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有酸素運動と無酸素運動の違いを理解している?
有酸素運動と無酸素運動の違いを理解すると、ただ漠然と運動をするよりも自分の求める結果が得やすくなります。なぜなら同じ運動をするにしてもダイエットや筋肉UP、体力UPで必要なアプローチが違うからです。この記事を読めば、有酸素運動と無酸素運動どっちが痩せるか、なんて悩むことはありませんよ。
まずは、記事では今更聞けない有酸素運動と無酸素運動の違いを説明することで、ダイエット・筋力UP・体力UPの3つの目標に効果的なアプローチを学びましょう。そして有酸素運動と無酸素運動それぞれの運動を行う上で知っておきたいポイントについてもお話します。
まずは、有酸素運動についてみてみましょう。
有酸素運動とは?効果は?
簡単にいうと有酸素運動とは、体内に取り入れた酸素活用して長時間運動を継続するものをいいます。しかし燃料になる脂肪は、燃焼してエネルギーを生み出すタイプのものですので、時間がかかり一気に巨大なパワーを必要とする運動には向きません。正しい有酸素運動について学び、目標に応じた効果的なトレーニングをしていきましょう。
それでは有酸素運動について、運動の種類・必要なエネルギー・得られる効果の3つをフォーカスしていきますよ。まずは、どんな種類の運動が有酸素運動と呼ばれるのでしょうか?
有酸素運動どんなことをするの?
有酸素運動とは、長時間継続して運動するタイプのものになります。おもにジョギング・水泳・ダンスなどです。息があがらずゼイゼイ言わない程度(最大心拍数×40~60%以下)の負荷だと考えるといいでしょう。
(自宅でできる有酸素運動については以下の記事も参考にしてみてください)
【自宅で出来る有酸素運動】短期間でお腹・脚痩せ効果が見た目に出る11メニューを大公開
出典:Slope[スロープ]
有酸素運動で必要なエネルギーってなに?
私たちはアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーを消費して体を動かしています。動き始めのときは体内に蓄えているアデノシン三リン酸(ATP)を消費し使い切ったときに筋肉の中にあるグリコーゲン、血液や肝臓に蓄えられているブドウ糖を使ってアデノシン三リン酸(ATP)を作ります。この状態のときにはまだ、酸素を消費していません。
やがてそれでも足りなくなってしまうと体内にある脂肪を酸素と一緒に燃焼することでアデノシン三リン酸(ATP)を作り出します。ここでようやく酸素を消費しているので、有酸素運動といえるのです。
ですから、運動強度や時間が足りていないと有酸素運動にはなっていないということになります。
有酸素運動で得られる効果ってどんなこと?
肥満や生活習慣病などの予防や改善、気分の向上がみられます。それは有酸素運動をすることによって体内にある脂肪が燃焼されるからです。また、体を一定時間動かすことによって感じる高揚感が、気持ちを明るく保つ効果があります。
出典:成人病に対する有酸素運動の効果
無酸素運動とは?効果は?
有酸素運動と無酸素運動の違いを知り、有効な効果を得るためには、無酸素運動についてもくわしく知る必要があります。無酸素運動のイメージは筋トレで体を鍛えるといった感じでしょうか?しかし筋トレだけが無酸素運動というわけではありません。
簡単にいうと無酸素運動とは、体内にあるエネルギーを活用することで瞬発的に短時間で運動をすることをいいます。体内のエネルギーがなくなると筋肉や血液、肝臓などからエネルギーの元を調達しますが、長くは持ちません。正しい無酸素運動について学び、目標に応じた効果的なトレーニングをしていきましょう。
それでは無酸素運動について、運動の種類・必要なエネルギー・得られる効果・の3つをフォーカスしていきましょう。
無酸素運動ってどんなことをするの?
無酸素運動とは、短時間でたくさんのパワーを使用するタイプのものになります。おもに砲丸投げ・筋トレ・短距離走などです。激しい無酸素運動の継続時間は1~3分程度しか持ちません。
無酸素運動で必要なエネルギーってなに?
