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5×5の筋トレプログラムとは?
5×5と呼ばれる筋トレのプログラムは世界で最も有名なプログラムの1つです。ボディビルの世界でもウエイトリフティングの世界でも初心者向けとして紹介されることが多いので、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな5×5は1960年に伝説的なボディビルダーであるレグ・パークが発案したとされています。そしてそこから約60年経つ現在でも世界中で初心者から中級者レベル、特には上級者のトレーニーまでもが活用している非常に優れたプログラムなのです。
今回は5×5の筋トレプログラムの具体的なやり方や応用方法、注意点などについて解説します。これから筋トレを本格的に始めたい人や複雑なプログラムなどに惑わされ伸び悩んでいる中級者などはぜひ参考にしてください。
5×5の筋トレプログラムのメリット
それではまず5×5の筋トレプログラムのメリットについて紹介してきます。5×5のプログラムに興味があるけども、本当に自分の目的に合った効果やメリットがあるのか気になる方はチェックしてみてください。
①シンプルな種目と構成のためメニューやセット数に悩む必要がない
具体的な5×5のやり方は後ほど説明しますが、このトレーニングプログラムは名前の通り、1つの種目あたり5レップで合計5セットを行います。さらに種目もビッグ3やその補助種目のみに絞られており、非常にシンプルな構成となっているのです。
最近は動画などで様々なプログラムや種目が紹介されていますが、その種類が多すぎて一体どの種目やセット数を選べばいいのか悩む人も多くいます。しかし、5×5であればそのような悩みは一切ないので、目の前のバーベルと自分の動作のみに集中することができるのです。
このシンプルさは初心者はもちろん、トレーニングに関する知識が無駄に増えてきて迷いがちな中級者のトレーニーにとっても良いメリットだと言えるでしょう。
②効率的な筋力アップ
5×5ではビッグ3と呼ばれる高重量を扱えるコンパウンド種目をプログラムの中心にします。そしてその重量を毎回のように上げていくようになっているため、正しくプログラムをこなせば初心者でもわずかな期間で大きな筋力アップを望めるのです。
実際に5×5を採用したトレーニーの中にはわずか3ヶ月でスクワット・デッドリフトの重量が約90kgも伸ばすことに成功した人もいます。シンプルながらもこれほどの筋力アップを短期間で望めるのは、5×5ならではのメリットとも言えるでしょう。
③筋肥大
5×5でウエイトリフターが行うようなビッグ3をメイン種目として採用すると聞くと、筋量の増加は望めないのではと考える人もいるでしょう。しかし、実際の5×5では筋力のアップと同時にボディビルにも役立つ筋肥大の効果も得られるのです。
実際に5×5の代表的なメニュー実行すると3ヶ月で約2kgから3kg、そして最初の1年では合計で約5kgから13kg前後の筋量の増加が起こると考えられています。初心者の方だとわからないかもしれませんが、純粋な筋肉でこれだけの数字が増えれば見た目は相当変わります。それだけインパクトのある成長がこの5×5では得られるのです。
このように大幅な筋力のアップと同時に筋量の増加まで望めるのは、筋力と筋量のどちらも少ない初心者にとっては非常に嬉しいメリットだと言えますね。
(筋肥大に関するトレーニングや食事については以下の記事も参考にしてみてください)
ゴリマッチョになるには?短期間で筋肥大する筋トレ・食事方法!体験談も
出典:Slope[スロープ]
④時間効率が良い
5×5はその時間効率が良いことも1つの大きなメリットです。最近流行りの複雑な筋トレのプログラムの場合、1回あたり1時間以上のメニューを週に4回や5回こなさないといけないものは珍しくはありません。しかし、5×5では種目数やセット数が特別多いわけではありませんので1回辺りのトレーニング時間は1時間以内に収まることが多いです。
さらに基本的には1週間に3回のトレーニングで済みます。そのため5×5であればトレーニング時間があまり確保できない忙しい人でも問題なく取り組みやすいのです。
ちなみにトレーニングのレベルが上がり、扱う重量が100k以上と高重量になってくるとセット間の休憩時間を伸ばす必要が出てきます。そのような場合にはトレーニング時間が1時間超えるケースもあるのです。しかし、初心者がそのレベルに到達するまではしばらく時間がかかりますので、最初の内は特に気にする必要はないでしょう。
⑤有酸素運動なしで脂肪減少
何度も触れていますが、5×5では多くの筋肉を動かすビッグ3というコンパウンド種目をプログラムのメインにします。そしてその種目に集中し毎回重量を伸ばすことで、全身の筋量が増え、それによって代謝が改善されるのです。その結果として有酸素運動をすることなく脂肪を減少させやすくなります。
特に運動が習慣になっていないような初心者の場合には、食事管理と合わせ筋量アップと同時に脂肪減少が起こることで見た目に大幅な変化が起こることもあるのです。減量やボディメイクのためにトレーニングを始める人にとって非常に魅力的なメリットだと言えるでしょう。
(脂肪減少のための食事等については以下の記事も参考にしてみてください)
減量期の情報は間違い多数!食事・筋トレ・プロテインなど確実に脂肪を落とすコツを解説
出典:Slope[スロープ]
⑥他のプログラムにも移行しやすい
5×5では全身の基礎的な筋力や筋量を身に着け、ビッグ3によって全身を連動させる能力が向上します。そしてそのベースが一度出来上がれば、その後に複雑なプログラムなどに移行したとしても問題なく適応できる可能性が高いのです。
このように応用をこなすための基礎の筋力・筋量を獲得できるメリットがあることも、5×5が初心者や伸び悩んでいる中級者に推奨されている理由なのですね。
(その他の筋トレプログラムの一例については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレは分割法より全身法?初心者〜上級者の回数・1週間の頻度のおすすめを解説!
