂取しても良い量の範囲内でプロテインを摂取する分には問題ないでしょう。

また、タンパク質の摂取量にも注意する必要があります。過剰摂取すると、体内で分解されたタンパク質を老廃物として排出する腎臓に負荷がかかります。糖尿病で高血糖状態になると腎臓に負荷がかかり、腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症になるリスクが高いです。糖尿病性腎症になると、腎臓の負荷を軽減するためにタンパク質の摂取量が制限されます。

自分の病状から糖質、タンパク質の摂取量の目安を確認した上で、プロテインの摂取を検討するようにしましょう。

(プロテインの危険性については以下の記事も参考にしてみてください)

プロテインで血糖値が上がって糖尿病になるリスクは心配しすぎずに!

この記事を読んで、プロテインそのものが血糖値を上昇させ糖尿病の原因になることはないと安心してもらえたのではないでしょうか。ただし、プロテインに含まれる糖質量を把握した上で正しく摂取しないと、健康を害するリスクがあることも事実です。

何よりもバランスのとれた食生活を心掛けることが糖尿病予防に繋がります。食事で補えない栄養素をプロテインで補うことが理想ですので、プロテインの特徴をよく理解し上手く活用しましょう。