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そもそもアイソメトリック(等尺性筋収縮)とは?
アイソメトリック(等尺性筋収縮)トレーニングとは、簡単にいえば、身体を静止した状態で行う筋肉トレーニング全般のことです。
関節を動かさずに筋肉が収縮した状態を維持する方法で、上下運動を繰り返す腕立て伏せ(プッシュアップ)やスクワットのように腕や膝の関節を動かすのではなく、負荷のかかる状態で身体をキープすることで筋肉を鍛えます。
専用器具を必要としないトレーニングなので自宅で簡単にできるため、忙しくて運動する時間のない人もスキマ時間にこまめに鍛えることが可能です。日ごろ運動不足の人や筋トレ初心者にもおすすめできます。
(アイソメトリックトレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
アイソトニック・アイソメトリックトレーニングとは?利点・欠点の違いを解説!
出典:Slope[スロープ]
アイソメトリックトレーニングとはこんなもの
アイソメトリックトレーニングは筋肉を収縮させた姿勢で、関節の位置や角度を一定にしたまま静止するのが基本です。筋肉の発達にかなり効果のある方法で、器具を必要としないため昔から実践されてきました。
おすすめのトレーニング方法は後述しますが、具体例としてはプランクや膝を曲げてスクワットの状態を維持するスクワットホールド、仰向けになってクランチの姿勢を維持する方法などが挙げられます。部活動でおなじみの「空気椅子」も、アイソメトリックトレーニングの一種といえるでしょう。さまざまなバリエーションが考えられます。
(プランクトレーニングの効果&やり方については以下の記事も参考にしてみてください)
プランクトレーニングの効果&やり方!短期間で痩せる&腹筋を割るコツを種類別に解説
出典:Slope[スロープ]
アイソメトリックトレーニングのメリット
アイソメトリックトレーニングは一般的な筋トレに比べて、取り組みやすさや効果についてに次のメリットがあります。
①場所を選ばずに筋トレできる
場所を選ばず、誰でも簡単に取り組めるのがアイソメトリックトレーニングの最大のメリットです。室外・室外を問わず短時間に取り組めるため、ちょっとした空き時間に筋肉を鍛えることができます。
たとえば、壁に背中をつけた状態で足を肩幅に開き、膝を直角に曲げた姿勢でキープするウォールシットというトレーニングは壁さえあればどこでもできるため、狭い部屋の中でも問題ありません。さらに両手を胸の前でつなぎ合わせ、お互いに押し付け合った状態をキープするトレーニングは、机に座ったままでも大胸筋や上腕三頭筋などを鍛えることが可能です。
仕事の合間の息抜きや、テレビやネットを閲覧しながら挑戦ができるので、なかなかトレーニングを継続できないという人でも問題ありません。さらに毎朝のジョギングなどと組み合わせると、運動不足の解消と筋トレを両立できておすすめです。
(ジョギングについては以下の記事も参考にしてみてください)
【初心者必見】ジョギングの始め方!効果〜ペース・距離・時間・頻度など徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
②特別な器具を必要としない
ダンベルやバーベルなどの特別な器具を必要としないのもメリットです。本格的に筋トレを始める場合、専用器具の購入を考える人は少なくありませんが、アイソメトリックトレーニングは基本的に器具を必要としないため、お金をかけずに始めることができます。
専用のトレーニングマシーンは高額なものが多く、なかなか手が出ないという人も多いはずです。せっかく高い器具を購入しても、継続できずに自宅に放置状態にしているケースもあるでしょう。
その点、アイソメトリックトレーニングは筋肉を収縮させた姿勢を保てればよいので、基本的に専用器具は必要ありません。無料で今すぐにでも始められるため、これまで筋トレをしたことがない人が試しに始めてみるのにも適しています。
③安全にトレーニングができる
動きを伴う一般的なトレーニングは怪我をしてしまうリスクがありますが、アイソメトリックトレーニングは自分のペースに合わせて安全に筋肉を鍛えられます。
特に正しいトレーニング方法を知らない初心者の場合、常に身体を動かすトレーニングは筋肉や関節に過度な負荷をかけてしまう可能性があり、知らず知らずのうちに腕や膝、腰などを痛めてしまうケースが少なくありません。
一方、アイソメトリックトレーニングは静的なトレーニングであるため、少しでも身体に違和感を感じたらすぐに止めることができます。自分で負荷を調整することができるため、関節や筋肉に過剰な負担が加わることがなく、怪我をするリスクはほとんどありません。
④筋肥大効果が高い
アイソメトリックトレーニングは筋肉の収縮状態を維持したまま鍛える方法なので、筋肥大効果が高いのもメリットといえます。筋力がないため、器具を使った本格的なウェイトトレーニングを始められないという人でも、気軽に始められるのが特徴です。
さらに短時間で効果が出るトレーニングなので、1日5分~10分程度の短い時間で集中して鍛えるのに適しています。忙しい人は作業をしながらでも構いません。自分のペースでコツコツと筋肉の強化ができます。
(筋肥大のメカニズム・トレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
筋肥大とは?メカニズム・トレーニング方法・食事・サプリ・期間など徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
おすすめのアイソメトリックトレーニングはコレ!
