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ランニング中の腹痛が辛い…。痛む部位別の原因〜対策&予防策まで解説!

2020年11月11日

今回はランニング中に起きる腹痛について原因や対処法を解説します。ひとくちに腹痛といっても、お腹の右脇腹・左脇腹・上腹部中央・下腹部と、お腹の部分ごとに感じる痛みがあります。腹痛が起きる部分ごとに原因と予防策を紹介しますので、ランニングに役立てましょう。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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ランニング中の腹痛はなぜ起こるの?

ランニングやマラソン中に突然腹痛に襲われたということは、誰もが経験のあるのではないでしょうか。食後にすぐ運動したりすると、お腹の真ん中あたりや横っ腹がギュ~っと痛くなることがあります。このお腹の痛みはどういったメカニズムで起きるのか、また対策や対処法について今回解説します。突然のお腹の痛みにも焦らず対処できるようになりましょう。

ランニング中の腹痛の症状&原因

まずはランニング中の腹痛の症状と原因について解説します。どうやら痛みの部分によっては、内臓を痛めている可能性があるようです。どのようなことが原因となって臓器の痛みを感じているのか、正しい知識を身に付けておきましょう。

(ランニング中の脇腹の痛みについては以下の記事も参考にしてみてください)

右脇腹

出典:https://allabout.co.jp/gm/gc/421259/

ランニング中に右脇腹の痛みを感じた時の主な原因は、横隔膜の痛みであると考えられています。横隔膜は呼吸をするときに大きな役割を果たしています。腹式呼吸では横隔膜の上げ下げによって、体幹や周辺筋肉を鍛えることができるのです。

右脇腹痛は横隔膜が引っ張られれてしまうことで起きています。横隔膜のすぐ下には胃と肝臓がありますが、運動やランニングをすると肝臓が揺れ動くことで横隔膜が右側に引っ張られてしまうのです。その痛みが肝臓に近い右脇腹に現われています。

右脇腹痛がよく起きる人の特徴は、ランニング中に体が上下に動いていることです。この上下に動く幅が大きければ大きいほど、肝臓も大きく揺れますので右脇腹痛になりやすいと考えられています。

(脇腹の筋肉の名前については以下の記事も参考にしてみてください)

左脇腹

出典:https://www.jsgs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=7

左脇腹の痛みも内臓の痛みと関係があります。左脇腹の場合は脾臓という臓器の痛みが現れているのです。脾臓は左脇腹にある造血を行うリンパ器官で、古くなった赤血球をろ過したり、病原菌に対抗するための抗体を作る働きがあります。

また脾臓には酸素を含んだ血液を溜める貯蔵機能もあり、運動時に呼吸によって取り込まれた酸素を全身に運搬することに大きな役割を果たしています。しかしこの脾臓の血液貯蔵機能が左脇腹痛の原因となっているのです。ウォーミングアップなどで体が十分に暖まっていないと、脾臓が過剰に反応して血液を貯蔵するために急速な収縮運動をしてしまいます。

この脾臓の収縮運動が痛みとなって現れているのです。十分な準備運動ができていないと、脾臓からくる左脇腹痛になりやすい傾向があります。

上腹部中央

出典:https://medicalnote.jp/contents/160324-001-GQ

上腹部中央の痛みの原因は胃の痛みです。食後に十分な休憩を取らないで運動をすると、お腹が痛くなることがありますが、あの痛みの正体は胃の痛みだったのです。よく知られているように胃は食事によって体内に取り込んだ食物を消化・分解する働きがあります。食後にすぐ運動をして胃に負担をかけてしまった結果、痛みが現れているのです。

食事をした後には消化を促すために胃へ血液が集中して流れます。食後すぐに運動をすると本来胃に集まるはずの血液が集まらなくなってしまい、消化不良も起きてしまいます。さらにランニング中に体が上下に揺れることに合わせて胃も上下に揺れることが、痛みの原因にもなっているのです。

下腹部

出典:https://www.cick.jp/column/archives/169

下腹部の痛みは大腸の痛みが原因と考えらています。大腸は消化・吸収・排便に関係する臓器で、運動やランニングをすることで大腸自体が揺れて活動が活発になります。その結果お腹がゆるくなり、下痢を伴うような腹痛を起こしてしまうことがあります。また女性は生理の関係で、ランニング中に下腹部に痛みを感じることがあります。

冬場寒くなると、運動時やランニング中以外でもお腹が痛くなることが増えます。お腹が冷えていると大腸の働きが弱まってしまい、下腹部に痛みを感じることがあるので、冷やさないように注意しましょう。

(下腹部の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

ランニング中に腹痛が起きたらすべき対策

ランニング中にお腹が痛くなった時にすべき対策について紹介します。もしもランニング中に予期せぬ腹痛に襲われた時は、落ち着いて正しい対処を心掛けましょう。

ランニングを一旦中止する

痛みを感じた時には無理をせずに一旦ランニングを中止して、休憩しましょう。特に上腹部中央や下腹部の痛みを感じた時には、慌てず適切な対処をしなければなりません。何かしらの対策を練るよりも、適切な対処が痛みを和らげます。

