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プライオメトリクストレーニングで瞬発力UP!メカニズム〜メニュー&やり方まで紹介!

2020年10月08日

プライオメトリクスという言葉を聞いたことがありますか?スポーツで重要な要素である瞬発力や爆発力を劇的に成長させるプライオメトリクストレーニング。今回の解説では論文をもとに、メニューや頻度などを紹介します。動画でやり方が確認出来るので、ぜひ挑戦してみてください。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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プライオメトリクストレーニングとは

プライオメトリクストレーニングとは、素早い筋肉の伸張動作の後に収縮動作が行われることで収縮時のみの動作の時よりも大きな力を発揮出来るという性質を利用したトレーニング方法です。連続ジャンプや、高低差のあるジャンプを組み合わせたトレーニングによって瞬発力を向上させることが出来ます。

アスリートはトレーニングの一環としてプライオメトリクストレーニングを導入することがありますが、一般の人やリハビリを行なっている人、また高齢者など年齢を問わずどんな人にも効果的であり、ぜひ多くの人に試して欲しいトレーニングの一つです。

プライオメトリクストレーニングのメカニズム

プライオメトリクストレーニングでは様々な動作を複合した瞬発系トレーニングが行われます。例えば自重での腕立て伏せ、ボックスジャンプ、ジャンプスクワットなどです。ヘビーな重量ではなく、比較的軽い負荷を用い、最短の時間で最大の力を生み出すように練習していきます。

素早い筋肉の伸び縮みの動きは伸張反射という重要な働きを発生させます。伸張反射とは脊髄反射の一つで、筋肉が引き延ばされるとその反動で収縮する現象です。伸張反射の、収縮と伸張の素早い切り替わりを連動させて行うトレーニングが筋肉の成長と瞬発力の向上へと繋がっていくプライオメトリクストレーニングです。

スポーツではバスケ、野球、テニス、陸上など、トレーニングではウエイトリフティングなど、爆発的な動きを伴うパフォーマンスの向上に生かすことが出来ます。年齢を問わないトレーニングですが、強度が高いため、運動初心者や健康上の不安がある場合は、取り組む前に、医師や専門家に相談をしてください。

(論文などを読みたい人はこちら)

プライオメトリクストレーニングのメリット

ここではプライオメトリクストレーニングのメリットを紹介します。初心者や高齢者には一見難しそうなトレーニングに思われがちですが、瞬発力の強化で得られる効果は年齢を問わず必要とするものばかりです。

瞬発力向上

プライオメトリクストレーニングには様々なメニューがありますが最も代表的なものはジャンプ系のトレーニングです。伸張反射が多く使われるプライオメトリクスのジャンプトレーニングは、アイソメトリックやアイソトニックな筋収縮よりも、大きな力・パワーが発揮され、全身を使った瞬発力を向上させることが出来ます。

(瞬発力アップが期待できるアンクルホップについては以下の記事も参考にしてみてください)

少ない道具で簡単に実施出来る

プライオメトリクストレーニングは自重を使用するため、ウェイトや特別な設備は不要です。道具がシンプルなため、手作りの道具や代用品でも十分です。プライオメトリクストレーニングと言えばジャンプボックスを想像する人が多いかもしれませんが、特別な物をわざわざ用意する必要はありません。段差や台などでも代用出来ます。

脂肪燃焼効果

脂肪燃焼といえばランニングなどの有酸素運動ですが、プライオメトリクストレーニングも脂肪燃焼の効果を発揮します。また頭から足元まで全身の筋トレを行うため、ボディメイクにも効果的です。ただし前述した通りプライオメトリクストレーニングは強度が高いため、初心者や太りすぎの人は、運動前に専門家に相談してください。

筋肥大効果

高強度のトレーニング間に回復のためのインターバルを組み合わせているプライオメトリクストレーニングは筋肥大の効果も期待出来ます。速いスピードかつダイナミックな筋収縮が、通常の筋トレとは異なる広い範囲の筋肉を刺激することで目に見えて筋のサイズを変えていくのです。

(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)

骨を強化する

骨粗鬆症は世界中で2億人以上が罹患している深刻な健康問題ですが、最近、筋力トレーニングが骨塩密度の低下を防ぐということが分かってきました。縄跳びや交互の足でジャンプするなどのプライオメトリクストレーニングは、歩行運動以上に骨密度を高めることが出来ます。段階的に複雑な動きにして骨を強化していきましょう。

プライオメトリクストレーニングメニュー&やり方

ここでは動画とともに、プライオメトリクストレーニングのメニューとやり方を紹介します。出来そうなものがあったらぜひ取り組んでみましょう。もちろん、体力に自信のある人は回数や道具など、どんどんアレンジして挑戦してください。

アンクルジャンプ

プライオメトリクストレーニングの基礎となるジャンプトレーニングです。体の使い方を習得して高度で複雑なメニューに挑戦していきましょう。

▼アンクルジャンプのやり方
①踵を少し浮かせる
②体幹部とお尻を締める
③肩甲骨を寄せて首はリラックス
④出来るだけ膝・股関節を使わずに大きくジャンプする

体のバネを使うために足首を固めるという動作を覚えることが大切です。上半身は大きく体を振り上げるためリラックスした状態を作りましょう。

▼アンクルジャンプのコツ&注意点
・母指球の上に立つようにする
・肩甲骨をしっかりと動かす

地面からの大きな反発力を得られると足首が上に上がります。つま先だけの動きにならず上半身の動きを使ったジャンプが出来るようになりましょう。肩甲骨が大きく動かしながら全身の伸張反射を意識して行います。

