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懸垂の効果的な回数は?目的・レベル別に最適なセット&頻度を解説!

2020年08月05日

背中を広い範囲で鍛えられる懸垂ですが、初心者は回数をこなすのが難しく、毎日だと疲労も溜まりやすいトレーニングでもあります。オーバーワークにならない、目的・レベル別で効果的な懸垂の回数、バリエーション、正しいフォームを紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー 大戸崇道

【所属】two.seven Body/EFFORT
【経歴】2ndpass札幌校卒業
【資格】NSCA-CPT/救急救命士/応急手当普及員/全日本スキー連盟公認スキーバッジテスト1級
【SNS】インスタグラム

懸垂の効果的な回数ってどれくらい?平均回数は?

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懸垂は背中など上半身を幅広く鍛えることが出来るため、筋肉を大きくすることにもダイエットをするのにも向いています。では、懸垂の平均的な回数はどのくらいなのでしょうか?懸垂の年齢別の平均回数は以下のようになっています。

年齢 平均回数
13~18歳  3~8回
一般成人  8回以上
筋力のある成人 13~17回

一般の成人男性であれば、8回以上が平均です。トレーニングなどの習慣があれば、13回〜17回まで伸びてきます。次は体重別で懸垂の平均回数を見ていきましょう。

体重 筋トレ歴0 筋トレ歴1ヶ月 筋トレ歴半年 筋トレ歴2年 筋トレ歴ベテラン
50~55kg 1回 6回 15回 27回 40回
56~60kg 1回 6回 15回 26回 38回
61~65kg 1回 7回 15回 26回 37回
66~70kg 1回 7回 15回 25回 36回
71~75kg 1回 7回 14回 24回 35回
76~80kg 1回 7回 14回 24回 33回
81~85kg 1回 6回 14回 23回 32回
86~90kg 1回 6回 13回 22回 31回
91~95kg 1回 6回 13回 21回 30回
96~100kg 1回 6回 12回 20回 29回

筋トレ経験がほとんどないような初心者では、体重に関わらず1回です。筋トレ歴1カ月以上から平均回数が増え、トレーニング歴を積むと29回〜40回くらいまでの回数ができるようになります。

トレーニング歴が長くなると、体重が軽い方が多く懸垂が出来る傾向にあります。これは懸垂が自分の体重を持ち上げる形の筋トレであるからです。標準体型であれば、初心者は広背筋を鍛えるメニューや、正しいフォームでのトレーニングを行い、筋力アップ→回数アップを狙っていきましょう。

(懸垂の平均回数ついて以下の記事も参考にしてみてください)

【筋肥大目的】懸垂の効果的な回数・セット数〜頻度

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筋肥大目的で懸垂を行う場合は、筋肉をつけるための回数、セット数の目安は科学的に設定してみましょう。トレーニングボリューム論で、週6〜10セットが筋肉をつける最低ライン、週10〜20セットが最大限筋力をアップさせるトレーニング量としています。

さらに、エフェクティブレップ理論では各セット限界までのラスト5回が一番大切です。正しいフォームで行える限界までを目標として、筋肉を最大まで追い込み、休息の日を挟みましょう。

筋肉を大きくしたい場合、懸垂だけではトレーニング量が足りなくなってしまいます。懸垂の回数は休息を取り入れながら無理のない範囲に抑えて、広背筋や僧帽筋のメニューを別に取り入れながら行うのがおすすめです。

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大戸崇道

筋トレ経験がない初心者では、0回という人も珍しくはありません。そういう場合は、チューブやお友達に懸垂のアシストをしてもらい、背中を使う感覚を掴むのも大事になってきます。 それでも難しい場合は、他の背中を鍛える種目(例:ラットプルダウン等)に変更し、背中を使う練習をするのもアプローチの1つになります。

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大戸崇道

筋肥大目的で懸垂を行う場合のポイントは「ゆっくり降ろす」ことを意識することです。筋肉は縮む時とり伸びる時に負荷がかかった方が、筋肥大しやすいと言われています。なので、懸垂に関わらず、ゆっくり降ろすことを意識して筋トレすることが筋肥大においてはポイントになってきます。


(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)

