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PFCバランスは筋トレ・ダイエット成功の鍵!計算方法〜献立例まで紹介!

2020年10月06日

【パーソナルトレーナー監修】「PFCバランス」をご存じですか?PFCバランスとは、タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素のバランスのことです。このバランスを適正に保つことが筋トレやダイエットにとって非常に重要です。今回は、PFCバランスの計算方法、PFCバランスの良い献立例を紹介します!

【監修】パーソナルトレーナー 野上鉄夫

健康運動指導士/NSCA-CPT/JATI-ATI/トレーニング指導歴34年/指導人数1万人以上/Twitterフォロワー数15万人/YouTubeチャンネル登録者数1.5万人/ブログPV300万PV以上

PFCバランスとは?

あなたは、ダイエットや、ボディメイクの為の筋トレを行っていますか?効率的なダイエット・ボディメイクのためには「食事」は重要な要素です。そして、健康的な食事をとるために重要なものが、「PFCバランス」という概念です。今回は、PFCバランスについて解説していきます。筋トレやダイエットを成功させるために、ぜひ最後まで読んでいってください。

まず、PFCバランスのPFCとは、三大栄養素の「P=タンパク質(Protein)」「F=脂質(Fat)」「C=炭水化物(Carbohydrate)」の頭文字を取った言葉です。そしてPFCバランスとは、摂取カロリーのうち、これら三大栄養素が占めるべき割合のバランスのことを指します。

食事の際はカロリーだけを気にするのではなく、その中に含まれる栄養素の割合を考えることが重要なのです。それでは、PFCバランスの計算方法について詳しく解説する前に、タンパク質、脂質、炭水化物について、その役割や不足した際の影響について紹介していきます。

PFCバランスの『P(タンパク質)』について

まずは、炭水化物・脂質とともに三大栄養素の一つであり、20種類のアミノ酸から構成されるタンパク質について解説します。

タンパク質の役割

タンパク質は人の体の主成分の一つであり、筋肉や皮膚、血液、骨などを構成している他、酵素やホルモン、免疫細胞をつくる役割をもっています。人の体の約15~20%がタンパク質であり、全体の約5分の1を占める重要な要素です。水分が人の体の60%を占めますから、水分を除けばタンパク質は人の体の約半分を占めているということになります。

筋肉にとってもタンパク質は非常に重要であり、水分を除くと筋肉の約80%をタンパク質が占めています。筋肉を維持したり筋肉をつけていくためには、タンパク質が必要不可欠なのです。

タンパク質が不足するとどうなる?

20種類あるアミノ酸の中でも、9種類は人の体内でつくり出すことができません。その為食事から摂取する必要があり、食生活が乱れることによってタンパク質不足に陥ってしまいます。タンパク質不足による体への影響には、以下のようなものがあります。

・筋肉量の減少
・内蔵機能の低下
・免疫力の低下
・肌や髪のトラブル

タンパク質が多く含まれる食材

タンパク質が多く含まれている食材には以下のようなものがあります。

・肉類
・魚介類
・卵類
・乳製品
・大豆製品

筋トレやダイエット中の人は、タンパク質不足を補うために、栄養補助食品であるプロテインを飲んでいることも多いですね。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

肉類に関しては部位によりタンパク質含有量は大きく変わります。赤身の多い肉類はタンパク質が豊富ですが、カルビのような白い脂質の多い肉類もあります。赤身のお肉を中心にチョイスしていきましょう。

(筋トレに必要なタンパク質の摂取量については以下の記事も参考にしてみてください)

PFCバランスの『F(脂質)』について

次に、脂質についてです。

脂質の役割

脂質は、三大栄養素の中で最もカロリーが高いのが特徴であり、身体のエネルギー源となる成分です。身体に蓄えられた脂質が分解されることによってエネルギーとなり、日々の活動の源になります。また、皮下脂肪として臓器を保護する、体温調節を行う、体の細胞膜やホルモンの材料となる、栄養素の代謝を促進するといった様々な役割を果たしています。

脂質が不足するとどうなる?

