プロテインは『アレルギー』に要注意!命を落とした事例も?

筋肉や美容・健康のためにプロテインを摂取している人が増えていますが、ホエイプロテインやソイプロテインの摂取によるアレルギーの発症も報告されています。この記事では食物アレルギーに関する基本的な知識から、実際に起きたアレルギーの症例や対策まで詳しく紹介しています。

監修 |パーソナルトレーナー Riku
instagramTwitterHPTRIGGER POINT Performance Therapy 認定トレーナー2ndpass認定トレーナーBODYBOSS認定トレーナー 法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。王様のブランチなどメディアにも複数出演。お客様のパートナーとして食事管理やトレーニングの指導はもちろんのこと日常生活や仕事での悩みなど身体&精神的な不調に関わることに対してサポート致します。

目次

  1. プロテインはアレルギーに注意しなくてはいけない?
  2. プロテインによる食物アレルギーについて
  3. 食物アレルギーの仕組みについて
  4. プロテインで食物アレルギーが起きる理由
  5. アレルギーは子供にありがちだがプロテインは大人も注意
  6. 食事依存性運動誘発アナフィラキシーには要注意
  7. プロテインによるアレルギーの症状例
  8. ソイプロテイン摂取後のアナフィラキシー発症
  9. ホエイプロテインによる激しいアレルギー反応
  10. ホエイプロテインによる肌荒れ
  11. ソイプロテインによる唇の腫れと痒み
  12. お腹トラブルを引き起こすのはアレルギーではなく乳糖不耐症
  13. プロテインによるアレルギーが発症した際の対策
  14. プロテインを変える
  15. プロテインの摂取をやめる
  16. 筋トレに必須なプロテインによるアレルギーに注意しよう

プロテインはアレルギーに注意しなくてはいけない?

筋トレをしている人にとってプロテインは、筋肉を作るために必要なタンパク質を手軽に摂取できるため愛用している人も多いでしょう。しかし注意が必要なのがプロテインによるアレルギーです。アレルギーは筋肉を作るどころか体調を崩してしまい、最悪の場合には命に関わることもあります。

トレーニングをしてプロテインを摂取している、あるいはこれから取り入れようとしている人にもぜひ知っておいてほしいプロテインとアレルギーの関係について詳しく見ていきましょう。

(プロテインによる吐き気や胃もたれについては以下の記事も参考にしてみてください)

プロテインで吐き気・胃もたれに…。原因〜即効果の出る対策を解説!

プロテインによる食物アレルギーについて

ここではプロテインによる食物アレルギーについて、どういうものか・なぜアレルギーが起こるのかについて見ていきたいと思います。アレルギーについての知識があることで、プロテインによる体調の変化があった場合にも対処しやすくなりますのでぜひ知っておきましょう。

食物アレルギーの仕組みについて

そもそも食物アレルギーはどのようにして引き起こされるのでしょうか。私たちの身体には免疫機能があり、体内に入ってきたウィルスや細菌などの病原体を抗体が攻撃することで病気を防いでいます。そしてアレルギーとは本来無害なものに対して免疫機能が働いてしまい、抗体が攻撃することによって身体にさまざまな症状があらわれるものをいいます。

食物アレルギーも同様です。特定の食物に含まれるアレルギーを引き起こす物質をアレルゲンといいますが、このアレルゲンを身体が異物と認識してしまうことでIgE抗体と呼ばれる抗体が作られ攻撃をしてしまいます。そうして引き起こされるのがアレルギー症状と呼ばれる身体の症状です。

アレルギー症状としては、蕁麻疹や湿疹が出る、唇が赤く腫れる、喉が痒くなる、鼻水やくしゃみ、咳が出るなどが挙げられます。また吐き気や下痢、息苦しくなるなどの症状が出ることもあり、人によって症状や程度もさまざまです。自分を守るために、アレルギーを持つ人は摂取するものにアレルゲンが含まれていないかを注意深く確認する必要があります。

プロテインで食物アレルギーが起きる理由

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食物アレルギーは、おもに食物に含まれるタンパク質がアレルゲンとなって症状を引き起こします。7大アレルゲンとされる卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばもこれらに含まれるタンパク質がアレルギーを発症させる原因です。

そしてプロテインはタンパク質であるため、食物アレルギーが起きてしまうことがあります。プロテインはおもにホエイプロテイン・カゼインプロテイン・ソイプロテインの3種類です。ホエイプロテインとカゼインプロテインは牛乳を原料としており、ソイプロテインは大豆を原料としています。

そのため牛乳や大豆にアレルギーのある人が、筋肉をつけようとこれらのプロテインを飲むとアレルギー反応が起きてしまう可能性があるのです。アレルゲンが入っていないプロテインを選ぶようにするか、他の食物などからタンパク質を摂取するようにしましょう。

(筋トレにおすすめのタンパク質については以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレ×ちくわが相性抜群!タンパク質量など栄養素〜原料のメリットまで解説!

