大腿四頭筋の構造・作用
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は大腿直筋(だいたいちょっきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)で構成されている、太ももの前側にある筋肉群です。大腿直筋は骨盤と脛骨(けいこつ)をつなぎ、中間広筋、内側広筋、外側広筋は大腿骨と脛骨をつないでいます。
大腿四頭筋の作用は、膝関節の伸展と股関節の屈曲です。膝を伸ばすときには大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋が働き、股関節を曲げるときには大腿直筋が働いています。
大腿四頭筋が衰えてしまうと、膝をしっかりと伸ばしたり、太ももを上に挙げたりする力が弱くなってしまいます。日常生活だけでなく、トレーニングやスポーツ時にもパワーを発揮する強い筋肉です。
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出典:Slope[スロープ]
大腿四頭筋をストレッチでほぐすメリット
日常生活でのリスクが減る【大腿四頭筋をストレッチでほぐすメリット】
大腿四頭筋は膝関節と股関節に作用する筋肉のため、固まってしまうと、屈伸運動をする・歩幅を大きくとるといったことが難しくなり、様々な場面で支障が現れます。日常生活でも、つまずいて転びやすくなるなどの危険が増します。
また、大腿直筋は骨盤に付着している筋肉です。縮んで固い状態になると骨盤を引っ張ってしまい、骨盤が前に倒れ気味の状態になってしまいます。骨盤が歪んでいると姿勢が悪くなり、腰の筋肉が疲弊して腰痛を引き起こす恐れも出てきます。ストレッチにより筋肉の柔軟性を改善すれば、そういったリスクを減らしていくことが可能です。
運動時のパフォーマンスが向上する【大腿四頭筋をストレッチでほぐすメリット】
ストレッチを効果的に行い、筋肉の柔軟性が増せば運動がしやすくなります。大腿四頭筋が柔らかくなれば、歩く、走る、ボールを蹴るなどの動作が楽に行えるようになるでしょう。また、骨盤が正しいポジションを保っていれば、重心の位置が安定し、下半身だけでなく上半身のパフォーマンスも向上していきます。
下半身太りを抑制する【大腿四頭筋をストレッチでほぐすメリット】
大腿四頭筋は日常生活でもよく使われるため、疲れが溜まりやすい筋肉です。血流が滞ってしまっていると老廃物が溜まり、下半身太りにつながってしまう場合があります。長時間同じ姿勢で作業をするなどして固まってしまった筋肉も、ストレッチでしっかりとほぐしてあげましょう。
また、上記で述べたように、ストレッチの効果により股関節と膝関節を動かしやすくすることが可能です。今までできなかった動作も楽に行えるようになれば、自然と活動量も増えていきます。歩行距離が多くなる、動作スピードがアップするといった良い循環が起きれば、脂肪の蓄積を抑制していくこともできるでしょう。
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出典:Slope[スロープ]
大腿四頭筋のストレッチメニュー
大腿四頭筋のストレッチを紹介します。立って行うストレッチ、座って行うストレッチ、寝ながら行うストレッチなど様々なバリエーションがあります。身体が固い人向けの簡単なストレッチもありますので、自分に合ったストレッチを見つけてください。
ストレッチの前に行うとより効果的な大腿四頭筋のリリース方法も最後に紹介していますので、参考にしてください。いきなり無理な体勢で行って身体を痛めないように気をつけながら、筋肉をしっかりほぐしていきましょう。
立って行う大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
まずは立った姿勢で簡単に行えるストレッチを紹介します。片足立ちの状態になりますので、転倒しないように気をつけてください。バランスを崩さないように壁や椅子などに手をついて行いましょう。
▼立って行う大腿四頭筋ストレッチのやり方
①直立の姿勢になる
②片方の膝を曲げ、手で足の甲を引き寄せてお尻にかかとをつける
▼立って行う大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・手で足の甲やつま先などを持って、太ももとふくらはぎをしっかりとつけるようにします
・背筋を伸ばし、腰を曲げないようにしてください
