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エキセントリック収縮が筋肥大に効果的!筋肉痛の要因?やり方&メニューまで紹介!

2020年10月04日

野球や陸上、垂直跳びなどの競技力向上にも有効と言われているエキセントリック収縮。筋肥大に効果的で筋肉痛の要因とも言われていますが、どうしてなのでしょうか。今回は、エキセントリック収縮について筋肥大に効果的な理由やスクワットなどのメニューについて紹介していきます。

【監修】パーソナルトレーナー 高津諭

トレーニング指導歴22年。大阪・兵庫を中心に活動するパーソナルトレーニングを提供しています。現在、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のマスタートレーナーとして、またJOTスポーツトレーナー学院の校長として後進の育成、指導にも尽力している。HP / ブログ / Twitter

エキセントリック収縮とは?

エキセントリック収縮とは筋肉の収縮様式の1つです。関節を動かすことで生じる動的収縮は、主に筋肉が縮みながら収縮する状態のコンセントリック収縮と、筋肉が引き伸ばされながら収縮する状態のエキセントリック収縮に分けることができます。

イメージとしては、アームカールにおいて、肘を曲げウエイトを持ち上げる時をコンセントリック収縮(ポジティブ)。肘を伸ばしてウエイトを下ろす時をエキセントリック収縮(ネガティブ)としています。

一般的に、より重いウエイトを持ち上げることに注力する方が多くなりがちです。しかし、持ち上げるよりも、むしろ下ろすときのエキセントリック収縮を意識することにより今まで以上に筋肉痛が起こり筋肥大することができます。


エキセントリック収縮と筋肥大の関係性

筋肥大や筋肉痛の仕組みは正確には明らかになっていませんが、効果的に筋肥大するには筋肉痛との関係性が大きいと考えられています。

筋トレにより、筋肉が負荷を受けると筋繊維の破壊が起こるということはみなさんご存じですよね。筋肉痛は、筋繊維の破壊より、クレアチンキナーゼなどの物質を筋繊維から逸脱させ、逸脱した物質を異物と認識したマクロファージが物質を除去するため働くことにより炎症が起こると考えられています。この炎症を筋肉痛と総称しています。

筋繊維の破壊にはさまざまな要素があり、部位や条件にもよりますが、一番効率よく破壊せれる動作がエキセントリック収縮です。最近では、エキセントリックトレーニングのみの筋トレを行うエキセントリックトレーニング専門ジムが存在します。

(筋繊維の破壊からの超回復については以下の記事も参考にしてみてください)

エキセントリック収縮のトレーニング

エキセントリック収縮のトレーニングは、ゴルフのスイングや野球のバッティングのような動作の遠心力を利用するためのトレーニングにもなります。遠心力で身体の末端が伸ばされながらスムーズに筋発揮することで飛距離アップにつながるため、エキセントリック収縮のトレーニングは重要です。

ここからは、筋肥大に加え、競技力向上にも効果的なエキセントリック収縮に関するトレーニングメニューを3つ紹介していきます。

アームカール

上腕二頭筋トレーニングのアームカールは、エキセントリックトレーニングの基本的な種目の1つです。ゆっくり行うことでより太く大きい二頭筋を作ることができるためおすすめです。

▼アームカールのやり方
①かかと体重にします
②みぞおちとお尻を1cm後ろに引く
③横から見て肘は骨盤より少し前に設定
④上腕二頭筋を縮めながら挙上する
⑤挙上したとき2秒止める
⑥ゆっくり上腕二頭筋を伸ばしながら下ろす

基本としては、10~12回できる重さで3~5セットを週1~2回行います。パートナーがいる場合は、10回できる重さの1.5倍程度でサポートについてもらいながら行いましょう。

▼アームカールのコツ&注意点
・あくまでも上腕二頭筋を縮める伸ばすを意識
・ダンベルを上げるという意識はNG
・身体はできるだけ動かないように固定する
・ネガティブ動作は4秒以上ゆっくり行う
・ネガティブ時は肘が伸び切らないように

パートナー無しのトレーニングで、限界に達し挙上不可能の場合、チーティング法で反動をつけ挙上してからネガティブを通常より時間をかけて行うと、より効率的に筋肥大できるテクニックもあります。

(詳しいチーティングの方法については以下の記事も参考にしてみてください)

懸垂

背中の筋肉である広背筋、大円筋などのトレーニングとして懸垂(チンニング)がありますが、鉄棒のような平行なバーで行うことで、よりエキセントリック収縮を意識した筋肥大に効果的な筋トレを行うことできます。

