目次
すねの筋肉の構造・作用
すねの筋肉には前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋、腓骨筋群があります。これらは足首の動きに大きく関わっていて、スポーツをする時だけでなく普段の生活で元気に歩くためにも欠かせない筋肉です。すねの筋肉が発達していないと足のつりや痛みも起きやすくなります。ここではすねの筋肉の位置と働きを解説していきます。
前脛骨筋【すねの筋肉の構造・作用】
前脛骨筋とは、すねの前面を通り脛骨(すねの内側の太い骨)の上部外側から、第1中足骨(足の甲の親指側の骨)の裏に繋がっている筋肉です。足関節の背屈(つま先を持ち上げる)や足の内反動作(足首を内側に曲げる)など土踏まずを引き上げる働きをしています。
前脛骨筋が弱ってしまうと、土踏まずのアーチのへこみがなくなり踏ん張りが効かなくなってしまいます。ランニングやジャンプをするスポーツでは足首を固定し、足首の倒れこみとアーチの低下を防ぐための重要な筋肉でもあります。
すねが痛いという時は前脛骨筋が原因であることが多いです。前脛骨筋が固い人や足首が固い人に痛みが出やすいので日頃からストレッチとマッサージで柔らかくしておくと痛みの予防にもなります。
(前脛骨筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
前脛骨筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説
出典:Slope[スロープ]
長趾伸筋【すねの筋肉の構造・作用】
長趾伸筋とは、すねの外側に沿って脛骨の上部外側から足の指まで繋がっている筋肉です。長指伸筋の上部は前脛骨筋に覆われ、下部で枝分かれして腓骨筋になります。腱がくるぶし辺りで4つに分かれ、親指以外の4本の指の動きに作用します。
足首や足の指を反らせたり外反(足首を外側に曲げる)の働きをするので、歩くときや車の運転など足首と足の指を動かす時に働きます。また底屈(爪先立ち)と背屈のバランスを取る時にも大切な筋肉です。つまずかないように足首を上げるのもこの筋肉の働きです。
長時間歩く人や長時間運転する人、いつもハイヒールを履いている人などは長趾伸筋がずっと働いているので、筋肉は硬くなりすねに痛みがでたり、夜寝ているときにつったりしやすくなります。よく使った日には筋肉をほぐすマッサージで足がつらないよう予防しましょう。
長母趾伸筋【すねの筋肉の構造・作用】
長母趾伸筋とは、腓骨の中央、前脛骨筋のやや外側を長趾伸筋の下から親指の指先まで繋がっている筋肉です。足首の前面を通って斜め内側にありますが、大部分は前脛骨筋と長趾伸筋に覆われています。足首の背屈や親指の伸展と足の内反の補助の働きをしています。
足を踏み込む力が母趾に込められるのでスキーやスノーボードで痛みが出やすい部位です。ランナーも甲の痛みが出たら長母趾伸筋腱を痛めている可能性があります。
腓骨筋群【すねの筋肉の構造・作用】
腓骨筋群とは、長腓骨筋、短腓骨筋、第3腓骨筋の3つを指しています。腓骨の外側から親指側の足裏と小指外側に繋がっている筋肉です。足首の内反と外反の働きや片足立ちをする時などに足首を安定させるためにも使われます。捻挫の予防には鍛えておきたい筋肉です。
腓骨筋群による足関節の内反と外反は、凹凸のある道を歩く時に、地面に足底を合わせようとする働きをします。ハイキングなどで山道を歩いた時には疲労しているので念入りにストレッチとマッサージをしておきましょう。
すねの筋肉が張る・筋肉痛になった際の対処法
すねの筋肉に張りを感じるのは前脛骨筋が原因のことが多く、ランニングやウォーキングをしていて張ることもあれば、激しい運動をしていないのに張ることもあります。張りは負担のかかっている局所の周辺が引っ張られるストレスで、だるさや動かしづらさを感じる状態です。張りは局所的ではないのでストレッチを行うのが有効な対処法になります。
すねが筋肉痛になるのは運動不足が原因とも言われます。この場合は急激に筋肉を使ったことで起こる痛みです。普段運動をしているのに長時間歩いたらすねが筋肉痛になったりします。これは歩き方のくせや靴が合っていないことなどが原因として考えられます。筋肉痛になってしまったら、ストレッチとマッサージを行なって痛みを解消しましょう。
つる癖がついている方は夜眠りにつく前に、寝ながら足首をゆっくり前後に動かしたり、回したりを数回繰り返しましょう。いつもすねが張ったり、すぐに筋肉痛になってしまうとつらいですね。日頃から筋トレをして、すねの筋肉を鍛えることで張りや筋肉痛の予防になります。日常生活でも重要な脚の筋肉ですので筋トレで鍛えて強いすねを作りましょう。
(ランニングで筋肉痛になる部位については以下の記事も参考にしてみてください)
ランニングで筋肉痛になる部位は?原因〜予防&回復方法、継続判断まで解説!
