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クラシックフィジークとは?
クラシックフィジークは、2016年頃から世界ボディビル選手権で始まった新しいボディビル競技です。日本でもアマチュア大会で有名になり、日本のボディビル連盟であるJBBF主催の大会でも開始されています。クラシックフィジークは、有名な二つの大会であるボディビルとメンズフィジークの両方の性質を併せ持った大会でもあります。
近年のボディビル大会では盛り上がった迫力のある筋肉が求められる一方、一昔前のボディビル大会のような全体的に均整の取れた筋肉を評価するニーズがありました。そこから生まれたのがクラシックフィジークです。
(フィジークとボディビルについては以下の記事も参考にしてみてください)
フィジークとは?ボディビルとの違いは?筋トレ方法〜選手画像集まで紹介!
出典:Slope[スロープ]
ボディビル・メンズフィジークとの違い
新しい競技であるクラシックフィジークには、既存のボディビル大会やメンズフィジーク大会とどのような違いがあるのでしょうか?大きな違いを3点紹介します。
①衣装
ボディビルやメンズフィジークとの大きな違いは、まず衣装です。メンズフィジークでは太ももまであるサーフパンツ、ボディビルでは太ももの付け根まで露出された面積の狭いボディビルパンツを着用します。クラシックフィジークでは面積が広めのショートショーツを着用するので、臀部は評価対象になりません。
②ポージング
続いて、ポージングにも違いがあります。クラシックフィジークには大会によって、バキュームポーズ、クラシックポーズといわれる新しい規定ポーズが追加されていることがあります。また、臀部は審査しないため、前屈して臀部を見せるムーンポーズは禁止になっていることが多いです。ムーンポーズを行った場合、失格になることもあります。
(ボディビルポーズの種類&名前一覧については以下の記事も参考にしてみてください)
ボディビルポーズの種類&名前一覧!見せる筋肉部位〜評価の基準まで徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
③筋肉のつけ方
さらに大きく違うのは、筋肉のつけ方です。ボディビルでは圧倒的な筋肉量が求められ、フィジークはしっかりと絞られた逆三角形の体型が求められます。クラシックフィジークはその中間のバランスが重要視され、肩や背中、腕、大腿筋などが発達し、ウエストは引き締まったVシェイプのアウトラインの完成度が求められます。
(大腿筋膜張筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
大腿筋膜張筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説
出典:Slope[スロープ]
④クラス規定
クラシックフィジークはクラス規定でも、ボディビルやメンズフィジークと違いがあります。ボディビルは体重ごとにクラス分けがされているのに対し、フィジークは身長のみでクラス分けがされており、体重は制限がありません。クラシックフィジークは身長体重の両方で規定があり、身長-100+10kg前後という指定がされていることが多いです。
クラシックフィジークのルール①衣装
大会によって長さの規定は様々ですが、横の幅が11~15cm以上のショートパンツやスパッツ、ポージングトランクスといった衣装を着用します。パンツにはメーカーのロゴが入っているものは可能ですが、他のボディビル団体のロゴが入ったものや個人的なロゴなどは禁止されている大会もあります。
また、アクセサリー類や前開きのもの、下着やブリーフは禁止されている大会が多いです。色は大会によって異なり、黒やシンプルなグレーなどの単色、ダークな色の2色以内と規定されていることがあります。華美な色や光沢のあるもの、汗で透けるような薄いものなどは禁止されていることが多いです。
クラシックフィジークのルール②カラーリング
ボディビル大会やフィジーク大会では仕上げにカラーリングをすることが多いですが、クラシックフィジークでも認められています。ただし、大会によっては認定されたオフィシャルカラーリングのみの使用に限られていることあるので、大会要項を確認しておくことが必要です。
また、会場によってはカラーリングが禁止されていることもあります。カラーリング可能な大会や会場であっても、当日に現地で行うことは禁止されています。会場を汚してしまった場合、賠償請求されることがあるので、注意が必要です。
クラシックフィジークのルール③音源
ポージングで使用する音楽は出場者が準備します。1曲、または60秒以内など、大会によって規定が異なっているため確認が必要です。使う曲を事前にCDに収録しておき、登録の時に提出します。使われる曲にはヒップホップや洋楽など、規定はありません。アニソンを使う選手もいます。
ただし、洋楽を使う場合は卑猥な歌詞や汚い歌詞を含むものは使えません。そういった歌詞を含んでいた場合、失格となる可能性があります。
クラシックフィジークのクラス規定
クラシックフィジークでは、ボディビルやメンズフィジーク同様、身長と体重によってクラス規定が設けられています。IBBF基準のクラス規定とJBBF基準のクラス規定を紹介します。
IBBFのクラス規定
IBBFが主催する世界クラシックフィジーク選手権大会では、クラス規定は以下のようになっています。
・162.9cm未満:72.9kg まで
・163~164.9cm:74.9kg まで
・165~167.9cm:76.9kg まで
・168~169.9cm:78.9kg まで
・170~172.9cm:82.9kg まで
・173~174.9cm:85.9kg まで
・175~177.9cm:88.9kg まで
・178~179.9cm:92.9kg まで
・180~182.9cm:95.9kg まで
・183~184.9cm:99.9kg まで
・185~187.9cm:103.9kg まで
・188~190.9cm:107.9kg まで
・191~192.9cm:110.9kg まで
・193~195.9cm:113.9kg まで