では、本記事おすすめのアイソメトリックトレーニングの具体例をいくつか紹介します。どれも自宅で簡単にできるものなので、気に入ったトレーニングから生活に取り入れてみましょう。ちょっとした運動の合間に取り入れるのも効果的です。
座った姿勢で大胸筋を鍛える
胸の前で両方の手の平を押し合わせる手軽でスタンダードなアイソメトリックトレーニングです。立った状態でも椅子に座った姿勢でも行うこともできます。
▼やり方
①両手を胸の前で合わせ、肘を曲げて両方の手の平を押し合わせる。
②そのまま7~10秒間ほどキープし、ゆっくりと力を抜く。
一度行ったら1分ほど休憩を入れ、合計で3セット行ってください。
▼コツ&注意点
・手を合わせるときに肘を張りすぎないように注意する。
・肩甲骨を寄せて胸を張った状態で行う。
・両手に力を入れているときは胸の筋肉に意識を集中させる。
肘を前の方に出しすぎてしまうと大胸筋に負荷がかからなくなり、トレーニングの効果がなくなってしまうので注意してください。呼吸も止めないようにしましょう。
膝押しでお腹のたるみを解消
仰向けの姿勢で持ち上げた両膝を押して腹筋に負荷をかけるトレーニングです。
▼やり方
①仰向けになって膝を90度に曲げて浮かせた状態にする。
②両手で膝を奥の方に押すと同時に、膝も手の力に負けないように手前(胸)に寄せる。
③その姿勢で手と膝を押し合うようにして腹筋に負荷をかける。
腕と膝のお互いの力が均衡する状態で維持するのがポイントです。そのまま3秒間キープして力を抜きます。その後、同じ動作を7秒間行って力を抜いてください。両膝を左右に捻って軽く筋肉をほぐしたら、再び7秒ほど力を入れます。
▼コツ&注意点
・力を入れるのは10秒以内に留める。
・力を抜いたら必ず膝を2~3回ほど左右に倒すことで腰痛を防ぐ。
・力を入れているときに呼吸を止めない。
これを繰り返すことで簡単に腹筋を鍛えられます。お腹のたるみが気になっている人におすすめです。
(逆効率のいい腹筋トレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
効率のいい腹筋トレーニングは何?筋トレ初心者でも短期間で割る方法を解説!
出典:Slope[スロープ]
プランクで全身の筋肉を鍛える
プランクは代表的なアイソメトリックトレーニングです。全身の筋肉を鍛えるのに非常に効果的なので、ここで正しい手順を覚えておきましょう。
▼やり方
①四つん這いになって両肘を肩の真下部分の床につける。
②両手を握り拳にして腕を三角形の状態にする。
③その姿勢で膝を床から離して7~10秒間ほどキープする。
まずは7秒間キープを3回セットで行い、余裕が出てきたらセット数をどんどん増やしていけばOKです。無理のない範囲で挑戦してみましょう。慣れてくると1分以上の体勢キープが問題なくできるようになります。
▼コツ&注意点
・身体を支えている両腕全体とつま先で床を押すようにする。
・頭から踵(かかと)部分までを一直線にする。
・肘を横に開きすぎない。
・自然な呼吸を心がける。
お尻が上に上がりすぎても、逆に下がりすぎても効果が弱まってしまうので注意しましょう。
スクワットホールドで体幹トレーニング
膝を上下に運動させるのがスクワットですが、膝を曲げた状態で維持するのがスクワットホールドです。曲げる角度やキープする時間で負荷が変わってきます。
▼やり方
①両足を肩幅に開く。
②前かがみにならないように、ゆっくりを膝を曲げる。
③膝の角度を90度~100度ぐらいの位置で止め、その姿勢をキープする。
そのまま30秒ほどキープし、経過したら20秒休みます。これを5セット繰り返しましょう。きついと感じた場合は膝の膝の角度を浅くするか、キープする秒数を減らしてください。
▼コツ&注意点
・背中は真っ直ぐにしてお腹に力を入れる。
・呼吸は止めずに自然に行う。
はじめは意識していても、繰り返すうちに呼吸が止まってしまう人が多いです。意識して呼吸を続けるようにしましょう。簡単だと感じる人はホールドした状態を長くしてください。
壁を使ったウォールシットトレーニング
自宅にある壁を使って簡単にできる下半身のアイソメトリックトレーニングです。
▼やり方
①壁を背に向けて立った状態で、頭からお尻までを壁にぴったりとつける。
②膝の角度が90度になるまでゆっくりと膝を曲げる。
③その状態で30秒キープする。
30秒維持したら、20秒の休憩を挟んで5セットほど繰り返します。このあたりは上述のスクワットホールドと同じです。ウォールシットとスクワットホールドを交互に繰り返してもよいでしょう。
▼コツ&注意点
・できるだけ手は膝につかないようにする。
・膝を90度より曲げすぎない。
手は膝につけても構いませんが、さらに負荷をかけたいのであれば身体の前にもってくるようにします。きついと感じた場合は膝の曲げる角度を浅くするなど、自分のレベルに合わせて調整してください。
(空気椅子の筋トレ効果については以下の記事も参考にしてみてください)
空気椅子は筋トレ効果絶大!正しいやり方&コツ〜ダイエット効果についても解説!
