外側広筋の構造・作用
外側広筋(がいそくこうきん)は太ももの前側にある大腿四頭筋の一つで、太ももの外側部分にあります。大腿四頭筋は外側広筋のほか、大腿直筋(だいたいちょっきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)で構成されています。
外側広筋は大腿骨と脛骨をつないでおり、膝を伸ばす際に働く筋肉です。他の大腿四頭筋の筋肉とともに歩くとときや立ち上がるときに作用しており、トレーニングやスポーツでもパワーを発揮する筋肉です。外側広筋を含む大腿四頭筋が衰えてしまうと、膝を伸ばしたり、太ももを上げたりする力が弱くなってしまうため、筋トレやストレッチで鍛えることが重要です。
(大腿四頭筋の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
大腿四頭筋の筋トレメニュー!自重〜ジムまで!太もも前を鍛えるコツを徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
外側広筋を柔軟にする・鍛えるメリット
外側広筋の筋トレやストレッチを行うと、以下のようなメリットがあります。
・引き締まった太ももになる
・基礎代謝が上がり太りにくい体になる
・足腰が強化されパフォーマンスがアップする
外側広筋を含む大腿四頭筋は太もものアウターマッスルなので、筋トレなどで鍛えることにより、引き締まった太ももを手に入れることができます。また、大腿四頭筋は全身の中でも最も大きな筋肉であるため、鍛えることにより基礎代謝がアップすると言われています。基礎代謝が上がれば、太りにくくなる効果も期待できます。
さらに外側広筋は、歩行だけでなくあらゆるスポーツにおける下半身の動作に関わっています。そのため、外側広筋を筋トレやストレッチで鍛えることにより、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりといった幅広い動作の改善が見込めます。外側広筋や大腿四頭筋は、年齢を重ねても健康的でいるために、高齢者にもぜひ鍛えてほしい部位です。
なお、太ももを押すと痛いときは、外側広筋などの筋肉が疲弊しているおそれがあります。その場合は筋トレを中止したり、軽めのストレッチを行ったりしてケアすると良いでしょう。ただし、痛みが続く場合は、迷わず医師に相談してください。
外側広筋のストレッチメニュー
ここからは、外側広筋のストレッチメニューを紹介します。筋トレやスポーツで肉離れなどを起こさないためにもストレッチは重要です。さまざまな種類のストレッチがあるので、自分に合った方法で外側広筋をほぐしていきましょう。
外側広筋のストレッチ①
大腿四頭筋のなかでも、特に外側広筋を狙ったストレッチです。外側広筋が硬いことにより生じる、O脚や膝の痛みといったトラブルの予防におすすめです。
▼仰向けで行う外側広筋ストレッチのやり方
①片側の脚を伸ばし、もう片方は畳んで座る
②そのまま上体を後ろに倒して仰向けになる
③伸ばした脚のほうに身体をひねる
身体をひねったら15秒間その状態を保ちます。左右同じように行ってください。目安は3セットです。
▼仰向けで行う外側広筋ストレッチのコツ&注意点
・畳んだ脚は身体から少し離した外側に置きましょう
大腿四頭筋の外側にある外側広筋をより伸ばすために、畳んでいる方の脚はお尻の下ではなく、遠くに置くようにしましょう。なお、身体が硬くてこの体勢ができない方は無理に行わず、まずは他のストレッチで身体をほぐしましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
外側広筋を伸ばすためには膝を内に向けるとより効果的です。しかし、そこを意識しすぎて膝を捻りすぎると痛みが出てくる可能性もありますので、ほどほどにしましょう。
外側広筋のストレッチ②
上記のストレッチとは逆に、うつ伏せの状態で行います。仰向けの状態が難しいという方は、こちらを試してみてください。
▼うつ伏せで行う外側広筋ストレッチのやり方
①うつ伏せに寝る
②片方の膝を曲げる
③同側の手で曲げた足の甲を握る
④お尻にかかとを付ける
20〜40秒ほどその状態を保ってください。左右同じように行います。
▼うつ伏せで行う外側広筋ストレッチのコツ&注意点
・かかとをお尻に付けるときは、手でしっかりと付けるようにします
・痛くて深く曲げられない場合は、できる範囲で行ってください
腰を痛めないようにマットの上でストレッチを行うようにしましょう。さらに、お腹の下にはタオルなどを敷いてください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
このストレッチも、膝のお皿を内側に向けることで外側広筋がよく伸びます。その際、膝と爪先の向きが極力揃うようにすると、痛みが起きにくいです。
外側広筋のストレッチ③