出典:Slope[スロープ]
すねの筋肉のストレッチメニュー
すねが張るときや筋肉痛になった時や予防に効果的なストレッチメニューを紹介していきます。すねのストレッチは案外知られていませんが、少し痛みを感じると思ったときにでもストレッチを行うと足が軽くなります。お風呂上がりにもおすすめです。ストレッチと合わせて後で紹介するマッサージも行うとより効果があります。
立位前脛骨筋のストレッチ【すねの筋肉のストレッチメニュー】
前脛骨筋を伸ばすためのセルフストレッチです。すねの筋肉の中でもつりやすい太い筋肉です。つりや筋肉痛予防にも効果的にストレッチする方法を覚えましょう。立って行う方法、椅子に座って行う方法、正座で行う方法、ストレッチポールを使う方法などがあります。
▼立位前脛骨筋ストレッチのやり方(立位)
①まっすぐに立ち、片足を一歩後ろに出しつま先をつく
②前の脚の膝を軽く曲げ重心を前に移動させる
③足の甲からすねの伸びを感じたら静止する
左右交互に行い、15秒間~30秒間キープしましょう。
▼立位前脛骨筋ストレッチ(立位)のコツ&注意点
・上半身は前傾したり反らさないようにまっすぐに保ちます。
・腕は体の横に下ろしておきます。
・足首が硬い人は無理に伸ばそうとせずに出来る範囲で行います。
無理をせずに、正しいフォームを意識して行いましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
前脛骨筋は筋膜を通して、膝の伸筋と連結があります。そのため、膝を曲げる角度を大きくすると、より前脛骨筋へのストレッチ効果がたかくなります。
長趾伸筋のストレッチ【すねの筋肉のストレッチメニュー】
長趾伸筋を伸ばすセルフストレッチです。この筋肉が硬いと足首が曲がりにくくなって、ちょっとした段差にもつまずきやすくなります。普段から車を長時間運転したり、ハイヒールを履くことが多い人にはおすすめのストレッチです。
▼長趾伸筋ストレッチのやり方
①まっすぐに立って片足の指甲側を床につける
②足首を前に倒し膝を外側に開く
③前に体重をかけて静止する
左右交互に行い、30秒間ほどキープしましょう。
▼長趾伸筋ストレッチのコツ&注意点
・親指以外の4本指がしっかり着くようにします。
・膝が内側に入らないよう気をつけましょう。
・無理に体重をかけないように出来る範囲から行なっていきましょう。
膝や足の甲を痛めないように、無理をせずに行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
伸ばす側に体重は乗せすぎないようにしましょう。捻挫の可能性が高くなる上、指の関節への負荷が大きくなりすぎます。重心は反対側の足におくようにしてください。
腓骨筋のストレッチ【すねの筋肉のストレッチメニュー】
腓骨筋群に効くストレッチです。椅子に座った状態でも行えます。平らでない道を歩いた時などは特に疲労しているので十分にストレッチしておきましょう。
▼腓骨筋ストレッチのやり方
①ストレッチする方の膝を曲げて足首を反対側の脚の太ももに乗せる
②足首を押さえて足の裏を上に向ける
③足の甲からすねの外側の伸びを感じたところで静止する
左右交互に行い、15秒間~30秒間キープしましょう。2セット~3セット行ってください。
▼腓骨筋ストレッチのコツ&注意点
・手のひら全体で足の甲のつま先に近い方を持って捻りましょう。
・足首をのせるのがきつい時は前(膝側)にずらしても良いです。
足首が硬い方は無理せずに行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
あまり伸びた感じがしないという方は、まっすぐ足首を反らしている可能性が高いです。母趾球あたりを押し、内返ししながらストレッチしてみてください。
長母趾伸筋のストレッチ【すねの筋肉のストレッチメニュー】
長母趾伸筋と同時に長趾伸筋を伸ばすストレッチです。前脛骨筋のストレッチでも伸ばされますが、長母趾伸筋を特にストレッチしたいときのやり方になります。床に座っても、椅子に座った状態でも行えますので腓骨筋ストレッチと合わせて行うのも良いですね。
▼長母趾伸筋ストレッチのやり方
①ストレッチする方の膝を曲げて反対側の脚の太ももに乗せる
②掌で親指から包み込むように持つ
③足首は外反しながら足底の方に曲げ指を内側に曲げる
10秒くらいキープを3〜4セットを左右交互に行いましょう。
▼長母趾伸筋ストレッチのコツ&注意点
・足首を外反しながら底屈することでストレッチされます。
・足首は移動しないように押さえておきましょう。