脂質は摂りすぎると肥満の原因になることから敬遠されがちなものですが、過度な制限による脂質不足は身体にとって悪影響です。エネルギー不足やホルモンバランスの乱れなど、体調不良の要因となります。加えて、脂質とともに吸収される脂溶性ビタミンが吸収されにくくなることから、ビタミン不足にもつながります。

脂質が多く含まれる食材

脂質が多く含まれている食材には以下のようなものがあります。

・植物油やバターなどの油脂類
・チーズ・生クリームなどの乳製品
・ナッツ類やスナック菓子
・脂肪の多いお肉

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

脂質にはさらにオメガ9.オメガ6.オメガ3と言う種類の脂質に分かれていきます。一番お勧めなのはオメガ3と言う種類に脂質で、青魚に多く含まれています。

(ナッツの筋トレへの効果については以下の記事も参考にしてみてください)

PFCバランスの『C(炭水化物)』について

最後に、炭水化物について解説をしていきます。

炭水化物の役割

炭水化物は、糖質と食物繊維に分けられます。糖質は、筋肉や脳の重要なエネルギー源です。糖質はタンパク質、脂質に比べて消化吸収が速いため、効率よくエネルギー源となります。また、糖質は吸収されるときにブドウ糖となってエネルギーをつくり出しますが、このブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。

食物繊維は消化吸収されないためエネルギー源にはなりませんが、腸内環境を整え、糖質や脂質の吸収を緩やかにしてくれます。

PFCバランスで炭水化物というと、糖質のことを指します。糖質を摂取するとタンパク質の吸収を高めることもできるので、体を引き締めたいときにも摂取するべき成分です。

炭水化物が不足するとどうなる?

炭水化物(糖質)が不足すると筋肉や脳のエネルギーが不足してしまうため、疲れやすくなったり、脳の働きが低下してしまったりします。また、炭水化物が不足すると、身体は筋肉の主成分であるタンパク質を分解してエネルギーをつくり出そうとします。結果として筋肉量の低下につながってしまう為、炭水化物の摂取はボディメイクをする際にも重要です。

ダイエットの中でも定番となっているものの一つに糖質制限ダイエットがあり、多くの人が行っているのではないでしょうか。しかし、過度な糖質制限は様々なデメリットにもつながるので、制限しすぎないように気をつけるようにしましょう。

炭水化物が多く含まれる食材

炭水化物(糖質)が多く含まれている食材には以下のようなものがあります。

・ご飯、パン、麺類などの穀類
・いも及びでん粉類
・砂糖及び甘味類
・果実類

各栄養素について理解したところで、次からはPFCバランスについて考えていきまょう。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

糖にも単糖類、小糖類、多糖類と種類が分かれます。この中で単糖類や小糖類が甘味の強い糖質になります。こう言った糖質は、一度に沢山摂取する事のないように気をつけましょう。

(筋トレと白米との関係については以下の記事も参考にしてみてください)

PFCバランスは摂取カロリーの把握が必須

自分に必要なPFCバランスを計算するには、まずは1日に摂るべき摂取カロリーを把握することが必要です。筋肉量を維持した健康的なダイエットの為には適度にカロリーを摂取することが大切であり、男性が1日に摂るべきカロリーの目安は「除脂肪体重×40kcal」で求めることができます。

除脂肪体重とは、体重から体脂肪分の重さを差し引いた値です。つまり、

【摂取カロリーの目安={体重-(体重×体脂肪率)}×40】

となります。

摂取カロリー計算例

1日の目安となる摂取カロリーを計算する際は、まず始めに除脂肪体重を求め、その後除脂肪体重をもとに摂取カロリーを計算します。

▼体重60kg、体脂肪率20%の男性の場合

除脂肪体重=60kg-(60kg×20%)=48kg

摂取カロリーの目安=48kg×40kcal=1,920kcal

以上のように、この男性の1日の摂取カロリーの目安は1,920kcalであることが計算できます。

PFCバランスの計算方法

1日の摂取カロリーの目安が分かったところで、いよいよPFCバランスを計算することができます。PFCバランスの計算方法を見ていきましょう。ここでも、先程挙げた「体重60kg、体脂肪率20%、摂取カロリー1,920kcal」の男性を例に計算していきます。

