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『ユージンサンドウ』とは
本名 | フリードリヒ・ヴィルヘルム・ミュラー |
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生年月日 | 1867年4月2日 |
出身地 | プロイセン王国ケーニヒスベルク(現在のドイツ北部からポーランド西部にあたる場所) |
身長 | 175cm |
体重 | 83.9~88.5kg |
ユージンサンドウは、100年以上経った今でも多くのボディビルダーの目標として名前が受け継がれています。彼は、ステロイドやプロテインのない時代に独自にあみだした筋肉トレーニングと食事法のみで見事なまでの肉体美を築き上げてきました。その筋肉美は今の時代のものに衰えないほど鍛え抜かれたものです。
ターミネーターで主演を演じたことで有名なアーノルド・シュワルツェネッガーもユージンサンドウを尊敬する人物と公言しており、世界で数百万人以上のファンがいるほど愛されてやまない人物です。そんな彼の功績や自己流で生み出した美しい肉体ができるまでの彼の生い立ちから見ていきましょう。
ユージンサンドウの生い立ち&概略
子供時代に見た彫刻がキッカケ
裕福な家庭で生まれて育ったユージンサンドウは、生まれつき身体が弱くやせがたでたびたび病気になっていました。そのため、日ごろからからだを強くするためのトレーニングを始めます。このころはまだボディビルになるという考えはまったくありませんでした。
しかし、あるとき家族旅行で訪れた美術館でギリシャ人の彫刻を目にし、圧倒されます。自分がやせがただったこともあり、あまりに美しくたくましい筋肉質のギリシャ人の彫刻を見て、憧れを持つようになります。次第に憧れから自分もこうなりたいという理想像になっていったことがのちのユージンサンドウを生むキッカケとなりました。
10代後半でサーカス団に入団
当時は世界の各地で戦争があったことから、ユージンサンドウも軍役がありました。しかし、軍役に納得できずその現実から逃げるためにあてもなくヨーロッパのあちこちを転々としていました。ある日、ひとつのサーカス団に出会い、興味を持ちすぐに入団することになったのです。
幼少期の病弱だった過去や旅先でのギリシャ像の出会いがあってから自己流でトレーニングに明け暮れていました。そのため、入団時には相当な剛力でタフな体つきになっていたといわれています。当時では珍しい筋肉質な体であったため、入団後すぐに観客の注目を浴びて人気者になります。
ルートヴィヒ・ダーラチャーとの出会い
ユージンサンドウはこの先の彼の運命を左右するキーパーソンとなる、ルートヴィヒ・ダーラチャーという男に出会います。彼はヨーロッパ各地の上流家庭に、今でいうトレーニングを提供している人物でした。
意気投合したユージンサンドウは彼のもとで修行を重ね、1889年に怪力コンテストに出場し、優勝。彼のコンテストで披露された肉体や演出に多くの人々が魅了されたことで彼の名は一気にヨーロッパ中に広がり、有名人の仲間入りとなります。
世界で初めてのボディビルダーの誕生
しばらく、ヨーロッパで活動していましたが、ある日プロデューサーにヨーロッパのみに活動をおさめず、アメリカにも進出枠を広げるようにすすめられました。その進出を機に活動の幅がおおいに広がったことで今のボディビルダーとしての枠が形成されていくのです。
ビジネスマンとしても活躍
今でいうスポーツジムのような料金さえ出せばだれでも使えるトレーニング施設やイギリスでボディビル大会を開催、栄養ブランドをセットアップするなど様々なビジネスに着手し始めます。これらのビジネスは大成功を収め、数十億もの経済効果を生みました。
他にも、自身の筋トレの著書本やトレーニングツールを通販で提供するなど常に人の先々をいく発想でたくさんの収益を生み出していきました。ユージンサンドウはスポーツマンだけでなく、ビジネスマンとしても多くの偉業を成し遂げたのです。
ユージンサンドウの私生活
長く世界で愛される探偵推理小説シャーロックホームズの生みの親であるコナン・ドイルとは古くからの友人でした。ユージンサンドウが開催したボディビル大会の審査員の一人としても参加していました。また、ユージンサンドウが40歳を過ぎたときには、イギリス王であるジョージ5世の専属のトレーナーを務めていました。