・親指は痛くなければしっかり内側まで曲げましょう。
足首が硬い方は位置をずらすなどして出来る範囲で行いましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
伸ばし分けしたい場合は、足の甲でなく直接指をつかんで行ってください。そうすることで個別に伸ばしやすいですが、逆に全体を伸ばしたいときは足の甲を持って行いましょう。
すねの筋肉の筋トレメニュー&鍛え方のコツ
すねの主要な筋肉である前脛骨筋を鍛えるのに効果的な筋トレメニューと鍛え方のコツを紹介します。前脛骨筋は足首を動かし、つま先をあげる働きをする筋肉です。日常生活でつまずきやすい方は前脛骨筋が弱っていることも考えられます。
ここで紹介するトゥレイズというトレーニングは立ったままでも椅子に座ってもでき、特別な器具を使わずにすねの筋肉を鍛えることができます。初心者から高齢者まで気軽に始められますので、怪我防止の為やむくみを予防して美脚を手に入れましょう。
トゥレイズ【すねの筋肉の筋トレメニュー&鍛え方のコツ】
トゥレイズは立ったままでも座った状態でも行うことが出来ます。つま先を上げ下げしてすねの筋肉を鍛えます。日常的な歩行、階段を上る・下りる、ランニング、ボールを蹴るなど常に使われています。
すねを鍛えることでつまずきにくくなり怪我の予防になります。歩きやすくフットワークが軽くなるなど日常の生活面で効果があります。スポーツをしている方もランニングの質を強化することもできるので鍛えておくと良い筋肉です。
▼トゥレイズのやり方
①片足を伸ばし軽く上げ地面から浮かせる
②指が反り返らないように足首を曲げてつま先を上に向ける
③つま先の上げ下げ動作を繰り返す
初心者は3セットを週1回、上級者は6セットを週2回程が最適です。正しいフォームで限界まで行うことが効果的で毎日の筋トレは逆効果となるので注意しましょう。またはすねの筋肉に効果のある他の低負荷の筋トレを行ってください。
▼トゥレイズのコツ&注意点
・足首を曲げてつま先を上に向ける際、指が過度に反りかえらないように注意しましょう。
・立位でも座位でも背筋はまっすぐに伸ばしましょう。
・トレーニングする足のかかとは床から少し浮かしたままで行いましょう。
上級者の方はダンベルやチューブバージョンもおすすめです。水分を補給しながら行ってください。
ずーみー(泉風雅)
前脛骨筋というのは歩くときに足が垂れ下がってしまって地面にズルズルと擦らないようにつま先を持ち上げる筋肉です。前脛骨筋が凝っていたり硬くなっている方も多く、ここをほぐしたり、動かすことで血流改善してあげると歩く際に疲れにくくなるなどのメリットも得られるでしょう。
(詳しく見たい方はこちら)
トゥレイズのやり方!脛を鍛えて冷え・むくみ改善も!ダンベル・チューブなどで負荷UP!
出典:Slope[スロープ]
チューブを使ったトゥレイズ【すねの筋肉の筋トレメニュー&鍛え方のコツ】
上級者向けにチューブを使用するトゥレイズを紹介します。チューブを使う方法は手軽にトゥレイズの負荷を上げる事ができます。チューブの形には色々ありますが、トゥレイズで使用する場合出来る限りバンドタイプのものを使うことをおすすめします。
▼チューブを使ったトゥレイズのやり方
①両足のつま先にチューブを引っかけ、片方の足を軽く上げる
②足首を曲げてつま先を上に向ける
③つま先を元の状態に戻す
筋力アップを図る時は1回~6回、筋肥大では6回~12回、筋持久力アップは15回以上で限界が来る程度の負荷で行います。筋肥大の場合は軽い負荷でも限界まで行うことで同等の効果を得られます。初心者の方は3セットを週1回、上級者の方は6セットを週2回程度がおすすめです。
▼チューブを使ったトゥレイズのコツ&注意点
・姿勢をまっすぐに保つように意識しましょう。
・足の指は反り返らないように気をつけます。
・足首を反らせ過ぎると、前脛骨筋以外の筋肉に負荷がかかるので注意してください。
・鍛える方の足のかかとは常に浮かせた状態で行います。
・バランスが取りづらいときは壁などに手をついて行いましょう。
チューブは1000円台で購入できるので、1本持っておくとエクササイズやストレッチにも応用でき便利でしょう。
ずーみー(泉風雅)
足の指はニュートラルな状態をキープして持ち上げましょう。
(チューブトレーニングの効果抜群メニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
チューブトレーニングの効果抜群メニュー!腹筋・背筋・肩・太もも・胸筋など部位別にコツを解説!
