ボディメイク

筋トレ・運動の知識

ボディビルダーは高血圧?筋トレ・食事で血圧が上がる原因&予防策を解説!

2021年05月13日

ボディビルダーの悩みの一つが高血圧です。その悩みを解決すべく、筋トレ&食事で血圧が上がってしまう原因や予防策を解説します。また高血圧に悩んだ有名ボディビルダーについても紹介します。筋肉と栄養の関係をしっかりと理解して高血圧を防ぎましょう。

ボディビルダーは高血圧になりやすい?

ボディビルダーの職業病の一つとして挙げることができるのが高血圧です。ボディビルダーは一般の方よりも高血圧になりやすいといわれています。実際に高血圧になったため、医者から筋トレを禁止されたという例は後を絶ちません。ではなぜ、ボディビルダーが高血圧になりやすいのでしょうか?その原因を詳しく確認していきましょう。

ボディビルダーが高血圧になりやすい原因

ボディビルダーは特に高血圧になりやすいといわれています。ボディビルダーの職業病ともいえる高血圧にどうしてなりやすいのか、その原因は以下の3つです。

①重いものを持ちあげるから
②呼吸を止めてしまいがちだから
③ステロイドの副作用だから


では、いったいどういうことなのかそれぞれ具体的に解説していきましょう。

①重いものを持ちあげるから

ボディビルダーの場合、筋力をつけるためにウエイトリフティングを行う機会が多くあります。重いものを持ち上げるためには筋肉に力を入れる必要が出てきます。すると、血圧が一気に上がってしまうのです。血圧を上げずに重いものを持ち上げることはできません。日常的に重いものを持ち上げているボディビルダーはこのことが原因で高血圧になりやすいのです。

では持ち上げなければよいのかというとそうではありません。重いものを持ち上げるという動作が原因なのではなく、一気に力を集中させて使うということが問題なのです。つまり、最大重量のものを持ち上げるというトレーニングでは特にリスクが高くなると考えて間違いありません。

(フリーウエイトとマシンの違いについては以下の記事も参考にしてみてください)

②呼吸を止めてしまいがちだから

頑張っているときや、ここぞというときに無意識に呼吸を止めてしまうことはよくあります。呼吸を止めると一時的に血圧が上がり、筋力が最大限に生かされるためです。しかし、呼吸を止めて行う無酸素運動は血管を硬化させてしまう危険があります。

控えたい身体活動は、血管を硬くしてしまう恐れがある筋力トレーニングのような無酸素性の運動です。重量挙げの選手がやるような高強度の筋力トレーニングを2か月間実施した介入研究では、若者の血管があっという間に 10 歳分くらい硬くなったという実証も出ています。

引用元:https://komenet.jp/samit/pdf/2012-03.pdf

国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長の発表した文書によると、血管が固くなると血圧は上昇しやすくなります。高血圧になるだけではなく、ひいては心臓などの重要な臓器に影響をおぼぼしてしまう可能性も上がるのです。息を止めることから血圧が上がり、血管も固くなるためさらに血圧が上がるという負のスパイラルに陥ってしまいます。

③ステロイドの副作用だから

筋肉を増強するためにステロイドを使用するボディビルダーもいます。ステロイドの使用が認められている大会もあるので、一概に違法であるとは言えません。しかし、ステロイドには筋肉を強大にしてくれる反面、深刻な副作用があるのです。

ステロイド薬による脂質代謝異常、糖代謝異常、高血圧、肥満と原病である炎症n性疾患自身により動脈硬化が促進すると考えられる。n

引用元:http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/steroidsayou.pdf

看護学生のためのテキスト『人体のしくみと働き』にあるステロイドの作用を解説した文書によると、ステロイドを使用することでそもそも高血圧になりやすい状態になります。しかしその上に筋トレにより動脈が固くなり、さらに高血圧が加速していくという図式になります。

高血圧になって危険な状態に陥ったボディビルダー

では、実際に高血圧になって危険な状態に陥ったボディビルダーはどのくらいいるのでしょうか?国内・国外問わずチェックしていきます。

ドゥサン・ドゥダス

出典:https://www.businessinsider.jp/post-224364

ドゥサン・ドゥダスはボディビル大会であるミスター・ニュージーランドで4回もの優勝を果たし、2015年にも60歳という高齢で勝利も収めている方です。そんなドゥサン・ドゥダスが急に倒れたのが52歳の時でした。医師からは高コレステロール、高血圧と診断され遺伝的要素も指摘されています。彼はそのあと食生活に気を付けるようになりました。

リッチ・ピアーナ

出典:https://www.pinterest.jp/pin/153896512257002231/

リッチ・ピアーナは高血圧の原因にもなるアナボリックステロイドを使用していると公表していました。筋骨隆々の体躯とYouTuberとしても活躍していたトークセンスで高い人気を獲得していました。しかし、48歳のある日何の前触れもなく倒れてしまいます。その後昏睡状態になり、2週間後に死亡しました。直接原因は判明していません。

しかし、高血圧の副作用があるステロイドを使用していたことから何らかの原因がここにあるのではないかと噂されています。

(リッチピアーナについては以下の記事も参考にしてみてください)