【ダイエット目的】懸垂の効果的な回数・セット数〜頻度

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懸垂は、筋肉を大きくするだけでなく、ダイエット効果もあります。懸垂は脂肪燃焼効果があり、逆三角形の上半身でウエストが細く見えるようになります。ダイエット目的で懸垂を行う場合特に初心者は、余力を残しながら毎日少しずつ休息をはさんで懸垂を行うのが良いでしょう。

初心者はまずは5回✕2セットを目指しましょう。最終的に10回✕4セットまでが目標です。無理はせず、疲れて出来ない場合は休息も入れながら回数とセット数を増やしていきます。

ダイエット目的の初心者で、懸垂をあまり回数をこなせない場合は、ノーマルな懸垂10回+斜め懸垂など負荷の軽い懸垂を組み合わせるのもおすすめです。懸垂はフォームが崩れてしまうと、ダイエットの効果も得にくいので、正しいフォームで行える難易度で行いましょう。

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懸垂はダイエット効果も勿論のこと、上手く背中を鍛えることができれば、姿勢改善にも繋がります。例えば、猫背に悩んでる人に対しては、背中の筋肉を鍛えることにより、背筋が伸びて姿勢が良くなる方向に筋肉が働きます。ダイエットもでき、姿勢改善もでき、一石二鳥のトレーニングです。

年齢や性別で回復度合いが変わる?

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懸垂などトレーニングを行った後、筋肉の疲労が回復するまでの時間は個人差があります。傾向としては、女性よりは男性の方が回復が早く、年をとるごとに回復までの時間は長くなってきます。

一般の成人男性の場合で、広背筋など大きな筋肉で48~72時間、上腕二頭筋など小さな筋肉でも24~48時間小さな筋肉で目安です。女性や40代以上では更に時間がかかります。筋肉を適切に休めながらトレーニングを行いましょう。

筋肉が回復するペースよりも早く筋トレをやりすぎると、オーバーワークというパフォーマンス低下の状態になり、逆効果になってしまいます。きちんと筋肉を追い込み、しっかり休息をとることで、「超回復」という筋力アップ効果を得られるようになります。

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大戸崇道

超回復にはタンパク質もとても重要になってきます。トレーニング直後のタンパク質の摂取は勿論のこと、トレーニングをしない休息日でもタンパク質を積極的に摂取しましょう。そうすることにより、超回復の効果がより一層得られるようになります。

(懸垂の効果的な回数ついて以下の記事も参考にしてみてください)

懸垂は正しいフォームの習得が必須

懸垂は広背筋など背中の筋肉を鍛えることが出来ますが、正しいフォームで行わなければ、思ったような効果は得にくいトレーニングです。特に、回数だけを目標にしてフォームが崩れてしまえば、効果は半減してしまうので注意しましょう。

こちらでは懸垂のフォームを紹介します。種類ごとに初心者向けから熟練者向け、どの筋肉に特に効果があるのか特徴があるので、自分に合ったフォームで、効果的な懸垂を目指しましょう。

①チンアップ

チンアップは、懸垂の基礎として、毎日行いたい人や初心者にもおすすめのやり方です。逆手で、鉄棒をあごの高さより上まで上げます。

▼チンアップのやり方

①手の平を内側に向けて鉄棒を掴む
②腕を曲げず、鉄棒に真っ直ぐぶら下がる
③息を吐きながら体を持ち上げる
④あごが棒より上にくるように意識する
⑤息を吐きながら体を真下に下げる
⑥③~⑤を繰り返す

▼チンアップのコツ&注意点

・背中、腕の筋肉を意識する
・肩甲骨を引き締めるようなイメージ
・勢いで上げようとしない
・じっくり時間をかけて体をおろす

反動で体を持ち上げたり、ただ力を抜いて体をおろすと、フォームが崩れやすくなってしまいます。広背筋など背中の筋肉を意識しながら、ゆっくり行いましょう。

(チンアップの効果ややり方について以下の記事も参考にしてみてください)

②プルアップ

プルアップの懸垂では順手で、肩幅よりも広めに鉄棒を握って行います。チンアップに比べて難易度がやや上がりますが、その分より効果的です。チンアップが出来るようになってから、ステップアップするのをおすすめします。