出典:Slope[スロープ]
ストレッチで肩や首のコリを解消
肩や首をストレッチすることで筋肉を鍛えるとともに、コリを解消できるトレーニングです。日ごろ肩コリや首コリに悩んでいる人は挑戦してみましょう。
▼やり方
①手を後ろで組んで背中のラインにしたがって下にさげていく。
②後ろで組んだ手をゆっくりと右にずらす。
③左肩が下がった状態になるので、首を右にゆっくり倒す。
④そのまま20秒から30秒ほどキープする。
⑤時間が経過したら首を斜め前にゆっくりと倒す。
首と肩がゆっくりと伸ばされているのを感じながら同じ秒数だけキープしてください。終わったらゆっくりと首を回してリラックスします。同じ要領で左右2セットずつ行いましょう。
▼注意点&コツ
・腰が反ったり丸まったりしないように注意する。
しっかりと背筋を伸ばした状態で行ってください。自然な呼吸を心がけましょう。
(肩こりを筋トレで解消できるメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
【肩こりは筋トレで解決】短期間で解消出来るメニュー〜治った体験談も!
出典:Slope[スロープ]
デッドバグでお腹を引き締める
腹横筋を鍛えるトレーニングです。キープする時間によって腹筋にかかる負荷の調整が可能です。
▼やり方
①仰向けになって両足を持ち上げ、膝の角度を直角にする。
②手を「前ならえ」の形にする。
③息を吐きながら3秒かけて右手を上げ、左足を伸ばしていく。
④手足が床につかないところまで伸ばしたら3秒ほど体勢を維持する。
⑤右手と左足をゆっくりと元の位置に戻す。
⑥手と足を入れ替えて同じ動きを繰り返す。
3秒というのは、あくまでも目安です。自分の筋力に合わせて自由に時間を設定して構いませんが、キープする時間は10秒以内にしておきましょう。左右で10回ずつ行ってください。
▼コツ&注意点
・足幅は握り拳1つ分開ける。
・腰を反らないように気をつける。
数週間続けることで、お腹周りが引き締まってきているのがわかるはずです。慣れてきたら体勢を維持する時間を延ばしてみましょう。
(腹横筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)
腹横筋の鍛え方!腹筋のインナーマッスルが付く筋トレ&ストレッチを解説
出典:Slope[スロープ]
アイソメトリックトレーニングのコツ&注意点
続いて、アイソメトリックトレーニングのポイントと注意点をいくつか解説しておきます。
①自分のレベルに合わせて負荷を調整する
アイソメトリックトレーニングは自分の意志で負荷を自由に調整できるのが特徴です。自分のレベルに合わせて適度な負荷をかけるようにしましょう。
たとえばスクワットホールドの場合、膝の角度が90度に近くなるほど負荷が大きくなるので、負担が大きいと感じら角度を緩めることで長くトレーニングを続けられるようになります。逆に効果を高めたければ、90度近くまで曲げて長時間キープすればOKです。
身体に違和感を感じたり、痛くなったりしたら、すぐに中止してください。自分の筋力や体調に合わせて負荷をコントロールすることが重要です。
②意識して呼吸を止めないようにする
トレーニング中は呼吸を止めないことが重要です。アイソメトリックトレーニングに限った話ではありませんが、人間は身体のどこかに意識的に力を入れると、どうしても呼吸が止まりがちになってしまいます。
呼吸を止めると血圧が急に上昇するので身体に余計な負担がかかってしまい、人によっては危険な場合もあるので注意が必要です。トレーニング中もできるだけ自然な呼吸を心がけるようにしてください。
③負荷をかけている筋肉に意識を集中する
トレーニングで負荷がかかっている筋肉に意識を集中することも大事です。どの部分が収縮しているかを意識することで適度な負荷のかかり具合が自分でわかるようになるのに加え、鍛えるポイントがズレている場合には動きを修正することも可能になります。
何も考えずに運動やトレーニングをしていると、負荷がかかっているように感じられても鍛えたい場所が鍛えられていないケースが出てきます。身体のどの部分を鍛えるのが目的なのかを明確にして、正しい手順でトレーニングを行うように心がけましょう。
アイソメトリックトレーニングで楽して筋トレ!
誰でも器具なしで簡単にできるアイソメトリックトレーニングの概要とメリット、おすすめのトレーニング方法を紹介しました。自分で負荷を調整できるため、これまで筋トレや運動をほとんどしたことのない人でも気軽に始められるメリットがあります。
さらに短時間で効果を上げられるので、忙しくて時間をとれない人でもスキマ時間に毎日コツコツと行うことで理想の身体をつくり上げることが可能です。今この瞬間からでも始められるトレーニングばかりなので、ぜひ気軽にチャレンジしてみましょう。