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筋トレが尿酸値を上げて『痛風』に?その原因&対策〜体験談まで紹介!

2020年11月18日

痛風になると歩けないほどの痛みに襲われます。ボディビルダーが摂取している大豆プロテインには痛風の原因となるプリン体が含まれており、尿酸値を上げる可能性があります。さらに激しい筋トレの継続から尿酸値が上昇することもあるので、注意して筋トレに取り組みましょう。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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筋トレが尿酸値を上げて痛風になるって本当?

痛風というと、ビールをたくさん飲む中高年男性がかかる病気というイメージがあるのではないでしょうか。ところが痛風とは縁がなさそうな、熱心に筋トレに励む人たちやボディビルダーにも、尿酸値を上げて痛風になってしまう危険があるのです。健康で強靭な肉体を目指して行っている筋トレが、痛風の可能性を高めてしまうのはなぜでしょうか。

そもそも痛風ってどういう病気?

痛風は「風が吹いても痛い」といわれますが、いったいどれくらいの痛みなのか想像できますか?発作的な痛みはとても激しく、息もできないほど耐えがたいものといわれています。特に足の親指の付け根の腫れや痛みが痛風の特徴です。ほかに足や膝の関節、肩や手の関節などにも症状が現れます。

この痛みはある日突然発作的に発生して、数日続いたあと症状は緩和します。多くの場合、発作は1度きりでは治まりません。また痛風は心疾患や脳血管疾患、腎臓の病気につながることもあり、放置すると恐ろしい病気です。

痛風と筋トレの関係は?

痛風の原因となるのは高い尿酸値です。残念ながら筋トレで尿酸値が上昇し、痛風の一因になってしまうことがあるのは事実です。そのため強度の高い筋トレを長く続けている人やボディビルダーは、痛風になりやすい傾向があるといわれています。なぜ筋トレで尿酸値が高くなってしまうのでしょうか。

筋トレが尿酸値を上げて痛風になる原因

筋トレは尿酸値を上げてしまいますが、筋肉発達のためには筋トレによる筋繊維の破壊や再生が欠かせません。ところがこれが尿酸値上昇に寄与してしまいます。

筋肉の損傷と再生で尿酸値アップ

筋トレをすると筋肉に一時的に大きな負荷がかかり筋繊維が損傷します。これを再生する過程で筋肉が発達しますが、プリン体の分解が促進されて尿酸も増加します。筋トレの負荷が高くなるほど、血液中の尿酸値も急上昇します。日常的な激しい筋トレで尿酸値の高い状態が続くのは、痛風の危険信号になってしまいます。

日本体育大学の研究によっても、ウエイトリフティング等のトレーニング時に運動時高尿酸現象といわれる尿酸の上昇が見られ、中には正常値を超えるものもあったとあります。

また、人間ドックの前夜に夕食を摂ることができず筋トレをした結果、尿酸値だけが異常に高くなってしまったという体験談もネット上で確認できます。

運動選手の尿酸動態に関する研究

出典:日本体育大学紀要20巻2号

尿酸値が高いと痛風になる理由は

プリン体を過剰摂取したり、体内でプリン体が過剰に生成されたりすることで尿酸値は上昇します。しかしプリン体自体は決して害になるものではありません。体や臓器を動かすためのエネルギーを発生させる物質であり、遺伝子を構成する成分でもあります。生命活動にとって重要な役割を果たしているのです。

体内では細胞の新陳代謝の際にプリン体を産み出します。またプリン体は動植物の細胞の中にあるため、肉や野菜などあらゆる食品に含まれ、食事からも体内に取り込まれるのです。体内のプリン体は肝臓で分解され、ここで老廃物として発生するのが尿酸です。尿酸はいずれ尿などの排泄物として体外に排出されます。

