プルアップのやり方!背中に効かせるコツで筋トレ効果UP!チンアップとの違いも

厚みのある背中の筋肉に憧れている人は多いでしょう。背中の筋トレといえば懸垂、すなわちプルアップが定番です。この記事では、プルアップの正しいやり方を解説します。自宅で行う方法なども紹介するので、効率的に筋トレを行って背中を鍛えてください。

監修 |パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル優勝、JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、...
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル🥇優勝、JOC日本ジュニアボディビル🥇優勝、2018全日本学生ボディビル🥈準優勝、関東学生ボディビル🥇優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙) 資格:NSCA SNS □TwitterYouTube

目次

  1. プルアップとは?チンアップとの違いも解説
  2. プルアップで鍛えられる筋肉部位、得られる効果
  3. 広背筋
  4. プルアップの効果的なやり方
  5. ①バーを握る
  6. ②身体を引き上げる
  7. ③ゆっくり降ろす
  8. プルアップのコツ&注意点
  9. ①肩甲骨が寄せ下げられていない
  10. ②指先でグリップしてしまっている
  11. ③首を反らしてしまう
  12. プルアップの最適な回数・セット数
  13. プルアップができない人向けの練習方法
  14. 【手幅別】プルアップの効果&やり方
  15. ①ナロープルアップの効果&やり方
  16. ②ワイドプルアップの効果&やり方
  17. ③逆手懸垂(チンアップ・チンニング)の効果&やり方
  18. ④スターナムチンの効果&やり方
  19. 【自宅版】プルアップのやり方
  20. 器具なしで行うプルアップ
  21. プルアップの効果を高める為のポイント
  22. 一緒に行うべき筋トレメニュー
  23. プルアップで背中の筋トレ効率をUPしよう

プルアップとは?チンアップとの違いも解説

プルアップとは、ぶら下がった状態で全身を上に引く運動、一般的に懸垂と呼ばれるトレーニングのことで、背中の筋肉を中心に鍛えることができます。同じようなトレーニングにチンアップがあり、この2つを同義に捉えている方もいますが、実際には異なる筋トレです。

2つの違いはバーの持ち方です。順手で行うプルアップに対し、逆手、つまり手のひらを身体の側に向けて行う筋トレのことをチンアップやチンニングと呼びます。プルアップでは、関節の内転という腕を横に振り下ろす動きが出やすくなります。一方のチンアップでは、肩関節の伸展という腕を縦に振り下ろす動きが出やすいのが大きな差です。

今回は背中の筋肉を鍛える筋トレの一つであるプルアップの正しいフォームや効果的なやり方について解説していきます。

ずーみー

(泉風雅)

プルアップとチンアップは異なるトレーニングですが、日本では慣習的にオーバーハンドで行うものもチンニング・チンアップと呼ぶことが多いようです。

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プルアップで鍛えられる筋肉部位、得られる効果

プルアップは背中の筋肉を中心に鍛える筋トレです。特に、腕を引く筋肉を鍛えるというイメージです。なかでも以下の筋肉に効果があります。

広背筋

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html#chapter-5

プルアップは主に背中の広背筋や大円筋僧帽筋下部を鍛えることができる筋トレです。しっかりと肩甲骨を動かすことで、広背筋や僧帽筋下部などの強力な筋肉を使うことができます。ただし、肩甲骨を動かさないと負荷が腕や肩周りなどに逃げてしまいます。

体を地面に垂直にしたままプルアップを行うと、特に大円筋や僧帽筋の下部などに負荷が乗りやすいです。

ずーみー

(泉風雅)

一方のチンアップは、グリップからの連動で肩甲骨が動かしやすくなっている、つまり広背筋などが動かしやすくなっているという特徴があります。ただし、上腕二頭筋への負荷が大きくなるというデメリットもあります。

(広背筋の筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)

広背筋の筋トレ11選!逆三角形ボディに爆速で近づく鍛え方のコツを解説

プルアップの効果的なやり方

プルアップは正しいやり方で行わないと効果が半減してしまうだけでなく、ケガをしてしまうおそれもあります。ここで解説する効果的なやり方を確認して、正しいフォームを身につけましょう。

