アクティブレストとは?
アクティブレストとは和訳通り『積極的休養』を取ることにより、疲労回復を促進する方法です。一般的に休養というと睡眠・安静などを体を動かさない『消極的休養』をイメージするでしょう。それに対し積極的休養は、疲れているときにあえて軽い筋トレなどの運動を行って、血流改善を図ることにより疲労の原因となる物質の排出を促します。
本来はスポーツ選手が連戦に備えて疲労を取るために行っていた方法で、練習や試合後に行うクールダウンもアクティブレストの一つです。このようにスポーツに特化した休養方法ですが、最近では日常生活などの疲労回復にも効果があると注目されてきています。
それでは、アクティブレストで期待できる効果について詳しく解説していきます。
アクティブレストで期待できる効果
それでは、疲労回復〜その他までアクティブレストの効果について詳しく確認していきましょう。
①疲労回復
前途した通り、アクティブレストでは疲れが取れないといった状態にあえて体を動かすことにより、疲労回復の効果を促進する方法です。血流を促進させて筋肉に栄養を行き渡りやすくすることによって疲労物質の排出や、筋肉痛の緩和など筋肉のケアに繋がります。
筋肉は使わないと衰えて硬くなってしまいます。1日使わないだけでは大きな悪影響はもたらしませんが、疲労の蓄積によっては痛みやコリが出やすくなり、次に動く際に怪我や不調などのリスクを高めてしまうのです。このようなリスクを防ぐためにも疲れている時こそアクティブレストを導入して積極的な休養をしましょう。
②脳や自律神経の回復
疲れの一番の原因は筋肉に乳酸が溜まったりといった理由ではなく、脳の疲労によるものと言われています。
筋肉を動かす際には脳内にある神経伝達物質の『セロトニン』が働きます。セロトニンが強度な運動によって活発化しすぎると体が大きく披露してしまい、反対に不足してしまうと鬱や不眠などの精神的な疲労にも繋がってしまうのです。
強度なトレーニングをしていると一気にセロトニンが分泌されて、休養中には一気に下がることで自律神経のバランスが崩れてしまいます。そこで、セロトニンを適切な量に安定させるにはアクティブレストによって休養日でも不足しているセロトニンを分泌させて調整することが効果的なのです。
③カロリー調整
ダイエット目的などで毎日運動を続けている中で、休むことの抵抗を覚える方も少なくないでしょう。たしかに、休養日を設けて日常と同じ食事を摂れば普段よりも消費カロリーが低いので体重が増えたり脂肪がついたりと若干の変化が気になるかもしれません。
そんなときに、今まで消極的休養をからアクティブレストに切り替えると適度に消費カロリーも調整できて、罪悪感なく食事を筆頭に休養日を楽しめます。さらに、心身の休養を取りながらもアクティブレストで軽い運動をすることによって代謝が上がり筋肉が付きやすい体を作り続けてくれるのです。
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出典:Slope[スロープ]
アクティブレストと疲労回復の関係性
人間は血管を通して酸素や栄養素、老廃物質の排出などを行います。酸素や栄養素など筋肉に良い影響を与えるものは『動脈』を通り、二酸化炭素などの老廃物質は『静脈』を通るのが特徴です。静脈は自ら働くことができず、筋肉の動きに連動して役割を果たします。
したがって、消極的休養で何もせずにダラダラしていても疲労の原因となる老廃物質が体に蓄積された状態になり、それに比例して疲労もどんどん蓄積されてしまいます。
そこで、アクティブレストで体を軽く動かして血流を促進し、静脈を働かせて老廃物質を排出することが疲労回復に効果的になります。軽い運動による血流促進は静脈だけでなく、動脈の働きもよくしてくれるので疲労回復に必要な酸素や、筋肉の成長に必要な栄養素を行き渡りやすくしてくれるという効果も期待できるのです。
アクティブレストの方法
アクティブレストの方法は、本格的に行うものか〜日常生活のついでできるものまで様々です。せっかくの休養なのに気分を悪くして無理に行うのは本末転倒になってしまうので、自分に合ったアクティブレストの方法を選んで取り入れてみましょう。
①ストレッチ、軽い筋トレ
疲れている時は筋肉が張ったり、可動域が狭くなりして痛みや疲労の原因の一つとなってしまいます。さらに、筋肉は動かさなければ硬くなる習性があり、次に運動する際に可動域が狭く柔軟性もない状態となってしまい、怪我のリスクも高まるのです。