アンドレアス・ミュンツァー

出典:https://www.pinterest.jp/pin/801781539897506686/

アンドレアス・ミュンツァーは1964年生まれのボディビルダーです。常にステロイドを使用している疑惑がありましたが、本人は否定していました。1996年、腹痛を訴えて病院に駆け込んだところ、腹部大動脈破裂と診断され、その後亡くなっています。この腹部大動脈瘤の原因の90%以上は動脈硬化、また高血圧といわれています。

リー・プリースト

出典:http://blog.livedoor.jp/ironmanjapan/archives/52376359.html

リー・プリーストはオーストラリア出身のボディビルダーです。1989年のミスターオーストラリア大会を制したのを皮切りに2002年のミスターオリンピア6位入賞など輝かしい成績を持っています。そんな彼も2013年に高血圧(230/150)で入院した経験があります。

(リープリーストについては以下の記事も参考にしてみてください)

若木竹丸

出典:http://blog.livedoor.jp/masuda_toshinari/archives/51547496.html

若木竹丸は1911年生まれのボディビルダーです。そのボディビルへの執念はすさまじく、晩年、腕の力こぶを40cm以下にしたくないという理由から筋トレに励んでいました。脳梗塞で倒れた結果半身不随の体になったにもかかわらずダンベルで鍛錬することをやめませんでした。彼の場合、脳梗塞が高血圧によって引き起こされた可能性があります。

(若木竹丸については以下の記事も参考にしてみてください)

サム・スタンダーウィック

出典:https://www.esquire.com/jp/menshealth/wellness/g30590256/died-of-heart-attack-bodybuilder-dies-of-blockage-to-heart-learn-rip/?slide=1

サム・スタンダーウィックは毎日のエクササイズと健康的な食生活から筋肉を作り上げていったボディビルダーです。しかし、25歳という若さで心筋梗塞を起こしてしまいました。彼の場合もウエイトリフティングを日常的に行っており、動脈硬化、高血圧などいくつかの要因が重なって心筋梗塞を起こした可能性があります。

(ストイックすぎて死亡したボディビルダーについては以下の記事も参考にしてみてください)

ボディビルダーのように高血圧にならない為の予防策

紹介した有名ボディビルダーたちの中には残念ながら無くなってしまった方もいます。では彼らのように高血圧にならないためにはどのように予防したらよいのでしょうか?筋トレを行いボディビルダーでありつつも高血圧を避けるための方法は以下の4つでした。

①食生活を見直す
②有酸素運動を取り入れる
③BFRトレーニングを行う
④薬物は使わない

では、それぞれ詳しく内容を確認していきましょう。

①食生活を見直す 

食生活の改善を考えた時に「何を摂取すべきか」をチェックしたくなります。しかし、大事なのは高血圧を避けて筋肉を維持するためには「何を摂取しないべきか」に重点を置く必要があります。摂取すべきでない食べ物は糖度の高い食材や加工食品です。これらはどうしても糖質や高血圧の原因にもなる塩分などの栄養素が含まれます。

高血圧を避けながら筋トレを行うには母体から生まれた肉や魚、そして土から収穫した食材だけを選択するのが大事です。また、米やイモ類など炭水化物を少なめに摂取するように意識するだけでも意味があります。自分で栄養管理をするのが不安ならボディビルに造詣の深い栄養士などに管理してもらうのも良いでしょう。

②有酸素運動を取り入れる

無意識に呼吸を止めてしまうのが高血圧の原因になっているということは、呼吸を止めない運動を行えばよいということです。有酸素運動というとフィットネスやランニングなど筋肉を増大するほどの威力のある物は少なく感じるかもしれません。しかし、普段の筋トレに血圧を下げる効果のある有酸素運動を取り入れることで血圧の安定を図ることができます。

もちろん、普段の筋トレ時にも呼吸を止めないように意識しましょう。最大重量を上げるウエイトリフティングなどでは無意識に呼吸を止めてしまうので、軽い重量を挙げつつ回数をこなす低負荷高回数の筋トレなどがおすすめです。

③BFRトレーニングを行う

出典:https://lineblog.me/graciejiujitsukm/archives/8308313.html

最近注目されているのがBFRトレーニングです。これは血流制限トレーニングともいわれ、特定の部分をベルトで締め、血流制限を行うことで軽い負荷でも、しっかりと筋トレ効果を得ることができるというものです。短時間かつ軽量で済むということで、リハビリからトップアスリートのトレーニングにまで幅広く応用されています。

このトレーニング方法は速筋、遅筋、中間筋を同時に鍛えることができるのでバルクアップを狙っているボディビルダーにも最適です。しかもこのトレーニングを行った場合、血流制限圧と時間を正しく守れば血圧を下げる効果すらあるという研究結果が出ています。

④薬物は使わない

アナボリックステロイドはバルクアップに効果がある反面、高血圧になる危険性があります。そのためステロイドを含む薬物を使用しないことが、高血圧を避ける重要な要素です。アナボリックステロイドは通販でも気軽に購入できる上に楽にバルクアップできるので、その誘惑を断つことも大事です。

トレーニーはボディビルダーのように高血圧には注意

この記事ではボディビルダーが高血圧になってしまう原因やその対策を紹介しました。熱心なトレーニーほど、自分では気が付かないうちに高血圧に陥ってしまうことがよくあります。自己流のトレーニングは避け、食事にもしっかり気を配りながら適切なバルクアップを図っていきましょう。