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2016年12月、当時35歳だったボディビルダー「ゲント・ウェイクフィールド」が、インスリン注射を使用し死亡したというニュースが世間をざわつかせました。インスリン注射は、もともと糖尿病患者が血糖値を下げるために用いるものです。しかし、彼は、筋肉の増強のためにステロイドの他にインスリン注射を打っていました。
インスリンが原因という確かな証拠は、いまだ謎に包まれてはいるものの、体内のインスリンが正常値なのにインスリン注射を打ってしまうと、血糖値が危険値まで下がってしまうことがあります。インスリン注射により、体内のインスリンが過剰になると、低血糖症になり、脳卒中や脳損傷、昏睡状態になり、最悪の場合死に至ります。
糖尿病でない人が使うと危険なものですが、原因が不明で突然発症してしまう1型糖尿病患者にはなくてはならない存在です。
(ストイック過ぎて死亡したボディビルダーについては以下の記事も参考にしてみてください)
ストイック過ぎて死亡したボディビルダー達|ステロイド・栄養失調などの原因も解説
出典:Slope[スロープ]
糖尿病の予防に筋トレが役立つとの情報も
筋トレが糖尿病の予防に役立つとの情報も噂されています。実際はどうなのでしょうか?論文などの文献をもとに解説します。
有酸素運動と筋トレを組み合わせるといい
以下の文献によると、糖尿病になると筋肉減少が起こってしまうため、有酸素運動と筋トレを組み合わせることで糖尿病の改善や予防に効果があると言われています。筋肉にはブドウ糖を取り込む性質があるので、筋肉量を維持することで糖質を上手くコントロールできるのです。
年齢によっても筋肉量は低下していくので、血糖値のコントロールや糖尿病の合併症の予防のために筋トレは役立つといえます。また、糖尿病だけでなく高血圧・脂質異常症の改善や、心肺機能の向上、精神面へのアプローチも期待できるのです。予防したい人や糖尿病の人にもおすすめの筋トレは、スクワット・腹筋・腕立て伏せなどになります。
出典:市民公開講座 糖尿病運動療法 リハビリテーション室 理学療法士 川村 直弘
男性の2型糖尿病のリスクを減らすという結果も
以下のアメリカ国立衛生研究所の「男性におけるウエイトトレーニングと2型糖尿病のリスクに関する前向き研究」の結果では、「有酸素運動とウエイトトレーニングを組み合わせて週に150分間行うと、2型糖尿病のリスクが大幅に低下する」という報告もあります。
1990年~2008年の18年間の間に508,332人を対象に行った結果で、34~52%の確率で2型糖尿病のリスク低下と関連があったとのことです。ウエイトトレーニングだけでもリスク低減に繋がっているとのこと。有酸素運動は主に、活発なウォーキング・ランニング・ジョギング・水泳・自転車・テニス・スカッシュなどです。
結論ウエイトトレーニングは、有酸素運動とは関係なく、2型糖尿病のリスクが大幅に低下することに関連していました。ウエイトトレーニングと有酸素運動を組み合わせることで、より大きなメリットが得られました。有酸素運動とウェイトトレーニングを週に少なくとも150分間行った男性は、2型糖尿病のリスクが最も低下しました
ただし、この記事の【ボディビルダーが糖尿病になりやすい原因】で紹介しているように、やり過ぎるとかえって逆効果になってしまうので、節度のあるトレーニングが大切です。ウエイトトレーニングでも強度の高いものをひたすら続けてしまうと糖尿病のリスクが上昇してしまうので、適度に有酸素運動も取り入れて無理のない範囲で行うようにしましょう。
(筋トレの正しい運動方法については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレで血糖値を下げて糖尿病を対策!効果の理由〜正しい運動方法まで解説!
出典:Slope[スロープ]
糖尿病により危険な状態に陥ったボディビルダー
ここからは、糖尿病により危険な状態に陥ったボディビルダーを紹介します。糖尿病を患いながらもボディビルダーとして素晴らしいボディを維持し続けています。