①バーを握る

最初に懸垂ができるバーを掴みます。この時の手幅はバンザイをした位置よりも少し広め、目安としては肩幅の1.2~1.4倍くらいが良いでしょう。バーはしっかりと深く握ります。

なお、プルアップを効率よく実践するコツの1つとして、肩幅より少し広めのパラレルグリップ(手を向かい合わせに握る方法)で行うことが挙げられます。オーバーハンドより肩甲骨が動かしやすく、リバースグリップほど上腕二頭筋に負荷がかかりません。

ずーみー

(泉風雅)

ラットプルダウンで使うようなアタッチメントを使ったり、シングルハンドル2つをチンニング台に取り付けたりするのもいいでしょう。ただし、金属製のシングルハンドアタッチメントはバーを傷つけてしまうのでやめておきましょう。

②身体を引き上げる

ここからバーと胸上部、鎖骨の少し下をぶつけるように身体を引き上げていきます。

ずーみー

(泉風雅)

広背筋を狙う場合、脚は後ろで組む方法をおすすめします。大円筋を狙う場合は脚をのばして頭から脚をまっすぐにし、地面に対して垂直にした状態で上げると良いでしょう。

③ゆっくり降ろす

下ろすときは、下まで下ろし切らないことが重要です。下ろし切ってしまうと肩甲骨の内側からテンションが抜けた状態になってしまい、引き上げようとしても、肩甲骨を寄せることが難しくなってしまいます。

ずーみー

(泉風雅)

動作を始める前にぶら下がる際、全身の力を抜いてただぶら下がるのではなく、肩甲骨の内側にしっかりとテンションをかけた状態でぶら下がりましょう。それから動作を始めることで、しっかりと広背筋を使うことができます。

プルアップのコツ&注意点

プルアップを行う際に注意してほしいポイントを紹介します。正しいフォームで行わないと、筋肉にきちんと負荷をかけることができません。背中への効果があまり感じられないときは、フォームが間違っていないか確認してください。

①肩甲骨が寄せ下げられていない

この状態では広背筋に負荷が入らず、大円筋や三角筋の後部、腕などにばかり刺激が入ってしまいます。先ほども解説したとおり、肩甲骨の内側のテンションを保ち、全身の力が抜けてぶら下がった状態にならないように気を付けましょう。

②指先でグリップしてしまっている

指先でグリップしてしまっていると、肩甲骨が動かなくなってしまうことがあります。しっかりとグリップは深く握りましょう。そうすることで握力が楽になり、背中も動かしやすくなります。

③首を反らしてしまう

首を過剰に反らせて胸を張ったような状態にしてしまうと、腹圧が抜けたり、首からの連動で広背筋の下部に効かなくなったりしてしまいます。動作中、首は真っすぐにすることを意識し、反りすぎないように注意してください。

ずーみー

(泉風雅)

首が反っているとフォームが悪くなります。動作中は首を含めて全身を真っすぐに保ち、動くにしてもわずかにとどめましょう。

プルアップの最適な回数・セット数

プルアップは、正しいフォームで行える限界の回数まで行うのが基本です。疲れてきてフォームが崩れる前に止めるようにしましょう。

最適なセット数は、初心者の方は週1回・3セット、上級者は週2回・6セット程度が目安です。慣れてきたら回数やセット数を増やすと良いでしょう。

なお、筋トレは、週1回よりも週2回の方が効果が高まると言われています。しかし、週3回以上の筋トレが、そのぶんの効果を生むのかは不明です。筋トレの頻度を上げすぎると体を痛める可能性があります。適度な休息も入れながら行うようにしてください。

(筋トレのセット数・回数の最適解については以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレのセット数・回数の最適解はコレ!目標別に成長効率を上げるコツを解説!

