橈側手根屈筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説

橈側手根屈筋は前腕にある筋肉で、手首の関節を掌屈、橈屈および前腕の回内の作用があります。この筋肉を鍛えることでスポーツ・生活面の両方にメリットがあります。ここでは橈側手根屈筋の構造や作用を解説しつつ筋トレや鍛え方のコツ、ストレッチ方法を紹介します。

監修 |パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル優勝、JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、...
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル🥇優勝、JOC日本ジュニアボディビル🥇優勝、2018全日本学生ボディビル🥈準優勝、関東学生ボディビル🥇優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙) 資格:NSCA SNS □TwitterYouTube

目次

  1. 橈側手根屈筋の構造・作用
  2. 構造
  3. 作用・役割
  4. 橈側手根屈筋の筋トレをするメリット
  5. 橈側手根屈筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ
  6. 橈側手根屈筋のトレーニング①リバースカール
  7. 橈側手根屈筋のトレーニング②コンセントレーションカール
  8. 橈側手根屈筋のトレーニング③バーベル・リストカール
  9. 橈側手根屈筋のトレーニング④ダンベル・リストカール
  10. 橈側手根屈筋のトレーニング⑤ケーブルカール
  11. 橈側手根屈筋のトレーニング⑥チューブ・カール
  12. 橈側手根屈筋のストレッチメニュー
  13. 橈側手根屈筋のストレッチ①橈側手根屈筋編
  14. 橈側手根屈筋のストレッチ①橈側手根屈筋と尺側手根屈筋編
  15. 橈側手根屈筋の筋トレ・ストレッチをマスターしよう

橈側手根屈筋の構造・作用

出典:https://ameblo.jp/zatouyuki/entry-12598279871.html

橈側手根屈筋の筋トレやストレッチメニューを紹介する前に、まずは橈側手根屈筋とはどんな筋肉でどんな役割を担っているのかを知っておきましょう。

構造

橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)は前腕筋群の一つです。前腕筋群は前腕部分にある筋肉の総称で、さまざまな筋肉が集まっています。前腕全面屈折群と前腕後面伸筋群の2群に分けられ橈側手根屈筋は、前腕前面の屈筋群(浅層)に位置します。手首の屈曲に関わる前腕屈筋群で、肘にある上腕骨内側上顆と、手にある第2・第3中手骨底を繋いでいます。

作用・役割

作用は手首の関節の屈曲に作用する前腕屈筋群と、手首の関節の伸展に作用する前腕伸筋群に分けられます。橈側手根屈筋の働きは、手首を手のひら側に曲げる手首関節の掌屈や手首を親指側に曲げる橈屈、手のひらが手前に向く方向に回す回内の作用があります。

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橈側手根屈筋の筋トレをするメリット

橈側手根屈筋は日常生活やスポーツ・筋トレでの使用頻度が高い筋肉です。使われやすい分、痛めやすい筋肉ともいえますので、日頃からのケアが大切です。強化することで痛めにくくなり、トレーニングの質も向上させることが可能です。

ただし、使い過ぎには注意が必要です。腕の使い過ぎによる筋肉や腱の痛みとして、指や手首に起こる腱鞘炎が知られていますが、橈側手根屈筋に特に関係する痛みとして、上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)があります。

上腕骨内側上顆炎は橈側手根屈筋などに負荷をかけすぎた場合に起こり、肘の内側に痛みが生じます。通称ゴルフ肘と呼ばれる症状で前腕屈筋群のストレッチやトレーニングを取り入れることが有効とされています。

橈側手根屈筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

前腕屈筋群の一つである橈側手根屈筋は、手首の関節の屈曲や外転、前腕の回内を行っています。手首を内側に曲げる、手首を巻き上げるなどの動作により働かせることができ、カール系のトレーニングなどで鍛えることが可能です。

バーベルを使った方法、ダンベルを使った方法のほか、ケーブルマシンを使った方法もあります。また、自宅でできるチューブを使った方法も紹介していますので、トレーニングしやすい方法を見つけてください。

橈側手根屈筋のトレーニング①リバースカール

リバースカールはバーベルやダンベルを使って行うトレーニングです。通常のカールとは逆に、手の甲が上になるようにして持ちます。前腕にある腕橈骨筋などが鍛えられるトレーニングです。ストレートバーまたはEZバーを使用しますが、ストレートバーを使ったほうが前腕により大きな刺激を与えられます。