ところが尿酸が体内で過剰に作り出されてしまったり、排泄される尿酸が少なすぎたりすると、体内の尿酸値が上昇してしまいます。尿酸値が高い状態が続くと、血液に溶けきれない尿酸がくっついて結晶化します。痛風は、この結晶が関節にたまって白血球に攻撃される時に激しい痛みが発生するのです。

尿酸値を上げるのは有酸素運動より無酸素運動

運動は有酸素運動と無酸素運動に分類され、筋トレは酸素を使用せずに短時間で行う無酸素運動です。無酸素運動では血中の尿酸値が上昇し、さらに強度が高いほど筋トレ後の尿酸値が急上昇してしまうことが報告されています。これは無酸素運動で多く作られる乳酸が影響しているのです。

筋トレをしている人が「乳酸がたまった」という話をしているのを耳にしたことがあるのではないでしょうか。乳酸は、筋トレをする際エネルギーとして利用するために糖質が分解されて発生したものです。強度が上がるほど、糖質が通常より多く分解され、乳酸も多く発生します。乳酸が腎臓内に増えると、尿からの尿酸の排泄を妨げてしまうのです。

尿酸値は筋トレのような無酸素運動で上昇しますが、有酸素運動では尿酸値の上昇は見られません。尿酸値を上昇させない運動という点では有酸素運動の方が適しているといえるでしょう。

筋トレで尿酸値を上げて痛風になるのを防ぐ対策

筋トレは肉体の増強だけではなく、基礎代謝のアップや若々しさの維持などたくさんのメリットがあります。かといって、筋トレで痛風になることは誰でも避けたいですよね。痛風にならないように筋トレを続けるため、次のことに注意して取り組みましょう。

筋トレ時には水分補給をしっかりと

筋トレ中の水分補給は基本的なことですが、のどが渇く前に忘れずに水分をとりましょう。尿酸は水溶性なので、水をたっぷり飲むことで尿からの尿酸排出を促し、尿酸値を下げる効果が期待できます。特に高尿酸血症の方は1日2リットル以上を目安に水分を摂取するようにしましょう。

ただしジュースやスポーツドリンクで水分を補給するのは、糖分の過剰摂取となりますので控えてください。砂糖や果糖の含まれていない水やお茶などがおすすめです。

(筋トレ中の水分補給については以下の記事も参考にしてみてください)

乳製品も効果的

牛乳をプロテイン摂取の目的で飲んでいるボディビルダーに朗報です。牛乳などの乳製品には、尿酸の排泄を促してくれる効果があるのです。牛乳にはカゼインタンパクとホエイタンパクという成分が含まれていて、どちらも尿酸の排泄を促進してくれます。

筋トレ後に牛乳を飲むことは、水分の摂取になるとともにタンパク質を補給し、筋トレ中に体内で増加した尿酸値を下げることにつながります。また、牛乳以外にヨーグルトなどでも尿酸の排泄を促してくれることがNHKためしてガッテン(2017年1月4日放送)で紹介されました。

健康診断の結果を必ずチェック

健康診断は定期的に受診していますか?特に若い人は、受診していても自覚症状がなければ、健康診断の結果に関心を持たないかもしれません。筋トレが日常の習慣になっている人は、年齢・性別に関わらず健診結果の尿酸値には注意しましょう。

血液中の尿酸の濃度を表す尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。無症状であっても、高尿酸血症を放置すると痛風の症状が出る可能性があります。自分で尿酸値を把握し、高い場合には尿酸値を下げるために生活習慣の改善を行いましょう。

食生活の改善

筋トレを日常に取り入れている人は、食生活にも自然と気を配っているものです。それでも定期的な検査で尿酸値が高かったら、改めて食事内容の見直しをおすすめします。食事から取り込まれるプリン体は体内の尿酸全体の2~3割です。たかが2~3割と考えず、尿酸値を下げるためには食事で摂取するプリン体にも注意しましょう。