プルアップができない人向けの練習方法

プルアップの負荷が大きすぎてできないという人は、台からジャンプしてネガティブだけを行うか、斜め懸垂やラットプルダウンから慣らしていくと良いでしょう。こうした筋トレを続けることで、徐々にプルアップができるようになってきます。まずは、全身を上に引き上げるイメージから固めていきましょう。

ずーみー

(泉風雅)

いきなりプルアップができる人はそう多くありません。ゆっくり焦らずに取り組んでいきましょう。

【手幅別】プルアップの効果&やり方

ここからは、グリップの位置を変えたプルアップのやり方や、その効果の違いについて解説します。

①ナロープルアップの効果&やり方

肩幅程度に狭く握るナローグリップで行うプルアップを、ナロープルアップと呼びます。肩関節の伸展(腕をタテに振り降ろす動き)が大きくなり、広背筋に効かせやすくなります。

▼ナロープルアップのやり方

①バーの前に立つ
②肩幅程度の狭い位置に手幅を広げてバーを握る
③体を上に引き上げる
④顎をバーの位置より上に上げる
⑤ゆっくりと体を下げる
⑥③〜⑤を繰り返す

回数やセット数は、通常のプルアップと同じように設定します。回数は、正しいフォームで行える限界まで行うのがおすすめです。セット数は、初心者なら週1回3セット、上級者なら週2回6セットが目安です。

▼ナロープルアップのコツ&注意点

通常のプルアップと同様に、肩甲骨を寄せ下げることを意識して行いましょう。また、バーをしっかり握る、首が反らないようにするというのもポイントです。

ずーみー

(泉風雅)

オーバーグリップとの相性が悪いため、パラレルグリップで行うのがおすすめです。

②ワイドプルアップの効果&やり方

肩幅以上の広い位置で握るワイドグリップで行うプルアップです。この筋トレでは、大円筋や三角筋後部にかかる負荷が大きくなります。

▼ワイドプルアップのやり方

①バーの前に立つ
②肩幅より広い位置に手幅を広げてバーを握る
③体を上に引き上げる
④顎をバーの位置より上に上げる
⑤ゆっくりと体を下げる
⑥③〜⑤を繰り返す

こちらも他のトレーニングと同様に、正しいフォームが維持できる限界の回数まで行うのが基本です。セット数も、初心者なら週1回3セット、上級者なら週2回6セットがおすすめです。慣れてきたら回数やセット数を増やしてみましょう。

▼ワイドプルアップのコツ&注意点

身体をまっすぐに保つことで、大円筋に効かせることができます。なお、まっすぐにせずに胸骨をバーに当てるように上げると、三角筋の後部への負荷を上げることができます。

ずーみー

(泉風雅)

ワイドプルアップは、脚を伸ばして全身を垂直に上げていく方法と相性が良いです。

(ワイドプルアップについては以下の記事も参考にしてみてください)

ワイドグリップチンニングのやり方!大円筋に効く?できない初心者向けメニューも!

③逆手懸垂(チンアップ・チンニング)の効果&やり方

バーを逆手で握るプルアップです。上腕二頭筋への負荷は大きくなりますが、肩甲骨を寄せ下げやすい形でもあります。また、身体を地面に垂直にしたまま行うと大円筋や僧帽筋の下部などに負荷を乗せやすいです。

▼逆手懸垂(チンアップ・チンニング)のやり方

①バーの前に立つ
②肩幅より少し広めに手幅を広げてバーを握る
③体を上に引き上げる
④顎をバーの位置より上に上げる
⑤ゆっくりと体を下げる
⑥③〜⑤を繰り返す

逆手で行う場合も、回数は他のプルアップと同様に、正しいフォームがキープできる限界の回数を目安にしてください。セット数も同じく、初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットがおすすめです。トレーニングに慣れてきたら、回数やセット数を増やしてみましょう。

▼逆手懸垂(チンアップ・チンニング)のコツ&注意点

身体を地面と垂直にすると上腕二頭筋への負荷が大きくなります。このフォームが難しいときは、下半身を軽く持ち上げるように、グリップとみぞおちをぶつける方向に引くと、背中の筋肉が動かしやすくなるでしょう。

(逆手懸垂については以下の記事も参考にしてみてください)

逆手懸垂の効果&やり方!上腕二頭筋に効くコツ〜平均回数・できない人向けの練習法も!