▼リバースカールのやり方

①立った状態でバーをを順手で持つ
②肘の位置を固定したまま肘を曲げてバーを持ち上げる
③上げきったら同じ軌道を通してゆっくりと最初のポジションに戻る

リバースカールにおける最適な重量や回数は筋トレの目的によって変わります。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量が目安です。ちなみに筋肥大が目的なら軽い重量でも限界まで追い込むことで同等の効果が期待できます。


▼リバースカールのコツ&注意点

・肘が前に出てしまうと負荷が逃げてしまうので肘が身体より出ないようにする
・バーが重くて上げきれない時は上げられる重量に落とす

ずーみー

(泉風雅)

リバースカールに似た順手で肘を曲げる動きとして懸垂がありますが、懸垂において重要なのは肩関節伸展筋の広背筋や上腕三頭筋長頭であり、懸垂で前腕がかなり太くなるということはあまり考えられません。

(リバースカールについては以下の記事も参考にしてみてください)

リバースカールのやり方!プロ直伝の前腕・上腕筋を『極太』にするコツを解説

(動画で見たい方はこちら)

橈側手根屈筋のトレーニング②コンセントレーションカール

コンセントレーションカールは椅子などに座って片手でカールを行う種目です。上腕二頭筋の特に短頭に収縮負荷をかけたい、力こぶの立体感を出したいという人におすすめです。また上腕二頭筋のほか、腕橈骨筋などの前腕部分も鍛えることが可能です。上げきったところで手首を少し巻き込み、軽く握り込むことによってグッと収縮負荷をかけることができます。

▼コンセントレーションカールのやり方

①椅子などに座って上半身を前傾させ、ダンベルを持つ
②前傾させたままダンベルを上げる
③ダンベルを下げる

コンセントレーションカールの最適なダンベルの重量や回数は目的によって変化します。一般的に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量がおすすめです。ちなみに筋肥大が目的なら、軽重量×高回数でも限界まで行えば同等の効果が期待できます。

▼コンセントレーションカールのコツ&注意点

・反動をつけてダンベルを持ち上げるあおり上げ・チーティングを過剰に行わない
・手のひらでダンベルを持たず根元部分にダンベルをのせるようにする

ずーみー

(泉風雅)

通常のダンベルカールなどと違う点は、肩関節伸展位で行うカール動作の肘のポジションを変え、水平屈曲位でカールを行えるという点です。

上腕二頭筋短頭には水平屈曲の働きがあり、コンセントレーションカールでは上腕二頭筋短頭を最大限収縮することができます。

(コンセントレーションカールのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

コンセントレーションカールのやり方!確実に上腕二頭筋に効くコツをプロが解説

(動画で見たい方はこちら)

橈側手根屈筋のトレーニング③バーベル・リストカール

リストカールでは、主に手首を曲げる筋肉を鍛えていきます。手首を曲げる筋肉の多くは前腕の内側に付着しているため、リストカールを行うことによって前腕の内側の力強いラインを作っていくことが可能です。リストカールにはバーベルを使って両腕で行う方法と、ダンベルを使って片腕ずつ行う方法があります。ここではまずバーベルを使った方法を紹介します。

▼バーベル・リストカールのやり方

①座った状態でバーベルを持ち手首を膝の上から出す
②手首を巻き上げる
③手首を下げる

バーベル・リストカールの最適な回数は、トレーニングの目的によって変わります。筋力アップのためなら1~6回、筋持久力アップのためなら15回以上を目安とします。重量は、その回数まで行ったときに限界がくる重さにしましょう。また、筋肥大が目的である場合は、どのような重量においても限界まで行うことを第一に考えましょう。

ただし、あまりにも重い重量を扱ってしまうと手首を痛める可能性もあるので、重量設定の際には注意してくださいね。


▼バーベル・リストカールのコツ&注意点

上げる際はしっかりと上まで巻き上げ、下げる際は指先に引っかけるようなところまで下ろすことで、指を曲げるための筋肉も鍛えていくことができます。手首が痛む場合は、バーベルを後ろ手に持って行うビハインドリストカールがおすすめです。リストエクステンションなど、手首を伸ばす筋肉のトレーニングも合わせて取り入れると良いでしょう。

