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有酸素運動と筋トレの時間配分は目的別に変えるべき?
近年、運動効果を上げるために筋トレと有酸素運動を組み合わせて時間配分することがいいという論文が数多く発表されています。
研究論文「Concurrent training: A meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises.
Wilson, J. et al. 2011」によれば、主に無酸素運動からなる筋トレと、有酸素運動であるランやサイクリングを組み合わせることで体脂肪燃焼や筋力維持に効果が期待できるのです。
なかでも筋トレと有酸素運動について、どういった順番でどのくらい実施するかによって、その効果にも違いが出てくることがわかりました。この記事ではダイエットや筋力アップなど、目的別に効果的な順序や時間配分を紹介していきます。
高津 諭パーソナルトレーナー
体力要素として、筋力及び持久力をそれぞれ最大限に伸ばすには筋トレと有酸素運動をそれぞれ別々にやる方がようですが、時間効率やそれぞれをほどほどに向上させるので良ければ組み合わせることはマイナスではありません。
(筋トレ×有酸素運動のダイエット効果については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレ×有酸素運動がダイエット効果抜群!順番・時間配分・負荷などまで徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
【ダイエット目的編】有酸素運動と筋トレの時間配分・順番
まずは、ダイエットが目的の場合の有酸素運動と筋トレの順序・時間配分についてお伝えします。痩せることが目的であれば、より脂肪燃焼・カロリー消費しやすい順番と時間配分にすることが大切です。
基礎代謝を落とさずに脂肪を燃焼させることがポイント
基礎代謝が低い体だと、せっかく痩せても日常的なカロリー消費が少なく太りやすくなってしまいます。痩せるためのダイエットに励んでも、その後リバウンドしてしまったら勿体ないですよね。基礎代謝を維持するためには筋肉量を落とさないことが重要です。
そこで、筋肉量を維持しつつ脂肪燃焼ができる運動の順番と時間配分にすることで、カロリー消費もしつつ痩せやすい体質に改善することができます。
高津 諭パーソナルトレーナー
筋トレにとって有酸素はマイナスになります。目的が体脂肪を落とすことで、筋肉量や筋力は維持で構わないということである場合は2つを組み合わせることはマイナスにはなりません。
(基礎代謝を上げる筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)
基礎代謝を上げる筋トレ7選!鍛えるべき筋肉〜痩せやすくなるなどメリットまで解説
出典:Slope[スロープ]
ダイエット目的なら筋トレ→有酸素運動の順がいい!
まず順番で大切なのが、先に筋トレを実施するということです。その後に有酸素運動を取り入れるようにしましょう。また、運動の前後には関節や筋肉をほぐし、ケガを防止するためのストレッチをすることも忘れないようにしてください。全体を通して1時間程度に収めるといいでしょう。
高津 諭パーソナルトレーナー
220から年齢を引いた数値を最大心拍数と推定します(40歳なら180が最大値) 最大値と安静時の心拍数がその人の持久的余力になります。(安静時が60拍なら180-60=余力120) 余力の半分くらいまで心拍を上げる強度が脂肪燃焼にも適しています。(60+60=120) 上記の40歳の人なら120拍程度で有酸素運動を実施するとよいことになります
ダイエット目的の場合のおすすめ時間配分
最初にストレッチを5分間行い、その後筋トレを20分、続けて有酸素運動を30分、最後にストレッチを5分という時間配分が痩せるためのモデルケースです。もし運動量を上げたい場合は筋トレの前に軽めの有酸素運動を10分以内で取り入れてもいいでしょう。ウォームアップ代わりになります。
筋トレも有酸素運動も長すぎはNG
メインの筋トレは頑張りたくなるところですが、長くても1時間以内に収めましょう。1時間以上やってしまうと、今度は筋肉を分解するためのホルモンが出てきてしまいます。筋トレを20~30分、その後有酸素運動を30分、と時間配分することで筋肉を落とさずに脂肪燃焼・カロリー消費しやすい痩せる体がつくられます。
なお、筋トレ後の有酸素運動も30分を超えてはやらない方が望ましいです。有酸素運動についても、長時間に及ぶと筋肉の分解が優位になってしまいます。筋トレの効果を上げるためにも30分以内としましょう。
