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腕振りの意識で走りが一気に快適になる
ランニングやジョギングのような走る運動では、脚や下半身の筋肉だけを意識している方も多いでしょう。しかし快適に走るには、上半身を含めた全身の筋肉を使うのがおすすめです。
腕振りを意識して行うと、自然に全身を使って走ることが出来ます。腕振りはランニングでスピードを上げるためにも、楽に走るためにも重要なのです。今回は腕振りの重要性や正しい腕振りのフォームについて説明します。
ランニングの正しいフォーム!効果倍増で疲れにくい理想の走り方を解説!
出典:Slope[スロープ]
腕振りがランニングに与える効果
腕振りがランニングなどの走る運動に重要だと言いましたが、一体なぜ重要なのでしょうか。その答えは腕振りがランニングに与える効果にあります。
腕振りで脚をリードできる
腕と脚の動きは基本的に連動しています。自然に腕を振りながら、脚を1歩進めると、腕振りは1回行われるでしょう。腕と脚は連動してるので、1歩ごとに1回腕振りが行われるのです。走るスピードを上げようと脚のペースを上げれば、自然に腕振りのペースも上がります。
逆に腕を速く動かすと、脚の動きを速くすることも可能です。また、大きく腕振りをすると自然と歩幅も大きくなります。腕と脚の動きが連動しているので、腕振りによって脚の動きをリードすることが可能なのです。
前に進む力を生み出す
2つ目の腕振りの効果は、体が前に進む力を生み出す効果です。肩甲骨から腕振りを行うことによって、逆側の骨盤が前に出ます。すると上半身と下半身がねじれ、その反動で前に進む力、いわゆる推進力が生まれるのです。タイミングよく腕を振って走ると、連続で反動が付き、前に進む力を生み出し続けることが出来ます。
バランスがとれる
走る運動をする時には自然に腕を振っている方が多いでしょう。それは無意識のうちに腕振りでバランスをとっているからです。走る時、体の重心は少しずつ移動しています。その重心のバランスを、体のどこかでとらないと転倒に繋がってしまうのです。
腕以外の部位、例えば上半身全体などを使ってバランスをとろうとすれば、体幹のねじれが大きくなり、とても走りにくくなります。そんな体勢では速く走るのは困難です。さらに、無駄に大きい動きをすることによって、体力も消耗してしまいます。腕振りをすることによって比較的小さな動きで全身のバランスがとれ、体力も温存できるのです。
地面から跳ね返る力を大きくする
歩く時も走る時も、私たちは地面に力を加えて前に進んでいます。私たちが地面に力を加えている時、実は地面から力が跳ね返ってきているのです。地面に大きな力を加えれば加えるほど、跳ね返ってくる力も大きくなります。その跳ね返ってくる力を上手く使えると、走るスピードを上げることが可能です。
前述の通り、私たちは腕振りをすることでバランスをとっています。そのため腕振りを正しく行えると、バランスを崩さずに、強く脚で地面に力を加えることが可能です。すると地面から跳ね返る力を大きく出来、スピードアップに繋げられます。
よくあるNGな腕振りのフォーム
「腕を振ればどんな振り方でも良いのではないか」と思う方もいるでしょう。確かに腕振りは体の柔軟性や癖によって、個人差も大きいです。しかしスピードや走る時の体力の消耗を考えると、NGな腕振りのフォームもあります。よくあるNGな腕振りのフォームを見ていきましょう。
後ろに引いた腕が伸びている
腕振りは肘を曲げた状態で行います。しかし前に振った時は良いのですが、後ろに引いた時に肘が伸びてしまう場合があるのです。すると腕振りで生み出された力が後ろに流れてしまい、前に進む力になりません。肘を曲げて後ろに力が逃げるのを防がなければ、体を前に進める力を上手く使えないのです。
さらに、腕振りは振り子運動のように腕を動かしています。手が肩から遠くにあればあるほど、同じ重さの腕を振る時に力が必要です。そのため肘が伸びていると余計に体力を消耗し、疲れやすくなってしまいます。これは持久力が求められる長距離走では、大きな差になるでしょう。
腕振りが前後ではなく左右になっている
腕が前後ではなく左右に振られてしまうフォームも避けたいです。腕を大きく振ろうと意識しすぎて上半身をひねるような体勢になってしまったり、脇が開く体勢になってしまったりして腕を左右に振ってしまう場合があります。また、後ろに肘が引けず結果的に左右に腕振りをしてしまう場合もあるでしょう。
腕が前後でなく左右に振られてしまうと腕から骨盤、脚への動きが伝わりづらくなります。また、左右への腕振りで横に流れてしまった力は前に進む力にはなりません。走るうえで余計な力を使ってしまっていることになります。
肩甲骨を意識しすぎてしまう
