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使える筋肉・使えない筋肉という概念はある?
筋トレを始めようとしている人が筋トレについて調べていると、「ボディビルダーの鍛えた筋肉は使えない筋肉」「筋トレだけで鍛えた筋肉ではスポーツで使える筋肉にならない」なんて記事を目にしたことがあると思います。では本当に使える筋肉・使えない筋肉という概念はあるのか?
結論から言うと使える筋肉・使えない筋肉という概念は存在しません。正しくは「用途によって筋肉の使われ方が違う」ということです。その部分については、よく引き合いに出されているボディビルダーを例にして説明していきましょう。
(スポーツに必要な筋肉については以下の記事も参考にしてみてください)
野球に必要な筋肉を投球・打撃・走行別に!部位別の役割〜筋トレ方法まで解説!
出典:Slope[スロープ]
ボディビルダーなどのマッチョは使えない筋肉?使える筋肉?
「ボディビルダーのマッチョな筋肉は使えない筋肉」という記事はよく目にしますが、これはテレビ番組の企画などでボディビルダーとスポーツ選手を競技をさせたときに、動きが鈍かったりスタミナが切れてしまったりで、見た目の割にスポーツはできないという印象からきているものだと思います。
そもそもボディビルダーのマッチョな筋肉は何のための筋肉なのか?ボディビルダーはボディビルの競技のために肉体美を作り上げるトレーニングをしています。つまり、筋肉を大きく見せるために筋肥大させ、筋肉量を増やすことが目的です。その点で言えば、マッチョに鍛え上げた筋肉は動ける筋肉と言うよりも使える筋肉と言えますね。
では他の競技ではどうでしょう?ボディビルダーは筋肉を筋肥大させ、大きく見せることを目的として鍛えているため、身体を動かすための筋肉の鍛え方ではありません。なので、マッチョな筋肉をつけただけでは他の競技で使える筋肉にするのは難しいでしょう。身体が筋肥大することによって、その身体を動かせるようにするには慣れが必要となります。
使える筋肉・使えない筋肉があるというわけではなく、マッチョな筋肉はボディビルダーにとっては使える筋肉ではあるが、他の競技の場合はそれだけを鍛えても、身体を動かせる筋肉になるわけではない。同じ筋肉であっても競技によって筋肉の使い方が違い、それに合わせて鍛え方も変わってくるということですね。
筋肥大しすぎると動けなくなるって本当なの?
筋肉を筋肥大しすぎると動けなくなるなんて話もよく耳にしますね。スポーツをするのにガリガリよりは筋肉をつけた方が健康的ですが、筋肉をつけすぎて身体が上手く動かなくなり、パフォーマンスが下がらないか不安と思う方もいると思います。実際はどうなのでしょう?
これも結論から言うと半分正解で半分は間違っています。
正しくは「身体が筋肥大することによって、その身体を動かせるようにするには慣れが必要」だということです。
野球選手を例にして説明してみましょう。筋肥大させる前はフォームを崩すことなくスイングが振れていたとします。しかし、筋肥大させたことによってフォームは崩れ、上手くスイングを振ることができなくなってしまった。なぜそうなってしまったのか?それは身体が筋肥大する前の動かし方しか覚えていないからです。
筋肉を筋肥大させることで身体は大きくなり、徐々に身体のバランスも変わっていきます。それによって、筋肉の動かし方も変わっていき、今まで通りの身体の動かし方では身体がついていかなくなるわけです。筋肥大は筋肉量を増やすだけであって、身体が上手く動けるための筋肉の動かし方も身に付けていかなければならないということです。
逆に身体を上手くコントロールさえできれば、今まで以上のパフォーマンスを出せるのは間違いありません。なので、筋肥大しすぎると動けなくなるというわけではなく、それに合わせて身体を動かすためのトレーニングも必要ということです。
ただ一つ気をつけなければならないのが、筋肥大することによって筋肉のコントロールが上手くできず、こり固まってしまうことがあります。なので、筋肉の柔軟性を保つために筋トレの後には、十分なアフターケアを忘れないように注意する必要があります。
(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)
筋肥大とは?メカニズム・トレーニング方法・食事・サプリ・期間など徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
ボディビルダーとプロスポーツ選手の筋肉の違い
ではボディビルダーとプロスポーツ選手の筋肉の違いは何なのか?それは「筋肉に求める用途の違い」ということです。
ボディビルダーはボディビル競技で肉体美を見せつけ合うための筋肉、いわゆる見せ筋を鍛え上げています。筋肉を大きく見せるために、瞬発力は高いが持久力の低い速筋(白筋)を主に鍛えて筋肉量を筋肥大させる。これによりムキムキの筋肉を作りあげています。
それに対してプロスポーツ選手は全身の筋肉を効率的に使い、高いスポーツパフォーマンスを長時間維持することを目的としています。そのため速筋だけでなく、瞬発力は低いが持久力の高い遅筋(赤筋)もバランスよく鍛えています。動ける筋肉が求められているわけですね。
それに加え、その筋肉を使っての身体の動かし方、つまり動作のトレーニングもしなければなりません。これをすることで筋力や筋パワー、筋持久力が身に付き、ようやくスポーツで使える筋肉、動ける筋肉にすることができるわけです。
ボディビルダーの筋肉がスポーツで使えないのではなく、スポーツに適した動作が身体に浸みついていないだけなのです。これは筋肉の有無ではなく、どんな人でも慣れていないスポーツで活躍することはできないことと同じです。言ってしまえば、その動作さえ身に付けることができれば十分なパフォーマンスを発揮できる筋肉を持っていることに変わりはありません。
ボディビルのトレーニングは身体作りに非常に適しており、筋肥大で筋肉量を増やすことは筋力の限界値を上げることに繋がります。つまり、プロスポーツ選手にとっても十分効果のあるトレーニングであることは間違いありません。実際プロスポーツ選手の中には、ボディビルダーの指導のもとでトレーニングに取り組んでる人もいます。
もちろん、筋肥大させるだけではスポーツに使える筋肉になるわけではないので、それに合わせて動作のトレーニングも必要になります。
(ボディビルポーズの種類&一覧については以下の記事も参考にしてみてください)
ボディビルポーズの種類&名前一覧!見せる筋肉部位〜評価の基準まで徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
使える筋肉・使えない筋肉という概念は無い!
筋肉には使える筋肉・使えない筋肉という概念はありません。競技が違えばそれだけ筋肉の動かし方も変わっていきます。どんなに筋肉を鍛えていたとしても、身体に動作が身についていなければパフォーマンスは不十分になり、逆に動作さえ身に付けられれば、見た目以上のパフォーマンスを発揮することもできます。
効率よく筋肉を鍛えるには、自分の目的に合った筋トレをすることが必要です。筋トレをする際にはぜひ参考にしてみてください。