(有酸素運動の運動時間については以下の記事も参考にしてみてください)
有酸素運動の時間は20分以上必須?やりすぎは太る?時間帯・筋トレとの時間配分まで解説
出典:Slope[スロープ]
筋トレから始めるとダイエットに良い理由
筋トレなどの無酸素運動をすると、成長ホルモンが出るとされています。そしてこの成長ホルモンが脂肪を分解し、筋肉を強化すると考えられているのです。このため、有酸素運動の前に筋トレをし、成長ホルモンを分泌しておくことが痩せるために効果的と言えます。
さらに、無酸素運動をしてから有酸素運動をすると、体内にある糖が減らされた状態で有酸素運動がスタートできるため、より脂肪燃焼に適しているということもあります。筋トレの後には筋肉の分解を防ぐため、すぐにプロテインやアミノ酸を摂取するのがおすすめです。
有酸素運動時は最も効果的な心拍数を意識しよう
痩せるための有酸素運動では、ファットバーンゾーンの心拍数を意識するとより効果的です。脂肪の燃焼が効率的に行われるファットバーンゾーンは、ちょっときついを感じる程度の「最大心拍数×40~60%」です。心拍数がこれより早くなってしまうと無酸素運動になるため、有酸素運動としての効果が落ちてしまいます。
なお、自分の最大心拍数はおよそ「220-年齢」で求められるため、どの程度なのかを知っておきましょう。
筋トレが出来ない場合
もし筋トレが出来ない環境で有酸素運動のみを実施する場合は、長めの時間を取った方が効果的です。運動を始めてから糖質エネルギーがなくなるまで約20分ほどと言われているため、その後からが脂肪燃焼の時間となります。30分で止めてしまうと脂肪燃焼・カロリー消費に使える時間が10分のみとなってしまうため、1時間ほど続けてみるのがいいでしょう。
【筋力UP目的編】有酸素運動と筋トレの時間配分・順番
筋力アップが目的の場合、筋トレと有酸素運動は同じ日で時間配分するより別の日にやった方が効果的です。筋トレの日には、なるべく高い負荷で追い込み型のトレーニングをするのがいいでしょう。
高負荷のトレーニングにはたくさんのカロリーが必要になるため、先に有酸素運動をしてしまうとエネルギー切れを起こしてしまいます。また、ハードなトレーニングの後はエネルギーが残っていないので、続けて長時間の有酸素運動をするのも控えた方がいいと言えます。
筋力UP目的なら筋トレメイン+ごく軽い有酸素運動が良い!
基本的に筋力アップが目的なら筋トレのみでもいいのですが、心肺機能の向上や体力維持には有酸素運動も効果的です。もし脂肪燃焼ではなくクールダウンとして有酸素運動を取り入れたいという場合には、筋トレをしっかりやった後にごく軽いランなどをしてもいいでしょう。
筋力UP目的の場合のおすすめ時間配分
もちろん筋トレメインの場合も前後のストレッチは忘れないようにしてください。おすすめの時間配分としては、まずストレッチを5分、メインの筋トレを35分、軽い有酸素運動を10~15分、最後にストレッチを5分です。
高津 諭パーソナルトレーナー
筋トレと有酸素トレーニングの関係で言えば、有酸素トレーニングは筋トレの効果に影響し、筋トレは有酸素トレーニングの効果に影響しないということがわかっています。筋トレと有酸素トレーニングの実施時間帯をを少なくとも2時間は空けるのが筋力向上目的の場合には必要です。
日別に筋トレと有酸素運動をすると効率的
筋肉増強を狙う場合、筋トレの日の合間に有酸素運動を取り入れるのがおすすめです。さらに効率を重視するなら、下記のような部位別のトレーニングメニューの間に有酸素運動を挟むのが超回復を期待するうえでも良いと言えます。
月:上半身の筋トレ(プッシュ型)
火:サイクリングなどの有酸素運動
水:下半身の筋トレ
木:休み
金:上半身の筋トレ(プル型)
土:ランなどの有酸素運動
日:休み
レッグプレスの平均重量は?男女の初心者〜上級者の目的別に適切な重さを解説!
出典:Slope[スロープ]
有酸素運動はやりすぎないのがポイント
筋力アップの筋トレの間に有酸素運動を入れるのは効率的ですが、筋肉を休ませることも重要なのでやりすぎには注意しましょう。とくに有酸素運動は下半身の筋肉を使うことが多いため、下半身の筋トレの翌日には実施せず、休養日とするのがいいでしょう。
【体力UP目的編】有酸素運動と筋トレの時間配分・順番
体力の維持向上や心肺機能を上げるためには、また違った運動順序がおすすめです。ここからは体力UPが目的の場合の運動時間配分や順序についてお伝えします。
体力UP目的なら有酸素運動→筋トレの順が良い!