それぞれの栄養素に含まれるカロリー

タンパク質、脂質、炭水化物を1日にどのくらい摂るべきかを計算するためには、それぞれの栄養素1gあたりに含まれるカロリー量を知る必要があります。それぞれの栄養素1gあたりのカロリー量は以下の通りです。

・タンパク質:1gあたり4kcal
・脂質:1gあたり9kcal
・炭水化物:1gあたり4kcal

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

運動時の消費カロリーは、脂質は7.2キロカロリーで計算されます。しかし食事での摂取の時は脂質は9キロカロリーで計算されます。ここを混同される方がたまにいらっしゃいまが、この辺はちょっとややこしいですよね。

タンパク質【PFCバランスの計算方法】

PFCバランスを計算する際にまず求めるのが、タンパク質の摂取量です。タンパク質の1日の目安量は、体重1kgあたり1.0~2.0gとされています。これは普段の筋トレや有酸素運動などのトレーニング量によっても異なってきます。あまり運動しない人は1.0g、平均的なトレーニング量の人は、1kgあたり1.5gが目安です。

「体重60kg、体脂肪率20%」の男性の場合、「60×1.5g=90g」となり、1日当たり90gのタンパク質を摂るのが望ましいということになります。タンパク質1gあたりのカロリーは4kcalであるため、

90g×4kcal=360kcal

となり、摂取カロリーのうち360kcal程度のタンパク質を摂る必要があるということが分かります。徹底的に筋トレを行っているバルクアップ中の方は、タンパク質の量をもう少し増やすようにしましょう(体重1kgあたり2~3gが目安)。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

タンパク質の一回の摂取量の目安は20gです。お肉やお魚のタンパク質含有量は概ね20%位なので調理段階の損失も見越して100g〜150gを目安に摂取していきましょう。筋トレ後は特に筋肉がタンパク質を求めているタイミングです。この時には消化吸収の早いタンパク質を摂取する事が求められます。最もお勧めはホエイタイプのプロテインを水で溶かして飲む事です。この時に牛乳に溶かすと吸収速度が遅くなるので注意が必要です。牛乳に溶かすのは就寝前にプロテインを飲む時にしましょう。

脂質【PFCバランスの計算方法】

タンパク質の次に求めるのが、脂質の摂取量です。脂質の摂取量の目安は摂取カロリーの内の15~30%とされており、今回は20%で計算をしていきます。すると、例の男性の場合、

1,920×20%=384kcal

となり、脂質の1日の摂取量の目安は384kcal程度であることが分かります。これをgで表すと、脂質の1gあたりのカロリーは9kcalであるため、「384kcal÷9g≒42.7g」となります。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

オメガ9の摂取上限は男性大さじ2杯弱、女性大さじ1.3杯です。オメガ6は、大さじ1.6杯、総摂取カロリーの10%未満となります。オメガ3は男性2.2g以上、女性1.8g以上の摂取が推奨です。油の摂取バランスの目安にお役立て下さい。

炭水化物【PFCバランスの計算方法】

タンパク質と脂質の摂取量が分かったところで、最後に炭水化物の摂取量を求めます。炭水化物の摂取量は、摂取カロリーからタンパク質と脂質のカロリーを引くことによって求めることができます。つまり、

1,920kcal-(360kcal+384kcal)=1,176kcal

が炭水化物の摂取量の目安です。炭水化物の1gあたりのカロリーは4kcalであるので、294g程度摂るようにするとよいということになります。

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野上 鉄夫パーソナルトレーナー

朝、昼、夜の炭水化物の摂取バランスも大切です。ダイエットが気になる方は、朝と昼の炭水化物の摂取は多めにとり、夜の炭水化物の量を減らすようにしましょう。筋トレ後にプロテインを飲む事をお勧めしましたが、この時に糖質も同時に取ると更に筋肉がタンパク質を吸収する速度が高まります。この時の糖質はグリセミック指数の高い糖質を取るようにしましょう。ご飯やパンはスコアが高いので、おにぎりやパンなどが手軽に手に出来る物がお勧めです。

