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棘下筋のストレッチ&筋トレメニュー!構造・作用〜痛み改善のコツまで解説

2020年05月10日

棘下筋のストレッチと筋トレを構造をご紹介した後にご紹介していきます。棘下筋はローテーターカフといい、肩の安定化に関与しています。強化していくことで肩こりや肩の痛みの改善につながります。そんな棘下筋のストレッチとトレーニングを解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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棘下筋の構造・作用

出典:https://jp.123rf.com/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88/%E6%A3%98%E4%B8%8B%E7%AD%8B.html?oriSearch=%E8%82%A9%E9%96%A2%E7%AF%80&sti=nxu2lykpx2kujnvg0u|&mediapopup=42219622

棘下筋はローテーターカフの一つで、主に腕を外側に捻る外旋運動のときに作用します。肩関節の内転・腕を後ろに引く伸展のときにも、他の筋肉の補助として働きます。

棘下筋の筋線維は腕を下げて外旋させたときに作用する横走行と、腕を横に上げた状態で外旋させたときに作用する斜走線維に分かれています。これらを踏まえると、棘下筋をトレーニング・ストレッチする際には2つの筋線維に沿ったトレーニングやストレッチが必要となります。

肩関節の運動は複雑で、いわゆる50肩などによって脂肪組織は硬くなってしまいます。すると棘下筋の収縮効率が低下したり柔軟性が欠如するため、ストレッチする際にはこの棘下窩脂肪体へのマッサージやリラクゼーションなどの対応も必要になってきます。

筋トレメニューからみたい方はこちら

(ローテーターカフの筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)

棘下筋を柔軟にする・鍛えるメリット

肩関節の後方のボリュームアップ

棘下筋をトレーニングすることのメリットは肩関節の後方部分のボリュームがアップすることです。肩後方には三角筋という筋肉が存在します。その下を走行するのが棘下筋ですが、ボディメイクする上で肩の後方のボリュームは大変重要です。棘下筋は走行上肩のボリュームアップに必要不可欠な筋肉です。

(肩関節のストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)

日常生活での肩こり改善

ローテーターカフとして肩を支える棘下筋は肩こり防止に役立ちます。トレーニングすることで、肩こり改善や肩の痛みの改善を図れるでしょう。年齢と共に肩こりを感じるようになった人にも効果が期待できます。 

棘下筋のストレッチメニュー

ここからは棘下筋のストレッチ方法を詳しく紹介します。なお、棘下筋の下を同様の走行で並走する小円筋が存在するため、棘下筋単独のストレッチは不可能とされています。そのためここでは、棘下筋を含む肩関節外旋筋のストレッチを紹介します。

スリーパーストレッチ【棘下筋のストレッチメニュー】

ローテーターカフの棘下筋下部線維と小円筋は、筋肉の走行上分けてストレッチをすることができません。ここでは棘下筋と小円筋のストレッチについてご紹介します。

▼スリーパーストレッチのやり方
①横向きに寝た状態でストレッチする肩を下にする
②肩関節屈曲90°、肘を90°曲げた状態(肩を上に90°上げた状態)の位置に
③肘を床方向に下げていき、肩関節を内旋させる

肩の後外側部分が「ツー」とするような痛みがあればストレッチされている証拠です。このような状態から10秒程度保持します。

▼スリーパーストレッチのコツ&注意点
・肩を内旋させる際に肩が浮き上がらせると肩の前方に痛みが生じる
・肩が浮かない位置まで動かすことがポイント
・棘下筋と小円筋のストレッチは一般的に行うストレッチと異なった伸張感を意識

小円筋の付着部が関節包です。関節包とは関節を覆っている袋でこれらを伸ばすと、「関節をきめられた」ような痛みが生じます。そのため、このストレッチでは、やや痛みを感じることがあると思いますが、その痛みはストレッチされている証拠ですのでそのような痛みがあるところまでストレッチしても問題ありません。

トータルストレッチ【棘下筋のストレッチメニュー】

最後は棘下筋上下部線維と小円筋のトータルストレッチです。個別にストレッチした後に、トータルストレッチを行うことで効果的面です。

▼棘下筋上下部線維と小円筋のトータルストレッチのやり方

①肘を45°程度曲げて腰に手を当てる
②肘を前方に倒すようにして曲げていく
③反対の手で倒すのを補助するとより効果的
③肩後方から肩甲骨付近にかけてストレッチする