立った状態では難しいといった方は、座って行ったり、寝ながら行ったりといった方法でも、太もも前を伸ばしてほぐすことが可能です。座って行うストレッチ、寝ながら行うストレッチについても紹介していきます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
このストレッチでは大腿四頭筋のうち、大腿直筋を伸ばすのに適しています。股関節を伸展させると大腿直筋がよく伸びるので、意識してみてください。
座って行う大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
片足を曲げて座った状態で行うストレッチです。手順も少なく簡単に行うことができ、立った状態で行うストレッチに不安がある方にもおすすめです。筋肉をしっかりと伸ばす必要がありますが、身体を痛めない範囲で行いましょう。ストレッチを行うことで腰や膝などに痛みを感じる場合は、無理に行わないように注意してください。
▼座って行う大腿四頭筋ストレッチのやり方
①片方の足は伸ばし、もう片方は足を畳んだ状態で座る
②後ろに手を付いて上体を後ろに倒す
左右それぞれ20秒ずつを3セット行ってください。
▼座って行う大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・片足を畳んで太ももとふくらはぎをつけ、正座に近い状態で行いますが、膝下を外側に出すことで太もも前の違う部位を伸ばしていくこともできます
・身体を後ろに倒した後に、伸ばした足のほうに上体をねじることで、さらにストレッチを効かせることができます
ちょっとした日常生活の合間にも簡単に行えるストレッチです。日頃の太もも前のケアに取り入れてみてください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
膝の向きが内に向けば外側広筋、外に向けば内側広筋がよく伸びます。伸ばしたい繊維を意識すればより効果的なので、試してみてください。
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足を持ち上げて伸ばす大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
こちらも座った状態で行えるストレッチです。途中までは上記で紹介したストレッチと同じですが、さらに足を上に持ち上げる動作を行います。下半身を引き締める効果も期待できます。
▼足を持ち上げる大腿四頭筋ストレッチのやり方
①片方の足は伸ばし、もう片方は足を畳んだ状態で座る
②後ろに手をついて上体を後ろに倒す
③ゆっくりと呼吸する
④伸ばしたほうの足を両手で持ち、上体に引き寄せる
⑤両手で足裏を持ち、足を上へ持ち上げる
⑥ゆっくりと膝を伸ばしていく
▼足を持ち上げる大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・畳んだほうの足の甲は床につけ、つま先は後ろに伸ばすようにします
・上体を後ろに倒し、大腿四頭筋がしっかりと伸びた状態で軽く深呼吸を繰り返しましょう
・足を上へ持ち上げるときは腰を曲げないようにし、背筋を伸ばしてください
足を上げるときに膝を伸ばすことができない場合は、膝を曲げたままの状態で行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
多くの方は持ち上げるときに固さで余裕がないかと思います。余裕があれば、つま先を持つようにすればより効果的にストレッチ可能です。
上体にひねりを加える大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
両方の膝を曲げて座った状態で、上体にひねりを加えることで大腿四頭筋を伸ばすストレッチです。スポーツなどで疲弊した大腿四頭筋のケアにおすすめです。鍛えたあとの筋肉をしっかりほぐしていきましょう。
動画の2つ目のストレッチを参考にしてみてください。
▼上体をひねる大腿四頭筋ストレッチのやり方
①座った状態で、片方の足はあぐらをかくように膝を前に曲げ、もう片方の足は後ろに曲げる
②後ろ側に曲げた足と同じ側の手で足首を握る
③握った足首をお尻に引き寄せながら、上体を反対方向にねじる
その状態を30秒間ほど保ちます。左右それぞれ同じように行ってください。
▼上体をひねる大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・空いているほうの手はバランスが取れるように床につきます
