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筋トレはスピード速く・遅くどっち?論文を元に速度で変わる効果を解説!

2020年11月08日

筋トレはトレーニング速度で効果が変わります。自分の目的に合わせてトレーニングスピードや重量の見直しをしてみませんか?この記事では論文で実際に実施された回数やセット内容、筋肉への効果を紹介しています。今後のトレーニングの参考にしてみてください。

【監修】パーソナルトレーナー 柴山智幸

『身体の全てを整えて生活を豊かに』というコンセプトで目標達成+機能改善トレーニングを提供しています。猫とお酒が好きです。
【所属】出張パーソナルトレーニングジム5toolgym代表
【SNS】HP / Instagram / Twitter

筋トレのスピードで効果は変わる?

ひとくちに筋トレといっても、筋トレを行う人の目的はさまざまです。ある人はダイエットであったり、ある人はサッカーがうまくなりたいから瞬発力を上げたいなどそれぞれの目的と目指す効果は違います。実際に筋トレを行っていても思うような効果が得られない人は、筋トレスピードに着目するのはいかがでしょうか?

この記事では、筋トレ速度が速い場合と遅い場合に分けて得られる効果を紹介しています。「速度の異なるスクワットトレーニングが下肢の 筋断面積、筋力、運動パフォーマンス、に与える影響」という論文では、筋トレスピードの「速い」「遅い」で現れる効果に違いがありました。

その他にも論文を元に筋トレスピードを変えるときの注意点やポイントも解説しますので、今後のトレーニングの参考にしてください。

筋トレを速いスピードで行うと得られる効果

まずは「速度の異なるスクワットトレーニングが下肢の 筋断面積、筋力、運動パフォーマンス、に与える影響」の実施期間やグループ分けについて説明します。

被験者は運動部に所属していない一般大学生12名(中略)さらに、運動部に所属しており、日常からトレーニングを行っている大学生8名(中略)トレーニング期間はStrength群およびSlow群は6週間、Speed群8週間とし、いずれも週2回、2日以上の間隔をおいて実施

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

「速度の異なるスクワットトレーニングが下肢の 筋断面積、筋力、運動パフォーマンス、に与える影響」では、総勢20名の男子大学生でトレーニング実験を行いました。それぞれ「Strength群」、「Speed群」、「Slow群」の3つに分けています。Strength群およびSlow群は6週間、Speed群8週間の実験を行ったということは長くても2カ月で結果が現れたのです。

それでは、筋トレ動作を早く動かすとどのような効果が現れるのか紹介します。

被験者は運動部に所属していない一般大学生(中略)Strength群,6名(中略)日常からトレーニングを行っている大学生8名

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

まずは筋トレを速いスピードで行ったときに得られる効果についてお話しましょう。論文では、軽い重量をと重い重量の2つに分けてトレーニング実験を行いました。


Speed群で採用するトレーニングプロトコルは筋腱複合体に対する負荷が大きく、日常からトレーニングを行っているものでないと障害を誘発させてしまう恐れがあるためである

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

上記の内容から重たい重量を速いスピードで筋トレを行うにはトレーニングに慣れている必要があることがわかります。重い重量を速いスピードで挙げるには、反動を付けるなどして、ただ挙げるよりも多くのパワーが必要になるためです。

短距離走

Strength群およびSpeed群に関して、両群ともにトレーニング後においてSPのタイムが有意に短くなり、かつDJ-indexは有意に大きくなった(中略)Slow群においては、運動パフォーマンスの改善は認められなかった

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

短距離走のような瞬発力が必要な競技多くのパワーを使いゆっくり筋トレするよりも、速い筋トレ方法で多くの回数をこなす方が効果があったのです。

実験方法

trength群は運動単位動員能の向上を目的として5RM(87%of1RM)の負荷で5セット行う方法を採用し、居城は可能は限り素早く行うよう指示したSpeed群は最大運動速度を向上させることが目的であるため、比較的軽重量(40%of1RM)の負荷で5セット行う方法を採用(中略)なお、40%of1RMという重量は比較的軽い重量であるため、15回以上挙上(中略)Speed群以外の挙上回数については、被験者が挙上できなくなるまでとした

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

1RMとは自分が持ち挙げられる(またはできる)最大の重量のことです。自分の最大重量から算出するRM法を使うと体に無理な負荷をかけません。身体に負担をかけずに、自分にあった適正な重量と回数を知ることができるのです。

