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筋トレ・運動の知識

カタボリックとは?筋肉量が落ちる仕組み〜確実に防ぐ方法まで解説!

2021年05月04日

筋トレを計画的に行う上で「カタボリック」について理解しておくことはとても大切です。まずはカタボリックの基本情報について、そしてカタボリックを防ぐ方法や、カタボリックを実感した人の体験談も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

【監修】パーソナルトレーナー 高津諭

トレーニング指導歴22年。大阪・兵庫を中心に活動するパーソナルトレーニングを提供しています。現在、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のマスタートレーナーとして、またJOTスポーツトレーナー学院の校長として後進の育成、指導にも尽力している。HP / ブログ / Twitter

カタボリックとは?

カタボリックとは科学用語で「異化」という意味で、筋トレにおいてのカタボリックとは筋肉の分解を意味します。カタボリックは筋トレを行えば誰でも体で起きうる現象で、頻発すると筋トレをしても逆効果になります。今回はカタボリックについて詳しく解説しますので、体のメカニズムを理解してボディメイクに活かしましょう。

カタボリックで筋肉量が減る仕組み

カタボリックといえば筋肉が減るという認識を持っている方が多いですが、その仕組みについて理解している方は多くはありません。筋トレでの脂肪燃焼効果や筋肥大効果を保つためにもまずはカタボリックの仕組みを理解していきましょう。

体では常にカタボリックが起きている

筋肉を分解するという働きのカタボリックは日々体で起きています。筋肉を分解するという動きは人が体を維持するのに必ず必要なことなので、カタボリック自体がよくないというわけではありません。体では分解と合成が常に行われていて、それぞれをカタボリックとアナボリックと呼びます。

アナボリックは科学用語で同化、カタボリックは異化と呼び、ボディメイクをするときにはそれぞれのバランスが非常に大切です。筋トレや有酸素運動を行うときに、カタボリックの作用がアナボリックを超えてしまうと筋肉が減少するということになります。ダイエットにおいてもアナボリックよりカタボリックの作用が強くなると体には逆効果です。

筋トレでカタボリックが起こる仕組み

筋トレや有酸素運動を行い筋肉を使用するときには、体内にある脂質や糖質などを栄養素として筋肉を動かします。体内のエネルギー源は主に摂取した食事やプロテインなどで、体外からの摂取が基本的な経路です。このエネルギー源の摂取を怠り、体内のエネルギー源が不足したときに、体内の作用がアナボリックよりカタボリックに偏ります。

アナボリックよりもカタボリックに偏りが出た状態が続くと、体はエネルギ源として筋肉を分解し始めます。アナボリックは筋肉を合成しますが、カタボリックは筋肉を分解するので脂肪燃焼ではなく結果的に筋トレや有酸素運動しても筋肉が落ちるということになります。

(有酸素運動で筋肉が落ちる情報については以下の記事も参考にしてみてください)

カタボリックが起こる流れ

体内のエネルギー源が不足すると次に消費されるのは体内にあるアミノ酸です。アミノ酸を使い続けると体内のアミノ酸濃度が低下し、ある一定以上低下してしまうと体は筋肉を消費して運動エネルギとーとします。このタイミングでカタボリックが起きるのです。つまり体内のアミノ酸濃度低下を防ぐための作用といえます。

カタボリックは嘘とも言われている?

カタボリック自体は嘘という情報も一部にはありますが、体のメカニズムとしてカタボリックがあるのは事実です。カタボリックが嘘だという情報の原因は、筋トレをしすぎると筋肉が落ちるという情報が元になっています。エネルギー不足のまま筋トレを行えば、体は最終的には筋肉をエネルギーに分解します。

その情報が飛躍して筋トレをしすぎると筋肉が落ちるという情報になっていますが、実際には筋肉が落ちるというわけではなく筋肉の成長が阻害されるのです。確かに気にしすぎはよくありませんが、効率良い筋トレをするためにはカタボリックを理解する必要があります。

(カタボリックの真偽については以下の記事も参考にしてみてください)

カタボリックが起きてしまう原因

カタボリックが起きてしまう原因について詳しく解説します。正しい知識がないと脂肪を燃焼しようとしても、カタボリックが起きてしまいます。原因を知ることで、予防策についての知識も深まりますので参考にしてください。

栄養不足が原因

運動するときは体内にあるエネルギーを使用します。そのエネルギーの元は摂取することによって蓄えるタンパク質などのあらゆる栄養素です。その栄養が不足した状態で体を動かすとエネルギー切れを起こして、最終的には筋肉を分解してエネルギーにします。栄養が不足した状態での筋トレは逆効果になるので注意が必要です。

空腹状態での筋トレや有酸素運動を行うということは、ダイエット効果を下げることになります。効率よく脂肪を燃焼したいという目的でも、栄養素はしっかりと摂ることが重要です。以下の文章は立命館大学スポーツ健康科学部 教授の藤田 聡が発表した論文内容です。

