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ティキタカとは?
ティキタカとは、スペイン語で”tiquitaca”と書きます。パスが小気味よくポンポン繋がっていくという意味で、その名の通りショートパスを細かく繋いでいくスタイルのサッカーの戦術です。ショートパスを細かく繋ぐことで、相手にボールを渡さず、ポゼッションを高めてゴールに迫っていきます。
ティキタカはスペイン代表やFCバルセロナが得意としたスタイルです。2010年にスペイン代表がワールドカップで優勝した戦術もティキタカでした。ティキタカは世界中に広まり、多くの指導者がこの戦術を目指しました。しかし、ボールをコントロールするテクニックや、高い精度のパスを必要とする戦術であり、ティキタカを使いこなしたチームは限られています。
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出典: Slope[スロープ]
ティキタカの特徴
ティキタカとはどういう特徴を持つ戦術なのか、説明します。
ショートパスが軸
ティキタカの最大の特徴は、ショートパスを多用することです。ワンタッチかツータッチで味方にパスを繋ぎ、ドリブルやロングパスはほとんど使いません。例え自陣ゴール前でボールを奪われそうになっても、ショートパスによって状況打開を目指す、ショートパスにこだわったプレイスタイルが特徴です。
高いポゼッション率
ティタカは、高いポゼッション率、つまり高いボール支配率を誇ります。ティキタカ全盛期でのバルセロナのポゼッション率は70%を越えています。ボールを奪われる前にショートパスで繋いでいくため、相手にボールを奪う隙を与えない戦術なのです。
細かくパスを繋いでいくために、常にボールを持つ選手のパスコースに複数の選手がポジショニングしていきます。基本的には、ボールを持つ選手を起点に、三角形になるようにポジションをとることで、パスコースを確保するのがティキタカの基本です。ただし、密集した状況でボールを保持するレベルが高く強いプレイヤーを必要とします。
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素早い攻守の切り替え
ティキタカでは、ショートパスを繋いでいくために、ボールを持つ選手を起点に三角形にポジショニングします。そのため、ボールを奪われた場合、相手選手はその三角形の中にいることになります。したがって、すぐさまプレスをかけて相手選手を取り囲み、ボールを奪い返すことができるのです。そして奪い返すとそのまま攻撃に移ることができます。
ボールを奪ったと思った相手選手には隙ができ、その隙をついてショートパスの連続で一気にゴールに迫っていきます。このように素早く攻守を切り替える戦術をショートカウンターと呼びます。これによって、どうしても密集しがちになる、ティキタカの守備的弱点を補うことができるのです。
ティキタカの弱点
非常に有効な戦術として、多くのチームが目指したティキタカですが、弱点もあります。ティキタカの弱点を説明します。
カウンターでの反撃に弱い
ティキタカは、ボールを保持することで相手を押し込んで攻撃する戦術です。その際ディフェンスラインは高めになり、ディフェンスライン後方に大きなスペースができてしまいます。そのため、押し込んでいるときにボールを奪われると、カウンター攻撃を受けやすくなります。
ボールを奪われるとすぐさまプレスをかけて奪い返すのがティキタカの守備戦術です。しかし、プレスをかいくぐられると非常に危険な状態になります。カウンターを受けて失点するケースが多いのです。これがティキタカの守備面での弱点です。
ショートパスの多用で攻撃性が低下
ティキタカは、ショートパスを繋いでポゼッションを高める戦術です。そのため、ゴール前においてもパス回しに意識をとられてしまい、シュートに至らないというケースが多くみられます。ゴール前でのパス回しは相手の脅威にはならず意味がないだけでなく、不用意なボールロストをすることがあるのです。このときにカウンターを受けてしまいます。
相手ゴール前でボールを奪ったときも、カウンターのチャンスであってもパスに固執してしまい、カウンターのチャンスを逃してしまう場合があります。相手にとってはティキタカによって危機を脱することになるのです。このように、パスに固執するあまり攻撃性が低下するのが、ティキタカの攻撃面での弱点です。
ティキタカを用いた監督・チーム
ティキタカを用いて成果を上げた監督とチームを紹介します。
ペップ・グアルディオラ監督
ペップ・グアルディオラ監督のとった戦術が、パスが小気味よく繋がっていくという意味のスペイン語、ティキタカと呼ばれ、世界に発信されました。ペップ・グアルディオラ監督が最初に指揮をとったFCバルセロナが、ティキタカの完成形ともいえる非常に高度なサッカーを行い、世界に衝撃を与えたのです。
その後も、ペップ・グアルディオラ監督は、ポゼッションを高めてゲームの主導権を握るサッカーを見事に遂行し、多くの指導者がそのサッカーに憧れ、ティキタカを模倣しました。しかし、ペップ・グアルディオラ監督の思い描くサッカーとは乖離があり、後にティキタカには意味がないと否定する発言もしています。
FC バルセロナ
ティキタカはFCバルセロナの代名詞ともいえる戦術であり、ペップ・グアルディオラ監督が指揮をとった2008年から2012年の間、完成度の高いティキタカを披露し続けました。メッシ、イニエスタ、シャビを中心とした圧倒的な攻撃力で、4年間でスペイン国内リーグを3回優勝します。欧州No.1クラブチームを決めるチャンピオンズリーグでも2回優勝しました。