ずーみー

(泉風雅)

前腕部は日常生活においてよく動かすため、血流が良く、回復も早いため毎日やってもいいという説が出回っていますが、これは間違いです。筋トレして回復するためには、ほかの部位と同様48〜72時間が必要です。

(リストカールについては以下の記事も参考にしてみてください)

リストカールで前腕を強化!手首を痛めないコツ〜回数・重さ、器具のおすすめまで解説

(動画で見たい方はこちら)

橈側手根屈筋のトレーニング④ダンベル・リストカール

上記で紹介したバーベル・リストカールのダンベルを用いたバージョンです。バーベルを用いる方法と同じく、手首を曲げる動作により、前腕の内側を鍛えていくことができます。バーベルよりも軽い重量から始めることができるので、バーベルでは重くて持ち上がらない、正しいフォームで行えないといった場合は、ダンベルからチャレンジするとよいでしょう。

▼ダンベル・リストカールのやり方

①ダンベルを持ってベンチ台に腕を置く
②手首を巻き上げる
③手首を下ろす

筋力アップが目的なら1~6回、筋持久力アップが目的なら15回以上で限界になる重量を用いてください。筋肥大の場合は、重さに関わらず回数を限界まで行うことが重要でバーベルも同様です。1部位当たり、初心者の方は週1回3セット、上級者は週2回6セットがおすすめです。

▼ダンベル・リストカールのコツ&注意点

バーベルを使った方法と同様に手首を上げる際はしっかりと上まで巻き上げ、下げる際は指先に引っかけるようなところまで下ろすようにしましょう。

ずーみー

(泉風雅)

週1回よりも週2回のほうが効果はあるとされていますが、週3回以上がそれ以上の効果を生むかは不明です。多くなりすぎるとオーバーワークになってしまう可能性があります。

橈側手根屈筋のトレーニング⑤ケーブルカール

ケーブルカールはロープーリーマシンを使って上腕二頭筋のカールを行うトレーニングです。上腕二頭筋の筋肥大のため、テンションを抜かずに全可動域に負荷をかけ続けたいという人におすすめです。手首を巻き上げるようにすることにより前腕屈筋群も働きます。

ケーブルカールのバリエーションとして、チューブを使った方法、プーリーを背にして行う方法、アタッチメントをロープに変更して行う方法などがあります。チューブを使った方法は自宅でも行えますので、ぜひ試してみてください。

▼ケーブルカールのやり方

①ロープーリーマシンのアタッチメントを取り付ける
②ロープーリーマシンの正面に立ち、バーを握る
③カール動作を行う

最適な重量・回数については、トレーニングの目的によって異なるため注意が必要です。筋力アップが目的の場合には1~6回で限界が来る重量に、筋肥大が目的の場合には6~12回で限界が来る重量、筋持久力アップが目的の場合には15回以上で限界が来る重量を扱いましょう

▼ケーブルカールのコツ&注意点

・グリップを深く握り、手首をニュートラルまたは少し巻く状態にすること
・コントロールできる重量を設定すること
・肘が前にですぎないようにする

ずーみー

(泉風雅)

通常のダンベルカールでは初動と終動負荷が小さく、中間での負荷が大きくなります。ケーブルカールでは特に終動負荷が大きくなりますが、初動でも負荷はしっかりとかかっており、全可動域においてテンションを抜かずに上腕二頭筋を刺激することができます。

(ケーブルカールのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

ケーブルカールのやり方!上腕二頭筋に爆裂に効くコツ〜ロープなど種類も解説

(動画で見たい方はこちら)

橈側手根屈筋のトレーニング⑥チューブ・カール

上記で紹介したケーブルカールのチューブを使ったバリエーションです。マシンは使わずに、低い位置にチューブを固定することで自宅でもトレーニングすることができます。チューブを固定する際は、負荷がかかっても動かない安定した場所を選ぶようにしましょう。

▼チューブ・カールのやり方

①低い位置にチューブを引っかけ、両手で握る
③カール動作を行う

最適な重量・回数については、トレーニングの目的によって異なるため注意が必要です。筋力アップが目的の場合には1~6回で限界が来る重量、筋肥大が目的の場合には6~12回で限界が来る重量、筋持久力アップが目的の場合には15回以上で限界が来る重量を扱いましょう

