RM法とは
RMとは、Repetition Maximumの略で最大反復回数と訳することができます。つまり、RM法とはある重量に対して自分が最大何回上げることができたのかを判断できる方法です。例えば、ベンチプレスなどの重量を最大1回繰り返せる負荷なら1RM、最大5回繰り返せる負荷のことを5RMとします。
しかしながら、トレーニングするたびに1RMで行っているとケガのリスクがあったり、精神的にもかなりの負担となってしまいます。つまり、リスクに対するリターンが見合っていない状態になる可能性があります。そこでRM法を使えば軽い重量のものであっても限界回数から1RMを算出することも可能となるのです。
また、RMは負荷の程度とその負荷に対する回数によって、期待できる効果がかわってきます。負荷重量と最高反復回数による効果についてはRMの表で確認が可能です。表についてはRM法の使い方で紹介します。
目的別のRM法の使い方
目的別のRM法の使い方については上記の表も参考にしてください。左の項目から順に「負荷強度」「回数(RM)」「効果」「特徴」となっています。この表から1RMの重量に対して自分自身の限界反復回数を知ることができます。
例えば、自分の1RMが100kgだった場合、その70%である70kgの重量挙げを行う際には12回くらい上げれるだろうと判断できるのです。この数値はあくまでも目安となるため、RM法で算出された回数は推測されたものであることを理解しましょう。ここでは目的別にRM法を用いた筋トレについて解説します。
筋力UP
筋力UPを目的として筋トレを考えているならば、1RMの85%よりも大きい数値で筋トレを行うと効果的です。筋力を強化させるためには自分の最大筋力に近い重量で行うことが重要となっています。筋肉がいくらあっても筋力がなければ高重量のものを持ち上げることはできません。
トレーニングの目的は脳の信号から神経を伝わって筋肉が機能することを目的としています。神経系を鍛えることで付いた筋肉のほぼ100%を筋力として使えるようになります。筋力を向上させ、より重い重量のものを持ち上げられるようになりたい人はRMの表を参考にし、重量と回数を設定しましょう。
筋肥大化
筋肥大化を目的として筋トレを考えているならば、1RMの67%以上85%以下の数値で筋トレを行うと効果的です。筋肉を肥大化させることを目的としているならば、RMの表を参考にし、重量と回数を設定しましょう。
しかしながら、最近の研究では、筋トレの総負荷といった考えも出てきており、その総負荷を確保できていればどんな負荷であっても筋肉は肥大化するというデータが論文で発表されています。総負荷とは「重量」「回数」「セット数」の掛け算で算出することができ、その値が一定の数値に達していれば筋肉の肥大化が期待できます。
総負荷の測定方法や詳しい内容については後半に解説します。
(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)
筋肥大とは?メカニズム・トレーニング方法・食事・サプリ・期間など徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
筋持久力UP
筋持久力UPを目的として筋トレを考えているならば、1RMの65%以下の数値で筋トレを行うと効果的です。筋持久力はサッカー選手や陸上の長距離選手、水泳選手などの多くのスポーツ選手が必要としています。筋トレ初心者や女性の方は1RMの65%以下、すなわち、軽い負荷で回数をこなすトレーニングから始めることをおすすめします。
筋持久力を鍛えるうえで効果的な回数は20回前後と言われていますので、1RMの65%付近でのトレーニングが効果的です。重量を小さくして回数を増やすことで筋持久力を高めましょう。
RM法を使って筋トレするメリット
RM法を使って筋トレするメリットは計画的に筋トレを行えることです。筋トレ初心者は特に、どのくらいの重量で回数はどのくらい行えばいいかわからないまま筋トレを行うことが多いです。RM法を使えば計画的な筋トレメニューを作ることができます。
例えば、筋力UPを考えていて自分の1RMが50kgであれば回数は1回、50kgの90%である45kgであれば4回の回数で行えばいいということがすぐに確認できます。1RMが大きくなってきたのであれば、その重量に合わせて、表から重量と回数を設定することで効率よくトレーニングができるのです。
また、RMの表を使うことで軽い負荷の限界回数から1RMを算出することもできます。例えば、45kgのものを持ち上げるのに4回が限界であれば、表から負荷強度が90%だと判断できます。したがって、100%の負荷強度、すなわち1RMは50kgだと算出することができるのです。数値から自分自身の力を確認し、RM法を使って効果的にトレーニングを行いましょう。
(1RMの計算方法については以下についても参考にしてみてください)
1RMとは?計算・セルフ測定方法は?RMを元にした目的別の筋トレ方法まで解説
出典:Slope[スロープ]
RM法も有効だが近年は総負荷が重要視されている
前述で少し触れましたが、総負荷とは以下の計算式で算出されます。重量が大きくなくても回数やセット数を大きくすれば、総負荷量は重量が大きい場合と同じような数値になり、同等な効果を得られるのです。
総負荷量=(重量)×(回数)×(セット数)
このことは2012年にカナダのマックススター大学で行われた研究で「筋肥大効果は扱う重量ではなく、総負荷量によって決まる」と結論が出されました。このときから、筋肉を大きくしたいなら「強度が大きい筋トレを行う」ではなく「筋トレの総負荷量を意識する」ことへと考えが変わっていったのです。
高い強度の筋トレじゃなくとも軽い強度の負荷で回数を増やし追い込むことで筋肉を肥大化することはできます。RM法は筋トレメニューを考えるうえで非常に優秀な考え方ですが、筋肥大化を考えているならば、総負荷を意識した筋トレメニューも作ってみましょう。
(筋肥大を目的としたメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
筋肥大目的の1週間メニュー【ジム・自宅別】最適な頻度〜停滞期打破の対策まで解説
出典:Slope[スロープ]
RM法を理解して筋トレ効率をあげよう
RM法を理解すれば計画的に筋トレを行うことができるので、効率よく鍛えることができます。RM法は自分の1RMがわかれば、それに合わせた重量と回数の設定が簡単にできるので筋トレを始めたばかりの初心者でも効率よくトレーニングを行えます。
また、筋力を強化したいのか、筋肥大化させたいのか、筋持久力を高めたいのかという目的に合わせたトレーニングメニューも計画できるのでRM法は非常に有効な考え方だといえます。RM法以外にも総負荷についての計算方法や考え方についても解説しましたのでぜひ参考にしてください。RM法や総負荷の考え方を理解し、快適な筋トレライフを過ごしましょう。