肩の後方に伸張感があるところで10秒程度保持します。痛みがあると筋肉がうまく伸びないため、伸びているなと感じるところで保持しましょう。

▼棘下筋上下部線維と小円筋のトータルストレッチのコツ&注意

・肩甲骨が過度に前傾しないようにする
・壁などで肩甲骨が動かないようにする
・肘の角度は45°程度が理想的
・肘関節の角度を意識し、肩甲骨が前傾しすぎないようにする
・痛みが生じない程度でストレッチする

肘の曲げる角度が45°以上となると下部線維がより伸張され、肘の角度が45°以下となると上部の線維が優先的に伸ばされます。

棘下筋のストレッチ前にするコンディショニング【棘下筋のストレッチメニュー】

ストレッチの番外編として、ストレッチ前にやった方が効率的なコンディショニングを紹介します。テニスボールで棘下筋付着部周囲のマッサージする方法です。

棘下筋をマッサージすることでストレッチが効果的になる科学的根拠としては、まず筋紡錘への刺激で筋緊張が緩和する(Ia抑制機構)ことが挙げられます。筋肉に存在する受容体をボール等で刺激することで筋肉の硬さや張り感が一時的に低下します。低下したのちにストレッチを行うことでより効果的に棘下筋をストレッチすることができます。

▼テニスボールのマッサージのやり方

①テニスボールを用意する
②テニスボールが肩甲骨の外側で肩関節との凹みのところにボールが当たるようにセット
③ボールをセットしたら壁に体を押し付けるようにしてマッサージする

2~3分程度で良いので凝り固まっている棘下筋をマッサージすることで効果的にその後のストレッチが行えます。

▼テニスボールのマッサージのコツ&注意点

・やりにくい場合はタオルでテニスボールを巻き付けましょう
・壁ではなく床でおこなっても構いません

脂肪組織の存在(棘下筋下脂肪体)にも注目できます。棘下筋は肩甲骨の棘下窩から起始していますが、停止部の大結節までの間に骨に付着していない部分が存在します。その部分を棘下筋下脂肪体と呼ばれており、組織が硬くなりやすい場所です。その部位をほぐすことで効率的に棘下筋をストレッチすることができます。

(テニスボールによる筋膜リリースについては以下の記事も参考にしてみてください)

ストレッチの効果を上げるために

ストレッチ効果を上げるためのコツをご紹介します。ストレッチの最中は、他の部位に力を入れるようにするとよいでしょう。それによって、対象とする筋肉(ここでは棘下筋)の筋緊張が緩和するという作用があります。

まずは温めることです。温めることで筋肉の粘性が低下してより伸張しやすくなるとされています。温度は40〜42℃程度に10分程度がより効果的に伸張性を向上させます。ただし、肩に炎症がある方には温めるよりも効果的に筋伸張性を向上することができます。また、痛み等を伴わない軽めの運動後にストレッチをすることでストレッチ効果が増大します。

棘下筋トレーニングメニュー

次にご紹介しますのが、棘下筋の筋トレ方法です。筋トレもストレッチ同様、棘下筋を単独でトレーニングすることは難しいため小円筋を含む筋トレをご紹介します。この記事を見ながら効率的に筋トレを覚えていきましょう。

他の種目を探す場合も、小円筋やローテーターカフを鍛えるトレーニングを参考にしてみるとよいでしょう。

チューブエクスターナルローテーション【棘下筋のトレーニングメニュー】

棘下筋のトレーニング一つ目はエクスターナルローテションです。棘下筋はローテーターカフの一つで、軽負荷動作でかつ外旋動作で使用される筋肉です。エクスターナルローテーションはダンベルやチューブを用いて外旋運動を行うことで棘下筋を鍛えることができます。

▼チューブエクスターナルローテーションのやり方
①柱などにチューブを引っ掛け、チューブを直立した肘の高さに設定する
②肘は90度に曲げる
③チューブを持って柱から離れ、負荷がちょうどよくなるポジションに立ちます。
④肘から先を動かす

基本的にはある程度高回数(15~30回くらい)がこなせる程度の負荷で行うのをオススメします。この動作を1秒間に2回程度のペースで肩の後方、肩甲骨の外側が「熱い感じ・使っている感じ」があれば効果的に筋トレできているポイントです。

▼チューブエクスターナルローテーションのコツ&注意点
・肘の角度が変化しない(肘関節は屈曲90°で保持すること)
・手首を反るなど代償動作が出ないようにする
・肘が外に開かないようにする
・開始位置でチューブがたるんでいないようにする

動作は前腕が身体に対してまっすぐ向いているところを0度とすると-45°から45°くらいの90°の範囲で行います。肘の位置は身体の真横、から少しだけ前かつ外側に移動させた点で固定します。こうすることで棘下筋などが働かせやすくなります。