無酸素運動でもアデノシン三リン酸(ATP)をエネルギーとして使用します。しかし、エネルギーを作り出す工程が違うのです。ATPの元はグリコーゲンやドウ糖です。グリコーゲンは筋肉、ブドウ糖は血液や肝臓に蓄えられています。有酸素運動に必要な酸素を取り込み脂肪を燃焼する過程より工程が少ないため、素早くエネルギーを供給することが利点です。
しかし、グリコーゲンやブドウ糖には蓄えられる量が少なくすぐに使い切ってしまいます。さらに無酸素運動は体力の消耗も激しいためすぐに疲れてしまい長続きしません。裏を返せば長時間、無酸素運動が息も上がらず継続出来ている場合は、酸素を燃焼する有酸素運動に切り替わっていて無酸素運動が上手に出来ていないということになります。
無酸素運動で得られる効果ってどんなこと?
おもに無酸素運動は筋肥大に効果を発揮します。ほとんどの場合、無酸素運動は筋繊維のなかでも速筋を使うからです。速筋は短期間でスピードを出したり、瞬間的にすごいパワーを発揮したりすることが得意な筋肉です。しかし速筋は年齢とともに衰えてしまう筋肉でもあります。
そこで無酸素運動を取り入れることで、転倒の予防、健康や体力の維持に効果的だと言えるのです。
有酸素運動と無酸素運動の違い
有酸素運動と無酸素運動がどんな運動なのか理解されたでしょうか?この2つの運動について今までお話した内容をコンパクトにわかりやすくしてみました。
有酸素運動
エネルギー源:脂肪酸+酸素
運動負荷:軽度~中度(最大心拍数×40~60%以下)
時間:長時間
効果:脂肪燃焼・生活習慣病の予防や改善・心肺機能向上・気分の向上など
※一般的な成人の最大心拍数は「220-年齢数」で求めることが出来ます。
無酸素運動
エネルギー源:グリコーゲンやドウ糖
運動負荷:中度~高度(最大心拍数×40~60%以上)
時間:短時間
効果:筋肥大・体力UP・怪我の予防など
※一般的な成人の最大心拍数は「220-年齢数」で求めることが出来ます。
どちらも体を鍛えるために欠かせないトレーニングであることは間違いありません。あとは目的に応じた組み合わせを実行するだけです。それでは目的ごとにどのように組み合わせるといいのかダイエット・筋力UP・体力UPの3つでみてみましょう。
有酸素運動と無酸素運動を組み合わせる際の順番・時間配分
ダイエット・筋力UP・体力UPの3つを運動強度が軽い順からならべると、体力UP<筋力UP<ダイエットの順に並びます。
なぜなら体力UPは適切な運動量をこなすと獲得しやすいものです。筋力UPは筋肉が必要な栄養素を摂取しながら、自分が欲しい筋肉に適切なアプローチが必要になります。最後にダイエットは、筋肉UPをはかり代謝を上げながら脂肪燃焼するためにカロリーとカロリー消費のバランスを考えなければならないからです。
トレーニングメニューは、厚生労働省HPを参考に作成しています。メニューを確実にこなすことを目標にするのではなく、自分のペースで行ってください。持病がある方は必ず医師や専門家に相談し、自分に合ったプログラムを作成してもらうこともひとつの手であることを忘れないでくてくださいね。
メタボリックシンドロームを呈する勤労男性の減量と聴取による身体活動量の関係性について
出典: メタボリックシンドロームを呈する勤労男性の減量と聴取による身体活動量の関係性について
出典:The association of resistance training with mortality: A systematic review and meta-analysis – PubMed
出典:Comparative effectiveness of aerobic, resistance, and combined training on cardiovascular disease risk factors: A randomized controlled trial
ダイエット目的
ダイエット効果を上げるためにはまずは、基礎代謝をあげることがいいでしょう。しかし、普段の運動量が極端に少ない人は、運動を継続的に維持する方向を目指しましょう。