立った状態で行う外側広筋のストレッチです。仕事や家事のちょっとした合間に行えます。立ち仕事で脚が疲れたときなどにもおすすめです。
▼立ったまま行う外側広筋ストレッチのやり方
①壁などに手を付いて立つ
②片方の脚を後ろに曲げる
③同側の手で足の甲を持ち、お尻にかかとを付ける
20秒ほどその状態を保ちます。左右それぞれ同じように行ってください。
▼立ったまま行う外側広筋ストレッチのコツ&注意点
・腰や背中を曲げないように気をつけてください
・曲げたほうのつま先は内側に向けるようにし、膝は上体よりも後ろに下げます
・外側広筋が伸ばされている状態をキープしましょう
このストレッチは片足立ちになりますので、バランスを崩して転んでしまわないように注意しましょう。壁や柱などに手を付いて行ってください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
外側広筋は筋膜を通して、足の甲の筋肉とも繋がっています。このストレッチは爪先を持って足首から伸ばすことで、より効果的にストレッチできます。
外側広筋のストレッチ④
フォームローラーを使った外側広筋リリースです。筋肉を伸ばしてほぐすストレッチとは異なり、フォームローラーによる圧を加えてほぐしていきます。外側広筋が硬くなり、老廃物が溜まってしまった状態を改善できるため、太ももの外側を引き締めたい方におすすめです。
▼外側広筋リリースのやり方
①フォームローラーに太ももの付け根付近を当てて横向きに寝る(身体をやや前に傾ける)
②両手を床に付き、身体を小さく上下に動かす
③上下に動かしながら徐々にローラーの位置を下にずらしていく
④ローラーを元の位置に戻し、身体を大きく上下に動かす
⑤身体の角度を変え、当たる筋肉の位置を変えながら同じように繰り返す
初めは太ももの斜め前外側のラインにフォームローラーを当てて上下に転がしましょう。終わったら身体を前に傾けて、当たるラインをずらしつつ、同じように行っていきます。
▼外側広筋リリースのコツ&注意点
・上側の足を身体の前で地面に付き、両手と片足で身体を支えます
・太ももの付け根あたりから膝の上あたりまでをほぐしていってください
特に硬くなってコリのある箇所を重点的に行うようにしましょう。強く当てすぎないように注意してください。
福田翔馬パーソナルトレーナー
一箇所に圧をかけるだけだとただの指圧と同じになってしまいます。太もも全体をフォームローラーでほぐせるように、大きく動きましょう。
外側広筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ
続いては、外側広筋が鍛えられる筋トレメニューを紹介します。自重トレーニングだけでなく、ダンベルやバーベル、マシンを使ったトレーニングについても解説しています。ストレッチの後は、外側広筋の強化も行っていきましょう。
外側広筋の筋トレメニュー①スクワット
スクワットはお尻や太ももなどの筋肉が鍛えられる筋トレです。バーベルを担ぐ場合はハイバースタイルで行うと膝の曲げ伸ばし動作が大きくなるため、外側広筋を含む大腿四頭筋に効かせられます。ただ、筋トレ初心者の方は、まずは自重で行うようにしましょう。
▼スクワットのやり方
①重心を足の中央に置いて立つ
②股関節を使ってしゃがむ
③元の姿勢に戻る
スクワットを自重のみで行う場合は、正しいフォームが維持できる限界の回数まで行いましょう。バーベルなど負荷を使用する場合は、筋トレの目的に応じて回数を設定します。筋力アップを目指すなら1~6回、筋肥大なら6~12回、筋持久力アップなら15回以上を目安にしてください。重量は、その回数で限界となるものに設定します。
セット数は、トレーニングのステータスに応じて設定します。初心者は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度を目安にしましょう。
▼スクワットのコツ&注意点
・重心を足の真ん中を結んだ中点に置きます
・股関節を使ってしゃがみ、腰が曲がらないようにしましょう
・つま先と膝の位置を一致させましょう
上記の3点は、あらゆるスクワット動作において最も重要なことです。他の種類のスクワットを行う際にも意識してください。
ずーみー(泉風雅)
(スクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
スクワットの効果&正しいやり方!13種類のフォーム、回数・重量などコツも解説
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー②ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは片脚を台などに乗せて行うスクワットです。外側広筋をはじめとする大腿四頭筋や大臀筋、腸腰筋などが鍛えられます。
▼ブルガリアンスクワットのやり方
