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筋トレ・運動の知識

風邪で筋トレはNG?OKの基準は?再開の目安〜カタボリックなど悪影響まで解説!

2020年08月29日

筋トレを継続している中で風邪をひいて休むべきか悩む方は少なくないでしょう。そこで今回は、風邪中に筋トレするデメリット〜筋トレをしていいか否かの判断方法について詳しく解説していきます。さらに、筋トレをすると風邪をがひきやすい、ひかなくなるという噂の真相まで解説しているので参考にしてみてください。

【監修】パーソナルトレーナー 高津諭

トレーニング指導歴22年。大阪・兵庫を中心に活動するパーソナルトレーニングを提供しています。現在、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のマスタートレーナーとして、またJOTスポーツトレーナー学院の校長として後進の育成、指導にも尽力している。HP / ブログ / Twitter

風邪をひいたら筋トレをするのはNG?OK?

いくら筋トレを継続して体が丈夫で栄養をしっかり摂っていても、人間である以上は体調不良はつきものです。せっかく筋トレを継続していた最中に風邪をひいたら休んでもいいのか不安になる方もいるでしょう。

そこで今回は、風邪をひいて筋トレをするデメリット〜風邪をひいて筋トレができるか否かの判断方法を詳しく解説します。まずは、風邪をひいて筋トレをするデメリットから確認していきましょう。

(寝不足での筋トレのデメリットについては以下の記事も参考にしてみてください)

風邪をひいて筋トレをするデメリット

風邪を引いた中で筋トレをするとカタボリックという症状を起こしてしまい、筋トレをしないよりも筋肉を小さくしてしまう可能性が高まるので逆効果です。

このカタボリックとは、体の筋肉などを分解してエネルギーを得ている状態です。人間の体は風邪をひくとウイルスの除去や防衛にエネルギーの大半を使用してしまいます。このような状態に陥ると筋肉が分解されてしまい、筋肉を大きくする過程のアナボリック(筋肉の合成)をする力がなくなるのです。

したがって、風邪をひいて体調が悪い中で無理に筋トレを行ってもアナボリックをする力がない状態なので、筋肉はデカくなりません。風邪をひいている中で筋トレをしてエネルギーを消費することにより、さらにカタボリックが活発に起こってしまうので体調がすぐれないのならトレーニングを自粛する方がいいでしょう。

風邪をひいて筋トレをしていいかの判断方法

前途した通り風邪をひいて体調が悪い中で筋トレを行うのはデメリットしかありません。しかし、風邪の程度によっては筋トレをしても問題がないケースもあります。そこで、風邪で体調が悪くても筋トレを行ってOKなラインとNGなラインの判断方法について解説していきます。

それでは、風邪をひいていても適度の筋トレであればOKというケースについてから解説していきます。

首から上に体調不良の原因があれば適度の筋トレはOK

風邪で体調が悪くても首から上に体調不良の原因があれば適度の筋トレなら行っても問題ありません。首から上の症状とは、鼻詰まり、軽度の咳、喉の痛み、くしゃみなどが該当します。しかし、体調不良の程度が軽く感じても咳などの症状がひどい、38度以上の発熱をしている場合は適度な筋トレでもNGなので注意しましょう。

もし上記軽度の症状が出ていても、薬を飲めば一時的ですがすぐに症状を抑えることができるので、軽度の筋トレは問題なくできます。しかし、ジムに行くなど他の方と接触する環境で筋トレをする場合は、感染させてしまうリスクがあるので自分が大丈夫でもトレーニングを控えた方がいいでしょう。

加えて、風邪をひいていればカタボリックを起こしやすいことには変わりないので、エネルギーを大量消費する激しいトレーニングは絶対に控えてください。これは風邪気味や実際にひいた時だけでなく風邪の治りかけにも言えることなので、いつもの量や質のトレーニングは完治してから再開しましょう。前途した通り無理をしても逆効果になります。

首より下に体調不良の原因ばあれば適度な筋トレでもNG

息切れ、胸部の違和感、下痢、吐き気や関節痛など首より下に体調不良の症状が出ている場合は、適度な筋トレだとしても絶対に行ってはいけません。このような症状だと風邪ではなく他の病気が発症しているケースがありとても危険です。

ただの風邪でなく他の重い病気であれば、カタボリックをさらに起こしやすくなり当然トレーニングをしても逆効果です。さらに、重い病気の場合はトレーニングをすることによりエネルギーが大量消費され、ウイルスから身を守る力がなくなるので深刻な事態にもなりかねません。『休む』という判断を下せるようになることが成長への近道にもなります。