▼プルアップのやり方

①手の甲を自分の方へ向けて鉄棒を握る
②肩幅より広めの位置で棒を掴む
③肘が真っ直ぐになりすぎないよう注意
④上下に体を持ち上げ、下ろす
⑤④を繰り返す

体を下ろすときに息を吸い、持ち上げながら体を持ち上げます。

▼プルアップのコツ&注意点

・背中の筋肉を伸ばし、意識しながら行う
・腕と肩の筋肉だけで持ち上げない
・下ろすタイミングに肩甲骨を寄せる

背中が丸くなってしまわないよう、正しいフォームを意識してみてください。

(プルアップの効果ややり方について以下の記事も参考にしてみてください)

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大戸崇道

懸垂で背中の筋肉を使いやすくする為には3つのコツがあります。 ①体を持ち上げる時は小指に荷重する。 ②手首を反らしながら、体を持ち上げる。 ③足は後ろに組みながら実施する。 このコツを意識するだけで、いつもより質の高い懸垂ができるようになります。 是非、実践してみて下さい。

③ナローグリップ

ナローグリップは、難易度が高めのトレーニング方法になっています。両手を近づけて棒を握る懸垂です。背中の筋肉よりも腕や胸の筋肉を鍛えたい人におすすめの筋トレになっています。

▼ナローグリップのやり方

①手の向きは逆手、順手どちらでも
②手の幅をこぶしひとつぶんの距離で鉄棒を握る
③肩甲骨を引き締めるイメージ
④ゆっくり体を下げる
⑤③~④を繰り返す

余裕があれば、体を持ち上げた状態をキープするとより鍛えられます。

▼ナローグリップのコツ&注意点

・腕の筋肉を意識する
・胸を棒の高さまで上げる
・手首が動かないよう気を付ける

手はどちら向きでも大丈夫ですが、懸垂の途中でひっくり返ってしまうと、正しいフォームでできなくなってしまいます。腕の筋肉を活用するのがポイントです。

④ワイドグリップ

ワイドグリップでは、手の距離感を大きくとって行います。二の腕から背中まで、広い範囲の筋肉を鍛えるのに効果的です。

▼ワイドグリップのやり方

①手の向きは順手、逆手やりやすい方
②手の距離を肩幅より広くとる
③肩甲骨を締めつつ体を持ち上げる
④高さは顎くらいまで
⑤筋肉を意識してじっくり体を下ろす
⑥③~⑤を繰り返す

▼ワイドグリップのコツ&注意点

・背中や腕の筋肉を意識する
・棒を握る手に力を込め過ぎない

手に力が入ってしまいやすいですが、鍛えたい筋肉を意識して行うと良いでしょう。

(ワイドグリップの効果ややり方について以下の記事も参考にしてみてください)

⑤パラレルグリップ

パラレルグリップは、両手を向かい合わせて行う懸垂です。手の向きが特徴で、器具が必要になる場合もあります。

▼パラレルグリップのやり方

①手が向かい合わせになるように棒を握る
②肩甲骨を寄せて体を上げる
③胸が棒に近づくように意識する
④体をじっくり下ろす
⑤②〜④を繰り返す

▼パラレルグリップのコツ&注意点

・背中、肩甲骨、胸の筋肉を意識する
・肩甲骨を引き締める
・棒に胸を近づける

しっかり胸を棒に近づけ、背中を伸ばし、肩甲骨を寄せて行います。背中が丸まってしまいやすいので、正しいフォームでの懸垂が出来るよう気を付けましょう。

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大戸崇道

懸垂上級者になってくると、数十回も懸垂ができてしまい、効率的な筋肥大に繋がりにくくなってしまいます。なので、懸垂上級者にはディッピングベルトを使用した荷重懸垂がお勧めです。是非、お試しください。

自分に効果的な懸垂の回数を理解しておこう

出典:https://www.pinterest.jp/pin/292522938281790302/

上半身を広くて鍛えられるのが魅力の懸垂。効果的に行うには、自分に合った回数を見つけることです。ダイエット目的なら、出来る範囲で少しずつ回数を増やして、筋肉アップ目的なら、休息の日を作りながら限界まで追い込んでいきましょう。どちらの目的でも無理は禁物です。

正しいフォーム、回数・セット数、メニューで行えば、懸垂はメリットの多いトレーニングです。ぜひ、自分に合った懸垂の回数を見つけて、効率良く筋トレしてみてくださいね。