PFCバランスの計算ツールも便利

ここまでPFCバランスの計算方法を紹介してきました。このように、自分で簡単に計算することができますが、簡単な項目を入力するだけで自動でPFCバランスを出してくれる便利なツールも存在します。煩わしい計算をすることなくPFCバランスを知りたい方は、ぜひ活用してみてください。

ウェブサイト【PFCバランスの計算ツール】

大阪にあるパーソナルジム「fis」の公式サイトに「カロリー計算&PFCバランス自動計算フォーム」があり、1日の基礎代謝量や消費カロリー、摂取カロリーの他、PFCバランスを自動で計算してくれます。自分の身長や体重、普段の活動量などを入力するだけでPFCバランスを知ることができるので、非常に簡単です。

(ウェブサイトへのリンクはこちら)

カロリー計算&PFCバランス自動計算フォーム

出典:パーソナルジムfis大阪公式サイト

アプリ:カロリDiet【PFCバランスの計算ツール】

「カロリDiet」は、カロリー収支だけでなくPFCバランスも自動で計算してくれる、無料ダイエットサポートアプリです。アプリ内でカロリー収支やPFCバランスを管理し、一目でその日の数値を確認することができます。iPhone及びAndroidでダウンロードすることのできるアプリなので、ぜひ活用してみてください。

(アプリのダウンロードはこちらから)

カロリDiet[iOS版]

出典:App Store

カロリDiet

出典:Google play

PFCバランスの良い献立例

自分が1日に摂るべきPFCバランスが把握できたら、実際に食事をとる際に、意識をして食べる食材を選ぶようにしましょう。ここからは、PFCバランスの良い献立を5つ紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

①サバ缶とキャベツのペペロンチーノパスタ

出典:https://cookpad.com/recipe/6392484

栄養豊富でヘルシーなサバ缶とキャベツを使った、PFCバランスの取れたペペロンチーノです。減量メニューとしてもぴったりな献立となっています。サバ缶は長期保存ができて調理が簡単なので、買い置きしておくと便利でしょう。

(この献立のレシピはこちら)

②一つで満腹バルク飯☆PFCバランスサンド

出典:https://cookpad.com/recipe/6159839

フランスパンで作る、ボリューム満点のサンドイッチです。ローファットなフランスパンを使用することで、タンパク質の吸収を妨げる脂質を摂りすぎないように抑えています。中に挟む肉や魚などの食材は、お好みで替えてみてください。朝食や昼食にぴったりの簡単レシピです。

(この献立のレシピはこちら)

③揚げないとんかつ@小麦粉とパン粉不使用

出典:https://cookpad.com/recipe/5475755

小麦粉とパン粉を使用せず、おからパウダーと砕いたお麩を使った豚カツです。おからパウダーは糖質が少ないため、糖質制限を行っている方にもおすすめ。実は、お麩はタンパク質が豊富であり、タンパク質もたっぷりと摂れるレシピです。揚げずに焼いて作る豚カツなので、脂質を抑えることができます。

(この献立のレシピはこちら)

④高蛋白質低脂質豆乳クラムチャウダー

出典:https://cookpad.com/recipe/5464285

ダイエットをしている方にぴったりなこちらのメニュー。鶏むね肉や豆乳を使用した、高タンパクで低脂質なクラムチャウダーです。これ一品でPFCバランスが抜群です。お好みの野菜を入れて作ってみてください。

(この献立のレシピはこちら)

⑤オートミールと高野豆腐のピリ辛中華粥

出典:https://cookpad.com/recipe/4643564

タンパク質や食物繊維が豊富であり、GI値の低いオートミールを使用したレシピ。オートミールはダイエットやボディメイクに適した食材で、多くのアスリートやボディビルダーも愛用しています。また、高野豆腐にもタンパク質が豊富です。ピリ辛な味が癖になる一品でしょう。

(この献立のレシピはこちら)

PFCバランスを意識して理想の体を手に入れよう

今回はPFCバランスの具体的な計算方法や、PFCバランスの良い献立例を紹介してきました。ダイエットをしている方も、筋トレをしながらボディメイクを行っている方も、食事が非常に重要であるということが分かっていただけたでしょうか。自分に適したPFCバランスを把握して、理想の体を目指してみてください。