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ドロップセット法の筋肥大効果が論文で証明!やり方〜筋トレ効率UPのコツを解説!

2020年09月30日

ドロップセット法は、時短で筋肥大できる効率の良い方法として、忙しい方や筋トレで伸び悩み中の方に人気です。「効果なし」「意味ない」とも言われますが論文で証明された効果などから検証します。ドロップセット法のコツや注意点も、動画付きで分かりやすく解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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ドロップセット法とは?

スーパーセット法やコンパウンドセット法などとともに、筋トレ中級者あたりからよく利用されるセット法に、ドロップセット法があります。ドロップセット法は、回数制限をせずに重量を少しずつ落としながらインターバルなしで行う方法で、短い時間でオールアウトまで完了させることができるため、トレーニングの時間がなかなか取れない方におすすめの方法です。

また、レベルアップするにつれて種目の数や重量、セット数などがどんどん増えると相当の時間が必要なだけでなく、その間の集中力にも影響が出てきます。短時間で集中してトレーニングしたい人やトレーニング量を増やさずにレベルアップしたい人にも、このドロップセット法はおすすめです。

難しいスキルはそれほど必要ではなく、一人でも実施できる方法のため、いつでも挑戦することができます。その方法と効果、コツや注意点など詳しく紹介します。ぜひ、最後までお読みください。

(スーパーセット法については以下の記事も参考にしてみてください)

ドロップセット法のやり方

ドロップセット法のやり方は、筋力アップが目的の場合と、筋肥大が目的の場合で2通りあります。下記で詳しく紹介しますので、目的に合ったやり方を選びましょう。

【筋力アップ】3~5RM強度から20%ずつ減量させる

筋力アップの効果を狙うには、回数よりもなるべく高負荷を扱うことを優先します。そのため、最初に選ぶ負荷は、3~5回で限界となるような負荷を選択しましょう。

①3~5回挙上します
②20%下げた負荷に変えて限界回数まで挙上します
③さらに20%下げた負荷で限界回数まで挙上します

上記の手順1~3を1セットとして数えましょう。2セット以上行う場合はインターバルを取りましょう。「限界まで」とは、動作スピードが落ちる、または姿勢が崩れる直前までを言います。

【筋肥大】8~10RM強度から30%ずつ減少させる

筋肥大をさせるには、ある程度の負荷で回数を重ねて、より多くの筋繊維を使い切るようにします。そのため、最初に選ぶ負荷は8~10回で限界となるような負荷を選択しましょう。

①8~10回挙上します
②30%下げた負荷に変えて限界回数まで挙上します
③さらに30%下げた負荷で限界回数まで挙上します

こちらも上記の手順1~3を1セットとして数えます。2セット以上行う場合はインターバルを取りましょう。筋肥大を狙う際のここでの「限界まで」とは、姿勢が崩れる直前までを言います。動作スピードはある程度落ちても構いません。

ドロップセット法の効果

ドロップセット法には、どのような効果があるでしょうか?それは、筋肉への効果だけではありません。ドロップセット法の効果を理解すると、どんなときにドロップセット法を取り入れるべきかが分かります。

トレーニングの時間短縮

ドロップセット法は、インターバルを挟みながら4~5セット繰り返すような通常の方法と違い、わずか1セットで終えることができるため、トレーニングの時間を大幅に短くすることができます。そのため、トレーニングの時間がない日や、ジムが混雑している日におすすめの方法です。

効率よく筋肥大できる

1セットの中で、休む間もなく負荷を与え続けることのできるドロップセット法は、筋肥大させる効果の高いトレーニング方法です。筋肉量を増やして二の腕や太ももを太くしたい、基礎代謝を上げたいなどの目的を持っている方におすすめです。

(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)

最大まで追い込みが可能

限界が来たら負荷を下げて、さらに限界が来たらまた負荷を下げる、という方法で、1セットの中で目的の筋肉を最後の最後まで追い込むことができます。また、その日のコンディションに合わせてあと1回増やす、または減らすなどの微調整ができることもメリットです。定期的に行うことで限界値の変化を知り、筋肉が成長していることを実感できる良い方法です。