近年の研究で、1 日の総摂取量が充足していても、3 食それぞれの食事において、十分なたんぱく質が摂取できていない場合、筋量の低下やトレーニングによる筋肥大の抑制に繋がる可能性が報告されている。

引用元:https://www.nsca-japan.or.jp/journal/27_10_11-15.pdf

長時間の運動が原因

長時間の運動を行った場合も最終的にはエネルギーが不足している状態になり、カタボリックを起こしやすいので注意が必要です。長時間の有酸素運動や筋トレを行う場合は、トレーニングの合間にプロテインなどでエネルギーを摂取しましょう。体の筋肉量が減ってしまうと基礎代謝が下がって、脂肪燃焼効率が下がってしまいます。

(プロテインを摂取するタイミングについては以下の記事を参考にしてみてください)

コチルゾールが原因

関係ないように思えますが、ストレスを感じるとコチルゾールというホルモンを体内で分泌します。コチルゾールには筋肉を分解してエネルギーを生み出すという役割があるので、日常的に分泌されているとカタボリックが起きてしまう可能性があります。また、飲酒によってもコチルゾールは分泌されるので、ダイエットする時にはお酒は控えめにしましょう。

カタボリックを事前に防ぐポイント

カタボリックを事前に防ぐ方法について解説します。先程の原因を踏まえてどのように防げばカタボリックが起きにくくなるのかを覚えておきましょう。

こまめな栄養補給

カタボリックを予防するためには空腹状態を避けて、体のエネルギーが不足しないようにエネルギー補給をしておくことが大切です。トレーニングの前後や休憩時、1日の食事内容などで栄養を摂取しましょう。空腹状態にならないようにトレーニングの合間や前後には、効率よくタンパク質を摂取できるプロテインやBCAA、サプリを摂取している方が多くいます。

1日の食事も偏った食事にならないようにバランスよく摂取することが大切です。特に朝食を摂らないと代謝が上がりにくいので、空腹を避けるために朝食はできるだけ摂るようにして、規則正しい食生活を意識しましょう。ダイエット中は低カロリーを意識しがちですが、本格的な筋トレを行う場合一定以上のカロリーも必須です。

(BCAAとプロテインの違いについては以下の記事を参考にして見てください)

短時間でのトレーニング

一回のトレーニングは長くても1時間程度に収めるのが理想的です。1時間半以内でトレーニングを終了して、休息をとることで筋肉を効率的に成長させることができます。がむしゃらにトレーニングを行うのではなく自分のスケジュールに合わせて、各部位を効率的に鍛える計画を考えましょう。

また、筋トレができるペースや目的によってスケジュールを立てて、事前にどの部位をどれぐらい鍛えるのかを考えておくことが大切です。早くダイエットを成功させたいという気持ちが先走ってしまうととにかく体を動かしたくなりますが、トレーニングを継続することがダイエットの近道です。

カタボリックを実感したことのある人の体験談

カタボリックを実感したことのある人の体験談を紹介します。実際に体にカタボリックが起きた時にどのようなことが体におこなるのかを具体的に紹介しますので、トレーニングをする際の参考にしてください。

過度な有産運動には注意



ランニングは体の中でも大きい足回りの筋肉を使用します。筋肉を酷使し続けるとエネルギ不足になり、カタボリックを起こしてしまいます。長時間のランニングは筋肉の分解してしまう可能性があるので、30分を目安に行い運動中にもエネルギー摂取をしましょう。

カタボリックが起こると代謝が落ちる



カタボリックが起こると代謝が落ちて、使用頻度の少ない筋肉は特に落ちやすくなります。例えばランニングでは腕の筋肉を使用しないので、ランニングでトレーニングをしている時は上半身の筋トレを行うのがおすすめです。

カタボリックは体の機能が低下する



カタボリックが起こってしまうと筋肉の分解だけではなく、代謝が低下してしまうので体の調子も悪くなります。カタボリックによる不調を感じる場合はかなりエネルギーが足りていない状態です。筋トレ中や筋トレ後に体の不調を感じたり、エネルギー不足を感じたりした場合は迷わずエネルギーを摂取しましょう。

カタボリック対策は万全に



本格的な筋トレをしている方はカタボリック対策をしっかりと行いましょう。空腹を避けるために手軽に摂取できるものであれば、プロテインやプロテインバーがおすすめです。特に日頃からダイエットを意識している方は、エネルギー不足にならないように注意が必要です。

思考能力も落ちる



炭水化物はエネルギーの元になる重要な栄養素なので、ダイエット目的で炭水化物を抜くのは逆効果です。特に朝の食事は1日を過ごすための重要なエネルギー源になります。エネルギー不足の状態はカタボリックを起こすだけではなく、他の症状として思考能力も低下するのでバランスよく食事をしましょう。

(朝食とプロテインについては以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレをしている方はカタボリックについて理解しておこう

本格的に筋トレをしている方は今回の内容を参考にして、カタボリックについて理解を深めましょう。効率よくトレーニングをするためにカタボリックを起こし過ぎないように注意し、ボディメイキングを楽しんでください。