・股関節を開くように意識しながら行ってください
・腰は丸めないようにしましょう
身体をひねりますので、腰などに痛みのある方は無理に行わないように注意してください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
捻るときに肩から捻ると足を持つ手まで捻れて、膝にも捻りが加えられるのであまり良い方法とは言えません。足を持つてはこていして、体をしっかり捻る意識を持ちましょう。
膝立ちで行う大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
片膝立ちになって行う、やや上級者向けのストレッチです。少し難しい体勢になりますので、身体が固い方は他の簡単なストレッチで柔軟性を身につけてからチャレンジしてみましょう。後ほど、仰向けで寝ながら行えるストレッチや身体が固い方向けのストレッチも紹介していますので、参考にしてください。
▼片膝立ちで行う大腿四頭筋ストレッチのやり方
①片ほうの足は膝を地面につけ、もう片側は膝を曲げて前に出す
②両方の手のひらを地面につく
③後ろ側の膝を曲げる
④対角の手で後ろ側の足の先を握り、お尻の方へ引き寄せる
▼片膝立ちで行う大腿四頭筋ストレッチのコツ&やり方
・手のひらは前に出した足の横につきます
・背中や腰は曲げないように気をつけてください
・膝を曲げた後、股関節を前方に動かすようにするとさらにストレッチできます
膝を地面について行いますので、膝が痛くならないようにマットなどを敷いてストレッチを行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
太ももが固い場合、腰を反ってしまい腰痛につながる可能性があります。その場合、体を前に少し倒すことで改善が期待できるので試してみてください。
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仰向けで行う大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
仰向けの状態で寝ながら行う大腿四頭筋のストレッチです。膝を身体の前でひねるように曲げていきます。上記で紹介した膝を後ろに曲げて行うストレッチが難しいといった方にもおすすめです。筋肉の柔軟性を高め、肉離れや筋肉痛を防ぎましょう。
▼仰向けで行う大腿四頭筋ストレッチのやり方
①仰向けで寝る
②片方の足をあぐらをかくように曲げる
③曲げたほうの足首を両手で掴む
④上体に向けて引っ張る
その状態を30秒ほど保ちます。左右それぞれ同じように行ってください。3セットがおすすめです。
▼仰向けで行う大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・足を曲げるときは膝を外側に向け、かかとがもう片方の腿の辺りにくるようにします
・大腿四頭筋が伸びたと感じるところで止め、その状態をキープします
・かかとの位置を左右にずらすことで、太ももの外側と内側の筋肉をそれぞれ伸ばすことができます
ストレッチを始める前には、筋肉をさすってウォーミングアップしておきましょう。仰向けに寝ながら行えるので、とても簡単にストレッチできます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
大腿四頭筋は筋膜を通して足趾伸筋と連結があります。つま先を持って足趾も伸ばすことで、このストレッチは大腿四頭筋への効果が高くなるので意識してください。
横向きに寝て行う大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
横向きに寝ながら筋肉を伸ばしていく、大腿四頭筋の簡単なストレッチです。腸腰筋にも効果が期待できます。腸腰筋は上肢と下肢を繋いでいる筋肉です。大腿四頭筋と同じく股関節の屈曲の働きがあり、骨盤や腰椎にも作用して姿勢維持にもかかわっています。大腿四頭筋と一緒にほぐしていきましょう。
動画の5つ目のストレッチを参考にしてみてください。
▼横向きに寝て行う大腿四頭筋ストレッチのやり方
①横向きに寝た状態になる
②上側の膝を後ろに曲げて手でお尻に近づける
③腹部に力を入れ、曲げた足の太ももを後ろに反らす
その状態を15〜30秒間保ちます。左右それぞれ同様に行ってください。
▼横向きで寝て行う大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・上体は下側の肘と前腕で支えて浮かせた状態にします