出典:Slope[スロープ]
5×5の筋トレプログラムが向いている人の特徴
ここまでの解説通り、様々なメリットがある5×5の筋トレプログラムですが、このプログラムが向いている人の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。色々な意見はありますが、基本的には以下のような人が5×5の筋トレプログラムが向いていると言えます。
・目的関係なくこれから本格的にトレーニングを始める初心者
・時間がかからない筋トレプログラムを探していた人
・複雑な知識や情報に惑わされて伸び悩んでいる中級者
・しばらくトレーニングを休んでいた中級者から上級者
このことからもわかる通り、5×5は比較的どんな目的やレベルにも活用できるプログラムなのです。実績も十分にあるプログラムですから、筋トレプログラムを選ぶのに悩んでいる方はぜひ一度チャレンジしてみると良いでしょう。
5×5の筋トレプログラムのやり方
5×5の筋トレプログラムは長い間利用されてきた歴史もあって、多くのバリエーションが存在します。中にはどれを行えばいいのか悩むこともあるかもしれませんので、ここでは代表的なやり方について解説します。具体的なメニューやセット数、重量なども解説しますので、これから5×5の筋トレプログラムを行う予定の方は参考にしてください。
①全身を鍛えるメニューを2種類決める
5×5では基本的にコンパウンド種目を3種目採用し、全身を1日で鍛えます。ただ、毎回同じ種目で行うのではなく、AとBの2種類用意しておき、それを交互に行うのです。
例えば、5×5の代表的なメニュー内容として以下のようなものがあります。
▼メニューA
・バックスクワット
・ベンチプレス
・ベントオーバーローイング
▼メニューB
・バックスクワット
・オーバーヘッドプレス
・デッドリフト
ちなみにこの代表的なメニューではどちらもスクワットが入っています。これはスクワットこそが筋トレ種目の中で最も価値が高いものだと考えられているからです。
実際にスクワットを強くするとテストステロンレベルが上がり、ベンチプレスなども向上することがわかっています。このような理由があるので、この代表的なメニューではどちらにもスクワットが入っており、さらに最も力が残っている1番目に設定されているのです。
②週3回のスケジュールを決める
代表的な5×5のメニューでは週に3回のスケジュールでプログラムを組みます。ただし、必ずそれぞれのトレーニングの間には1日以上設ける必要があるので注意が必要です。特にこだわりがなければ、月・水・金や火・木・土のように組めば良いでしょう。
そして5×5では先程組んだ2種類のメニューを交互に行っていきます。例えば、月曜日がAなら、水曜日にB、金曜日A、そして翌週の月に再びBといった流れでこなすのです。このようなスケジュールを組むことで、出来るだけ疲労を溜めずに筋肥大や筋力アップのための回復に集中できます。
(筋トレのスケジュールの組み方については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレのスケジュールの組み方!効率の高い頻度〜1週間メニュー例について解説!
出典:Slope[スロープ]
③トレーニングを開始し、基本のレップ数・セット数をこなす
メニューとスケジュールを決めたら、実際に5×5のプログラムを開始し、基本のレップ数・セット数をこなします。5×5では5レップを5セットが基本です。
ただし、デッドリフトのみは5レップ1セットのみとします。なぜなら5×5では週3回も高強度のスクワットを行いますので、それに加えて高強度のデッドリフトを5レップ5セット行うのは非常に難しいからです。また無理をしてこなしても、そのうちに疲労が溜まりすぎ怪我を起こす可能性もあるので、デッドリフトは基本的に1セットに抑えましょう。
ちなみにセット間のインターバルは扱う重量によって変えていきます。具体的には以下のように変えれば良いので1つの目安にしてください。
・軽い重量:30秒から90秒
・少し重めの重量:90秒から180秒
・限界に近い重量:180秒から300秒
(筋トレのセット数・回数の最適解については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレのセット数・回数の最適解はコレ!目標別に成長効率を上げるコツを解説!