アレルギーは子供にありがちだがプロテインは大人も注意

アレルギーはおもに子供に起こりやすい疾患です。特に両親にアレルギー疾患があると子供もかかりやすいといわれています。遺伝的にIgE抗体を作りやすくアレルギーになりやすい体質をアトピー素因といい、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息やアレルギー性鼻炎など成長に伴ってさまざまなアレルギー疾患にかかりやすいことがわかっています。

また食物アレルギーには即時型食物アレルギーというものがあります。アレルゲンの含まれた食物を摂取してから2時間以内に症状が出るもののことをこう呼びますが、患者数が多いのは乳幼児です。年齢に関係なく発症するものですが、乳幼児期に発症した場合は大人になるにつれて治っていくことが多いようです。

しかしプロテインは大人も注意が必要です。大人になってからしばらくアレルギー反応が出ていない場合でも、プロテインを飲むことで症状が出る可能性があります。プロテインは栄養が凝縮されており、特にホエイプロテインは吸収が早いことが特徴です。現在もアレルギーのある人はもちろん、過去にアレルギー体質だったという人も十分注意するようにしましょう。

消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」平成23年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告

食事依存性運動誘発アナフィラキシーには要注意

食物アレルギーの中でも特に注意が必要なのが、命に関わるような重度の反応が出るアナフィラキシーです。アナフィラキシーショックというものを知っている人や言葉を聞いたことがあるという人は多いでしょう。血圧や意識レベルの低下や呼吸困難が起こるなど、アナフィラキシーの中でも特に緊急性の高い危険な症状の場合にアナフィラキシーショックと呼ばれます。

そして筋トレをする人に注意してもらいたいのが食事依存性運動誘発アナフィラキシーです。これはアレルギーを引き起こす特定の食べ物を摂取してから数時間以内に運動をすることによって引き起こされます。小麦、えび、果物などで起こることが多いとされていますが、プロテインによる食事依存性運動誘発アナフィラキシーについても注意が必要です。

プロテイン飲料は運動前に摂取する機会が多く、牛乳の耐性獲得後や牛乳アレルギーのリスクの高くないと思われる年長児や成人が食事依存性運動誘発アナフィラキシーを発症する恐れもあり、注意喚起が必要と考える。

プロテインを飲むのにおすすめなタイミングとして、筋肉のためのゴールデンタイムであるトレーニング後45分以内というものがあります。そのためゴールデンタイムを意識してトレーニング後に飲むという人も多いでしょう。食事依存性運動誘発アナフィラキシーに注意するという意味でも、心配な人はトレーニング前にプロテインを飲むのは避けた方が良いでしょう。

(有酸素運動とプロテインについては以下の記事も参考にしてみてください)

有酸素運動後にもプロテインは必要!理由〜摂取するタイミング、食事との兼ね合いも!

プロテインによるアレルギーの症状例

ここでは実際にプロテインを摂取してアレルギー反応が出たという事例を紹介していきます。痒みなどが出た人からアナフィラキシーを発症してしまった人までさまざまで、アレルギーはとても危険であるということがわかります。少しでも同じような症状が出たことがあるという人はアレルギーを疑い、医師に相談するなど対策を取るようにしましょう。

ソイプロテイン摂取後のアナフィラキシー発症

35歳の男性がジョギングの後にソイプロテイン飲料を初めて摂取したところ、直後から呼吸困難などのアナフィラキシーショックを発症し救急搬送されたという事例があります。その後の検査などによりクラス2大豆アレルギーと診断されたそうです。クラス2というのは特異的IgE抗体の数の多さによって0~6まで分類されるうち、「擬陽性」にあたるものです。

ここで注意しなくてはならないのが、クラスはあくまで抗体の数で分類されるものでありクラスが1や2だからアレルギー反応が起こらないとは限らないというところです。また逆に、クラス3だからといって必ず症状が出るというわけでもありません。

ソイプロテインによるクラス2大豆アレルギーの報告は今までにはなかったということで、今後注意が必要とされています。

(ランニング・ジョギングとプロテインについては以下の記事も参考にしてみてください)

ランニングでもプロテインは必要!目的別のメリット&選び方〜摂取タイミング・回数まで解説!