上腹部中央は胃の痛みですが、食事をしてから消化が十分に行われていない状態で運動することによって胃が消化不良を起こしています。無理してランニングを続けると余計に胃に負担がかかって痛みが増すので注意が必要です。下腹部の痛みは下痢を伴う腹痛の可能性があります。トイレが近くにあるならすぐに向かって排便することが正しい対処と言えるでしょう。

痛みを我慢しながらランニングを続けていても、いいことは一つもありません。まずは一旦中止してお腹の痛みが引くまで体を休めることが必要です。

痛みを感じる反対側の脇腹を伸ばす

右脇腹の痛みの場合は横隔膜が肝臓に引っ張られることで感じる痛みでした。この場合右側に引っ張られていることが原因ですので、反対側の左側が伸びるようなストレッチをすると痛みが軽減できます。

左脇腹が伸びるように、両手を頭上で合わせて右側へ反らしましょう。反動や勢いをつけて行うのではなく、ゆっくりと呼吸を整えながらストレッチをするのがポイントです。反対側だけでなく、左右両側の脇腹をバランスよくストレッチしてください。

脇腹を伸ばすストレッチは走りながらでもできますが、できれば一旦立ち止まって行うことが望ましいです。慌てず適切な対処を心掛けてください。

呼吸を意識してゆっくり走る

左脇腹の痛みは脾臓の血液を貯蔵する働きに伴う収縮運動に原因があることが分かりました。ランニングは呼吸をして行う有酸素運動ですので全身の血流が促進されていきますが、突然激しい有酸素運動をしてしまうと脾臓の働きが追い付かなくなってしまいます。

左脇腹の痛みを感じた時は、ランニングのペースを一旦落としてゆっくりとしたものにしましょう。その際には呼吸が浅くならないように意識しながら、しっかりと呼吸を行いましょう。脾臓の働きが落ち着いてくると痛みも軽減してくるので、慌てずに対処してください。

(ランニングの呼吸法については以下の記事も参考にしてみてください)

ランニング中の腹痛は事前に予防ができる

ランニング中に起きる腹痛に対して事前にできる予防対策を紹介します。お腹が痛くて辛い思いをしないためにも事前に予防ができるところは、しかっかりと予防してみてください。

ランニングフォームを見直す

上下に大きく体が揺れることが内臓の位置関係に影響を与え、痛みが起きる原因であることが分かりました。もしも必要以上に体を上下に揺らしていたり、体の左右のバランスが崩れたりしている走り方をしている場合は、正しいランニングフォームを見直すところから始めましょう。

自分がランニングしている様子を動画で撮影すると、改善すべきところが見えてきます。家族や友人にも協力してもらって、自分のフォームをチェックしてみてください。

食事のタイミング

食事のタイミングも大切な予防対策になります。ランニングを始める時間に合わせて、食事を取る時間も見直してみましょう。食事を終えてから胃の中で消化が終わるまではだいたい1時間~1時間半かかると言われていますので、食後の運動までには2時間程度の時間を取る必要があります。

また食事の際には消化の良いものを食べるようにすることも予防に繋がります。脂質の多いものを取ると、胃の負担が増えますので、食事の時には避けるべきです。

(ランニングと食事の関係性については以下の記事も参考にしてみてください)

水分をしっかりと取っておく

下痢を伴う腹痛の原因が水分の取り過ぎであるという見解があります。しかしランニング前に水分をしっかりと取っておかないと、大腸の動きが弱くなり逆効果になります。ランニング前に水分を十分に取ることは脱水症状などの予防対策にもなりますので、間違った判断をしないようにしましょう。

事前の準備運動

ランニングを始める前にはストレッチや、軽めのジョギングを行うなど入念に準備運動をするようにしましょう。準備運動をしっかりとすることによって筋肉も柔らかくなり、内臓の働きも活発になります。いきなりランニングをすることで大きな負担がかかることが減少されるので、腹痛の予防ができるのです。

ランニング中の腹痛に関する体験談

ここからはランニングの腹痛に関する体験談を紹介します。腹痛が起きた時の対処法は体験談を参考にしてみましょう。

姿勢を正して走る



ランニング中に内臓が揺れ動くことが腹痛の原因となります。正しいフォームで走ることで体の揺れが軽減し腹痛が起きることの予防になるのです。体験談では姿勢矯正したとありますが、正しい姿勢・フォームで走ると腹痛が起きないことが分かります。

食後は2時間空ける



食後に時間を空けずにランニングをしたことで横っ腹が痛くなったという体験談が多数あります。食後1時間~1時間半で消化が終わりますので、食後2時間程度は運動やランニングは控えましょう。

痛くい時は無理をしない



横っ腹が痛い時は無理をしないで、ウォーキングに切り替えたという体験談です。痛みを我慢しながら行うのは体にもマイナスですので、軽い運動に切り替えたり、思い切って中止すことも必要でしょう。

ランニング中の腹痛は軽視せず早めに対処しよう

今回はランニング中に起きる腹痛の原因や対策と予防策について解説しました。痛みを感じるお腹の部分によって腹痛の原因が異なりますので、今回の記事を参考にして対策や予防策を行ってください。ランニング中の腹痛を決して軽視することなく、適切な対処をして気持ちよくランニングできるようにしましょう。