出典:Slope[スロープ]
④ルールに従って重量を増やしていく
5×5という筋トレプログラムで最も重要なのは扱う重量をルールに従って増やしていくことです。ルールは色々とありますが、まずは5レップ5セットを最後までこなせた場合に増やせば良いでしょう。どのくらい増やせば良いのかというと、デッドリフトでは5kg、その他の種目は2.5kgずつ増やしていくのを基本とします。
またもし5レップ5セットに失敗した場合は、次のトレーニングでは重量は変えずに再び5レップ5セットに挑戦します。そしていつか達成した時に重量を増やすようにするのです。
ただし、あまりにも連続で失敗するようであれば対策が必要となります。その対策については後ほど解説しますので興味がある方はそちらもチェックしておいてください。
5×5の筋トレプログラムを取り入れる際の注意点
では次に5×5の筋トレプログラムを実際に取り入れる際の注意点について解説します。失敗を避け、最大限の効果を得るためにも一通り確認しておきましょう。
①スタート時から限界に挑戦しない
5×5を始める時、案外多くある失敗がスタート時の重量を重く設定してしまうことです。既に解説した通り、5×5では5レップ5セットを達成したら次々と重量を増やしていきます。そしてこのように徐々に重量を増やすことで、このプログラムでは様々な効果を得られるのです。
しかし、序盤から限界に近い重量を設定してしまうとすぐに5レップ5セットの壁にぶつかってしまいます。その結果、5×5による効果を少なくしてしまう可能性があるのです。それを避けるためにもスタート時の重量は軽めの重量に設定しましょう。
ちなみに5レップで限界を迎える重量が既にわかっている経験者であれば、その重量の半分が適切です。最初はかなり余裕があるはずですが、飛ばすぎて効果を半減させては意味がありません。軽めの重量にするのも1つのトレーニングだと思ってじっくりと取り組んでください。
②正しいフォームを必ず維持する
5×5に限らずトレーニングでは正しいフォームを守ることが大事です。5×5ではスピードを上げて重量を増やしていき、最終的には限界に近い重量をコンパウンド種目で行います。そして限界に近くなるとフォームが崩れがちですが、必ず正しいフォームは維持してください。
理由は高重量のコンパウンド種目に挑戦する時に正しいフォームが維持できないと大きな怪我に繋がる可能性があるからです。また正しいフォームでないとターゲットの筋肉に刺激が伝えづらくなるデメリットもあります。そのため他のプログラム同様、正しいフォームはいつでも必ず維持するように意識しましょう。
もし自分のフォームに自信がなければ、トレーナーなどに見てもらったり、ビデオに撮って自分で確認してもいいですね。
(BIG3の正しいフォームについては以下の記事も参考にしてみてください)
BIG3は初心者の筋肥大に最短の筋トレ!フォーム・効果・メニューの組み方など徹底解説
出典:Slope[スロープ]
③レップスピードやインターバルは一定に保つ
5×5で種目を行う時にはレップスピード、つまり動作のスピードやインターバルの長さはできるだけ一定に保ちましょう。ある日は早めのスピードでこなし、ある日はインターバルを遅めにしたりすると筋肉に対しての刺激が不安定になってしまい、成長の速度を正しく測ることができない可能性があります。
もちろん、あきらかに疲れが取れていないなどの理由があればインターバルを伸ばしたりしても問題はありません。しかし、特別な理由がないのであれば、タイマー等でしっかりと時間を測るようにしてください。
(筋肥大に最適なインターバルについては以下の記事も参考にしてみてください)
筋肥大に最適なインターバルは3分?短いと意味なし?論文を元に正しい時間を解説
出典:Slope[スロープ]
5×5の筋トレプログラムには応用編も?
ここまで5×5の代表的なメニューについて解説しました。ただ、5×5はこのメニューだけしかないというわけではなく、他に応用編も多く存在します。
例えば、5×5のサイクルで重量増加の壁にぶつかってしまった時に5レップ3セットや3レップ3セットなどと回数やセット数を落とす方法があります。その他にもトレーニング毎ではなく、週ごとに重量を増やす方法や5レップ5セット非達成でも毎回重量を増やす方法もあるのです。
ただ、どの方法であっても、シンプルな構成で重量増加を狙う根本的な構成に大きな違いはありません。そのため応用編をスタートさせる時には基本的には自分の環境や性格等に合いそうなものを選べば良いでしょう。
5×5の筋トレプログラムに関するQ&A
それでは最後に5×5の筋トレプログラムに関してよくあるQ&Aを紹介します。
①5×5ではどのくらいの期間で効果が得られる?