出典:Slope[スロープ]
ダンベルを使ったトゥレイズ【すねの筋肉の筋トレメニュー&鍛え方のコツ】
ダンベルを使って行うトゥレイズを紹介します。この方法はダンベルによる足への圧迫が強くなります。万が一トレーニング中に自分の足の上に落としてしまった場合ケガを負ってしまいます。
▼ダンベルを使ったトゥレイズのやり方
①トレーニングする方の足の甲にダンベルをのせたまま、足を軽く上げる
②ダンベルを落とさないように足首を曲げ、つま先を上に向ける
③足はあげたままでつま先を元の状態に戻す
筋力アップするには1~6回、筋肥大を狙うなら6~12回、筋持久力アップしたい時は15回~で限界がくるくらいのダンベルの重量で行なってください。初心者で3セットを週1回、上級者でしたら6セットを週2回くらいがおすすめです。
▼ダンベルを使ったトゥレイズのコツ&注意点
・ダンベルを落とさないように十分注意しましょう。
・ほかの筋肉への負荷がかかり前脛骨筋への効果が減りますので足首を反らせ過ぎないようにしましょう。
・正しいフォームでの動作が難しいので初めは座って行うやり方をおすすめします。
あまりおすすめなトレーニングではないので、なるべくチューブで行ってください。
ずーみー(泉風雅)
非常に動作が不安定になってしまい、足の上側への圧迫も強くなります。落とすと足を痛める可能性もありますのでおすすめできる方法ではありません。
ケトルベルを使ったトゥレイズ【すねの筋肉の筋トレメニュー&鍛え方のコツ】
ケトルベルとは球体の重りに持ち手がついた形のトレーニング用器具です。ダンベルに比べると安定してトレーニングをで行えるので、よりすねの筋肉に強い負荷をかけて鍛える事ができます。
▼ケトルベルを使ったトゥレイズのやり方
①片方のつま先にケトルベルを引っかけ、足を軽く上げる
②足首を曲げてつま先を上に向ける
③つま先を元の状態に戻す
筋力アップするためには1~6回、筋肥大が目的なら6~12回、筋持久力アップをしたい場合は15回~で限界の負荷を選択してください。初心者は3セットを週1回、上級者は6セットを週2回程度が良いでしょう。
▼ケトルベルを使ったトゥレイズのコツ&注意点
・足の甲を痛めないようにタオルなどをかませ、足の上の圧迫を軽減させましょう。
・安定した状態で正しいフォームで行うことを心がけてください。
・身体が不安定な時には壁などに手をついて支えながら行いましょう。
・つま先を反らせないように、足首は上げすぎないように注意してください。
ケトルベルは腕の筋肉を強化したいときにも応用できます。
ずーみー(泉風雅)
前傾姿勢は結構硬くなっている方が多いので、しっかりとほぐして血流を良くしてあげましょう。
(ケトルベルのトレーニングメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
ケトルベルのトレーニングメニュー!効果的に腹筋・胸筋など全身を鍛えるコツを解説
出典:Slope[スロープ]
すねの筋肉をほぐすマッサージの仕方
ここではすねの筋肉を緩めて筋肉痛を予防するマッサージを紹介します。簡単なので筋トレをした後やよく歩いて張りがある時に、ストレッチと合わせて行なってみてください。お風呂上がりの温まっている時がおすすめです。
床に座って片方の足を前に出し膝は軽く曲げます。つま先を上げて前脛骨筋を確認しましょう。両手で足首を包むように持ち、親指を重ねて親指の腹で下から上に向かってすねを押さえるようにマッサージします。軽く押さえる程度で足首から膝下までを3セット、反対側の足も同じようにマッサージします。
押さえていて他よりも痛みを感じた箇所は、6秒押さえて離すという作業を2回ほど繰り返します。強い力で押す必要はありません。基本は筋肉の膨らみを下から上に順番に押さえていくことで軽い力のマッサージでも筋肉が緩む効果があります。
すねの筋肉もしっかりストレッチ・筋トレをしよう
すねの筋肉は歩くだけでも毎日使われ、弱ってくると腰痛や肩こりまで引き起こす原因にもなる大事な筋肉です。すねを筋トレで強化して、スポーツでのパフォーマンス力アップや美脚効果を狙いましょう。
すねの筋トレは初心者も行いやすいので気軽にチャレンジして健脚を手に入れましょう。筋トレした後はストレッチやマッサージで筋肉痛を柔らげるケアをすることも忘れずに行ってください。