プリン体は肉や魚の干物、アルコールなどに多く含まれています。特にレバーなどの動物の内臓にプリン体が多くあります。アルコールは尿酸値を高めるだけでなく、利尿作用により体内の尿酸の濃度を高めてしまうので注意が必要です。

また、酸性の尿には尿酸が溶けにくい特徴があります。尿が中性~アルカリ性になるよう、野菜や海藻類などを毎日の食事にとりいれることもおすすめです。

筋トレによって尿酸値が上がり痛風になった人の体験談

実際に、筋トレを続けて痛風になった人はどのような体験をしたのでしょうか。

骨折かと思うほどの痛み

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個人ブログ45歳

私の痛風ライフを軽くレビューさせていただきます。
 171cm66kg筋肉質体型ですが、お酒が好きでお肉も大好きです。また、激しい運動(ロードバイク、サーフィン)を結構なペースで続けており、こちらも尿酸値向上に寄与しているものと思われます。
 初発症は右親指付け根。お正月の暴飲暴食後の翌朝に来ました。例のごとく、骨折かと思い救急病院に直行。ヒーヒー言いながら診察(誤診)を受けた9年前の出来事は今でも忘れません。
 それから、年に2~3度のペースで発症。4年は続いたでしょうか。部位は、足の甲、くるぶし、かかと、足首など大方の足部位を経験。そしてとっても辛かった膝が2回です。

この方は右手首、右足甲、左足中指の付け根、右膝と4箇所も同時に痛みが発症しました。4箇所同時に激しく痛むわけではないものの、いつどこの部位の痛みが爆発するか、恐怖を持ち続けなくてはいけない過酷さを体験しています。

トレーニングで痛風の発作

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Yahoo!知恵袋40代

一度でも痛風発作を起こした人は、尿酸値が高くなるなど、なんらかのきっかけで痛風発作を起こします。一生です。

本題ですが、痛風は尿酸値によって発作の起こりやすさが決まりますので、トレーニングによって、体内の酸性度が上がったり、筋分解によって尿酸値が高くなったり、発汗によって体内の尿酸濃度が上がる事によって、痛風発作が起きやすくなることがあります。因みに私は痛風で、トレーニングによって(多分ですが、、)、発作が起きたこともあります。
また、トレーニング時のなんらかのショックで、溜まっている尿酸結晶が剥がれ落ち、それがきっかけで発作が起きることもあります。

これは「ボディビルダーに痛風経験者が多いか」というYahoo!知恵袋での質問に対する回答です。痛風は一生、と回答されていますが、完治は困難といわれるものの痛風の発作の再発や合併症を予防できる可能性はあります。

高い尿酸値が続いた末に痛風発作

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個人ブログ40代

2011年05月29日の深夜

私は突然、痛風発作 に見舞われました

右足の親指の関節が布団が触れただけでも、飛びあがるほどの激痛でした

痛風とは文字通り「風が当たっても痛む」ほどの激烈な関節痛(=痛風発作)に見舞われる病気です

この方は、ライフワークとして筋トレを何十年も続けている自称健康オタクです。定期健診を始めた36歳の頃から尿酸値が高い状態が続いていたにもかかわらず、自覚症状がないことから気にせずにいたら、40代半ばで痛風発作を発症しています。

現在は、薬の服用効果もあり正常値に回復していますが、筋トレをする人やボディビルダーへ定期的な血液検査で尿酸値をチェックするよう促しています。

筋トレが尿酸値を上げて痛風になる原因にもなるので注意!

筋トレによって痛風になる危険性や、痛風にならないようにする注意点などを紹介しました。日常的な健康増進のために筋トレを続けている人も、マッチョなボディビルダーを目指して筋トレをしている人も、痛風を発症してしまったら筋トレの継続が難しくなってしまいます。

日常の運動に尿酸値を上昇させない軽い有酸素運動もとりいれ、尿酸値が高い人は数字を下げることを意識して、筋トレと長く付き合っていきましょう。