5×5のプログラムでの効果は筋力面に関しては初心者の場合、かなり早い段階で得られます。既に解説した通り、5×5ではルールに従ってどんどんと扱う重量を伸ばしますので、筋力は毎週のように伸びていくケースがほとんどなのです。
一方で筋肥大についてはスピードはあまり早くなく、1ヶ月あたり上手く成長したとしても純粋な筋肉のみで1kg弱しか増えません。これは人間の限界に近い数字ですので、5×5のプログラムだけでなく他の筋トレプログラムでも同程度の効果しか得られないのです。
しかし、純粋な筋肉で1ヶ月1kg前後のペースで増やし、同時に食事管理などを通じて脂肪を減少させることができれば見た目では短期間の内に大きな変化が見られます。ですので、数字であまり変化がなくても焦らずに5×5のプログラムに集中して取り組むようにしましょう。
②オフの日に腕や肩などの小さい筋肉を鍛えても良い?
初心者で男性の場合、腕を太くしたり、肩幅を広くしたい気持ちが強く、オフの日にアームカール等を追加で行おうと考える人が非常に多いです。しかし、5×5は高い強度のプログラムですので、オフの日は完全休養を基本としてください。
そもそもベンチプレスやローイングなどの基本種目を集中して行えば、肩や腕の筋肉も十分に発達させることができます。そのため初心者の内にあえてアームカール等の種目を追加する必要はないのです。
どうしてもやりたいようならトレーニングの最後に追加しても良いですが、トレーニング時間がその分長くなります。また疲労も抜けにくくなり、メインの種目に悪影響を及ぼす可能性もあるので、本当に取り入れるかどうかは慎重になって考えてください。
(腕のトレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
【腕の筋トレメニュー】上腕〜前腕の筋肉を急激に太くする鍛え方のコツを大公開
出典:Slope[スロープ]
③重量増加に連続で失敗し続けたらどうすれば良い?
5×5を続けて扱う重量が増えてきたが、ある時を境に5レップ5セットができなくなってしまうことはよくあります。それはプラトーと呼ばれる現象ですが、このような状況に連続で2、3回陥ったらいくつかの対策をするべきです。
例えば、ディローディングという扱う重量を一旦10%ほど下げて再び徐々に増やしていく方法や1週間前後の完全休養期間を設ける方法などがあります。思い切って5レップ3セットや3レップ3セットに回数・セット数を変えてしまうのも有効な手段です。
このような対策を行うことで再び順調な成長が始まることはよくありますので、2回か3回連続で5レップ5セットに失敗した時には試してみてください。ちなみに成長のストップは睡眠や栄養不足などでも起こる可能性もありますから、そちらも再確認してみると良いでしょう。
④BIG3以外の種目に変えても良い?
スクワットやデッドリフトは非常に辛いこともあって、中にはBIG3以外の種目に変更したいと考える人は少なくありません。しかし、前述の通り、スクワットは他の極めて優れた筋トレ種目であり、強くすることでその他の種目にも良い影響が出ることもあります。そのため原則としてはBIG3をメインの種目にしてください。
もちろん、怪我などをしている場合であれば、BIG3以外の種目に変えても良いです。ただし、しっかりと重量を伸ばせるようなトップサイドデッドリフトやフロントスクワットなどのコンパウンド種目を選ぶようにしましょう。
(コンパウンド種目の1つのフロントスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
フロントスクワットのやり方!正しい持ち方〜バックスクワットとの違いまで解説
出典:Slope[スロープ]
⑤病気や旅行などで筋トレを休む必要がある時の対処法は?
病気や旅行でどうしてもトレーニングを数日間休まないといけないことは誰にでもあります。そのような場合には最後のトレーニング重量から10%減らした上でトレーニングを再開させてください。もし数日ではなく、何週間も休んでしまった時には20%、場合によっては最初からスタートさせても良いでしょう。
5×5の筋トレプログラムを試してみよう!
ここまで5×5の筋トレプログラムのメリットややり方、注意点などを解説してきました。5×5はバーベルを使うトレーニングを始めたばかりの初心者はもちろん、中級者にも非常に効果的なプログラムです。内容はシンプルですぐにでも始められるので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。