▼チューブ・カールのコツ&注意点

チューブは伸びれば伸びるほど負荷が大きくなるため、終動域に大きな負荷をかけることが可能です。肘のポジションがぐらつかないようにカール動作を行いましょう。

ずーみー

(泉風雅)

ケーブルカールと一緒に行うべきメニューとして、上腕二頭筋のトレーニング(インクラインカールなど)、上腕三頭筋のトレーニング(ライイングトライセプスエクステンション、ケーブルプレスダウンなど)があります。

(チューブトレーニングの効果抜群メニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

チューブトレーニングの効果抜群メニュー!腹筋・背筋・肩・太もも・胸筋など部位別にコツを解説!

橈側手根屈筋のストレッチメニュー

ゴルフや野球などのスポーツをしていると、肘の内側に痛みが起こる上腕骨内側上顆炎(通称、ゴルフ肘)になってしまうことがあります。上腕骨内側上顆部につく橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・円回内筋などを酷使してしまったために起こる症状です。

スポーツ選手だけでなく、日常的に使いすぎている人にも起こりやすい症状ですが前腕屈筋群などへのストレッチが効果的とされています。ここでは、橈側手根屈筋に効くストレッチを2種類紹介します。

橈側手根屈筋のストレッチ①橈側手根屈筋編

橈側手根屈筋のストレッチ方法です。橈側手根屈筋は日常的にもよく使われる筋肉です。日頃から、しっかりとケアしておきましょう。

▼橈側手根屈筋に効くストレッチのやり方

①椅子などに座り、身体の横に手を付く(指は後ろ方向に向ける)
②上半身を後ろに倒す
③そのままの状態を10秒間保つ

ゆっくりと丁寧に、左右3セットずつ行うようにしましょう。

▼橈側手根屈筋に効くストレッチのコツ&注意点

・上半身を倒す際は手を浮かさないようにし、軽く痛みを感じるところで止めます。

福田翔馬

パーソナルトレーナー

橈側手根屈筋は筋膜を通じて上腕二頭筋や大胸筋ともつながっています。そのため、背筋を伸ばしながら行うと、より効果的にストレッチ可能です。

橈側手根屈筋のストレッチ①橈側手根屈筋と尺側手根屈筋編

前腕と手首に効果的なストレッチです。橈側手根屈筋と尺側手根屈筋はどちらも前腕屈筋群に分類されています。手首を曲げ、力を入れて抜くという動作を繰り返すことにより、しっかりと刺激することができます。

▼橈側手根屈筋と尺側手根屈筋に効くストレッチのやり方

①脇を閉じた状態で、手を握り、肘と手首を曲げる
②腕の親指側に力を入れる
③その状態を5秒間保つ
④力を一旦抜く
⑤力を入れて抜く動作を合わせて3セット行う
⑥上記の状態から脇を開く
⑦腕の小指側に力を入れる
⑧その状態を5秒間保つ
⑨力を一旦抜く
⑩力を入れて抜く動作を合わせて3セット行う

力を抜く、力を入れる、各ストレッチ動作は合わせて3セット行うようにしましょう。

▼橈側手根屈筋と尺側手根屈筋に効くストレッチのコツ&注意点

親指側に力を入れるときは肘は曲げすぎないようにし、手首は下向きにしっかりと曲げます。小指側に力を入れるときは、肩を上げないようにします。

福田翔馬

パーソナルトレーナー

こちらのストレッチはコントラクトリラックスというストレッチで、最大収縮した後の筋肉の弛緩を利用するストレッチです。力を入れた後、しっかりリラックスしましょう。

橈側手根屈筋の筋トレ・ストレッチをマスターしよう

橈側手根屈筋は、手のひらの向きに手首を曲げる、手首を親指の方向に曲げる、上向きの手のひらを下向きに回すなどの働きをする筋肉です。スポーツやトレーニングのほか、日常生活でもよく使われます。よく使われる分、痛めやすい筋肉でもあります。痛めると生活に支障が出てしまいますので、普段からしっかりとケアしておきましょう。