この4年間は、ティキタカとFCバルセロナの全盛期といえる時期です。2011年の欧州チャンピオンズリーグ決勝で対戦したマンチェスターユナイテッドの監督、アレックス・ファーガソンは、「私が対戦したチームの中で最強」とコメントしています。
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スペイン代表
2010年ワールドカップ南アフリカ大会では、スペイン代表がティキタカ戦術を武器に優勝します。この年のワールドカップでは、多くの国がディフェンスを引き気味にしてカウンター攻撃主体のサッカーを行っていました。
その中で、前線を上げてショートパスを回し、ゴールに積極的に向かうスペイン代表のサッカーが席巻します。守備的なサッカーをする強豪国を、ティキタカ戦術を用いた美しいサッカーで打ち負かしていくスペイン代表の優勝は、世界を驚かせる結果となりました。
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ティキタカのフォーメーション
ティキタカは支配率を高めるポゼッション・サッカーの上位スタイルです。このポゼッションサッカーにおいては、ポゼッションを高めるためにフォーメーションが流動的に変化していきます。ティキタカのフォーメーションを説明しましょう。
擬似3バックシステム
ティキタカを採用しているチームでは、攻撃に移る時にボランチが下がって3バックの形に変化する、疑似3バックシステムを採用しています。最初のフォーメーションでは4バック1ボランチですが、ボランチが下がることで2枚のセンターバックがサイドに広がり、サイドバックが上がることでサイドでの数的有利を作るのです。
また、ボランチはポゼッションを支えるポジションであるため、強力なプレスをかけられることになります。ボランチが最終ラインに下がることで、ボランチが孤立せず、相手にプレスをかけづらくさせることができます。これによってパスを安定させることができるようになるのです。
トライアングルを形成
ティキタカでは、ボールを持たない選手のポジショニングが重要です。ボールを持つ選手のパスコースを確保するために、常にボールを受けるポジションを意識する必要があります。選手は常にトライアングルを形成するポジショニングをとります。これによって、ボールを持つ選手は常に複数のパスコースを持つことができるのです。
トライアングルを形成し、密集することで、細かなパス回しを可能にするのがティキタカです。さらに疑似3バックシステムによって、サイドにおける数的有利を作り出することができます。こうして流動的にポジションを変え、ポゼッションを維持します。
トライアングルでの守備
ポジショニングを流動的の変化させ、密集したトライアングルを形成するティキタカでは、ボールが奪われても即座に奪った選手にプレスをかけ、ボールを奪い返すことができます。ボールを奪った相手選手は、必然的にトライアングルの中央に位置することになるからです。
ティキタカというと、パスを繋げてゴールに迫る攻撃的サッカーのイメージがあります。しかし、ポゼッションを高めることで相手にボールを持たせず、ボールを奪われても即座に守備に移行できるポジショニングが肝となる戦術です。つまり、トライアングルでの守備の戦術ということもできます。
うますぎるパス回し、世界のティキタカ集
すばらしいティキタカが見られる動画を集めました。スペイン代表、FCバルセロナのスーパープレイ、さらに日本の高校生によるティキタカも見てください。
スペイン代表のティキタカ
スペイン代表のティキタカによるボールポゼッションを見られる動画です。オフザボールの選手がこまめに動き、トライアングルを形成しているのがよく分かるようになっています。パスの精度、スピード、展開のうまさに見惚れる動画です。
FCバルセロナのスーパープレイ
FCバルセロナのティキタカスーパープレイ集です。どんな状況も素早いパス回しによって打開していく、信じられないようなプレーです。今は日本でプレーしているイニエスタの素晴らしいプレーも見られます。
日本の高校生のティキタカ
帝京長岡高校によるティキタカです。非常にレベルの高いプレーに驚きます。日本の高校生のチームがこんな美しプレーをしているのを見てください。
ティキタカの時代は終わったという話も
2010年頃全盛期を迎え、多くのチームがFCバルセロナ化を目指して採用したティキタカですが、ティキタカの時代は終わったという話もでています。スペインのサッカー誌マルカは、ティキタカの死と題した特集を組んで報道しています。トップクラブの戦い方が変化しているというのです。ティキタカは時代遅れとも言われています。
グアルディオラ監督が率いたFCバルセロナのチャンピオンズリーグにおける平均ボールポゼッション率は70%を越えているのに対して、現在は53%にまで減少しています。同じくグアルディオラ監督が率いたバイエルンも当時は70%を越えていたボールポゼッション率が57%まで減少しています。グアルディオラ監督自身も、ティキタカを否定する発言をしました。
他のトップチームも、2010年前後は60%を越えていたボールポゼッション率が現在は50%を切っている状態です。多くのチームがボールポゼッションを上げてゲームを支配するというプレイスタイルから変化しています。また、ティキタカを好んだ監督が、現在はトップでの仕事を手にできていないという状況もあるのです。
ティキタカは優れた戦術だが時代は移り変わる
史上最強チームといわれたFCバルセロナ、ワールドカップで見事な優勝を決めたスペイン代表を筆頭に一時代を気づいたティキタカが、優れた戦術であることは疑いがありません。しかし、時代と共にサッカーの戦術は進化し、変化していきます。どんな戦術も時代遅れになるのです。しかし、ティキタカを駆使した素晴らしいプレーは我々の記憶に残り続けるでしょう。