スクワットジャンプ

大腿四頭筋や大臀筋、ハムストリングスなどの下半身を全体的に鍛えるスクワットを使用したプライオメトリクストレーニングです。強い衝撃を与え、筋肉をしっかり引き伸ばすことで普段のスクワット以上の効果が期待出来ます。

▼スクワットジャンプのやり方
①足幅を肩幅に頭の後ろに手を添える
②大きく伸び上がるようにジャンプする
③5回くらいを目安に行う

滞空時間を意識して行います。着地を短く、地面からの反発を使って行います。下半身に繰り返し伸張反射を起こして強い刺激を与えましょう。

▼スクワットジャンプのコツ&注意点
・しゃがみこみはクォーターくらいで
・出来るだけ滞空時間を長くする

爆発的なパワーを身に付けることが出来ます。前述したスポーツ以外に、キックやターンなどの水泳のパフォーマンスにも効果的です。

(瞬発力向上におすすめのジャンピングスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

メディシンボールジャンプ

メディシンボールを使用したプライオメトリクストレーニングです。下半身強化、上半身との全身連動性強化におすすめです。アレンジメニューも紹介します。

▼メディシンボールジャンプのやり方
①メディシンボールを足に挟み、その場でジャンプ
②体をまっすぐにし連続して行う
③上半身をリラックスさせて行う

上半身はリラックスした状態にし、大きく振って体を空中に引き上げます。出来る人は出来るだけ高くジャンプし、着地を短くします。すぐに連続で飛ぶようにしましょう。

▼メディシンボールジャンプのコツ&注意点
・空中も設置の瞬間も膝を伸ばしたまま行う
・出来る人は空中で膝を曲げて膝を上方へ引き上げる

膝を曲げて上方に引き上げることで強度が増します。頑張りすぎて姿勢が崩れないように意識して行いましょう。また膝は伸ばしたまま行います。着地時の地面からの反力を利用し、伸張反射を使って動作を連続していきます。

(メディシンボールの効果と使い方については以下の記事も参考にしてみてください)

プライオメトリクスプッシュアップ

上半身がメインになったプライオメトリクストレーニングです。腕立て伏せの状態からジャンプする動作で上半身の強化を目指します。強度設定も可能なので自分のレベルに合わせて行いましょう。

▼プライオメトリクスプッシュアップのやり方
①手を肩幅より広い状態で設置する
②肘を曲げた状態から始める
③肘を伸ばした瞬間に床から手を離しジャンプする

この動作が難しい場合は、無理をせず腕を曲げた状態の腕立て伏せ姿勢からのジャンプに挑戦してみましょう。出来る人はボールを使用し、バランス能力を追加した動作も試してみてください。

▼プライオメトリクスプッシュアップのコツ&注意点
・慣れるまでは腕を伸ばしきらなくても良い
・ボールを使ったアレンジも可能

上半身の伸張反射を意識して行いましょう。最初は回数、強度ともに自分の出来る範囲からの挑戦で構いません。少しずつ強化していきましょう。

デプスジャンプ

筋反射を使った特殊なジャンプトレーニングです。反動を使った動作でよりスピードはやく、より刺激的なジャンプトレーニングが可能です。ジャンプ動作を必要とするスポーツの人には特におすすめです。ジャンプ用のボックスは台や段差などで代用しても構いません。

▼デプスジャンプのやり方
①30-80cmほどのボックス、台を準備する
②乗った所から片足を前に出してスッと降りる
③地面に着地したらすぐにその場でジャンプする

着地した瞬間の筋肉の反射で飛ぶので、グッと踏ん張らずにすぐに飛ぶようにしましょう。出来るだけ早い動作を意識します。

▼デプスジャンプのコツ&注意点
・ボックス、台から落ちるのではなく降りるようにする
・着地の時間を短くする
・毎回全力のジャンプを行う
・右足と左足を交互に行う

関節に不安のある人や体重が重い場合には、強度が高すぎる可能性があるので、無理をせず事前に専門家に相談をするようにしてください。

(デプスジャンプについては以下の記事も参考にしてみてください)

プライオメトリクストレーニングを行う際の注意点

メリットを見ても、メニューの内容や強度を見ても、簡単に出来るような気がしてきませんか?最後にトレーニングを行う上での注意点を紹介します。ここを押さえて安全にトレーニングに取り組みましょう。

週2〜3日ほどの頻度で行う

怪我のリスクを回避するために48時-72時間以上の休息時間で筋・腱を回復させましょう。週2〜3回の頻度での実施がおすすめです。 同じ部位のトレーニングは2日連続では行わないようにしましょう。体調や関節などに不安がある人は、トレーニングに取り組む前に医師や専門家に相談してください。

段階的に強度を上げる

初めて取り組むときは、トレーニングの強度を段階的に上げるようにしましょう。ジャンプ動作では特に着地をコントロールする必要があるため、正しいフォームを習得してから次に進みましょう。必要であればジャンプを除いた動作の練習から始めてください。また衝撃を軽減させるために芝生の上や衝撃吸収用マットを使用するのもおすすめです。

目的に合わせて筋トレとの順番を決める

ジャンプ能力の向上を目指すときは筋トレとプライオメトリクストレーニングの順番に注目しましょう。論文によるとレジスタンストレーニングの後にプライオメトリクストレーニングという順番で行なったときに、プライオメトリクストレーニングの効果が上昇し、ジャンプ力の向上があったということです。ジャンプ力を上げたい場合には筋トレが先ということですね。

プライオメトリクストレーニングで瞬発力UP!

プライオメトリクストレーニングはアスリートのパフォーマンス向上だけではなく、一般の人、高齢者にとっても効果的です。強く若々しい体やパフォーマンスを目指し、自分に適した強度で段階的に取り組んでいきましょう。