大腰筋の構造・作用
大腰筋は腸腰筋の1つで、腰の内側から股関節の付け根にある筋肉です。腸腰筋は大腰筋のほか、腸骨筋の2つの筋肉で構成されています。この腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ大切な筋肉であり、股関節を屈曲させたり、膝を回したりする働きをし、姿勢を正してくれる働きをする筋肉です。
大腰筋が衰えて硬くなると、上半身や下半身といった身体全体に不調が出ます。日常生活やスポーツ、トレーニングにとって重要な役割を持つ筋肉なのです。
大腰筋の筋トレメニュー!短期間で姿勢・ぽっこりお腹が改善する鍛え方のコツを解説
出典:Slope[スロープ]
大腰筋が硬いことによるデメリット
大腰筋には上半身と下半身を支える重要な役割があります。筋トレや体操をせずにいると大腰筋は年齢を重ねるにつれ、衰えて硬くなります。大腰筋が硬いと、主に以下のような身体の不調を引き起こす可能性があるのです。
慢性的な腰痛になる【大腰筋が硬いことによるデメリット】
大腰筋を含む腸腰筋は、骨盤の動きや正しい位置に戻す働きをします。大腰筋が硬く縮んだままになると、骨盤がずれ前に倒れ気味になります。骨盤が歪むと、反り腰や猫背といった姿勢が悪くなり、筋肉が疲弊して慢性的な腰痛を引き起こす可能性があるのです。
ストレッチや体操をして筋肉をほぐし、柔軟性を高めれば怪我をするリスクを減らすことが出来きます。股関節や膝、太ももの大腰筋本来の働きを促してあげることが大事です。
ぽっこりお腹になる【大腰筋が硬いことによるデメリット】
腸腰筋の大腰筋と腸骨筋は、インナーマッスルと呼ばれる身体の奥の筋肉です。内臓などを支える役割があり、筋肉が硬くなると骨盤が傾くとともに内臓が下がります。すると内臓の代謝が下がります。高齢者の方にぽっこりお腹が多いのは、大腰筋が年齢とともに衰え硬くなってしまったためです。
代謝が下がった腰回りには贅肉がつきやすくなり、下っ腹がでてぽっこりお腹となってしまいます。柔軟体操でほぐし骨盤と内臓を正しい位置に戻すことで、インナーマッスルが鍛えられ、代謝があがりぽっこりお腹を解消できます。ストレッチは幾つになっても行えるので、筋肉をほぐして引き締まったボディを手に入れましょう。
歩行に影響が出る【大腰筋が硬いことによるデメリット】
腸腰筋は歩行するために必要な筋肉です。腸腰筋を収縮させることにより太ももが持ち上がり、歩くことができます。筋肉が硬くなると、縮んだ状態のままになるため足を上げることができず、歩幅が小さくなったり何もないところでつまづきやすくなります。
柔軟で腸腰筋を伸ばすことで体全体のバランスが安定し、股関節まわりの動作を向上させることができるのです。大腰筋が柔軟で柔らかくなれば、日常生活や運動がしやすくなるので、ストレッチを日々行いましょう。
股関節周辺の不調【大腰筋が硬いことによるデメリット】
深く股関節を曲げると違和感がある、痛みがあるという方の多くはお腹から股関節の付け根まである腸腰筋が硬くなっています。腸腰筋が硬くなると姿勢が崩れ、体の重心はずれていきます。すると、股関節周りの靭帯が緩み、神経を圧迫する。これが股関節の痛みの原因です。大腰筋が硬いと身体の股関節や腰、肩、膝といった様々なところの痛みを引き起こします。
痛みが酷くなると歩くこともできなくなるかもしれません。身体の不調は大腰筋を柔らかくすることである程度良くなります。身体を大切にするためにも日々のストレッチやケアは怠らないようにしましょう。
【股関節のストレッチ】短期間で簡単に柔らかくなる柔軟体操のコツを徹底解説
出典:Slope[スロープ]
便秘・冷え性【大腰筋が硬いことによるデメリット】
実は、大腰筋は便秘や冷え性といった症状にも関わっています。筋肉が固まってしまうのは、ストレッチ不足や運動不足もありますが、自律神経が乱れているのも原因の一つです。自律神経とは緊張を高めたり、緩めたりする神経のことで、身体の緊張を高める交感神経とリラックス状態にしてくれる副交感神経の2つがあります。
この2つのバランスが崩れると大腰筋を始めとする身体の筋肉は強張り、身体の調子が悪くなる自律神経失調症になります。これが原因で便秘や冷え性といった症状を引き起こすこともあるため、毎日のストレッチや体操で身体をリラックス状態にすることで、自律神経のバランスを整えることが出来るのです。
