抜け毛は病気のサインかも。正常・異常の見分け方は?対策〜受診の目安まで解説
抜け毛は病気のサインという話を聞いたことはありますか?今回は、甲状腺・バセドウ病などといった抜け毛が増えると考えられ流病気の種類や、抜け毛の症状の正常・異常の見分け方まで詳しく解説していきます。さらに、病気による抜け毛が考えられる場合の対策や、抜け毛で受診すべき目安についても詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
目次
抜け毛は病気のサインって本当?

朝起きたときの枕や、お風呂で髪を洗った際に大量の抜け毛が目立って不安という方は少なくありません。さらに、抜け毛は病気のサインという噂も聞いて「ハゲてしまう」「病気かも」という不安のダブルパンチをくらっている方もいるでしょう。
基本的な抜け毛の原因は、季節の生え変わり、ストレス、生活習慣の乱れ、栄養不足などが挙げられます。しかし、抜け毛の症状によっては、重い病気のサインということも考えられるのです。
そこでまずは、抜け毛が起きたら考えられる病気の種類から紹介していきます。
(枕の抜け毛については以下の記事も参考にしてみてください)
抜け毛が起きたら考えられる病気

それでは、抜け毛がサインとなる病気について確認していきましょう。
糖尿病
糖尿病は高血圧・脂質異常症を並行して発症していることが多く、血管に大きな問題を抱えています。髪の毛の健康状態をキープするには、良好な血液の運搬が必要です。しかし、血管障害により老廃物が排出できなくなったり、良好な血液の運搬が阻害されてしまうと抜け毛の原因となってしまい薄毛が進んでしまいます。
ただ、この理論に関しての医学的な根拠は出ていないのが現状です。しかし、糖尿病患者に抜け毛の症状が多くみられ流という事実から、糖尿病は抜け毛に関係しているのではと言われています。
(抜け毛の原因については以下の記事も参考にしてみてください)
膠原病(こうげんびょう)
膠原病は全身性エリテマトーデス、関節リュウマチ、シェーグレン症候群などの病気の総称です。膠原病の初期症状は風邪に似ており、発熱、関節の痛み、倦怠感などが挙げられます。
さらに症状が重くなっていくと関節が変形してしまったり、臓器障害を起こしたり、急に抜け毛が増えるといった症状も見られるのです。抜け毛が目立つラインまできているということは重症の可能性があるので、軽視せずに一度病院に足を運ぶことをおすすめします。
梅毒
抜け毛が起きると性感染症の梅毒である可能性も高まります。梅毒は初期症状があまりなく、発症から3週間後あたりに潰瘍やシコリといった症状が出てくるのが特徴です。さらに厄介なことに、一度症状の改善を感じた1〜7週間後に抜け毛、皮疹、発熱といった症状が出てきます。
梅毒は、梅毒トレポネーマに感染している人との粘膜接触によって起きます。したがって、抜け毛の増量を感じ、梅毒の感染条件に少しでも心当たりがある方は病院に行きましょう。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は文字通り鉄分が不足することにより、体中に酸素を運ぶ働きを担う『ヘモグロビン』の生産量を減少させてしまい倦怠感、動悸・息切れ、抜け毛などを引き起こすことをいいます。
前途した通り健康な髪の毛を維持するには、良好な血液の運搬が必須です。したがって、鉄欠乏性貧血により血液中の酸素が少なくなってしまうので、髪に良好な栄養が行き届かずに抜け毛が増えてしまいます。
鉄分はサプリメントや薬などで簡単に摂取できますが、さらに血液に関わる重い病気を発症している可能性があるので一度病院へ足を運びましょう。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病とは甲状腺機能を異常に高めてしまうことにより、甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう病気です。甲状腺ホルモンが過剰分泌されると新陳代謝が活発になり、常に体を動かしている状態となり体力を消耗してしまいます。このことにより動悸・息切れや、睡眠障害、イライラなど多数の悪影響を引き起こし、ストレスやホルモンバランスの乱れによって抜け毛の原因にもなるのです。
様々な症状を引き起こす病気の為、一つでも症状があてはまり抜け毛がひどくなってきた場合は病院に行きましょう。
病気の可能性がある抜け毛の見分け方