ホエイプロテインによる激しいアレルギー反応

ジムに通っていたある男性が妻からプロテインを取り入れると良いということを聞き、ジムから帰ってからホエイプロテインを水で溶いて飲んだところ激しいアレルギー反応が出たということです。喉や唇の痒み、胃や食道の不快感、血圧の低下まで感じたそうですが自身で水を飲みながら無理やり吐き出し大事に至らなかったということでした。

こちらの方はもともと乳製品に対するアレルギーがありましたが、成人して次第に症状が出ることが少なくなっていたため油断してしまったようです。しばらくアレルギー反応がないからといって安心してはいけないということがわかります。

どの位の時間が経過したのか定かではないですが、おそらく30分位かな、だんだんと血圧が戻って来て頬が暖かく成って来たので一安心でなんとか病院へ行かなくても済みました。
これがどんどん血圧が下がっていくようだと本当に救急車騒ぎですので大事にならず良かったです

ホエイプロテインによる肌荒れ

こちらの方はホエイプロテインを摂取し肌荒れという症状があらわれ、ホエイに対する遅発型アレルギーの疑いがあるとのことでした。遅発型アレルギーはIgE抗体に依存せず、原因となる食物を摂取してからアレルギー反応が出るまでに時間がかかるため特定するのが難しい疾患です。

ソイプロテインによる唇の腫れと痒み

こちらの方はソイプロテインを摂取すると唇が腫れ、痒みが出ているようです。ハンノキの花粉症の人が豆乳のアレルギーであることは多いですが、この方はスギとヒノキの花粉症で大豆も合わないと感じています。特に花粉が飛散している時期だと食物アレルギーの症状も強く見れらるので注意が必要です。

お腹トラブルを引き起こすのはアレルギーではなく乳糖不耐症

プロテインを摂取した時に出る症状として、下痢や腹痛などのお腹のトラブルを挙げる人もいるかもしれません。これらの場合はアレルギーではなく乳糖不耐症であると考えられます。

乳糖不耐症とは消化酵素であるラクターゼが体内に不足していることで、牛乳や乳製品などに含まれる乳糖を消化できない状態のことをいいます。消化不良を起こしていることで下痢になったり、ガスが溜まって腹部の膨張感があったり腹部の痙攣(けいれん)痛が起きたりするのが主な症状です。

アレルギーは免疫反応により引き起こされるものであり、乳糖不耐症の消化不良により引き起こされるお腹の不調とは違うものなので正しく理解しておきましょう。

(乳糖不耐症の人のプロテインへの対策については以下の記事も参考にしてみてください)

プロテインで腹痛・胃痛・下痢に…。原因〜即効性のある対策を解説!

プロテインによるアレルギーが発症した際の対策

実際にプロテインを摂取してアレルギー症状が出てしまった場合の対策について紹介します。しかしまずは大前提として、症状が出たら直ちに摂取をやめ病院で診てもらいましょう。そして医師の指示に従うようにしてください。

プロテインを変える

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筋肉をつけるためにプロテインはできれば摂取したいという人もいるでしょう。その場合はアレルゲンの含まれていないプロテインを選ぶようにします。例えば乳アレルギーの人ならホエイプロテイン、カゼイプロテインは避けてソイプロテインに変更するなどです。

現在、米を原料としたライスプロテインやエンドウ豆を原料としたピープロテイン、アレルギー特定原材料等28品目不使用の植物性プロテインなど、さまざまな種類が販売されています。自分に合ったプロテインに変更すれば、トレーニング後にプロテインを摂取するということもやめる必要はありません。

しかし大豆アレルギーのある人は、同じ豆類であるピープロテインでもアレルギーを発症してしまう可能性もあるため注意が必要です。心配な人は医師に相談するようにしましょう。

プロテインの摂取をやめる

アレルギー体質の人は、思い切ってプロテインをやめてしまうというのも一つの方法です。プロテインを飲まなくてもトレーニングの効果を出し、筋肉をつけている人もいます。普段の食事からタンパク質をきちんと摂取し、正しいトレーニングを行うようにしましょう。

(プロテインなしの筋トレのメリットについては以下の記事も参考にしてみてください)

筋トレはプロテインなしOK!理由&メリット〜成果が出た人の体験談まで紹介!

筋トレに必須なプロテインによるアレルギーに注意しよう

トレーニングをしている人たちにとって必須ともいえるプロテインですが、アレルギー反応を起こしてしまうという危険性もあり注意が必要です。自分の体質をしっかりと理解し、自分に合ったプロテインを選ぶようにしましょう。