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BCAAは効果なしって本当?論文を元にエビデンスを解説!副作用についても

2021年02月07日

メンタリストのDaiGoが、BCAAは効果なしという発言をしました。DaiGoは論文を元にして、エビデンスがあった上で言っているのか気になるところです。そこでBCAAは本当に効果なしなのか、論文を元にエビデンスや副作用について解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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BCAAが効果なしと論文で証明されたって本当?

メンタリストのDaiGoが、動画で腹筋を割るにはどうすればいいか、という話をしていたのですが、そこで、「BCAAは腹筋を割るには効果なし、それどころか若干太る副作用がある」と発言しました。DaiGoといえば、論文を元にエビデンスのある発言をする人ですので、彼の発言は気になるところです。

BCAAは筋肥大に対する効果なしという論文は確かに存在します。その論文の内容を解説していきましょう。

BCAAが効果なし証明している論文の内容

複数の過去論文を元に書かれた、BCAAが効果なしと論じているレビュー論文を解説していきます。

論文による筋肥大に必要な栄養素は

筋肥大、つまり筋肉タンパク質の合成に必要な栄養素であるアミノ酸は、全部で20種類あります。20のうち9つは必須アミノ酸(EAA)です。これらは体内で生成することはできないため、バランスの取れた食事で摂取しなければいけません。

新しい筋肉タンパク質を合成するには、すべてのEAAと、体内で生成できる11の非必須アミノ酸(NEAA)が適切な量で存在している必要があります。

BCAAに含まれる分枝鎖アミノ酸のロイシン、イソロイシン、バリンは、9つのEAAのうちの3つです。

論文による筋肥大が起こる状態とは

筋肥大が起きるには、筋肉タンパク質の合成速度が筋肉タンパク質の分解速度を超える状況にならなければいけません。この状況を同化状態といいますが、同化状態は筋肉タンパク質合成の刺激によって引き起こされます。刺激とは、食事やトレーニングです。

(筋肥大目的のトレーニングについては下記の記事も参考にしてみてください)

食事でも筋肥大は起こるのに効果なし?

食事によりEAAを摂取すると、EAAが豊富に利用できるので、筋肉タンパク質合成の速度が分解速度を上回り、それによって同化状態が生じます。ということは、BCAAを飲んでEAAを補充すれば、筋肥大に効果がありそうです。しかし効果なしとはどういうことなのでしょうか?さらに論文を見ていきましょう。

筋肥大には全てのアミノ酸がなければ効果なし

BCAAのみ(すなわち、他のEAAなし)の消費は、血液に放出されるか、または、タンパク質分解からタンパク質合成に戻るEAAのリサイクルの効率を高め、筋肉タンパク質合成を高めることができるだけです。つまり分解された筋肉はある程度再合成されますが、筋肉量は増えません。

筋肉タンパク質を生成するためには9つのEAAすべてが必要です。これは、EAAを体内で生成できないためです。BCAAの消費の場合のように、3つのEAAのみが消費される場合、残りのEAAの不足によって筋肉タンパク質が分解されます。BCAAのみを摂取することで同化状態を作り出すことは理論的に不可能です。

つまり、3つのEAAでは筋肥大に効果なしということですね。他のサプリや食事で他の6つのEAAを補う必要があります。

(トレーニングと食事については以下の記事も参考にしてみてください)

論文の実験では効果なし

前腕バランス法を使用して、10人の吸収後の被験者におけるBCAAの3時間の静脈内注入に対する反応を定量化した実験では、他のEAAの濃度が減少する一方で、BCAAの血中濃度を4倍増加させ、筋肉タンパク質の合成と分解が同じ量減少していきました。また、BCAAの注入を16時間に延長しても同様の結果でした。

BCAAの効果を証明している論文も存在する?