特に腸腰筋の近くには腸があり、筋肉が固まると腸の働きが鈍くなります。筋肉をほぐし腸に働きを促すことで改善することができます。
大腰筋のストレッチメニュー&柔らかくするコツ
大腰筋のストレッチを紹介します。座りながら、立ちながら、寝ながらといった様々なストレッチがあります。大腰筋が硬い人高齢者の方向けのストレッチもあるので、自分に合ったストレッチから始めてください。
まずは必ず柔軟体操から行いましょう。ストレッチのあとに行うと更に効果のあるテニスボールを使ったリリース方法も紹介します。無理のない範囲で行い、固まった筋肉をほぐしましょう。
仰向けで行う大腰筋ストレッチ【大腰筋のストレッチメニュー】
まずは寝ながら簡単に行える柔軟体操のストレッチ紹介します。高齢者の方や大腰筋が硬い人はここから始めましょう。
▼仰向けで行う大腰筋ストレッチのやり方
①仰向けに寝て、片足の膝を両手で抱え込みます
②抱えている膝はお腹につけるイメージでやる
②抱え込んでいない片方の足は伸ばしたまま、浮き上がらないようにする
左右15秒〜30秒行いましょう。
▼仰向けで行う大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・背中を丸めないようにする
・痛みのない範囲で呼吸は止めずに行いましょう
・太ももをできる限りお腹に引き寄せます
大腰筋やお尻、太ももの裏の柔軟性があがります。寝ながらできるので寝る前にもおすすめです。慣れてきたら壁などに手をつき立って行ってもほぐすことが可能です。座って行うストレッチや立って行うストレッチも紹介していきます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
伸ばす側の足を床に押し付ける意識だと、てこの原理で腰が浮きそうになります。足の裏の方向に、ぐっと伸ばす意識を持つと大腰筋が伸びやすいです。
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出典:Slope[スロープ]
座りながら行う大腰筋ストレッチ【大腰筋ストレッチメニュー】
座った状態で行うストレッチです。簡単に行えるので工程が多く難しいストレッチに不安がある人におすすめです。簡単なストレッチですが、太ももや腰に痛みや違和感を感じる場合は、無理に行わないようにしてください。
▼座りながら行う大腰筋ストレッチのやり方
①地面に座り足を伸ばします
②力を抜いてリラックスします
③背筋を伸ばします
▼座りながら行う大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・メリハリをつけて行いましょう
・手は地面から離すと更に効きます
・呼吸は止めないようにしましょう
腸腰筋の場所を意識しながら行うようにしましょう。じわじわと太ももに効いてきます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
コントラクトリラックスと呼ばれるストレッチで、大腰筋を収縮させないといけません。そのためには、骨盤を起こし背筋をしっかりと伸ばす必要があるので、意識しましょう。
立って行う大腰筋ストレッチ【大腰筋のストレッチメニュー】
立って行う腰痛改善の効果があるストレッチです。椅子の背もたれや机を使用しましょう。
▼立って行う大腰筋ストレッチのやり方
①椅子の背もたれや机に手をおき、足を前後に開く
②前足の膝は曲げ、後ろ足の膝は伸ばす
③腰をゆっくり下前方に押し出すイメージで下ろす
左右それぞれ5〜10秒ずつ行いましょう。
▼立って行う大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・膝をしっかり伸ばしましょう
・腰を落とす時は息を止めず、息を吐きながら行いましょう
腰痛改善効果があり、手をおく場所があれば簡単にどこでもできるのでおすすめのストレッチです。柔軟体操をしっかり行い、硬い筋肉を伸ばしていきましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
大腰筋のストレッチには骨盤を後傾させると効果的です。腰を落としながら、骨盤を後傾させることを意識してください。
椅子を使った大腰筋ストレッチ【大腰筋ストレッチメニュー】
椅子を使ってできるストレッチです。
▼椅子を使った大腰筋ストレッチのやり方