・膝を曲げたら、手で足の甲を握り、かかとをお尻に引き寄せるようにします
横向きに寝た状態だけでなく、うつ伏せに寝ながら膝を曲げる方法でも大腿四頭筋をストレッチすることができます。自分に合った方法で行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
太ももが固いと、膝が上に浮くことが多いです。その場合外側広筋が固いため、体と太腿を平行にするように注意してください。
身体が固い人のための大腿四頭筋ストレッチ【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
大腿四頭筋が固い方向けのストレッチです。大腿四頭筋の一つである外側広筋をほぐすことができます。身体が固くて通常のストレッチでは痛いという方は、まずはこちらのストレッチにチャレンジしてみてください。
▼身体が固い人のための大腿四頭筋ストレッチのやり方
①座った状態で片方の膝を伸ばす
②膝の皿の周りを両手の親指でマッサージする
③左右それぞれ20秒ずつ行う
④片方の足を畳み、もう片方は伸ばして座る
⑤伸ばした足のほうに身体を傾ける
⑥片手を後ろのほうについて上体を斜め後ろに倒す
上体を倒した状態を左右それぞれ10秒間保ちます。3セット行ってください。
▼身体が固い人のための大腿四頭筋ストレッチのコツ&注意点
・ストレッチをする前に、まずは膝のお皿のまわりをぐるりとほぐします
・片足は軽く畳んだ状態で、膝下は外側に出します
・膝を曲げたり身体を倒したりするときは、無理に行わずにできる範囲で行ってください
・可能な場合は、身体をさらに倒して肘を付いたり背中を地面につけたりしましょう
外側広筋のストレッチのほか、畳んだ足のかかとの位置をお尻の下にすることで中間広筋をストレッチでき、足を内側にひねって反対側のお尻の下に置くことで内側広筋をストレッチできます。外側広筋のストレッチができるようになったら、チャレンジしてみてください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
太腿を優しく触ると、それぞれの繊維の分かれ目となる溝があります。その溝に指を入れてマッサージすると、より効果的です。
ストレッチポールを使った大腿四頭筋リリース【大腿四頭筋のストレッチメニュー】
ストレッチポールを使って大腿四頭筋をリリースする方法です。筋肉を伸ばすストレッチに対して、リリースは筋肉をゆるめて解きほぐしていきます。リリースとストレッチを組み合わせて行うことで、より筋肉の柔軟性を高める効果が期待できます。
▼ストレッチポールを使った大腿四頭筋リリースのやり方
①うつ伏せになり、ストレッチポールを太もも前に当てる
②ストレッチポールを上下に動かす
③股関節、太もも、膝の上付近の順にずらしていく
▼ストレッチポールを使った大腿四頭筋リリースのコツ&やり方
・ストレッチポールを動かすときは、ストレッチポールと前腕・つま先で身体を支えて浮かせた状態にします
・可能な場合はつま先を浮かせて、前腕とストレッチポールだけで身体を浮かせましょう
・つま先を内股と外股に変えることで、太もも前の外側と内側の筋肉をそれぞれほぐすことができます
ストレッチを行う前にリリースを行って効果を高めていきましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
大腿四頭筋の力を抜きながら行うことが重要です。肘と爪先の動きで動かすようにし、太腿はリラックスして行うようにしましょう。
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出典:Slope[スロープ]
固い太もも前の筋肉をストレッチでほぐそう
大腿四頭筋は太ももの前側にある強い筋肉で、股関節と膝関節に作用しています。トレーニングやスポーツでもとても重要な役割を担っており、大腿四頭筋が固まってしまうと様々な支障が現れます。
ストレッチで大腿四頭筋を柔らかくほぐすことで、歩いたり走ったりといった下半身の動作を向上させることが可能です。さらに骨盤が安定することで上半身のパフォーマンスも高めていくことができます。
寝ながら簡単に行えるストレッチ、身体が固い方向けのストレッチも紹介しましたので、自分に合ったストレッチを見つけてください。血流を良くして下半身太りを抑制するためにも、ストレッチの効果でしっかりと労ってあげましょう。