④スターナムチンの効果&やり方

手幅を狭くし、パラレルグリップで行うプルアップです。手やグリップをみぞおちにぶつけるように引いていくことで、肩関節の伸展や腕を縦に振り下ろす動きを強調し、広背筋に効かせていきます。

▼スターナムチンのやり方

①バーの前に立つ
②バーにぶら下がる
③胸からみぞおちを天井に向けるように体を反る
④お尻に力を入れて体を引き上げる
⑤ゆっくりと体を下げる
⑥③〜⑤を繰り返す

スターナムチンの回数及びセット数も、他のプルアップと同じように設定してください。正しいフォームをキープするのが難しいときは、負荷の低い種目に変えるのも手です。体に無理のない範囲でトレーニングを行うようにしましょう。

▼スターナムチンのコツ&注意点

こちらの注意点も、基本のプルアップと同じです。肩甲骨の動きなどを意識するようにしましょう。

ずーみー

(泉風雅)

腕を縦に振り下ろす動作ができていても肩甲骨が寄せ下げられていないと広背筋には効きません。十分に注意しながら動作していきましょう。

(スターナムチンニングのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

上級レベルの懸垂『スターナムチンニング』のやり方!効果のある部位など徹底解説!

【自宅版】プルアップのやり方

定番の懸垂器具は場所をとるため、購入をためらう人もいるでしょう。ここからは自宅でも気軽にできるプルアップのやり方を紹介します。

器具なしで行うプルアップ

こちらの動画では、器具の代わりに自宅のドアを使用してプルアップを行っています。実際に筋トレする際には胸の部分がドアに擦れる形になります。しっかりと背中に効かせられているか意識しながら全身を持ち上げましょう。

▼器具なしで行うプルアップのやり方

①ドアを90°開けた状態で使用する
②筋トレの際にドアが動かないようにドアと床の隙間にタオルなどを挟んで安定させる
③ドアの上部に手をかける
④全身を持ち上げる

こちらの回数とセット数も、通常のプルアップや他のバリエーションと同様に設定します。体に無理のない範囲で行うようにしてください。

▼器具なしで行うプルアップのコツ&注意点

タオルを挟んで固定してはいますが、絶対に動かないという保証はありません。また、ドアによっては耐荷重などが心配なものもありますので、ドアが壊れてケガをしないように、くれぐれも気をつけてください。危険が伴うので、あまりおすすめできません。

プルアップの効果を高める為のポイント

ここからは、プルアップを行う際に知っておきたいコツを紹介します。これを抑えておくことで筋トレの効果アップが期待できます。

一緒に行うべき筋トレメニュー

背中をバランス良く鍛えるには、ロウイング系種目であるワンハンドロウやベントオーバーロウを一緒に行うのもいいでしょう。これらの筋トレでは僧帽筋下部などが鍛えられるので、背中に厚みを出すことができます。また、拮抗筋の種目であるショルダープレス、インクラインベンチプレス、ベンチプレスもおすすめです。

(一緒に行うべきメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

ベントオーバーローイングやり方!広背筋に確実に効くコツをダンベル・バーベル別に解説

プルアップで背中の筋トレ効率をUPしよう

効率的に背中を鍛えることができるプルアップですが、正しいフォームを理解していないと十分な効果を得ることができません。フォームがきちんと合っているかは常に確認しながらトレーニングしてください。プルアップを効率よく行って、美しい背筋を手に入れましょう。

(一緒に行うべきメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

スミスマシンショルダープレスのやり方!肩に効く手幅・角度・向きなどコツを解説
インクラインベンチプレスのやり方!角度・重量など大胸筋上部に効かせるコツを解説
ベンチプレスのやり方!正しいフォーム&効果UPのコツ!初心者向けに回数・重量なども徹底解説!