①片方の腰だけ椅子にのせ、横向きになります
②乗せていない足を後ろに伸ばす
左右30秒ずつ行いましょう。
▼椅子を使った大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・足を後ろに伸ばすときに息を吐きます
・背筋は伸ばします
・お尻の穴を締めると更に大腰筋に効きます
椅子に座る時間が長い人におすすめです。仕事場や自宅で簡単にできます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
大腰筋には同側への体幹の側屈作用もあります。このストレッチは伸ばす側に体が倒れやすく、そうなると効果が弱くなるので、体の傾きに注意してください。
膝立ち大腰筋ストレッチ【大腰筋ストレッチメニュー】
やや上級者向けのストレッチです。股関節が硬い人は少し難しいので、他の簡単なストレッチで柔軟性を高めてからチャレンジしてください。腸腰筋を含め大臀筋やハムストリングス、大腿四頭筋に効くランジは猫背の改善につながります。
▼膝立ち大腰筋のストレッチのやり方
①足を前後に開き、前膝は90度に曲げて後ろ足は膝をつける。
②前に体重を乗せ両手は腰に添える
左右10秒〜15秒行いましょう。
▼膝立ち大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・前足はしっかり地面付け、かかとが浮かないようにしましょう
・両足のつま先は前に向けます
・前足の膝はつま先よりも前に出さないように気をつけてください
・背筋を伸ばしましょう
膝を前に出しすぎると股関節に負担がかかるため無理に行わないようにしましょう。膝を地面につけるため、痛くならないようマットやタオルを敷いてストレッチをしてください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
バランスが取れず、骨盤が左右にブレると体幹も傾きます。そうなると体に緊張が入りストレッチ効果が弱くなるので、バランスが取れなければ何か掴まるものを用意しましょう。
肩を入れ大腰筋ストレッチ【大腰筋ストレッチメニュー】
肩入れストレッチは大腰筋や内もも、お尻に効く柔軟です。誰でも簡単に行うことができるストレッチですが、間違った方法でやると腰を痛めるので注意してください。
▼肩入れ大腰筋ストレッチのやり方
①両足を肩幅よりも広く開き、つま先は外側に向けます
②両手を膝におき、ゆっくりと股関節を広げながら腰を落とします
③上半身を軽く前に倒してキープします
④キープした状態から片方の肩を中に入れます
キープ状態と肩を中に入れた状態で左右各20秒行いましょう。
▼肩入れ大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・背中は丸めないようにしましょう
・呼吸は止めず、深呼吸をしながら行いましょう
・肘はまっすぐ伸ばしましょう
このストレッチは股関節を緩める効果があるので、お風呂に入った後に行うと更に血流が良くなり、柔軟性が高まるのでおすすめです。
福田翔馬パーソナルトレーナー
大腰筋は股関節屈筋なので、お尻を落としすぎたら伸びません。お尻は膝と同じくらいの高さにして、しっかりと体を捻ることでストレッチされやすいです。
ベットで行う大腰筋ストレッチ【大腰筋ストレッチメニュー】
ベットで行うストレッチです。寝ながらストレッチできるので、おやすみ前に行うと体がリラックス状態になり眠りが良くなるのでおすすめです。
①膝を立てて寝ながら行います
②伸ばしたい足をベットから下ろし伸ばしていきます
▼ベットで行う大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・お尻を半分ベットから下ろした状態で行います
・腰が反り痛みがある場合には腰の下にタオルなどをひきましょう
タオルをひいても痛みがある場合は無理をせず、他の柔軟体操のメニューを行うようにしましょう。寝ながらストレッチをすると、筋肉と身体がリラックス状態で行うことができるのでおすすめです。
福田翔馬パーソナルトレーナー
ベッドから落とす側の膝を曲げると、股関節にかかる力が弱くなります。膝を伸ばすと足の重みより大腰筋へのストレッチ効果が高くなるので、膝を伸ばすましょう。
ベッドの上でも筋トレは可能!寝る前の軽い運動で理想のボディGET!
