ボディメイク

筋トレ・運動の知識

筋肥大が目的なら有酸素運動はNG?その理由〜減量期に行う方法まで解説

2020年10月30日

【パーソナルトレーナー監修】筋肥大には有酸素運動が悪影響を与えると言われていますが、実際のところどうなのでしょうか。この記事では筋肥大と有酸素運動の関係性や筋肥大目的の減量期に有酸素運動する方法について紹介します。筋肥大と減量を同時に行いたいという方必見です。

【監修】パーソナルトレーナー 三浦真己

NSPA認定パーソナルトレーナー・介護福祉士。2011年からトレーナー活動を開始し、2013年に奈良市でパーソナルジムを開業。2020年8月、リニューアルオープン、M'sフィットネスクラブ代表。地域密着型・健康志向のストレッチ、個別指導を強みとする。
【SNS】HP / Twitter / Instagram

有酸素運動が筋肥大に悪影響を与えるって本当?

一般的に有酸素運動は筋肥大に対しては逆効果と言われていますが、人体のエネルギー効率を考えると、その理由がよくわかります。その一方で、必ずしも悪い効果ばかりではないとする意見もありますが、本当のところはどうなのでしょうか?

筋トレをして筋肉を増大させる時、細胞内では筋肉の合成を促す方向に代謝が働きます。一方で、有酸素運動では糖質・脂質、最終的には筋肉までもがエネルギーとして分解されるように体全体に指令が出されてしまうのです。

このように、有酸素運動を行うと、筋肥大とは逆のエネルギー機構が働き、筋肉が分解されてしまう可能性があるために、「有酸素運動が筋肥大に悪影響を与える」と言う意見が一般的に提唱されているのです。

アイコン

三浦 真己パーソナルトレーナー

確かに、筋肥大を求めると有酸素運動は不要なものと思われますが、どこのどういう筋肉を何の目的で増やしたいのかによっても変わってくると思います。ボディメイクなのか!?身体機能のパフォーマンス向上のためなのか!?

(有酸素運動で筋肉が落ちるという噂については以下の記事も参考にしてみてください)

有酸素運動は筋肥大に逆効果と言われる理由

有酸素運動が筋肥大に逆効果と言われる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

筋肥大は筋肉を合成、有酸素運動は筋肉を分解

有酸素運動が筋肥大に悪影響を与える理由としては、筋肥大は筋肉を合成する働きがメインであるのに対して、有酸素運動は場合によっては筋肉を分解する方向に働くことがあるからなのです。

この働きには細胞内にある酵素が関係しているのですが、体のエネルギーが減ると、酵素の働きが活性化することによって筋肉の合成を阻害し、糖質・脂質・筋肉をエネルギーに変えようとします。

一方で、筋トレなどの無酸素運動ではエネルギーがあまり使用されないため、筋肉を合成する方向に酵素が働くようになり、結果として筋肥大につながるということです。

長時間の有酸素運動は筋肉をエネルギー源にする

出典:https://www.pinterest.jp/pin/611645193131980541/

ランニングなどの有酸素運動では主に糖質や脂質をエネルギー源としています。そのため、ダイエットしている人たちには有酸素運動が有効とされているのです。

有酸素運動においてエネルギーの最終兵器として利用されるのが筋肉で、長時間のランニングをすると糖質と脂質が枯渇し、筋肉をエネルギーとして使わざるを得ない状態に陥ります。その結果、有酸素運動が筋肉を分解する方向へと傾いていくのです。

このような理由から、トレーニングにおいて筋肥大を最も重視する代表でもあるボディビルダーの方々も有酸素運動は全くしないと言う意見の方が多くなっています。

アイコン

三浦 真己パーソナルトレーナー

有酸素運動だと長時間の運動でエネルギーの最終兵器として筋肉を分解しエネルギーされてしまいます。その対策として運動中に水分やゼリーなどで栄養も補給することで筋肉が分解されるのを予防することも出来たりします。

トレーニングの負荷が異なる

有酸素運動は軽い負荷のため筋肉痛になりづらい一方で、負荷の軽い動作を長時間行うため、心肺機能の向上に適しています。その反対に、筋トレは筋肉痛を生じるほどの高負荷のトレーニングが多く、心肺機能にはあまり関係しません。この原理からも、両者が逆の性質を帯びていることが分かるかと思います。

筋肥大をするためには負荷の軽い運動を繰り返しているだけではほとんど効果は期待出来ないのです。筋肉を増量するためには、その筋肉を総動員するほどの高負荷なトレーニングが重要になってくるのです。

