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尺側手根屈筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説

2020年04月24日

尺側手根屈筋は前腕にある筋肉の一つです。手首を曲げる際などに作用し、スポーツやトレーニングだけでなく日常生活でもよく使われます。痛めてしまいやすい筋肉ですので、筋トレやストレッチは正しく行うことが重要です。尺側手根屈筋をしっかり強化していきましょう。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

尺側手根屈筋の構造・作用

出典:https://kobe-relief.com/column/knowledge/post-781/

構造

▼尺側手根屈筋の起始停止

起始:上腕骨内側上顆、尺骨近位後面
停止:第5中手骨底、豆状骨、有鈎骨

尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)は前腕にある筋肉です。肘と手のひらにある骨を繋いでおり、前腕の小指側を走っています。前腕の筋肉は前腕屈筋群と前腕伸筋群に分けられますが、尺側手根屈筋は前腕屈筋群に分類されています。拮抗筋は尺側手根伸筋です。

作用・役割

尺側手根屈筋は尺骨神経に支配され、手首の関節の屈曲、尺屈などの作用があります。手首を手のひら側に曲げたり、小指側に曲げたりするときに働き、大きめのフタを閉める、重いものを小指側で持つといった動作の際に強い負荷がかかります。

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尺側手根屈筋の筋トレをするメリット

尺側手根屈筋を含む前腕屈筋群は、スポーツや筋トレだけでなく、日常生活でもよく使われる筋肉です。筋トレにおいては、手首を巻き上げるように動かすカール系の種目などで使われます。鍛えることでトレーニングの質を向上させることができるでしょう。

スポーツ面においては、腕相撲の強さ、柔道の引く力、バトミントンのスマッシュや剣道の竹刀を振り落とす動作など手首を使う動作のパフォーマンス向上が期待できます。ただし、よく使われる分だけ痛めやすいため、ケアもしっかりと行うことが大切です。正しい方法でトレーニングし、マッサージやストレッチなどのケアも行っていきましょう。

尺側手根屈筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

尺側手根屈筋を刺激する筋トレメニューを紹介します。手首などを痛めてしまわないように正しいフォームで行ってください。鍛え方のコツを参考に、効果的に鍛えていきましょう。

尺側手根屈筋のトレーニング①リバースカール

リバースカールは腕橈骨筋や上腕筋を鍛えることができます。前腕の太さを強調したい人におすすめのトレーニングです。バーベルを使いますが、通常のカールとは逆に手の甲を上にして持つことが特徴です。

▼リバースカールのやり方

①立った状態でバーベルを順手で持つ
②肘を曲げてバーベルを持ち上げる
③元の位置に下げる

筋力アップは1~6回、筋肥大は6~12回、筋持久力アップは15回~で限界がくる重量を用います。筋トレ初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。

▼リバースカールのコツ&注意点

・手首が下に曲がらず、あおり上げせずに扱える重量を用いましょう。
・ストレートバーを使うと前腕により大きな刺激を与えられます。
・ダンベルはバーベルのように手首が固定されないため、手首が楽なほうに流されないように注意しましょう。
・負荷が逃げてしまうため、動作時に肘が前に出ないように気をつけてください。

無理な重量を用いず、しっかりと動作をコントロールしてトレーニングを行いましょう。

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ずーみー(泉風雅)

リバースカールは、半袖シャツを着たときに腕の印象を決める、重要な前腕の筋肉を鍛えるのに最適です。

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尺側手根屈筋のトレーニング②ダンベルリストカール

リストカールは、手首を曲げる筋肉である前腕屈筋群をメインに鍛えていきます。特に浅指屈筋と深指屈筋を狙うことができ、鍛えることで前腕の内側の力強いラインを作っていくことが可能です。リストカールにはバーベルを使う方法と、ダンベルを使う方法があります。まずはダンベルを使った方法を紹介します。