ダイエット編と逆になりますが、体力UPが目的なら有酸素運動から始めるのがいいとされています。これは、有酸素運動から筋トレの順に行うことで心肺機能の持久力がつくからです。筋持久力の向上も期待できるため、健康増進には最適と言えるでしょう。
また、先に有酸素運動を行うことでたくさんの酸素を肺に取り込むことも期待できます。心肺機能の向上を狙う場合も有酸素運動→筋トレの順がおすすめです。
高津 諭パーソナルトレーナー
ここでいう体力とは、持久力のことを指していると思います。マラソンなどの持久系スポーツのための補強として筋トレを行う場合などは、持久力トレーニングをしてから筋トレという順番になります。 優先順位の問題になります。
体力UP目的の場合のおすすめ時間配分
体力をつけたい目的で運動を始める場合、いきなりハードな運動時間にしてしまうと体を痛める原因になってしまいます。継続することが大切なので、最初は1日15分など軽めの時間設定から、徐々に時間を伸ばしたり、負荷をかけたりしていきましょう。
徐々に慣れてきたら、厚生労働省が提唱する「1日60分程度」の運動ができるといいでしょう。60分すべてを運動時間として区切らなくとも、通勤通学のウォーキングも含めて構いません。また有酸素運動後の筋トレは、30分以内を目安に時間配分して行うのがおすすめです。
最大酸素摂取量の向上がポイント
強めの有酸素運動を行なえば、最大酸素摂取量(VO2max)が上がり、心肺機能の向上や体力アップが図れます。また、有酸素運動でエネルギー消費もできるため、その後の筋トレは軽めに行ってもある程度の効果が期待できるでしょう。
筋持久力のアップが体力向上にもおすすめ
仮に心肺能力が高くなったとしても、長時間の運動を続けるためには筋持久力が欠かせません。効率よく筋持久力をつけるためにも、有酸素運動後の筋トレを取り入れるのがいいでしょう。食事メニューにも配慮しながら、健康な体を目指しましょう。
有酸素運動と筋トレを合わせて行う効果
冒頭でご紹介した論文でも、筋トレと有酸素運動を組み合わせて行う方法が最も体力増強・心肺機能の向上・脂肪燃焼につながったと証明されています。さまざまな研究で有酸素運動と筋トレを一緒に行う効果が発表されているため、その一部をご紹介します。
比較的短い期間でも効果が期待できる
2019年1月にイリノイ大学の研究チームが発表した論文では、運動歴が少ない45~74歳の男女を「運動をしないグループ」「有酸素運動のみ行うグループ」「筋トレのみ行うグループ」「有酸素運動と筋トレ両方を行うグループ」の4つに分け実験をした結果が述べられています。
「運動をしないグループ」以外の人々が60分の運動を週に3回実施すると、わずか8週間で差が見られるようになりました。そしてその中でも、有酸素運動と筋トレを組み合わせたグループが最も高い結果となったのです。実際に報告されたのが「筋力増強、心肺機能向上、拡張期血圧改善、体脂肪率減少」でした。
有酸素運動×筋トレで体重も体脂肪も減少する
また、研究論文「有酸素運動および筋力トレ-ニングが身体組成と体力へ及ぼす効果–高等学校女子生徒の体育授業を通して」では、ある高校の女子生徒たちが実際に有酸素運動と筋トレのプログラムを実施した結果が書かれています。
週3時間・2ヶ月の計20時間継続したところ、92%の学生が体重減少、体脂肪量にいたっては全員が減少するという結果が出たのです。さらに体力面でも筋持久力、脚筋力、全身持久力すべて向上しており、有酸素運動と筋トレの組み合わせは体脂肪量の減少と体力向上に効果的だということがわかりました。
有酸素運動と筋トレを行う最適な頻度
もちろん目的別にもメニューや時間配分は決められますが、一般的には有酸素運動と筋トレを含めた運動は1日1回、週2~3日から行うのがいいでしょう。とくに有酸素運動は、毎日やらない方が体への負担や痩せるためのリバウンドリスクを考えても望ましいとされています。上手く筋トレと組み合わせながら実施していきましょう。
有酸素運動と筋トレの時間配分・順番を理解しておこう
有酸素運動と筋トレはダイエット目的でも、体力向上目的でも組み合わせて実施したほうが効果が高いと言えます。さらに、運動の種類を変えることで飽きも感じにくく、より続けやすくなるでしょう。ぜひ目指したい目的に合わせて時間配分と順序を工夫してみてください。正しく行うことで、目指すボディにいち早く近づけますよ。