そこで、縮まった筋肉をストレッチすることで筋肉が硬く可動域が狭くなるのを防ぐことができ、さらに血行もよくなるのでアクティブレストとして効果的です。急に筋肉を伸ばすと損傷してしまう可能性もあるので、アクティブレストとして軽い運動をした後にストレッチも行うといいでしょう。
ストレッチだけでは物足りないという方は、筋肉をストレッチする自重の筋トレを行うのも効果的です。軽くとはいっても筋トレをすることで休みを取る罪悪感もなくなり気分よく体を休められるでしょう。アクティブレストで筋トレを行う場合は、全身の筋肉を疲労を感じない程度に鍛えることがポイントです。
(ストレッチのメニューを筋肉部位別に確認したい方は、下記記事を参考にしてください。)
ストレッチの効果&メニュー!簡単に体が柔らかくなる柔軟体操を部位別に紹介
出典:Slope[スロープ]
②軽い有酸素運動
ウォーキング・ジョギング・自転車でのサイクリングなどの有酸素運動は、セロトニンの分泌を促してくれます。前途した通りセロトニンは適度に増えることによって気分が高まったりと精神的に良い影響を与えてくれるので、脳の疲労回復に最適なのです。
セロトニンは過度に分泌してしまうと体の疲労感が高まってしまうので、息が上がらない程度で一定ペースで行うことがポイントです。さらに、景色の良い場所など自分の好きな環境でウォーキング・ジョギング・自転車でのサイクリングを行うことをおすすめします。そうすることで気分が良くなり、やる気が出てくるので休養後のトレーニングで高パフォーマンスを出しやすくなるでしょう。
③水泳などの水中運動
水泳などの水中での運動では、水圧によって筋肉を程よく圧迫してマッサージを似た効果を得られます。さらに、浮力によって筋肉に力が入って強張った状態から解放してリラックスした状態にしてくれるのです。このことにより体にかかる負荷を最小限にしながら軽い運動ができ、アクティブレストの効果を最大限に引き出すことができます。
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出典:Slope[スロープ]
④入浴
入浴では水圧によるマッサージ効果、浮力によるリラックス効果に加えて、温熱によって筋肉をほぐす効果も期待できます。
38~40℃ほどのぬるいお湯にゆっくり入ることで、心身ともに疲労を回復することができるでしょう。疲労が蓄積して中々疲れが取れないといった場合は、冷たい水風呂と暖かいお風呂で交互に入浴すると効果が高まります。
夏など暑い季節は特にシャワーで済ませがちですが、あえて温かいお風呂に入ることもアクティブレストの一つで疲労回復に効果的なので、疲労が気になる方は毎日入浴する習慣をつけることをおすすめします。
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出典:Slope[スロープ]
⑤ショッピングなどの外出
休養なのに軽い運動もしたくないといった方も多いのではないでしょうか?そんな時は、家でゴロゴロするのではなく自分が楽しいと思う場所にお出かけするだけでもアクティブレストになります。
自分が好きなショッピングなどでは、気づかないうちに長い距離を歩いていたりして自然とアクティブレストになっているのです。さらに、1個前の駅で降りて家まで長く歩くなど、エレベーターに乗らず階段を使うなどすれば効果が高まります。
好きなことをしながら疲労回復にも繋がるので、休みの日は家でダラダラしていた方は少しでも外出することをおすすめします。
⑥数時間ごとに体を伸ばす
休日にがっつり運動をして平日は常に座っているデスクワークといった生活の方も少なくないでしょう。しかし、デスクワークで長時間同じ姿勢でいると筋肉が硬くなって疲労の原因となってしまいます。
そんな生活の方は、数時間ごとに席から立って軽いストレッチを行うだけでもアクティブレストになります。アクティブレストなんかする暇はないと諦めずに、体の血流をよくする方法を工夫して行いましょう。
アクティブレスト疲れを溜めない体に!
アクティブレストで期待できる効果から、疲労回復の関係性、アクティブレストのやり方について詳しく解説してきました。これまでの解説から家でダラダラ休息するよりも、積極的に何かを行った方が疲労回復につながるということがよく理解できたでしょう。
しかし、ダラダラする休日に慣れている方は急にアクティブレストを導入するのは躊躇いがあるかと思います。そんな場合は用事はないけどコンビニまで歩いて行くといった簡単なことからでもいいので初めて見ることをおすすめします。