▼ダンベル・リストカールのやり方

①ベンチ台にダンベルを持ったほうの腕を置く
②手首を上に巻き上げる
③手首を下ろす

筋力アップは1~6回、筋持久力アップは15回以上で限界になる重量を用いてください。筋肥大の場合は、重さに関わらず回数を限界まで行うことが重要です。初心者の方は週1回3セット、上級者は週2回6セットがおすすめです。

▼ダンベル・リストカールのコツ&注意点

・ダンベルはバーベルよりも軽い重量から始めることができます。無理のない重量で行いましょう。
・手首をベンチ台から出し、上げる際はしっかりと上まで巻き上げます。
・下げる際は指先に引っかけるようなところまで下ろしてください。

コツを踏まえてトレーニングすることで、手首を曲げるスナップの筋肉だけでなく、指を曲げるための筋肉も鍛えていくことができます。

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ずーみー(泉風雅)

前腕部は日常生活においてよく動かすため、血流が良く、回復も早いため毎日やってもいいという説が出回っていますが、これは間違いです。筋トレして回復するためには、ほかの部位と同様48〜72時間が必要です。

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尺側手根屈筋のトレーニング③バーベルリストカール

上記で紹介したリストカールのバーベルを用いた方法です。ダンベルを用いる方法と同じく、前腕の内側を鍛えていくことができます。あまりに重い重量を扱うと手首のストレッチ時の負荷が大きいため、手首に痛みが出てしまう場合があります。無理をせず、自分に合った重量を用いるようにしましょう。

▼バーベル・リストカールのやり方

①座った状態でバーベルを持つ
②手首を巻き上げる
③手首を下げる

▼バーベル・リストカールのコツ&注意点

・手首を膝から出し、上げる際はしっかりと上まで巻き上げます。
・下げる際は指先に引っかけるようなところまで下ろしてください。

重くて持ち上がらない、正しいフォームで行えないといった場合は、無理をせず重量を軽くするか、代替トレーニングを行いましょう。

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ずーみー(泉風雅)

あまりに重い重量を扱うと手首に痛みが出てしまう場合があります。このような方にオススメの種目として「バーベル・ビハインド・リストカール」があります。ぜひ試してみてください。

尺側手根屈筋のトレーニング④スタンディングリストカール

スタンディングリストカールはその名の通り、立った姿勢で行うリストカールです。前腕(尺側手根屈筋・橈側手根屈筋・長掌筋)を鍛えることができます。ベンチ台がなくてもダンベルがあれば自宅でもできるトレーニングです。

▼スタンディングリストカールのやり方

①ダンベルを後ろで持つ
②そのまま手首を曲きあげていく
③ゆっくりと戻す
④繰り返す

10回×3セット。頻度は1~2日おきがおすすめです。

▼スタンディングリストカールのコツ&注意点

・正しいフォームで限界までできる回数をする
・ゆっくりと前腕に効いていることを確認しながら動作をする

比較的簡単なトレーニングで初心者の方や女性にもおすすめです。回数よりも正しいフォームでおこなうことを意識して取り組むようにしましょう。

尺側手根屈筋のトレーニング⑤ダンベルリバースカール

さきほど、バーベルを使ったリバースカールを紹介しましたが、こちらはダンベルを使ったリバースカールです。ダンベルは自宅でのトレーニングでも行いやすいのでおすすめです。

▼ダンベルリバースカールのやり方

①直立姿勢で順手でダンベルを握る
②手首を回内に保ったまま肘を曲げる
③ゆっくりと肘を戻す

筋力アップには1~6回、筋肥大には6~12回、筋持久力アップには15回以上で限界が来る重量を扱いましょう。セット数については初心者の方は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。