慣れてきたら1日30~60分をほぼ毎日行います。運動強度は少しきついなと思う程度までがちょうどいいですよ。さらに運動に慣れてきたら、週合計150~300分で週5日未満でも無理なくこなせるようになります。
具体的にはストレッチで体をほぐしてから軽いウォーミングアップとして無酸素運動を行います。運動強度は軽めで体が少し温まる程度が良いでしょう。その後有酸素運動を行います。散歩や自転車、水中ウォーキングなどのいずれか、30分がおすすめです。運動後はストレッチしてから終了とします。
出典:時間栄養学と時間運動学の視点による肥満・糖尿病予防法の開発
筋力UP目的
筋力UPのためには無酸素運動が不可欠です。ストレッチをしたあと、軽く10程度、有酸素運動して体を温めてから、中度~高度(最大心拍数×40~60%以上)の負荷をかけてトレーニングを行います。8~12回を1セットとし、ゼイゼイと息切れするくらいがベストです。適宜休憩を取りましょう。
翌日は、トレーニングした部位を休めます。どうしても鍛えたい、物足りないと感じるのであれば別の部位をトレーニングしましょう。例えば上半身をトレーニングしたら次の日は下半身orウォーキングなどがおすすめです。
筋力トレーニングの基礎知識―筋力に影響する要因と筋 力増加のメカニズム―
出典:京都大学医療技術短期大学部紀要. 別冊, 健康人間学 (1997), 9: 33-39
体力UP目的
まずは1回の有酸素運動を30分行います。出来ない場合、1日の合計運動時間が30分になるようにしましょう。運動を始めてから1ヶ月くらいから運動強度はそのままで、少しずつ時間を伸ばしていきます。まずは下記の表の中からどれか一つをチャレンジするくらいが、ちょうど良いですよ。
無酸素運動は有酸素運動とは別の日に行います。8~12回でゼイセイ呼吸が乱れる運動強度が妥当です。それ以上は怪我の元になりますよ。筋トレは同じ部位ばかり行うのではなく、まんべんなくすると全体的にバランスよく筋肉が付きます。
理想をいうと運動する前に下記の表を一通りストレッチをすると怪我などのトラブルを回避し疲労回復効果が期待できますよ。では、有酸素運動や無酸素運動、ストレッチを一覧にしてありますので、試してみてくださいね。
n n 2-1_成人を対象にした運動プログラム☆調整済.inddn n
出典:n n 2-1_成人を対象にした運動プログラム☆調整済.inddn n
出典:運動療法の要点
有酸素運動と無酸素運動のどちらにもプロテインは必要?
プロテインの種類にはホエイとカゼイン2つあります。ホエイプロテインは消化吸収が早いという特徴です。そして筋肉の分解を防ぐ効果があるため、トレーニング直後に摂取するのがおすすめです。もうひとつはカゼインプロテイン。ホエイプロテインより吸収がゆっくりなので、就寝前やおやつとして摂取するのがおすすめです。
市販されているプロテインはどちらか片方のみ配合しているものではありません。使用する状況に合わせて最適な量を配合をしています。そのプロテインがどんな状況で摂取するタイプのものなのかしっかり確認してくださいね。
それでは、どのタイミングでプロテインを摂取したらいいのか見てみましょう。
スポーツ医学から考える筋トレの意義: 14班 (医学セミナ ーの試み 2014)
出典:福島県立医科大学 学術機関リポジトリ
筋萎縮に対する運動・栄養介入:基礎研究の最新エビデンスと現場での応用
出典:筋萎縮に対する運動・栄養介入:基礎研究の最新エビデンスと現場での応用
有酸素運動をするにはプロテインは必要?いつ飲むの?
朝、寝る前など不足しているたんぱく質を補うかたちでカゼインプロテインを摂取するといいでしょう。ダイエットや体力向上を目的とした有酸素運動ではプロテインは必要ない思いますか?もちろんしっかりタンパク質が摂取出来ている場合、必要量以上摂取する必要はありません。
しかし、とくにダイエット中の方はカロリーを気にするあまり必要なタンパク質までカットしてしまう傾向がみられます。18歳以上の男性の1日に必要なタンパク質の量は60g必要です。まとめてどこかでとればいいというものではなく、朝、昼、夕と3食均等に摂る必要があります。その方が効果的なダイエットにもなるのです。
無酸素運動をするにはプロテインは必要?いつ飲むの?