出典:Slope[スロープ]
コブラのポーズ大腰筋のストレッチ【大腰筋のストレッチメニュー】
インナーマッスルに効くヨガは、ストレッチにも最適です。コブラのポーズと呼ばれるこのストレッチは腰に負担がかかります。このポーズが難しい方は他のストレッチを行うようにしましょう。
▼コブラのポーズ大腰筋ストレッチのやり方
①うつ伏せになり、足を腰幅程度に開きます
②両手を胸の横につき、脇を軽く締めます
③ゆっくりと胸、お臍の順に持ち上げます
④上体をゆっくりと下ろします
▼コブラのポーズ大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・肩がすくまないよう上半身を持ち上げましょう
・出来る方は顎をあげ、喉を開いていきましょう
ストレッチをしていて気持ちいいと感じるところがベストです。決して無理はしないようにしましょう。ヨガマットをひいて行うようにしましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
胸が丸まった状態で腰を反ると、腰への負担が大きくなりすぎて腰痛につながります。天井を見上げるように、背骨全体を反らす意識で行ってください。
テニスボールを使った大腰筋ストレッチ【大腰筋のストレッチメニュー】
程よい硬さのテニスボールは硬くなった筋肉をリリースするのに役立ちます。筋肉を緩めてほぐすリリースは、筋肉を伸ばすストレッチと組み合わせて行うと、より柔軟性を高めることが出来ます。うつ伏せに寝ながら行うので、力加減を自分ですることができます。
▼テニスボールを使った大腰筋ストレッチのやり方
①おへその斜め下あたりにテニスボールをあてる
②ボールを当てた状態でうつ伏せになる
③体重をかけても気持ちいい状態で体重をかけるのをやめ、腰を左右に動かす
④お腹まわり、股関節、太ももの順にテニスボールをずらしていく
1分から1分半じわじわ筋肉に効くまで行いましょう。
▼テニスボールを使った大腰筋ストレッチのコツ&注意点
・体重をいきなりかけると筋肉を痛めてしまうのでゆっくり体重をかけましょう
・可能な場合は肘を立てて行うとより効果があがります
テニスボールを使うことで、縮んだ筋肉を時間をかけてリリースすることができます。また、セルフで簡単にできるのでおすすめです。
福田翔馬パーソナルトレーナー
テニスボールで押さえるお腹には、多くの臓器があります。そのためやりすぎると、下痢になったりするなどの悪影響もあるので、やりすぎには注意しましょう。
筋膜リリースは『テニスボール』で可能!肩甲骨・足裏・二の腕・首などに効果的!
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大腰筋のストレッチをして股関節の柔軟性UP
大腰筋はお腹から股関節の付け根まであるインナーマッスルの筋肉で、股関節や膝に大きな役割をしています。ストレッチで大腰筋を柔らかくすることで、股関節や太もも、膝といった上半身の動きをサポートし、骨盤が安定することで上半身のブレも少なく、体全体を高めることが出来るのです。
寝ながら簡単に行えるストレッチや体が硬い人に向けたストレッチ、やや上級者寄りのストレッチを紹介しました。無理のない範囲で自分に合ったストレッチをやりましょう。ぽっこりお腹は、硬くなった筋肉をほぐし内臓を正しい位置に戻すことで、解消されます。血流を良くし、内臓本来の燃焼効果を促すためにもストレッチをして体を労りましょう。