筋肥大目的の減量期に有酸素運動をする方法

出典:https://www.pinterest.jp/pin/43628690121715012/

筋肥大を目的としてトレーニングをしている際に、減量を同時に行いたい場合はどうすれば良いのでしょうか。また、減量目的の有酸素運動をする場合、メイントレーニングとの順序はどうするのがベストなのでしょうか。

減量したい場合は有酸素運動を先に行う

有酸素運動によって脂肪が燃焼するため、余計な贅肉が減り、筋肉がよりよく映えるという理由で、筋トレと減量を同時に行う方もいるかと思います。筋肥大と有酸素運動を同時並行で行いたい場合は筋トレの前に有酸素運動を行うことをおすすめします。

ある動物実験によると、筋トレの前に有酸素運動を行うとその逆のパターンよりもより効果的に筋肥大をすることができたという報告がされています。また、筋トレのみの場合よりも有効に筋肥大の効果を望めるとする結果も発表されているのです。

アイコン

三浦 真己パーソナルトレーナー

有酸素運動を先にして後から筋肥大目的の筋トレをする時は自分自身の体力、筋力を考慮して重量設定をしましょう。先に有酸素運動で疲労しているため重量が扱えなかったり、回数や可動域を気にして無理してやってしまい怪我するリスクも高まったりします。

(筋トレと有酸素運動の適切な順番については以下の記事も参考にしてみてください)

超回復のための休暇日に有酸素運動を行う

筋肥大には超回復が必要というのはよく知られていると思いますが、その休暇日に有酸素運動を行うことによって、筋肥大の邪魔をせずに減量を同時行うことができます。

超回復のためには48時間の空き時間が必要と言われているため、トレーニングの間は1-2日ほどの間隔が空けるのが理想的。また、筋トレの後は筋肉痛になることが多いため、自ずと日程があいてしまう人も多いようです。

その合間の時間に有酸素運動を行うことによって脂肪を燃焼することで減量を狙うということになります。有酸素運動は心肺機能を高める効果があるので、より高負荷のトレーニングを行えるようになるというメリットもあります。

(超回復と休暇日の関係性については以下の記事も参考にしてみてください)

心肺機能を高め、負荷をあげられるメリットも

筋肥大には有酸素運動が悪影響という意見がはびこる一方で、有酸素運動を過剰に行わなければ、筋肥大にそこまで影響しないという意見もあります。

有酸素運動で消費されるのは糖質や脂質がメインで、筋肉が消費されるのは最終段階なので、長時間の有酸素運動でなければあまり気にすることはないということです。

さらには有酸素運動によって心肺機能を高めることで、筋トレをする際の負荷や回数の上昇を見込めるという意見もあります。メイントレーニングの前に有酸素運動を行い、心肺機能を高めてから高負荷の運動を行うと、一層の効果を得られるかもしれません。

アイコン

三浦 真己パーソナルトレーナー

有酸素運動で心肺機能を高めて筋トレする時は重量や回数が上昇するメリットもあります。適切な休息、水分や栄養の補給がないと先ほどコメントしたように怪我するもしくは、力がだしきれない場合もあるので気を付けてください。

有酸素運動は筋肥大目的での筋トレ前後の準備運動もNG

筋トレの効果を上げるためにウォーミングアップをする方もいるかと思います。ウォーミングアップをすると、筋肉温度が上昇し血流が増加し、筋トレの効果が格段に上がるのです。しかし、筋トレ前のウォーミングアップでもやりすぎは禁物です。

少しずつ心拍数と体温を上げていくことを目標に、軽いジョギングやバイク漕ぎ、縄跳びなどに留めておく方が筋肥大にとっては効果的でしょう。ウォーミングアップといっても筋肉をほぐすためのストレッチなどは筋トレに非常に効果的となります。

特に効果を発揮するのがアクティブ・ストレッチです。動きながらストレッチを行うことで、筋トレで鍛える筋肉とその拮抗筋を効率よくほぐすことができ、その上、体を冷やすこともありません。

筋肥大目的で筋トレを行う場合は何気ない有酸素運動にも注意

筋肥大を目標に筋トレをしている場合は、日常のささいな有酸素運動にも気をつけなければなりません。階段昇降やダンスなども有酸素運動に含まれているため、筋肥大を目標としている方は注意するようにしてください。

アイコン

三浦 真己パーソナルトレーナー

日常生活で有酸素運動をしないというのは難しいですよね。通学や通勤歩いたり、自転車に乗ったりする時間があります。その時間を筋肥大しやすくするためにボディビルダーの横川君がテレビでしていたようにゆっくり動くというのも有りかな!?とあの体を見ると思ったりします。