このような症状を少しでも感じたら絶対にトレーニングを控えるようにしましょう。これは命に関わる問題ですし、トレーニングをしても意味がないので無理して筋トレを行うメリットは一切ありません。体調不良の期間は再開を我慢して、症状が良くなってから適度な運動を再開し、徐々に負荷を上げて行きましょう。

風邪をひいた中で筋トレをする際のコツ&注意点

上記の基準から適度な筋トレを行ってもいい状態の場合だとしても、体調不良には変わりないので注意が必要です。風邪をひいて体調不良の状態だと集中力も低下し力も出ません。さらに、前途した通り激しい運動をするとカタボリックを起こしてしまいます。

したがって、体調不良の程度には関係なく普段よりもトレーニングの強度を大きく落とすことが重要です。ウエイトトレーニングの場合はウォーミングアップ程度の重量で3セットほど行い、心拍数トレーニングの場合はジョギング程度にするなど調整しましょう。

後述しますが、筋トレ後は免疫力が下がっていて病気になりやすいという研究結果も出ているので、大量のエネルギーを使用する激しいトレーニングは絶対に控えましょう。

(筋トレのウォーミングアップについては以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレをすると風邪をひきやすい?ひかなくなる?

最後に筋トレをすると風邪をひきやすい、ひかなくなるという2つの噂の真相について確認していきましょう。結論から言うとどちらも正解で、筋トレをする際の体のコンディションや負荷によって変わります。

それでは筋トレをすると風邪をひきやすいという噂についてから解説していきます。

筋トレをすると風邪がひきやすい説について

筋トレなど日頃からハードなトレーニングを重ねている方は、一般人と比べて免疫力が高く風邪がひきにくいです。しかし、ハードなトレーニングをした直後は免疫力がかなり下がるので、筋トレをすると風邪がひきやすいと言われるようになりました。

スポーツ医学で免疫機能の強さを示すSIgAというものがあり、これが高ければ風邪をひきにくく低ければ風邪をひきやすい状態になります。SIgAは運動をすれば高まる効果がありますが、これは適度な運動の場合でありハードなトレーニングをこなした直後は低下するのが特徴です。SIgAはフルマラソンやウエイトトレーニングでの激しい追い込みを行った場合は低下し、散歩や週数回の適度な運動であれば上昇するという研究結果が出ています。

このような体の特徴から頻繁にハードな筋トレを行っていると免疫が急激に下がっている期間が多くなり、その期間にウイルスが体内に侵入し風邪などの病気をしやすくなるのです。したがって、トレーニング直後はしっかりとした栄養補給でエネルギーを補給することが重要となります。

筋トレをすると風邪をひきにくい説について

先ほどの解説から筋トレをすると風邪をひきにくいとも言えることが理解できるでしょう。筋トレをしていない人よりしている人の方が、体が丈夫で免疫力が高く風邪がひきにくいのは間違いありません。

しかし、通年通してハードな筋トレを行う場合はトレーニング後の免疫低下状態が回復できていない期間が多く、回復できず免疫力が低下したままハードな筋トレを続けることになるので、結果的に風邪をひきやすくなるのです。

したがって、ハードな筋トレを定常的に行う方はトレーニング直後の栄養摂取に気を配ることが風邪をひかない体を作るために重要です。反対に、日頃から運動をしていない方は免疫力を高めるために、気持ち良い程度の運動を週数回行う習慣をつけましょう。

(筋トレと免疫力については以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレをすると風邪をひきにくいのはプロテインも関係している?

筋トレをすると風邪をひきにくいという噂には、プロテインの摂取についても関係してきます。

体を強くするにはバランスの良い栄養素が必要です。しかし、タンパク質は通常の食事から必要量を摂取するのは難しく、足りない分をプロテインやサプリから補う必要が出てきます。

したがって、筋トレを行っている方は並行してプロテインを飲んでいることが多く、一般の方と比べてしっかりタンパク質を摂取できているという状況になります。このことから筋トレをしていれば間接的に風邪がひきにくくなるという事実もあるのです。

風邪をひいて筋トレをする場合は自分の体とよく相談しよう

これまで風邪をひいた中で筋トレをするデメリットや、風邪をひいて筋トレをしていいかの判断方法を詳しく解説してきました。前途した通り体のコンディションよっては無理して行うことにより、筋肉を小さくしてしまう可能性も出てきます。せっかく継続していた筋トレを休むのには勇気が入りますが、うまく休む方法を覚えることも成長への近道です。

風邪をひいた場合は無理せずに自分のからと相談して適切な判断を下しましょう。