▼懸垂のやり方
①手幅は肩幅よりも広めで握る
②しっかり深くバーを握る
③バーに鎖骨を近づけるように上がる
④背中の筋肉が収縮するところまで上げる
⑤下ろすとき肩甲骨を広げるように下ろす

平行バーでの懸垂は日常のジム等の少し角度のついた懸垂バーと異なる刺激を入れることができるので、月1回程度を目安に、限界まで回数をこなして、1分レストをはさんでまた限界までを繰り返すというトレーニングメニューに加えてみてください。

▼懸垂のコツ&注意点
・手幅が狭くならないよう広めで握る
・腰から下は脱力
・胸を反りすぎない
・上げるというより背中の筋肉を収縮させる
・下ろすとき大きく息を吸う
・筋肉を伸ばすと、よりエキセントリック収縮
・降下時少し反るイメージで、首の角度は一定

懸垂はフォームが重要で、手幅を狭くすると背中ではなく上腕二頭筋などに負荷がかかってしまったり、下半身や腹筋の反動をつけてしまうと背中の筋肉に負荷がかからなかったりと、難しい種目です。なのでフォームをしっかりチェックしながら行ってみてください。

懸垂ができないという方は、低めのバーや椅子やジャンプを利用して上がった状態からフォームをしっかり意識して、ネガティブ動作をゆっくりと行うと背中の筋肉にしっかりと刺激を入れることができます。

エキセントリックスクワット

エキセントリックトレーニングには、ゆっくりした動作でウエイトを下ろすという動きの他に、急激な動きを停止するというトレーニング方法があります。今回は、1つの例としてスクワットを紹介します。

▼エキセントリックスクワットのやり方
①腕を前方に肩の高さまで上げて構えます
②素早くしゃがみます
③しゃがむと同時に腕を素早く下ろします
④しゃがみきったら停止
⑤もとの姿勢に戻る

このトレーニングにはおすすめの頻度はなく、たまに行うことで効果を得ることができます。行う際は瞬発的な怪我に注意しましょう。

▼エキセントリックスクワットのコツ&注意点
・腕を含め、できるだけ素早く動作する
・上半身と下半身の連動させる
・しゃがみきったらしっかりと停止する


スポーツには切り返しの動作が多く存在し、急激な減速が必要になります。そこで、このようなトレーニングを取り入れることにより減速動作のトレーニングをすることができるのです。

ネガティブレップ法もチェックしておこう

エキセントリック収縮トレーニングを行うには、ネガティブレップ法もチェックしてみてください。ネガティブレップ法は、エキセントリック収縮トレーニングの1種です。日常の筋トレよりもウエイトを自身でポジティブ動作ができるかできないかぐらいの高重量に設定し、ネガティブ動作を重要視した筋トレを行います。


筋トレにおいてウエイトを持ち上げる動作をポジティブ、ウエイトを下ろす動作をネガティブと言い、たとえばアームカールでは、肘を曲げる時がポジティブ、肘を曲げる時がネガティブにあたります。ネガティブレップ法は、挙上した状態からゆっくりとネガティブ動作を行うという方法です。

挙上できない場合は、パートナーに挙げてもらいましょう。懸垂では、ジャンプしてつかまりゆっくりと降りてくるなどの方法があります。

(さらに詳しいトレーニング方法は以下の記事を参考にしてみてください)

エキセントリック収縮トレーニングの実施風景

ここからは、実際にエキセントリックトレーニングを行っている風景を紹介していきます。筋肥大からけが予防になるトレーニングまであるので参考にしてみてください。

フラットダンベルプレス



ゆっくり下ろすことでエキセントリック収縮に負荷がかかります。さらにこの方の場合、ダンベルをより低い位置まで下すことにより、胸筋がストレッチされ多くの負荷をかけることができていてとてもきれいなフォームです。

エキセントリック懸垂



懸垂がなかなかできないという方におすすめのトレーニングです。このトレーニングを行って筋肉をつけて、通常の懸垂にチャレンジしてみてください。

ロシアンハムストリングス



ハムストリングの肉離れは、大腿四頭筋とハムストリングの筋力比が大きく偏りにより起こるという研究結果もあります。多くの方は、ハムストリングが弱くなりがちです。このトレーニングは、ハムストリングに対するエキセントリックトレーニングになるのでハムストリングの肉離れの予防にも有効です。

エキセントリック収縮を理解して筋トレ効率UP

今回、エキセントリック収縮は、筋肥大に効果的な理由について紹介しました。野球やゴルフだけでなく、陸上や垂直跳びといった身体能力の向上にも貢献します。ぜひ日々のトレーニングに取り入れてみてください。