肩甲骨を意識しすぎてしまい、上半身に力が入ってしまうと肩甲骨は上手く動きません。肩甲骨が動かなければ骨盤も動かず、全身を使ったランニングにはならないのです。すると歩幅が大きくならなかったり、重心の移動が上手く出来なかったりしてします。脚に負担が多くかかってしまう事態にも繋がりかねません。
正しい腕振りのフォームを確認
腕振りのNGなフォームを紹介しました。次に腕振りの正しいフォームの確認をしましょう。正しいフォームで腕振りを行うことによって、走る運動をする時に腕振りの効果を得やすくなります。人によっては腕振りを修正することで、大きくスピードアップできる場合もあるのです。
上の画像のように肘の角度は約90度にしましょう。腕には重心が複数ありますが、肘を90度に曲げると重心が1つになります。重心が1つになると、腕を動かしやすくなり、楽に腕振りが出来るようになるのです。
また、腕振りをする時は背筋を伸ばしてください。背筋が伸びていると腕振りがスムーズに出来ます。背筋が伸びず、猫背のように胸の筋肉が縮んでいる姿勢では腕は大きく振れません。
腕振りは肩の力を抜いてリラックスした状態行ってください。力を抜いて肩を中心にした振り子運動のイメージで、肘を前後に振りましょう。リラックスしたまま肩甲骨から腕を動かすと、自然と骨盤も動きます。そうすると脚の筋肉だけでなく、全身の筋肉を使えるので楽に走ることが可能です。
上の画像の青い点は肩甲骨です。画像のように肩甲骨を動かせれば上手く動かせています。肩を腕と一緒に振らないように、上半身は動かさないことを意識しましょう。肩甲骨が動いているかどうかは、他の人に触って確認してもらうのがおすすめです。
正しい腕振りを習得する為の練習方法
実際に正しい腕振りを習得するために練習をしていきます。ですが、練習を始める前に自分の腕振りのフォームを確認してみるといいでしょう。修正点が分かると改善に繋がりやすいです。腕振りは自然に行っている人も多く、振れているつもりになっている人もいます。鏡や録画、他の人に見てもらうなどして自分のフォームをチェックしてみましょう。
腕振りの練習
腕振りの練習は、その場で実際に腕を振ると良いでしょう。力を抜き、肘を曲げて、体の横で手をまっすぐに降ります。腕を後ろに振った時に肘が伸びないように角度を付けたまま振りましょう。
腕を大きく振ると、より前に進む力が生まれ、スピードを上げることが出来ます。そのため大きく腕を振ることは大切です。ただし意識し過ぎると、肩が張って上半身が左右にぶれてしまうことがあります。リラックスして行ってください。
また、肩も腕と一緒に動かしてしまうと体力も余計に消耗してしまいます。上半身は動かさずに腕だけを大きく振るように心がけましょう。
2人で出来る練習方法
1人は前に立ち、もう1人はその後ろで手のひらを出します。前に立つ人は、後ろの人の手のひらに肘を当てるようにして、腕振りをしましょう。この練習によって大きく腕振りを行えるようになります。前の人はまっすぐ前を見て腕を大きく動かしましょう。後ろの人は前の人が大きく腕を振れるように、少し距離がある位置に立って行ってください。
肩甲骨まわりが硬い人はヨガやストレッチもおすすめ
リラックスして肩甲骨から腕振りが出来ればいいのですが、肩甲骨まわりが硬く上手く肘が引けない、腕振りが出来ないという方もいるでしょう。そういった方はヨガやストレッチで肩甲骨まわりをほぐすのがおすすめです。やり方を説明します。
あぐらで座り、手を組んで上に伸ばします。全身を伸ばし、息を吐きながら手を下ろしてください。右手を頭の上に上げ、肘を曲げます。左手でその肘を持ち、右手は外へ、左手は逆に引っ張り3秒キープして力を抜きましょう。反対側も同じように行います。
次に右手を背中に回し、左手で鎖骨の下を押してほぐしてください。胸の横、脇の横もほぐしていき、首を振り向くように左右に回します。反対も同じように行いましょう。肩を回し、手を広げ右手は内側に捻じり左手は外側に捻じります。交互に繰り返してください。最後に手を組んで伸び上がりリラックスしましょう。
(ランニング前後のストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)
ランニング前後にストレッチは不要?必要性〜タイミング・時間・順番まで紹介!
出典:Slope[スロープ]
快適に速く走るには正しい腕振りの習得が重要
脚の筋肉だけで走るより、全身の筋肉を使って走るほうが楽でスピードも上がります。全身の筋肉を使うためには、肩甲骨が動き、骨盤が動く腕振りを行うことが重要です。長距離でも短距離でも、腕振りによって走りやすさとスピードが変わってきます。正しい腕振りを習得してランニングの快適さとスピードをアップさせましょう。