①立った状態で片脚を後ろの台に乗せる
②前脚の膝を曲げ、上体を垂直に保ったまま下げる
③元の状態に戻す
ブルガリアンスクワットの最適な回数や重量は、通常のスクワットと同様に設定します。自重のみで行う場合は、正しいフォームが維持できる限界の回数まで行いましょう。ダンベルなどで負荷を上げる場合は、筋トレの目的に応じて回数を設定し、重量はその回数で限界となるものを使用します。セット数も同じく、トレーニングのステータスによって決めてください。
▼ブルガリアンスクワットのコツ&注意点
・膝をつま先よりも内側に傾けないようにしましょう
・両足にバランスよく重さを乗せ、腰を曲げずに行ってください
後ろの足は、身体を下げたときに、地面に対して前脚のふくらはぎが垂直か少し前に倒れるくらいの位置に置きましょう。
ずーみー(泉風雅)
慣れるまでは壁などに手を付いてバランスを取り、正しいフォームを保ちながらトレーニングを行ってください。動作に慣れてきたらダンベルを持つなどして負荷を増やしていきましょう。
(ブルガリアンスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
ブルガリアンスクワットの効果&やり方!片足で行う最強の自重筋トレで下半身強化!
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー③シシースクワット
シシースクワットは膝を前に出すスクワットです。外側広筋を含む大腿四頭筋を狙って鍛えたいという方におすすめです。自重で行う以外に、足を固定する専用のマシンを使ったやり方もあります。
▼シシースクワットのやり方
①イスや台に手を置いて立つ
②腰を曲げずに膝を前に出してしゃがむ
③直立の一歩手前まで身体を上げる
シシースクワットの回数の目安は8~12回ほどです。その間で正しいフォームで限界まで追い込める回数を行いましょう。8回こなすのが難しい方は、しゃがむのを浅くして行ってみてください。セット数は他のトレーニングと同様に、初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度行いましょう。
▼シシースクワットのコツ&注意点
・しゃがむときは膝から頭が一直線になるようにしましょう
・膝が痛くなる場合は可動域を狭く調整してください
大腿直筋や外側広筋を狙いたい場合は、つま先の向きをまっすぐにして行いましょう。
ずーみー(泉風雅)
シシースクワットは股関節を伸ばして行うため、大腿直筋に最大限のストレッチ負荷を与えることができます。ただし、膝や腰が痛くなる場合はトレーニングを中止してください。腰が痛くなる場合は体幹の筋肉の強化が必要です。
(シシースクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
シシースクワットのやり方!膝を痛めず、大腿四頭筋に効かせるコツを解説
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー④フロントランジ
フロントランジでは、外側広筋などの大腿四頭筋やハムストリングス、大臀筋、腸腰筋などを鍛えることができます。脚のストレングスと機能性を同時に強化できる優れたトレーニングです。
▼フロントランジのやり方
①真っ直ぐに立つ
②片脚を前に出して沈み込む
③出した脚を元に戻す
はじめのうちは15〜20回くらいできるような軽い負荷にし、正しいフォームをキープできる範囲内で行ってください。左右交互に行わず、片側ずつ連続で行うとよいでしょう。セット数は他のトレーニングと同じく、初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セットほどを目安にしてください。
▼フロントランジのコツ&注意点
・両脚の膝の角度が90度になるくらいまで沈み込みます
・つま先よりも膝が前に出てしまわないようにしてください
・腰が反る、または曲がることのないように気をつけましょう
外側広筋がある太ももやお尻の筋肉に効かせるには、股関節を適切に使うことが重要です。なお、ツイスト動作を加えたり、ダンベルやバーベルを使用したりするバリエーションもあります。
ずーみー(泉風雅)
すべてのランジ動作で共通するポイントは6つです。以下の点を意識すると効果的にランジを行えるでしょう。
①両足にバランスよく体重を乗せる
②身体を前傾させない
③腰を反らせたり曲げたりしない
④膝をつま先より前に出したり内側に入れたりしない
⑤目線を真っすぐにする
⑥骨盤を傾けない
(フロントランジについては以下の記事も参考にしてみてください)
フロントランジの効果&やり方!短期間で下半身痩せ!太もも・お尻に効かせるコツを解説
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー⑤バックランジ