▼ダンベルリバースカールのコツ&注意点

・手首が流れないように注意する
・急がず正しいフォームで限界までできる回数をおこなう

回数や重量も大切ですが、まずは正しいフォームで限界までできる回数を目安に行いましょう。

尺側手根屈筋のトレーニング⑥ビハインドリストカール

ビハインドリストカールは、通常のリストカールで手首の痛みを感じる人におすすめです。

▼ビハインドリストカールのやり方

①バーベルを後ろにもつ
②後方に向かってしっかりと手首を巻き上げる
③手首をおろす
④②③を繰り返す

基本的に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量が目安です。ちなみに筋肥大が目的なら軽い重量でも限界まで追い込むことで同等の効果が期待できます。ただし手首に痛みを感じる場合は、無理をせず休むことも必要です。

▼ビハインドリストカールのコツ&注意点

・手首の痛みが続く場合は中止すること
・高重量を扱える種目ですが、正しいフォームをキープしてできる重量にしましょう

回数や重量も大切ですが、正しいフォームで限界までできる回数を行う事を目安にチャレンジしてみましょう。

尺側手根屈筋のストレッチメニュー

尺側手根屈筋などの前腕の筋肉を使いすぎてしまうと、肘から手にかけて様々な症状が現れます。前腕屈筋群が関係する症状として上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)があり、前腕伸筋群が関係する症状として上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や尺側手根伸筋腱鞘炎などがあります。

ゴルフ肘になると肘の内側に痛みが起こり、日常生活にも影響が及んでしまいます。日頃からしっかりとケアしておきましょう。ここでは尺側手根屈筋のストレッチや体操を紹介します。

尺側手根屈筋のストレッチ①

尺側手根屈筋をほぐすのに効果的なストレッチです。とても簡単な方法なので、ちょっとした作業の合間などにも気軽に行うことができます。

▼尺側手根屈筋ストレッチのやり方

①腕を伸ばして手のひらを上に向ける
②反対側の手を使って手首を反らせる
③親指側に手首を回す

手首を反らせてひねった状態を20秒間保ってください。

▼尺側手根屈筋ストレッチのコツ&注意点

手のひらを反らすとき、元に戻すときは、ゆっくりと行うようにします。同じ前腕屈筋群である橈側手根屈筋をストレッチしたい場合は、親指ではなく小指側に回します。ほぐしたい部位に合わせたストレッチを行いましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

尺側手根屈筋を伸ばす場合、必ず親指側に捻らないと尺側手根屈筋への効果が弱くなってしまいます。逆側にはなると、橈側手根屈筋のストレッチになるので、注意しましょう。

尺側手根屈筋のストレッチ②

尺側手根屈筋の筋力アップができる体操です。筋力が低下したために起こる腕の症状の改善に効果的です。まずは筋肉をつまんでひっぱるようにマッサージし、筋肉をほぐしてからトレーニングを始めてください。

▼尺側手根屈筋トレーニングのやり方

①脇を開いて肘を曲げ、腕を地面と並行にする
②手のひらを外側に向け、マジックペンなどを握る
③手首を曲げて力を入れる

手首を曲げた状態を10秒間保ちます。左右片方ずつ行うとよいでしょう。

▼尺側手根屈筋トレーニングのコツ&注意点

・手を握る際は、薬指と小指のほうに力を込めるようにします。
・手首を曲げるときに小指や親指側には曲げないようにします。

橈側手根屈筋の体操と併せて行うとよいでしょう。橈側手根屈筋の体操は脇を閉じ、親指や人差し指側に力を入れます。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

このストレッチは、最大収縮の後弛緩するという筋肉の特性を活かしたストレッチになります。しっかりと小指側に力を入れた後、必ずリラックスしましょう。

尺側手根屈筋の筋トレ・ストレッチをマスターしよう

尺側手根屈筋は前腕にある筋肉です。前腕の内側、小指側のラインにあります。手首を曲げる際に働き、日常生活だけでなく、スポーツや筋トレでもよく使われています。

具体的には、小指側で重いものを持つ際などに負荷がかかり、筋トレではカール動作などを行う際に働いています。そのため、しっかりと鍛えていけばトレーニングの質を上げていくことも可能です。ストレッチなどで日常のケアもしっかりと行い、正しい鍛え方で強化していきましょう。