以上より、抜け毛には多数の病気の可能性があるということは理解できたでしょう。そこで次は、病気の可能性がある抜け毛の症状の見分け方について理解する必要があります。
それでは、病気の可能性がある抜け毛の見分け方について解説していきます。
男性型脱毛症(AGA)
男性型脱毛症は『AGA』とも呼ばれ、男性の薄毛の大半がこの症状です。前髪の生え際や頭頂部から徐々に抜け毛が進行し、最終的には横・後ろ以外の髪が全て無くなります。サザエさんに出てくる波平のような状態になってしまうのが特徴です。
AGAは毛根の奥にある5αリダクターゼが、男性ホルモンに含まれるテストステロンを髪の毛の成長を妨げる『ジヒドロテストステロン』に変換することにより発症します。本来はこれら全て男性機能を活発化させる重要な機能を持っていますが、男性ホルモンが過剰分泌されてしまうと抜け毛の原因となり薄毛を進行させてしまうのです。
上記の事柄は病気によるホルモンバランスの乱れの可能性もあるので、一度診断を受ける必要があります。早期の診断により病気でなくてもAGAによる薄毛の進行を止められるので、不安になったらすぐに病院に行ってみましょう。
円形脱毛症
円形脱毛症は自己免疫疾患によって引きを越される抜け毛の症状の一つです。自己免疫疾患とは体に入るウイルスを攻撃して倒してくれる免疫が、自分の細胞を敵だと勘違いをして攻撃してしまう病気になります。自己免疫疾患は、過度なストレスや、ホルモンバランスの乱れにより発症されると言われています。
さらに、抜け毛の症状が多数あるので覚えておく必要があります。円形脱毛症の症状は下記の通りです。
・単発型:頭髪の一部に円形・楕円形の抜け毛が発生します。
・多発型:頭髪の複数箇所に円形・楕円形の抜け毛が発生します。
・蛇行型:後ろ〜横の生え際に帯状の抜け毛が発生します。
・汎発型:髪だけでなく全身の毛がまばらに抜けていきます。
円形脱毛症は、髪を育てる為の機能が病気により阻害されていることが原因なので、すぐに病院にいくことをおすすめします。
脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)
脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂が過剰分泌されて頭皮環境が悪くなることによって抜け毛を発症する病気です。多くの原因はシャンプーのしすぎによる過剰な皮脂の除去、シャンプーやワックスのすすぎ残しとなります。
しかし、睡眠不足や栄養不足、他の病気によるホルモンバランスの乱れによっても起こりえます。したがって、頭皮がオイリーで抜け毛が気になり始めた方は上記の原因を改善するだけでなく、根本の原因となりうる他の病気の可能性を疑う必要があるのです。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は女性に多くみられる症状で、広範囲にわたって抜け毛を発症してしまうという特徴があります。びまん性脱毛症は『女性男性型脱毛症(FAGA)』の別名でもあり、女性ホルモンの分泌が減少する代わりに男性ホルモンが分泌することによって発症するのです。
びまん性脱毛症は、加齢による女性ホルモン分泌の減少、栄養・睡眠不足、過度なストレスなど原因は様々です。これらによるホルモンバランスの乱れが根本の原因なので、同時に発症している他の病気を疑う必要が出てきます。
分娩後脱毛
産後に抜け毛が気になっている方は、そこまで心配する必要はありません。人間は、分娩後の2~3ヵ月間に抜け毛が進行する仕組みになっており、半年ほどで自然と髪が生え変わります。
反対に妊娠中は健康な髪を維持する働きのあるエストロゲンが多く分泌されるため、抜け毛が発症しづらくなります。このような状態から分娩後にエストロゲンの分泌が一気に抑えられ、本来抜けるはずであった髪が抜けるので抜け毛が急に増えるのです。
したがって、人間の体の仕組みによるものなので抜け毛以外に変えあった症状がなければ、特に気にする必要はありません。
牽引性脱毛(けんいんせいだつもう)
牽引性脱毛とは、何らかの理由で髪が引っ張られることによる抜け毛です。これは日常から髪を束ねている女性に多い症状になります。
したがって、髪を引っ張っている原因さえわかればすぐに改善できるので、他の症状とは違って病気等を疑う必要はありません。体に不調が見当たらないのに抜け毛が多いといった場合は、牽引性脱毛を疑ってみましょう。思いもしなかったタイミングで、髪が引っ張られて抜け毛に繋がっていたということが多々あるので要注意です。
(毛根で抜け毛の危険度を判断する方法については以下の記事も参考にしてみてください)
病気の可能性がある抜け毛に対する対策

抜け毛が増えてきて病気の可能性がある場合にすべき対策は、基本的に生活習慣の改善です。抜け毛が増えてから病気を発症するのではなく『体の不調→病気→抜け毛』という順番で推移していくので、日頃の生活習慣の質が大きく関わってきます。この中でも重要な2項目を紹介するので参考にしてみてください。
①食生活を正す
栄養の偏った食事を摂っていると、健康な髪の毛を作る為の栄養が不足してしまいます。抜け毛が増えてきたらヘアケアでの改善を真っ先に行いがちですが、抜け毛の原因は内臓の不調によるものが多いのです。
そのためには、食生活を改善してバランスよく栄養素を摂取していくことが抜け毛を防ぐ対策となります。食事では補いきれない栄養素は、積極的にサプリメントなどを使用して摂取しましょう。
(抜け毛の予防策については以下の記事も参考にしてみてください)
②睡眠をよく取る
睡眠不足は、最も体の調子を狂わしてしまう原因の一つになります。睡眠不足で体が回復されないと健康な髪を作る為の血液の質が悪くなってしまったり、ホルモンバランスが崩れてしまったりと抜け毛の原因になってしまうのです。
さらに睡眠不足が蓄積されるとストレスの原因にもなり、抜け毛の原因をどんどん増やしていってしまうので注意が必要です。
抜け毛で病院に行くべき目安は?

抜け毛で病院に行くべき目安は『自分が普段よりも多く感じ不安になった時すぐ』です。分娩後脱毛や牽引性脱毛など人間の体の仕組みや、根本の原因を直せば解決する抜け毛もあります。しかし、AGAやその他の病気であった場合は、早期発見をしなくては後戻りできないほど悪化させてしまうこともあるのです。
したがって、抜け毛が多く原因がわからないといった場合は悩まずすぐに病院に行くようにしましょう。
(季節性の抜け毛については以下の記事も参考にしてみてください)
抜け毛は病気の可能性もあるから軽視せずに
抜け毛がサインとなる病気の種類や、病気の可能性のある抜け毛の症状の見分け方、病気の可能性になる抜け毛を防ぐ対策について詳しく解説してきました。抜け毛は健康な方でも起こるものですが、量が多かったり、急に発症したりした場合は病気の可能性があり注意が必要です。少しでも不安に感じたら後回しにせず、病院に行くなりしっかり向き合いましょう。