・196~197.9cm:117.9kg まで
・198~201cm:120.9kg まで
・201cm以上:124.9kg まで
JBBFのクラス規定
JBBF主催の日本クラシックフィジーク選手権大会では、出場規定は以下のようになっています。まだ新しくできたばかりで競技人口も少ないため、出場資格制限はなく、クラスも少ないです。
・168 ㎝以下(身長-100)+4kg
・171 ㎝以下(身長-100)+6kg
・175 ㎝以下(身長-100)+8kg
・175 ㎝超 (身長-100)+11kg
クラシックフィジークの競技の流れ
クラシックフィジークには予選と決勝があり、予選では一人ずつポーズを審査したり、数名ずつ比較するラウンドがあります。入場からポージング、退場までの流れは以下の通りです。
①番号順に一人ずつ入場し、ステージ中央に立つ
②60秒間で規定の5ポーズをとる
③60秒経ったら退場する
予選では60秒間でフロント・ダブルバイセップス、サイドチェスト、バック・ダブルバイセップス、アブドミナル&サイ、マスキュラ―ポーズ以外の好きなクラシックポーズの5種類をポージングします。JBBFの大会はサイドトライセップスとバキュームポーズが加わった7種類のポーズです。また、数名がポージングを行い、比較をするラウンドもあります。
決勝では規定ポーズではなく、提出した音楽に合わせて60秒間のフリーポージングが行われます。すべてのポージングが終了したら、リラックスポーズで最終チェックを行い、競技終了です。その後、選手は退場となります。
クラシックフィジークの審査基準
審査基準は、予選の場合は規定ポーズ、決勝の場合はフリーポーズです。フィジークよりも筋肉量が求められ、かつバランスの取れた筋肉であることが重要です。臀部はパンツで隠れているため審査対象にはならず、脚は評価対象となります。
ステージ上で禁止行為をした場合は失格となります。柱や壁によりかかること、ガムを噛むこと、ムーンポーズをすること、ステージ上で横になるポーズをすること、隣の選手にぶつかったり押し合う行為などは禁止行為です。
また、ルールには書かれていませんが、ステロイドが禁止されている大会がほとんどです。特にJBBFではドーピング検査をしており、陽性反応が出た場合は処分対象となります。審査で不自然な筋肉の付き方をチェックされている可能性もあります。
クラシックフィジークで活躍する選手の画像一覧
クラシックフィジークは新しい大会であり注目度も高く、またボディビルのような迫力ある筋肉量も求められないため、ボディビル大会よりも出場が狙いやすいといわれている競技でもあります。クラシックフィジークで今注目されている選手を紹介します。
ダニー・へスター
ダニー・へスター選手はアメリカ出身で、2016年に行われたクラシックフィジーク大会の初代ミスターオリンピアです。2017年と2018年は優勝を逃していますが入賞しており、再びミスターオリンピアに返り咲くのか、今後の活躍に注目の選手でもあります。
アラシュ・ラーバー
アラシュ・ラーバー選手は、イランとアメリカのハーフの選手です。32歳と遅咲きでボディビルの大会に出始めた選手ですが、2016年の初代クラシックフィジーク大会では2位となり入賞を果たしています。近年やや順位を落としていますが、ルックスが良くファンも多いため、注目度が高い選手です。
ブレオン・アンズレイ
ブレオン・アンズレイ選手は、2017年と2018年にクラシックフィジーク大会でミスターオリンピアとなったアメリカ出身の選手です。元々ボディビル大会のプロとして活動していましたが成果が出せず、クラシックフィジーク大会で花が開いた選手でした。2019年は惜しくも優勝を逃しましたが、今後に期待が高まります。
クリス・バムステッド
クリス・バムステッド選手は、カナダ出身のボディビル選手でした。2017年と2018年からクラシックフィジーク大会に出場し始め、2019年についに優勝したということで話題となりました。肉体の完成度が高く、今後が期待される選手です。
アレックス・カンブロネロ
アレックス・カンブロネロ選手は、アメリカ出身の元ボディビル選手です。2019年からクラシックフィジークに出場し始め、2020年3月に行われたアーノルドクラシックのクラシックフィジーク大会で優勝しました。ボディビルのような盛り上がりとウエストの絞りの差に迫力がある選手です。
CK KIM
CK KIM選手は、韓国出身のマッスルマニアプロの選手であり、2015年にはマッスルマニアワールドプロでチャンピオンになった選手でもあります。2018年にはIFBBプロカードに初挑戦し、韓国人初のクラシックフィジークのプロ選手となりました。まだ目立ってはいませんが、今後が楽しみな選手です。
Jally
Jally選手は本名を松ヶ迫直也といい、 NPCJのアマチュアクラシックフィジーク大会で何度も優勝をしている強豪選手です。曲にアニソンを使うといった、エンターテイナーな一面も持ち合わせています。大学院生であり若いことから、プロ入りが期待される選手です。
市川信行
市川信行選手は、2020年9月のFWJのプロクオリファイコンテストで日本人初のプロとなったクラシックフィジーク選手です。ボディビル歴は浅く、元々力士出身という特殊な背景を持っています。これから注目の選手です。
倉持健太郎
倉持健太郎選手は元々フィジークに出場していましたが、クラシックフィジークに移行した選手です。2019年のビーフ佐々木クラシックで優勝し、プロ入りが期待されている選手でもあります。
仲祐丞
仲祐丞選手も元々フィジーク選手でしたが、現在クラシックフィジークの選手として活躍しています。2019年のビーフ佐々木では倉持選手と優勝を争いました。まだ20代と若く、日本人とメキシコ人のハーフでイケメンなルックスから、人気の高い選手です。
クラシックフィジークについて理解を深めよう
クラシックフィジークは新しい競技ですので認知度もまだ低いですが、ボディビルやメンズフィジークにはない新しい魅力を持った注目の競技です。ルールや知識を深めることでもっと深く楽しめるでしょう。また、ボディビルやメンズフィジークとは違ったタイプの選手が出てくることも考えられますので、選手の活躍にも期待です。