精神的にはラク

気分が乗らない、集中力が足りない、という日にも、時間短縮できるドロップセット法のメリットは大きいです。たとえば、なんとなく気が乗らない日に、12回×4セットのメニューを始める前にため息が出たとします。そんな時にドロップセット法に切り替えると、とりあえず1セットだけを限界だと思うまで行えばよいので、気持ちを楽にして始めることができます。

さらに、負荷を下げながらトレーニングを進めるため、集中力を欠いたまま高負荷を何回×何セットと繰り返すよりも安全です。

ドロップセット法の効果の研究論文

ドロップセット法にどのような効果があるかを検証した研究の内容とその結果がいくつか発表されています。その中から2つを紹介します。いずれもドロップセット法による効果が現れているため、納得してドロップセット法に取り組むことができるでしょう。

ドロップセット法の筋肥大効果についての学術記事

ドロップセット法が与える筋力と筋肥大の効果を測定した研究が、2018年に発行された「THE JOURNAL OF SPORTS MEDICINE AND PHYSICAL FITNESS」に記載されています。そこでは8人ずつの2つのグループに、トライセプスプッシュダウンをそれぞれドロップセット法と通常のセット法に分けて6週間実施されました。

上腕三頭筋の断面積測定結果(筋肥大)
・ドロップセットグループ → 10%±3.7%増加
・通常セットグループ → 5.1%±2.1%増加

上腕三頭筋の筋力測定結果(筋力アップ)
・ドロップセットグループ → 16.1%±12.1%
・通常セットグループ → 25.2%±17.5%

この結果から、ドロップセット法は通常のセット方法に比べて筋肉を増加させることに優れている方法だと結論付けられています。

(詳しい内容については以下の記事も参考にしてみてください)

Effects of drop set resistance training on acute stress indicators and long-term muscle hypertrophy and strength – PubMed

出典:Effects of drop set resistance training on acute stress indicators and long-term muscle hypertrophy and strength – PubMed

負荷の違いによる筋肥大効果についての学術記事

また、同じ年の3月に順天堂大学で発行されている「順天堂スポーツ健康科学研究第9巻」には、ドロップセット法と高負荷トレーニング(1RMの80%)、さらに低負荷トレーニング(1RMの30%)と3つのグループを比較した研究が記載されています。

高負荷トレーニングでは最大筋力、低負荷トレーニングでは持久力が最も効果が高い結果でした。しかし、ドロップセット法では、それぞれの最大値には劣るものの、両方の効果が同時に上昇する結果が出ています。

さらに、筋肥大はすべてのトレーニング方法で同じ程度増加していることから、ドロップセット法はより短い時間で筋力、筋持久力、さらに筋肥大の効果を同時に向上させる、と結論付けられました。

(詳しい内容については以下の記事も参考にしてみてください)

第9巻|順天堂スポーツ健康科学研究|大学スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科

出典:第9巻|順天堂スポーツ健康科学研究|大学スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科

ドロップセット法のコツ&注意点

ここで、ドロップセット法を実施するうえでのコツと注意点を解説します。ドロップセット法の効果を半減させないために、大切なポイントです。

インターバルを取らない

ドロップセット法は、インターバルを取らずに行うことが重要です。重量を変更するときに時間を取られやすいので、なるべく10秒以内に素早く重量変更を行いましょう。あらかじめ重量変更をするときの動作を頭の中にイメージしておきながらトレーニングを始めると、スムーズに重量変更が行えます。

正しいフォームで行う

追い込めば追い込むほど疲労し、筋肥大の効果が現れるドロップセット法です。ここでいかに正しいフォームをキープできるかで効果の現れ方が分岐します。セットの終盤になると崩れやすいフォームですが、しっかりと意識して姿勢を保つようにしましょう。ケガの防止にもつながります。

トレーニングの終盤に利用する

目的の筋肉を限界まで追い込むことが目的なので、ある程度体が疲労しているトレーニングの終盤に利用するとよいでしょう。また、最初の時点で限界まで疲労させると、その後、他の部位のトレーニングを行うことが難しくなります。たとえば、アームカールをドロップセット法で行った後のベンチプレスは、効果的に行えないだけでなく、けがをする危険も伴います。

ダンベルかマシンがオススメ

使用するダンベルを近くに置いて準備しておく、またはマシンであればピンを差し替えるだけですぐに重量変更が行なえます。マシンなら姿勢の崩れやケガを防止することもでき、ダンベルでは姿勢が崩れないように気を付ければ、マシンよりも細かい部位を狙ってトレーニングすることができます。