筋肉を追い込むメニューの多い無酸素運動は筋肉の損傷を和らげケアするかたちで、プロテインを摂取します。とくにトレーニング直後にホエイプロテイン配合率の高いものにするのがおすすめです。食事量との相談にはなりますが、不足がちなタンパク質を補うのも大切ですよ。
それでは、有酸素運動と無酸素運動を行う際のポイントを目的別に見ていきましょう。まずは有酸素運動のポイントからです。
有酸素運動を行う際のポイント
有酸素運動の効果を効率よく得るためにはどうしたらいいのでしょうか?それはやはり、運動負荷をかけすぎないことと、30~60分のトレーニングをこなすことにあります。
もちろん個人差があるので確実にどの程度こなせばいいというものではありません。しかし、有酸素運動で重要なのはしっかり体に酸素を取り込むこと。取り込むことが出来なければ脂肪は燃焼することは出来ません。
ダイエット目的
運動前に糖分の入った飲み物や食事をしないようにしましょう。なぜなら運動し始めは、体内にある糖分を使うからです。脂肪燃焼までに時間がかかり効率が悪くなってしまいます。同じカロリーを消費するなら、脂肪を燃焼したいですよね。水分摂取をするのは、大事なことですのでカロリーに気をつけましょう。
運動強度の違いによる運動中、直後の脂質燃焼及び血液生化学の変化
出典:運動強度の違いによる運動中、直後の脂質燃焼及び血液生化学の変化
筋力UP目的
筋力UPを目指すのであれば水分補給時はカロリー消費の手助けが出来る糖質が入っているスポーツドリンクなどもいいでしょう。筋トレなどで上半身を鍛えた翌日など、休養日などが向いています。体に溜まった乳酸などの疲労物質を排出する目的でするのです。そのためガッツリ走り込むというよりは、少し心拍数上がっている程度にしてくださいね。
「55 歳からの健康運動 SUP 講座」 が身体機能に及ぼす影響: 下肢筋力とバランス能力について
出典:「55 歳からの健康運動 SUP 講座」 が身体機能に及ぼす影響: 下肢筋力とバランス能力について
体力UP目的
体力UPは何よりも継続することが大切です。運動習慣がなければ定期的に体を動かす時間を作ることから始めましょう。まずはウォーキングやランニングなど自分のペースで始められるものがいいですよ。ポイントは継続するためには無理をしすぎないこと。体を動かす感覚を体に覚え込ませる意識が重要です。慣れてきたら徐々に負荷を上げていきましょう。
無酸素運動を行う際のポイント
無酸素運動を行う際のポイントは、ダラダラと長く続けられる運動強度にしないということです。軽い運動強度だと有酸素運動に切り替わってしまいます。ウォーミングアップ目的以外では、しっかり運動強度を上げてトレーニングすると良いでしょう。
ダイエット目的
実際に運動しているだけがダイエット効果となるわけではありません。基礎代謝を上げることも重要なポイントとなります。基礎代謝とは心臓を動かしたり、息を吸ったりする生きていたら誰でもしていることです。ここには運動動作はまったく関係がなく、基礎代謝が高いとその分必要な消費カロリーが多くなり痩せやすい体だといえます。
ですから、ダイエット効果を上げるなら基礎代謝を上げるために筋肉アップを図ることが重要なポイントとなります。そして消費カロリー>摂取カロリーになるように適切な食事量を維持するように心がけましょう。
筋力UP目的
筋肉アップのためといっても無理に追い込むことはおすすめしません。怪我の原因になってしまうからです。必ず8~12回でゼイゼイいうくらいの強度が効果的です。そして、しっかり鍛えた次の日はその筋肉はしっかり休ませましょう。
体力UP目的
体幹を鍛えるトレーニングや肩こりなどのコリを解す筋トレなどはいかがでしょうか?体がほぐれたり、体幹がしっかりしてくるとより、体を動かしやすくなります。体の不快な部分が軽減すると気分も上がりますよ。
有酸素運動と無酸素運動の違いを理解しておこう
なぜトレーニングをするかは人それぞれです。そして、その人ひとりひとりの目標にあったメニューが存在します。目的に合わせて有酸素運動と無酸素運動を順番を間違えずに一日おきに交互で行えばいいでしょう。そのときは運動負荷を狙う効果に合わせることを忘れずにしてくださいね。