Strength群は(中略)5セット行う方法を採用し、(中略)Speed群は5セット行う方法を採用(中略)なお、40%of1RMという重量は比較的軽い重量であるため、15回以上挙上

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

比較的軽い重量を速いスピードで筋トレするSpeed群はパワー重視のSlow群より1セットが15回と長くなります。長時間の軽い運動を継続することによって無酸素運動から有酸素運動に切り替えることができると考えられるのです。30分間続けられる軽い筋トレは、脂肪燃焼に効果的な有酸素運動に切り替えることでダイエットに効果的といえるでしょう。

(有酸素運動については以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレを遅いスピードで行うと得られる効果

筋トレを速いスピードで行う効果についてわかったところで、これからは遅いスピードで筋トレを行うとどうなるかみてみましょう。

筋肥大

Slow群においてのみ、下腿および大腿周径においてトレーニング後が有意に高値を示した。(中略)運動速度は、下降および挙上ともに5秒間かけて実施するものとした

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

重い負荷をゆっくり丁寧に行った結果、筋肥大に効果が現れました。ゆっくり下ろすと1回の筋トレ時間が長くなります。反動を付けて行うことも少ないため、筋肉にかかる負荷がそれることもありません。そのため筋肉に十分な負荷が狙った筋肉に掛かったのです。

では、どのような筋トレをどれくらいの負荷で行ったのでしょうか?実験内容をみてみましょう。

実験方法

被験者は運動部に所属していない一般学生(中略)6名をSlow群に任意に分けた

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

効果の実績や人選をみると筋トレをゆっくり行う場合は、運動経験が必ずしも必要ではないことがわかります。正しいフォームを意識し、適切な指導の元で行えばケガに対するリスクを避けることができるのです。そして、適切な場所に運動刺激を届けられます。

1~3セットは8RM,10RM,12RM,4~6セットは10RM,12RM、15RMの重量で合計6セット行い,1~3,4~6のセット間には30秒間,3~4のセットの間には3分の休憩

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

次にセット回数やトレーニング内容の確認をしてみましょう。論文で行われたトレーニング内容をみると、被験者が自分であげられる最大重量の80%~70%で行える回数を1セットとしています。裏を返せば息を整えなければならない程度の筋トレを休憩をはさみながら行っていたということなのです。

(RM法については以下の記事も参考にしてみてください)

スピードを意識して筋トレをする際のコツ&注意点

筋トレスピードを変えることで得られる効果がわかったところで、速く動かすときの注意点やコツについても確認してみましょう。

嘉永重量反動トレーニングは運動速度が速く、非常に負荷の高いトレーニングプロトコルであるため、被験者を日常からトレーニングを行っている競技者に限定

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/19/0/19_69/_pdf/-char/ja

上記の内容から筋トレスピードを上げる際の3つのコツ&注意点をピックアップしました。

(クローズスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

【コツ&注意点①】スピードを上げる際は怪我に気をつける

重量が重い場合筋トレスピードを上げると、スローペースのときより、姿勢が崩れやすくなります。そのため、思わぬ反動が付くことがあるのです。どんなに身体を鍛えていてもケガをすることはあります。スピードを上げることによってケガをする確率も高くなることを念頭に置き、無理せず行いましょう。

【コツ&注意点②】正しいフォームを身につける

運動初心者が指導者がいない状態でいきなり筋トレスピードを上げるのはやめましょう。まずはしっかり、正しいフォームを身に着けて身体になじませることが重要なポイントです。ケガをするばかりではなく、せっかくトレーニングを行っても希望する場所に負荷がかかっていないこともありえます。

(スクワットの正しいやり方については、以下の記事も参考にしてみてください)

【コツ&注意点③】適正の負荷で行う

筋トレをするときには、自分の体にあった負荷をかけることが大切です。重すぎても軽すぎても十分なトレーニング結果を得ることはできません。自分が出来る最大パワーを知ることで、適正な負荷を算出できます。

筋トレのスピードに関する正しい知識をつけておこう

筋トレのスピードが速い遅い、どちらが正解かというよりも、自分の目的や能力に合わせて組み合わせて行くことが大切です。うまく狙い通りに筋トレできていないと感じたときは、今回の記事を参考にしてください。

自分のトレーニング内容を見直すいい機会です。正しいトレーニングフォームが身についたら、自分にあった運動負荷をかけて筋トレスピードを変えてみましょう。トレーニングの幅が広がります。