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ずーみー(泉風雅)

柱から離れる距離によって負荷を調整できます。負荷が大きすぎるとフォームが乱れ、アウターの三角筋などを使ってしまう傾向があるので、ローテーターカフの棘下筋に効かせるには不向きです。

(詳しく見たい方はこちら)

ダンベルエクスターナルローテーション【棘下筋のトレーニングメニュー】

立ってやる方法や横向きで行う方法など自宅でも簡単にトレーニングすることができるため自分が行いやすい環境のトレーニングを探してみてください。

▼ダンベルエクスターナルローテーションのやり方
①肘の位置を身体の真横から少しだけナナメ前に出した位置で固定する
②肘の位置を固定したまま肘は90度に曲げて動作を行います。

チューブの場合と同様に、15回以上の高回数で行うとよいでしょう。まずは3セットから始めて、トレーニングステータスの上昇に合わせて増やしていきます。

▼チューブエクスターナルローテーションのコツ&注意点
・肘の角度は90°を保つ
・手首を反らない

身体と肘の間にタオルなどを噛ませて行っても構いません。

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ずーみー(泉風雅)

肘の位置を固定したまま肘は90度に曲げて動作を行います。ダンベルに変更することで負荷のかかり方は違いますが、動作はチューブで行うものと同じです。

ダンベルフライ【棘下筋のトレーニングメニュー】

ダンベルフライの主なトレーニング場所は、胸です。しかし肩や胸のトレーニングを含む上肢の運動には必ずローテーターカフが働きます。つまり上肢の運動において棘下筋の働きは必要不可欠になります。ここではダンベルフライのやり方についてご紹介していきます。

▼ダンベルフライのやり
①ダンベルを保持しベンチに寝転がりる
②ダンベルを向かい合わせに持ち胸を自然に張る
③肩甲骨を寄せながらダンベルを降ろしていく
④肘はその角度のままで肩を回して降ろしたら、大胸筋を収縮し元のポジションに戻る

筋肥大のためには、回数は6〜12回を2~3セット程度行いましょう。重量はこの回数がおこなえるギリギリのものに調整するとよいでしょう。

▼ダンベルフライのコツ&注意点

・鎖骨の中心から胸を開くように肩甲骨を寄せる
・体幹の横アーチを意識する
・膝にダンベルを置いた体勢のまま寝転がるオンザニーテクニックが有効

肘はプレス動作ほど曲げませんが、伸ばしすぎてしまっては肩関節にかかる負担が大きくなりすぎてしまいます。

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ずーみー(泉風雅)

ダンベルが肩よりも内側に入らないようにしましょう。負荷が抜けて、トレーニングの効果が小さくなってしまいます。ダンベルを収縮ポジションでくっつけるようにカチンとあわせる動作にはなりません。

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リアレイズ【棘下筋のトレーニングメニュー】

ダンベルフライの動作を、下を向いて行うメニューです。三角筋の後部に収縮負荷をかけるのを主な目的としていますが、ローテーターカフにも負荷がかかります。ダンベルを挙げたときのフォームがポイントになりますので、よく確認してみましょう。

▼リアレイズのやり方
①両足を肩幅程度に広げて立ち、両手にダンベルを持つ
②地面に対して上体が30度くらいの深いベントオーバーポジションをとる
③肘を軽く曲げたまま回すというイメージでダンベルを挙げる

筋力アップが目的なら6回以下、筋肥大を狙うなら6~12回を目標として、この回数を正しいフォームでできる最大の重量で挑みましょう。筋持久力は、軽い重量で高回数おこなうとよいでしょう。

▼リアレイズのコツ&注意点
・ダンベルを挙げたとき、頭側からみて腕がMの形になるようにする
・肩甲骨を動かさない
・背中を丸めない

ケーブルやチューブ、ペックフライマシンで行う方法もあります。肘や肩に負担がかかりにくいのでおすすめです。

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ずーみー(泉風雅)

軽く肩関節を外旋するようなイメージで動かしていきます。リアを動かす感覚がつかめるでしょう。

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棘下筋ストレッチ・筋トレをマスターしよう

棘下筋はローテターカフで肩関節の安定性に寄与しており、筋力・柔軟性ともに求められます。棘下筋をストレッチ・筋トレすることで、肩の痛みや肩こり・可動性の改善、肩関節周囲の筋力が向上していきます。この記事を参考に棘下筋のストレッチと筋トレをマスターしていきましょう。