先の論文では、BCAAを摂取しても、筋肥大への効果なしという内容でした。BCAAを単体で飲んでも筋肥大への効果は薄そうです。しかし、BCAAの効果を証明している論文もありますので紹介します。

トレーニングによる筋肉損傷を軽減するという論文

この論文ではBCAAを摂取するグループと、摂取しないグループに分け、筋肉が損傷するような様々な運動をさせた後、すぐにBCAA(または何もはいっていない液体)をすぐに摂取させたところ、BCAAを摂取したグループの方が、摂取しないグループより筋肉が早く回復することが分かりました。

血中クレアチンキナーゼ濃度が低下

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/

上の図は、論文に提示された、筋肉が損傷した時の血液中のクレアチンキナーゼの濃度です。クレアチンキナーゼとは、筋肉にエネルギーを貯めるときに働く酵素で、それらの筋肉が傷害されたときに、血液中で高値になります。

Placeboは、条件を同じにするために、BCAAが含まれない効果のない液体を飲んだグループのグラフです。BCAAを飲んだグループの方がクレアチンキナーゼの血中濃度が下がっているのがわかります。

筋肉痛が早く治まる

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/

次に、筋肉痛の強さが時間経過でどう変化したのかのグラフです。BCAAグループの方が、早く筋肉痛が治まっているのが分かります。

力を回復する

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/

最大随意収縮も回復しました。随意収縮とは、腕などに力を入れた時に起こる筋肉の収縮のことです。これを計測することで力の回復を測定したところ、BCAAグループの方が明らかに回復しています。

(回復については下記の記事も参考にしてみてください)

BCAAは「効果なし」「効果あり」どっち?

BCAAに関する論文はまだ少ないのが現状で、多くの研究機関で、さらなる研究が必要であると結論しています。ですから完全なエビデンスがないので、今のところ明確に効果ありとは言い切れませんが、多くの効果ありとの論文がある以上、効果なしとは言い切れないのも事実です。

太るという効果なし

DaiGoは、BCAAを飲むと副作用で若干太るとも発言していました。副作用についてですが、BCAAで太るという研究結果は見当たりませんでした。

BCAAのせいで太るということはなさそうです。BCAAにも1gあたり4kcalのカロリーがありますが、さほど影響はありません。BCAAを飲んでいて太ったという人は、BCAA以外で大きなカロリーをとっていないか確認しましょう。

副作用には注意

ただし、太りはしませんが副作用はあります。それは浸透性の下痢です。BCAAは吸収が早いので、一気に吸収されると腸内に水分が放出され、それが原因で下痢になってしまいます。BCAAを飲むときは、一気に飲んだり、大量に飲んだりしないようにしましょう。

(ダイエットについては下記の記事も参考にしてみてください)

その他、BCAAに関する記事もチェック

ここまで解説してきましたが、BCAAに効果なしとは一概に言えないのが現状のようです。気になった方は、Slopeのほかの記事も参考にしてみてください。多くのBCAAに関する記事があります。ここで紹介した以外の論文の解説や、BCAAの効果的な飲み方など、読み応えがある記事が多数です。

BCAAは疲労回復・筋肉痛に効果がある!

BCAAが疲労回復や筋肉痛に効果がある理由を、論文を引用しながら解説している記事です。筋肉痛を緩和するための飲み方や、実際に効果を感じた人の体験談も載せています。

(BCAAの効果については下記の記事も参考にしてみてください)

BCAAを飲むタイミングはいつ?

BCAAを飲むタイミングを理解しておくと、より効率よく筋肉を増やし、代謝を促進することができます。また筋トレに欠かせない、プロテインとの併用についても解説しています。

(BCAAを飲むタイミングついては下記の記事も参考にしてみてください)

BCAAは過剰摂取で副作用もある?

疲労回復や筋肥大に効果があるとされるBCAAですが、過剰摂取した場合、効果が半減するどころか副作用が出てくるという情報もあります。副作用にはどのような種類があるのか、また適切な摂取量はいくらなのかについて解説しています。

(BCAAの副作用については下記の記事も参考にしてみてください)

BCAAは作り置きできる?

筋トレする度にBCAAを作るのはなかなか大変な作業です。そこであらかじめ作り置きしておけば、好きなタイミングで飲むことができて便利になるでしょう。BCAAは作り置きが可能なので、使う分だけ用意しておくと筋トレ効率が上がっておすすめです。

(BCAAの作り置きについては下記の記事も参考にしてみてください)

BCAAが効果なしとは一概には言えないのが現状

BCAAが効果なしというのは本当かについて解説しました。たしかに、BCAA単体での効果には疑問があります。人に対する実験及びエビデンスがまだまだ不足しているからです。しかし、人に対する実験で、筋肥大については否定的な論文がある一方、筋肉の修復には効果ありとの論文もあり、効果なしとは一概に言えないのが現状です。