ビジネスで大成功をおさめ、有名人の仲間入りをしたユージンサンドウは結婚をして私生活ともに順風満帆な生活を送ります。しかし、ユージンサンドウ自身無類の女性好きで浮気性がすごかったと言われています。一度ならず、度重なる浮気からユージンサンドウの死後、晩年の奥さんからはお墓を立ててもらえないほどひどかったといわれています。
ユージンサンドウと日本の偉人との関係性
夏目漱石とユージンサンドウ
坊ちゃんやこころなどで有名な小説家・夏目漱石もユージンサンドウから刺激を受けていた一人でした。夏目漱石がイギリスに留学していたときにユージンサンドウのことを初めて知ったことがはじまりで、通販で筋トレ本とエクササイザーを購入していたとされています。彼は、その著書本を読んで感動し、筋トレに熱中してしまったほどといわれています。
嘉納治五郎とユージンサンドウ
オリンピック初参加で貢献し、柔道の父として有名な嘉納治五郎も身体の強化という面でユージンサンドウのことを初期のころから注目していました。嘉納治五郎自身も柔道家として身体を鍛えるためにユージンサンドウのトレーニングメニューを積極的にとりいれていました。
ユージンサンドウの筋トレについて
今のようにステロイドやプロテイン、サプリどころかトレーニングマシーンもない時代にどういった筋トレメニューであのような筋肉美を手に入れたのでしょうか。
彼の筋トレ種目や負荷、セット数などを見ていきましょう。
ユージンサンドウの筋トレメニュー
100年以上も前は筋トレの種目や回数・セット数などの情報がほぼ無いに等しいにも関わらず、ユージンサンドウが考え出したトレーニングメニューは今のトレーニング内容とほとんど相違ありません。このことから当時のユージンサンドウの筋トレに対するレベルが高かったことがうかがえます。
二の腕を鍛えるバイセップカール、肩を鍛えるショルダープレス、フロントレイズ、サイドレイズ、前腕を鍛えるリストカール、胸を鍛えるダンベルフライや腕立て伏せ、下肢に関してはランジ、体幹は腹筋やベントプレスがトレーニングメニューとして著書されています。
腕立て伏せの数百回、両うでには30kgの重りをつけて上下運動、背中に110kgのバーベルで立ちあがるなど高負荷・高回数のトレーニングを主に行っていました。特に、セット数などは決めていなかったようです。彼のように筋トレに慣れている状態なら良いですが、初めての方は低負荷・低回数でセット回数を多めにとる必要があります。
(詳しいやり方はこちら)
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ユージンサンドウの食事・栄養摂取について
今ではトレーニングやダイエットを行う上で食事制限やたんぱく質をメインの食事を摂ることは当たり前ですが、当時はたんぱく質が筋肉を強く大きくするためのものだと認識されていませんでした。しかし、すでにユージンサンドウはたんぱく質と筋肉の関係性を理解して摂取しており、たんぱく質メインの食事にすれば、体は変わっていくという信念を持っていました。
彼の著書には、牛肉・鶏肉・サーモン・牛乳・チーズなどの食材にどれくらいのたんぱく質や摂取カロリーがあるかを詳細に記しています。
今でこそ普通ですが、当時から考えると、このたんぱく質中心の食事法はボディビルダーの間では革命的でした。また、たんぱく質以外の食事法に関しての詳しい記述はなく、ユージンサンドウ自身これが一番実用的で信頼性の高い食事法と信じていたのではないかと考えられています。
ユージンサンドウの筋肉を拝める画像集!
ここからは怪力コンテストで優勝したユージンサンドウのプロテインや特別な運動マシーンを用いることなく、独学と経験で培われ鍛え上げられた筋肉美10連続をご覧ください。
ユージンサンドウの筋肉を目指してみよう
今の時代、手軽にたんぱく質を摂取できる商品のバリエーションが豊かですが、100年以上も前にはそのようなものはありませんでした。そのようなものが無くても努力で肉体をつくれるのだから便利なものばかりに頼りすぎてはいけないという教訓でもあるわけです。病弱で筋肉のつきづらい体質でも諦めずに努力し、ユージンサンドウのような肉体を目指しましょう。