バーベルは、パートナーがいたとしても重量変更に時間がかかるため、ドロップセット法には向いていません。

自宅よりもジムがおすすめ

自宅でトレーニングする場合、マシンでドロップセット法を行うなら設置スペースの問題で、限られた種目でしか行うことができません。また、ダンベルで行う場合も、いろんな部位に合わせていくつものダンベルを揃えておかなければなりません。

もし自宅でしか行えないなら、素早く負荷の変更できる可変式ダンベルを用意するとよいでしょう。しかし、さまざまな器具や何種類ものダンベルが揃っているジムでトレーニングする方が、幅広い種目でドロップセット法が行えます。

オーバートレーニングに注意する

他のトレーニング方法に比べて比較的簡単に追い込みが可能なドロップセット法ですが、逆にやりすぎてしまう可能性も高くなります。時間のある日や、コンディションの良い日などは特に注意して行いましょう。

もし疲労度が高いと感じたら、しっかりと回復するまで休養をとることも大切です。ドロップセット法を初めて行う場合は、少し加減をして様子を見ながら行うとよいでしょう。

(オーバーワークの基準&対策については以下の記事も参考にしてみてください)

ドロップセット法の実施動画

ここでいくつかのドロップセット法を実施している動画を紹介します。フォームや負荷の変更の仕方などの参考になりますので、ぜひ見てください。









その他、セット法とドロップセット法の違い

ドロップセット法とよく似た方法に、コンパウンドセット法とパーシャルレップ法があります。それぞれとの違いを解説します。

コンパウンドセット法とドロップセット法の違い

同じ部位を追い込み続けて筋肥大を狙う筋トレ方法に、コンパウンドセット法があります。コンパウンドセット法は、数種目の筋トレの組み合わせを、広範囲の動作を伴うコンパウンド種目(多関節運動)からアイソレーション種目(単関節運動)へと徐々に的を絞る順に、インターバルを挟まずに行う筋トレ方法です。

種目ごとに重量を軽くしていくやり方も、ドロップセット法とよく似ています。しかし、大きな違いは1種目だけで追い込むか、複数種目で追い込むか、というところです。混雑しているジムなどでは、複数種目を占有するコンパウンドセット法は禁止されている場合もあります。

しかし、日常動作やスポーツにおいては複数の筋肉が同時に力を発揮する場面がほとんどなため、補助筋や拮抗筋も含めて多方面から筋トレできるコンパウンドセット法も有効です。ただし、どちらもフォームを崩さずに手際よく行う必要があります。

(コンパウンドセット法については以下の記事も参考にしてみてください)

パーシャルレップ法とドロップセット法の違い

1種目1セットの中で同じ筋肉を追い込む筋トレ方法に、パーシャルレップ法というものもあります。パーシャルレップ法とは、筋トレ中に最後の1回がもう苦しい、というタイミングで可動域を極端に狭い範囲に限定し、短い距離を小刻みに反復させることで、余力がなくなるまで追い込むことができる筋トレ方法です。

しかし、二つの方法ではその目的が大きく異なります。主に筋肥大を目的とする場合は、可動域を大きく使うドロップセット法が用いられます。パーシャルレップ法は、特定の可動域のパフォーマンス向上、またはケガなどの理由で特定の可動域を避けるためのリハビリなどでよく用いられます。

バーベルを扱うスクワットやデッドリフトなどでは、ある重量から伸び悩む停滞期に普段よりも重い重量でパーシャルレップ法を行い、筋肉にも精神的にも慣れさせていく目的で行う場合もあります。どちらの方法をとるかは自身の目的に合わせて使い分けるようにしましょう。

(パーシャルレップ法については以下の記事も参考にしてみてください)

ドロップセット法で筋トレ効率UP

ドロップセット法は疲労度が高く、全身を毎日行うことはできませんが、筋トレ効果が頭打ちになってきた方や、集中力の足りない日などの気分転換に良い刺激となります。筋肥大や筋力アップを目的とした他の方法のほうが効果は高いため、「効果なし」「意味ない」とも言われやすいですが、最短時間で効率的に効果を上げる良い方法です。ぜひ挑戦してみましょう。