バックランジは脚を後ろに引くことにより、外側広筋だけでなく下半身を全体的かつ機能的に刺激する筋トレです。股関節の伸展動作に負荷がかかりやすく、大臀筋やハムストリングスを使う感覚を掴みやすいことが特徴です。
▼バックランジのやり方
①真っ直ぐに立つ
②片脚を大きく後方に振り出してしゃがむ
③出した脚を元に戻す
バックランジの最適な回数は、他の自重トレーニングと同様に正しいフォームを維持したまま行える限界の回数です。セット数は他の種目と同じように、トレーニングのステータスに応じて設定してください。
▼バックランジのコツ&注意点
・上体は地面に対して垂直を保ちましょう
・後ろ足の足首がねじれないように気をつけてください
元のポジションに戻るときは、前側の脚の足関節底屈や膝関節及び股関節の伸展を使って戻ります。フロントランジの項で紹介した、すべてのランジ動作で共通するポイントも意識して行いましょう。
ずーみー(泉風雅)
外側広筋を含む大腿四頭筋や大臀筋、ハムストリングスといった大きな筋肉をバランスを取りながら動かすことで、筋トレ後のEPOCという代謝アップも得られやすくなります。
(バックランジについては以下の記事も参考にしてみてください)
バックランジのやり方!楽に太もも・お尻痩せするコツ!筋トレ初心者&女性必見!
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー⑥レッグエクステンション
レッグエクステンションは専用のマシンを使い、太ももにある外側広筋などの大腿四頭筋に負荷をかける筋トレです。マシンがない自宅などで行うときは、チューブで代用することも可能です。
▼レッグエクステンションのやり方
①マシンに座ってセッティングをする
②ハンドルを握って膝を伸ばす
③膝を曲げて元の状態に戻る
レッグエクステンションの最適な回数は、筋トレの目的に応じて設定しましょう。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上が目安です。重量は、その回数で限界がくるように設定しましょう。セット数は、初心者なら週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。
▼レッグエクステンションのコツ&注意点
・膝以外が動かないように固定しましょう
腰をあえて浮かせる方法もありますが、基本的には行いません。しっかりとハンドルを握り、腰が浮かないようにしておきましょう。
ずーみー(泉風雅)
マシンは、動作の中心軸に膝がくる位置で背中にパッドが当たるように調整してください。また、足のパッドの位置は、足首のやや上に当たる位置に調節しましょう。
(レッグエクステンションについては以下の記事も参考にしてみてください)
レッグエクステンションのやり方!太もも前の筋肥大に効果的!自宅代用メニューも紹介
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋の筋トレメニュー⑦レッグプレス
レッグプレスもマシンを使った筋トレです。太ももにある外側広筋などの大腿四頭筋を狙う場合は、足の位置を低くしましょう。
▼レッグプレスのやり方
①レッグプレスマシンに乗る
②膝を伸ばす
③元の状態に戻す
レッグプレスの最適な回数は、レッグエクステンションなどと同じく筋トレの目的に応じて決めてください。重量は、その回数で限界となるように設定します。セット数も同様に、初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セットほど行うと良いでしょう。
▼レッグプレスのコツ&注意点
・足幅は肩幅から腰幅くらいに開きます
・つま先の向きと膝の向きは同じ方向に向けます
・膝が内側に入らないように気をつけてください
レッグプレスマシンは多くのジムに備え付けられています。ハンドルをしっかり握って、上半身を固定して行いましょう。
ずーみー(泉風雅)
脚が伸び切る直前に止めることで、外側広筋などに効果的な負荷をかけることができます。また、ボトムで腰が曲がらないように、膝をしっかりと割って下ろすことを意識しましょう。
(レッグプレスについては以下の記事も参考にしてみてください)
レッグプレスの効果&やり方!平均重量、マシンの正しい使い方も!部位別にメニューを解説
出典:Slope[スロープ]
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外側広筋のストレッチ・筋トレをマスターしよう
外側広筋は太ももの前側にある大腿四頭筋の一つで、日常生活はもちろん、スポーツや筋トレでも大きな力を発揮しています。効果的に筋トレを行って、意識的に鍛えておきましょう。また、筋肉は鍛えるだけでなくストレッチでほぐすことも必要です。ストレッチと筋トレをバランス良く行って、外側広筋を強化してください。